ベル達は今山の中にいた。サレルメスを出て暫く経つがしばらくの間野宿ですごしながら少しずつ足を運んでいた。主に山で時には遭難するかに思えたがベルが何とかして凌いだ。なぜ得意かと聞いたところベルの村ではこういうのに適した対応するように教えられている。ベル自身も祖父の薪割りを手伝っていたので山に入るのも当たり前だったのである。なのでこういうのは、なれているのである。
「ゼーッゼーッつかれたぁ・・・」
「ローゼって一応騎士やっていたんだよね?体力、一応あるんじゃ・・・」
「馴れてないのよ・・・こんな複雑だったなんて知らなかったんだし・・・」
「はぁ・・・そう言えば目的の街は?」
「もうそろそろつくと思うけど・・・」
会話をしながらベルとアリーゼはテントを張る。そして明かりを付けた。
「は~!生き返る!!」
「全く・・・少しは気をつけてよ、ローゼ、あと少しで毒キノコ食べようとしたからね・・・」
「だってぇ~おいしそうだったんだも~ん!」
「キノコって素人がとると危険なんだよ?それ分かっている?この前何やら毒キノコを触ってかぶれたのにまだ懲りてないの?」
「ウグッ!何も言い返せない」
ローゼが少しふてくされながらもベルも苦笑いしていた。イヤ、これはどちらかというと充実している方なのだろう。ベル自身この旅は面白く、それでいて安らぎの場所なのだ。もちろん復讐する。とも考えていたが今はこの旅を長く続けたいとも思っている。暫くして調理を始めた。ちなみに村にいたころ、祖父の手伝いで料理したことは多々ある。これくらいは大丈夫なのだ。基本的な調理器具もあるし火に関してはサレルメスでヘルメスからいただいた『ライター』というものでまかなえる。
「はい、できたよ-」
「わーい、ありがとう、ベルママ」
「何でママ?!しかも僕より年上だし」
「細かいことには気にしない!」
そう言って談笑を楽しむ。暫く食事をしてアリーゼは何かを思いだしたように話した。
「ベル、次に行く街の名前、覚えている?」
「え・・・?確か農業の街フェレライ・・・だよね?」
そう言ってベルは首をかしげる。特に行く予定はないが一応野菜も重要だろうとのことで行くことになった都市だ。アリーゼは怪しい笑みを浮かべながらランプに火を付けちょっとだけ顔に近づける。
「・・・その街ではさ・・・農業の街と言われているのにね、実はここら周辺で一番飢えに苦しんでいるんだって」
「それ、結構真面目な方?」
「いや、怖い話」
「え・・・マジ」
「うん、マジ」
そう言って身構えながら話を聞こうとするベルにアリーゼはニヤニヤしながらも話を続ける。
「でもどうして?」
「なんかね、その街で前の領主が死んだ時新しくできた娘が継いでいるらしいの。それから始まったんですって」
「へ~でも何で?」
ベルは少しおびえながらも好奇心旺盛な年だからか聞きたくなってしまう。それにアリーゼは更に話したくなってしまい何やら「ヒュールル」という音が聞こえ始めた。
「それでね、その女の人極東出身の妻の間に生まれた娘で何やら美しい見た目していると噂されているのだけれども仮面を付けていて誰もその姿を目にしたことはないらしいの、何時も館にいなく船にこもっているらしいわよ・・・館にいるときは年に2回とか」
「ゴクリッ」とつばを飲み込みながらアリーゼの話に耳を立てる。そしてここでアリーゼは悪巧みな顔をした後震え声で言った。
「それで噂されているのだけれど~アレは餓死ではなくて魂を食われたんじゃないかって言われているの・・・聞けばその女の人かなり年をとっていて若さを保つために食われたって言われているの・・・食われた魂は最後・・・彼女の腹の中で・・・永遠に!!」
「ぎゃああああああああ!」
そうしてベルの絶叫が辺りに響く。そして「二ヒヒッ」と笑いながらベルを見つめているアリーゼは転げ落ちる。
「もう!こんな、暗い夜に怖い話しないでよ!!」
暫くしてベルは涙目になる。そうして暫く笑っていたアリーゼは立て直していた。
「イヤー!ごめん、ごめん!」
「もう・・・その街行きたくなくなっちゃうじゃないか!!」
「大丈夫、噂だし単なる作り話だと思うわよ」
そう言ってベルはほっと胸をなで下ろす。その姿が何やら可愛らしかった。アリーゼは無意識にベルを抱きしめる。
「大丈夫?」
「うん、もう平気」
そう言っていながらもまだ怖がっていたのかアリーゼに抱きつきながらテントに入る。そして寝袋を用意した後ベルはアリーゼの袖を「クイッ」と持ち上げる。アリーゼはなんとなく察したようだった。アリーゼが予想していた反応でベルを見ながらもベルは口を開く。
「お願い・・・今日は一緒に寝て・・・」
とうつむきながら言った。
「ハウワァ!」
それに心打たれたのかアリーゼは断れるはずもなくすぐにうなずいた。そして二人は寝袋に入る。暫くしてベルはうなされてたなのだろうか震えていた。そこにまた頭を撫でる。暫くしてベルは目を開ける。どうやらまだ寝られていないようだった。
「ベル・・・?」
アリーゼは少し不安そうな顔でベルを見つめた。そしてベルはアリーゼの胸にうずくまる。
「ちょっ・・・ッ!ベル?!」
少しあたふたしながらもとりあえず離そうとする。しかし胸の辺りに涙のような感触があった。
「・・・ごめんね・・・あんな話をして・・・」
「大丈夫・・・ただ・・・まだ心の準備ができていないだけ」
そう言って顔を上げる。
「もう大丈夫・・・ありがとう!」
そう言って泣きながらも笑顔を見せた。その笑顔は傷ついた人を癒やしそしてどこか浄化させていく、まるで女神のようだった。男なのに・・・だ。普通、天使とか言うがなぜかアリーゼは女神と読んでしまうのである。・・・とまあここでアリーゼが思ったことはただ一つ・・・
(結婚しよう・・・)
それだけだった。暫くしてベル達は眠りについた。その時その様子を見ているのは月だけだった。月も人間と同じようにこの光景を見て顔を赤くしたのと同時に照らし出した。
これから地獄を見ることを知らないまま
「アア・・・・まだ足りない」
そう口にして極東風の着物を着ていた女性は割れた鏡に向かって鼻歌を歌いながら髪を整えている。
「まだ足りない・・・まだ足りない・・・あああ、もっと美しくなりたい。永遠の若さを!!もっと欲しいの、美しさが!」
そう言ってまた鏡を割る。暫く気性が荒くなったのか極東風の女は暴れ始める。暫くすると落ち着き地面を見る。そこには白い髪があった。ふと女性は咄嗟に仮面を付ける
「そろそろ、この時期かしらね・・・この『モウ』さえあればゲストに飯を食わすだけで若さが手に入る、まさに神の船!!あの街から小麦なども採取できているしなによりあいつらの腹が減りさえすれば・・・フフフ、豚共!このレディへの若さの糧になりなさい!!」
極東風の女、レディの不気味な笑い声と共にこの化け物の船『モウ』の中で響いた。
『モウ』の中では金属をこすれる音、調理している音、そして船の動く機械の音がレディの不気味な笑い声と共に響くのだった・・・
次回、『白兎は正義に憎しみを抱く リトルナイトメア編』始動!!
はい、次回から何と、リトルナイトメア編が始動します。僕自身ホラーは無理で実況じゃないと無理なタイプですが2に関しては勇気出して買おうかなって思います。それでは次回、お楽しみに!