白兎は正義に憎しみを抱く   作:暗闇水明

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はい、今回はレディとの最終決戦です。ここで、例のあのシーンが・・・(作者二番目のトラウマシーン)それではどうぞ!


Chaptear9小さな悪夢 後編

ベル達はレディから逃げてとりあえず休憩をしていた。どうやらレディは明るいところでは弱体化をするらしいので光があれば何とかやり過ごすことが出来るらしい。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

ベルはさっきの事で震えが止まらなくなっていた。それもそうだろう、急に扉が閉まって、その途端に不気味な声をした女が仮面を付けて追いかけてくるのだ。仮面がついている分、どんな顔なのかも分からない為、余計に怖くなるのである。9歳である身でありながらこれほどの体験はトラウマ物だろう・・・

 

「ベル・・・大丈夫?」

 

アリーゼが何とか落ち着かせる為、抱き寄せる。しかし、恐怖で震えているのは他にもいた。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

 

アーディが逃げたところからずっとこの調子なのだ。アーディはエレベーターに乗る前からレディに恐怖心を持っていた。その恐怖心がさっきの出来事で爆発したのでうずくまって震えながらこの状態である。

 

「アーディ・・・」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・・」

 

シックスはアーディのそばによる。ネズミと同じ身長な為棚でよじ登り、アーディのそばによる。すっとアーディの顔にシックスは頬をのせる。

 

「大丈夫だよ・・・私がいるから・・・」

 

そう言って本当に小さな手で、シックスはアーディの涙を優しく拭う。少し、アーディは落ち着いたようだった。

 

「シックスちゃん・・・すごいね、こんなに小さいのに・・・」

 

アーディは人差し指でシックスの頭を撫でた。少し恥ずかしくなったのか、顔をそっぽに向く。

 

「ううん、実際私今も怖いよ・・・ここに来るまでもずっと震えていたし」

 

「それでも、シックスはよく一人で頑張ったよ・・・今でもシックスのお陰で勇気がもらえているんだから・・・」

 

「うう、もう行くよ!!」

 

そう言ってシックスは顔を赤くしてアーディの体から降りる。休憩を終わりにし、シックスは小さいライターを持って先へ進んだ。暫くして大きな広間に出る。

 

「ここは・・・」

 

「これはまた不気味ね・・・」

 

そこには着物をマネキンが大量に置かれてあった。部屋には不気味さが増している。アリーゼ立ちは広間を探索したがどれもマネキンや割れた鏡が散乱していた。

 

「ここは・・・」

 

シックスは木の板で打ち付けられた入り口を見つけた。

 

「ちょっと待ってて」

 

そう言ってアーディは自分の剣を取り出した。そして剣で板を割る。

 

「ここは・・・」

 

そこは狭い部屋だった。中には割れた鏡が大量にあった。

 

「やっぱり、鏡は壊されているわね・・・」

 

アーディ達は探索するもなかなかめぼしい物は見つからなかった。

 

「ねえ、これは・・・?」

 

シックスが何かを見つけたようだった。全員シックスの方を見つめる。そこには・・・

 

「鏡・・・?でもこれって・・・」

 

「うん、割れていない・・・」

 

割れていない鏡だった。アーディ達は少し首をかしげる。明らかに重要そうだった。

 

「とりあえず、持っていこう」

 

そう言ってシックスは鏡を持ち出す。持ち上げトテトテッと歩き出した。「自分で持てる」と言う意思表示みたいで少し可愛いと思う3人で会った。

 

「・・・・・ッ!」

 

しかしそれを思う事もつかの間・・・その時全員が冷や汗を掻く。少し、明かりがある所にレディを見つけた。恐らくだが気が付かれている。退路も遠かった。ベル達は急いで剣を抜く。そして全員がレディの方を向いた。

 

「見つけた・・・」

 

レディは不気味な声と共に後ろを向く。ベル達はレディの不気味さに足が震える。

 

「あなた達のせいで・・・私の永遠の若さがこのモウで手に入られる・・・そのはずなのに!」

 

そう言ってレディはベル達の方に向いた。仮面を付けていて分からないが、とても恐ろしい形相だと分かる。

 

「お前達が侵入してきて、許さん!!ここで殺してやる!」

 

「「「・・・・・ッ!」」」

 

その瞬間、黒い煙によって消えた。闇によって消えたのだ。

 

「ベル、シックスちゃん!隠れて!!」

 

そう言ってベルとシックスは逃げようとする。しかし・・・

 

「逃げられると思うな!」

 

レディがシックスの近くにいた。そしてシックスの元に近づくとレディは手に黒い霧が集まる。それと同時にシックスの体が浮かび上がる。

 

「あっ・・・が・・・」

 

首を絞めているようだった。シックスをつかむとき小さな光で居場所を把握し、ベルは剣でレディの元に斬りかかる。

 

「邪魔をするな!!」

 

「ウグッ!」

 

「ベル!クソ・・・ッ!」

 

「シックスちゃんを離して!!」

 

しかし、レディによってベルは動きが止まりそのままベルは倒れ込んだ。アリーゼ達も斬りかかるが同じくレディは避け、アリーゼ達は動きを止められ倒れ込んだ。

 

「大人しく見ていなさい・・・この子が殺される瞬間を・・・」

 

「アアアアァァァァ!」

 

そう言ってシックスの首を締める力を強めた。

 

「シックスちゃん!!」

 

「クソォ!!」

 

アリーゼ達が動こうにもレディの力によって動きが止められる。ベルは何とか立ち上がろうにも、恩恵もないただの子どもが出来る訳も無かった。

 

「ウグッ・・・・・!シックスちゃん

 

(僕は・・・また・・・)

 

そうしてベルは意識を落とした。

 

???sideend

 

ベルside

 

「ウグ・・・・・ッ!シックスちゃん・・・」

 

体が重い・・・口を開くのも苦労するくらい、僕の体は重かった。杭で打たれたような感覚だった。起き上がろうにも起き上がれない。ここに来て自分の無力さを呪った。

 

ふと、僕はあの日を思い出す。村の皆が殺された日のことだ。あの時、僕はただ震えながら見ているだけだった。燃えさかる草原、壊れる建物。そして悪夢とも言える多数の村人の悲鳴、血のにおい。そして明確に向けられた殺意。震える体で逃げようもするも転んでしまった。そこでローゼに助けられた。あれ以来、ローゼには助けられている。他人からみれば僕が助けているみたいだが、ローゼによって僕は生かされていた。身体も心を・・・

ローゼがいてくれているから、僕はここにいる。僕は一人では何も出来ない・・・ただの無力な子どもなんだ・・・分かっている・・・だけど・・・

 

(無力でも・・・・・ッ!僕は一人の女の子を助けられないで・・・もう・・・!!)

 

「止めろおおおおおおお!!」

 

そう叫んだ瞬間僕の背中の剣が宙に浮いた。

 

ベルside end

 

???side

 

「止めろおおおおおおお!!」

 

レディがシックスの首を締め、レディがベル達の動きを封じられ、絶望しかなかったこの状況にベルがそう叫んだ途端、ベルの背中にあった剣が光り出した。

 

「グウウウウウウゥゥゥ!!」

 

その瞬間、レディはシックスを離す。衝撃のお陰か、アリーゼ達の呪縛は解けた。

 

「ベル!!」

 

「シックスちゃん!!」

 

二人はシックスとベルの元に向かう。しかし・・・

 

「・・・・・ッ!させるか、来なさい!!」

 

そうした瞬間、闇の中から仮面を付けた二人の黒影が出ていた。

 

「この二人って・・・」

 

「フェレライであった・・・ヤツとは違うけど、種類は同じだね・・・」

 

そうしている間にも二人の黒影は、アリーゼ達に斬りかかる。

 

「・・・・・ッ!強い・・・レディの本質的に暗闇だと活性化するけど・・・・・ッ!」

 

「ええ、今あの剣が光を出している場所は限定的、おびき出しましょう・・・」

 

「うん!」

 

そうして二人は黒影から逃げるが・・・

 

「・・・・・ッ!まだいるの?!」

 

他にも黒影がいた。ベル達はとりあえず明るい場所まで避難した。しかし・・・

 

「おのれええええええええ!!」

 

レディは明るいにもかかわらずシックスに深い執着心があったのか、明かりがある所でも強引にシックスめがけて向かってきた。

 

「シックスちゃん!!」

 

このままではまたシックスが、首を締められると思った。レディはシックスをめがけて浮遊しながら向かってくるが・・・

 

「フッ・・・・・ッ!」

 

「な・・・・ッ!?ぎゃああああああああ!」

 

シックスが鏡をレディに向かせたところ、レディは突然悲鳴を上げ、はじけ飛んだ。シックスは反動で後ろに飛んで倒れ込んだ。

 

「シックスちゃん!!」

 

「やっぱり・・・」

 

その瞬間、シックスは確信した声で立ち上がり鏡を持ち直す。そこで少し考えていた。そこにベルに声をかけた。

 

「ベル!!光を一旦消す事出来る!?」

 

「え・・・?」

 

「出来るの?!」

 

「分からない・・・でも、助けられるのなら・・・」

 

そう言ってベルは何とか念じてみた。すると・・・

 

「消えた・・・」

 

明かりは消える。レディはその間に持ち直していた。シックスも別の方に走り出す。

 

「今・・・もう一回つけて!!」

 

そこでベルはまた念じる。するとまた明かりがつく。

 

「チッ!!ちょこまかとおおおおおおお!!!」

 

そう言ってレディはまた勢いよくシックスに向かって来た。その方角に向かって鏡を向ける。

 

「ぎゃああああああああ!」

 

またレディは後ろに吹っ飛ぶ。シックスも反動で後ろに倒れ込むが・・・

 

「もう一度!!」

 

そう言ってベルはまた念じて明かりを消す。その間にシックス達は急いで移動する。

 

「クソ・・・ッ!この間に・・・」

 

「もう一度つけて・・・・・ッ!」

 

そうして明かりがついた。それによってレディが動き出す。

 

「よくもおおおおおおおおおおお!!」

 

「ハァ!」

 

シックスは負けじと、レディに向かって鏡を向ける。

 

「ぎゃああああああああ!」

 

それと同時に光が出てきてレディは後ろに吹っ飛んだ。シックスも後ろに倒れ込む。

 

「・・・・・ッ!ヒビが・・・・・ッ!」

 

ふと鏡にヒビが入った。

 

「シックスちゃん!!」

 

「大丈夫!!もう一度お願い!!」

 

そうしてベルはまた明かりを消す。レディはこのうちから一旦整える。そうしてシックスはまた、合図をした。

 

「つけて!!」

 

「ウグッ!」

 

ベル自身も体力が削られてきた。レディは仮面の目から鋭い視線で見つめる。

 

「これならどうだ!!」

 

「・・・・・ッ!フェイントか!!」

 

明かりの周りを回転し始めた。シックスは油断をせず鏡を構える。

 

「・・・・・ッ!消えた・・・」

 

しかし、レディは突然現れては消える。その次の瞬間、後ろからレディが来た。

 

「ウガアアアアアアアアアアア」

 

「・・・・・ッ!ハァ!!」

 

「アアアアアアアアアアアアア!!」

 

シックスは何とか鏡をレディの方向に向ける。レディは悲鳴を上げながら後ろに吹っ飛ぶ。

 

「ハァハァ・・・もう一度お願い!」

 

「うん!!」

 

そうしてベルは明かりを消す。レディはこの間に体制を整える。ベルも膝をついていた。

 

「つけて!!」

 

そうしてうなずき、ベルはまた明かりをつける。

 

シックスも体力の限界か膝をつく。レディの方もふらふらだった。やがてまたレディはフェイントをかけた。シックスもふらふらだった。やがてレディがシックスの後ろに来る。

 

「・・・・・ッ!ハァ!!」

 

「グアアアアアアアアアア!!」

 

レディはまた後ろに吹っ飛んだ。シックスもまた倒れ込む。

 

「よし・・・・ッ!」

 

シックスは立ち上がる。そして鏡を持った。

 

「アレ・・・?」

 

だがここで、腕の力が働かなくなった。鏡を持とうにも落ちてしまう。

 

(チャンス!!)

 

レディはこれを好機とみたか一気にシックスの方にめがけて突進してきた。さっきよりも勢いよく、そして鋭い威圧感だった。

 

「終わりだああああ!!」

 

レディはシックスに腕を伸ばす。

 

「あと・・・ちょっとなのに・・・・・ッ!」

 

そうしてシックスの身体は宙に浮かび始める。

 

「ハアアアア!!」

 

「なっ・・・ッ!」

 

事はなかった。ベルが鏡を持っていたのだ。現在、ベルは光の維持でかなり疲れているはずだった。鏡の負担は反動でものすごい体力を持って行かれる。それを同時にやるなどベルはどうなるか分からなかった。

 

「終わりだ!!レディ!!!」

 

そうしてベルは、思いっきり鏡をレディの方に向ける。

 

「ぎゃああああああああああああああああああ!!バカナアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

その悲鳴と同時に、鏡が割れた。

 

階段の方では・・・・

 

 

「な・・・・何だ?」

 

「まさか・・・ッ!」

 

アストレアファミリアのリューとライラが戦っていた二人組が突然、黒い煙が上がる。それと同時に身体の一部が崩れ去った。

 

「一体何が?!」

 

「もしかして・・・」

 

リューは何かを察した。それに答えるように二人組は喚くように叫び出す。

 

「そんなあああああああ!!」

 

「レディ様あああああああああ!!」

 

そうして段々と二人組の身体が消えていった。腕が炭のように落ちる。

 

「まさか・・・誰かレディを倒したのか・・・・・ッ!」

 

そうして輝夜は目を丸くする。さらなる疑問が飛び交っていた。

 

「一体誰が・・・」

 

「もしかして・・・」

 

そう口にしたが、三人はともかく怪我の治療を優先させた。アーディとも合流できていないのでとにかく捜索するのだった。

 

ベルが倒れたのか、周りは暗くなっていた。そばには、剣が落ちているアリーゼも戦った体力疲れか、倒れ込んでいた。しかし、レディにはもう暗闇でも活性化できないほどボロボロになっていた。そばにはレディの仮面が落ちている。

 

「クソォ・・・・・ッ!まだだ・・・幸い、あの小僧達は延びている・・・今のうちに・・・・・ッ!」

 

「やばい・・・・・ッ!逃げられる」

 

アーディ達はすぐレディを追いかけようとするがその体力はない。レディも起き上がれない状態だが匍匐前進で行くつもりだ。その時だった・・・

 

(グギュルルルル)

 

突然腹の虫が鳴いていた。こんな時にどうでも良いと思ったが、レディは何やら恐れていた。どうしたかと思ったがその腹の虫の音の正体が現れた。

 

「お腹・・・すいた・・・」

 

腹の虫の宿主はシックスだった。ベルはシックスが無事そうで安心する。シックスは立ち上がり、歩き出す。

 

「シックスちゃん、良かった・・・」

 

しかし、なぜかシックスはベル達の言葉を無視する。途端、シックスの口からよだれが垂れていた。それも異常なまでの量だった。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「ヒッ・・・・・ッ!止めろ・・・・・ッ!」

 

「シックスちゃん・・・?」

 

段々とシックスはレディの方に近づいていた。レディは酷く怯え急いで逃げようとする。しかしその身体では一歩位しか進めなかった。

 

(何が・・・そう言えばあの小人の死体は何なの)

 

アリーゼはシックスに出会う前のあの三角帽のような頭をした小人を思い出した。死体は何か食われたようなあとだった。今更なんだと思ったがシックスの状態で何かが引っかかった。最初はネズミかと思ったが、死体は暖かくまだ死んだすぐあとだった。ネズミは生きている肉は襲わない。そもそも歯形も合わなかった。

 

(アレは、ネズミじゃなかった・・・どっちかというと人の歯形をしていたし・・・)

 

そこで何かが引っかかった。人の歯形・・・それも小さい跡・・・ふと、アリーゼの頭に何かのピースがくっついた。

 

(あそこにいたのは、ベルと私、後にアーディが来て・・・そう言えば、シックスちゃんは大分痩せていた、しかも餓死寸前くらいの体系・・・まさか!)

 

アリーゼは何かを察したのか慌てて声を上げる。

 

「シックスちゃん!!ダメェ!!!」

 

しかし、シックスにはその言葉は届かない。やがてシックスはレディの首元に近づく。

 

「シックスちゃん・・・?」

 

ベルはシックスの方を見る。アリーゼは不味いと思いベルに近づきながらもその時は既に遅かった。

 

──―グチャッ!

 

「は・・・?」

 

「ああああああああああああああああああぁぁぁ!!」

 

その音と共に、シックスはレディを食べ始めた。レディの悲鳴が広間を包む。首元を生々しい音でむさぼり食う。辺りからは血が流れている。ベルはこの状況に村の事を思い出した。血のにおいが辺りに漂う。

 

「ヒッ・・・・・!!」

 

「シックスちゃん!止めてぇ!!」

 

アーディの言葉も無視してシックスは食べることを止めない。食べている音の生々しさが、ベルに恐怖心をあたえる。やがて、その生々しい音がやんだ。

 

「シックスちゃん・・・・・」

 

ベルがそう口にすると、シックスは黒い何かがまとわりついた。

 

「ヒッ・・・・・ッ!」

 

ベルが思わず声を上げる。それと同時にシックスは立ち上がり、やがてゆっくりとベルの方を向いた。それがベルの恐怖心の絶頂だったのか気絶してしまった。更に黒い何かのせいで、アーディも気絶した。

 

「アーディ!!」

 

その叫びが大広間に響く。その時か、急に物が倒れる音がした。

 

「アーディ!!」

 

そこにアストレアファミリアの輝夜とリュー、ライラが来た。

 

「輝夜!ライラに、リオンも!!」

 

「アリーゼ?!どうしてここに・・・」

 

「説明は後、でもシックスちゃんが・・・」

 

「シックスって・・・・・ッ!」

 

3人も驚嘆の顔を見せる。4人ともシックスがいる方を見た。しかし、そこにはシックスはいなかった。

 

「いないじゃないか・・・」

 

「ですが、アリーゼ・・・なぜシックスを・・・」

 

「3人とも知っているの?!」

 

「ああ、脱走者と指名手配されていたよ・・・」

 

「そう・・・」

 

「あの子は・・・」

 

ライラがベルを指した途端アリーゼはベルの方を見る。輝夜はなにかを察したようだった。

 

「アリーゼ・・・もしかしてあの子は・・・」

 

「うん、お察しの通りだよ」

 

そう言って全てのことを話した。ベルがあの村の生存者だと、自分がローゼと名乗ってベルと一緒に旅をしていることを、シックスがレディを食い殺したことも・・・それを聞いてリュー達は驚嘆の顔を浮かべる。

 

「まさかな・・・これが運命というヤツか・・・」

 

「とりあえず・・・これを」

 

ライラは悪態をつき、そう言ってリューはアリーゼに高等回復薬をかけた。アリーゼは立ち上がる。アリーゼはすぐ、アーディとベルのもとに駆け寄る。

 

「ベル!アーディ!しっかりして!!」

 

「アリーゼ・・・」

 

そこにアーディも起き上がる。

 

「アーディ!大丈夫?!」

 

「私は・・・でも・・・」

 

ベルの顔が青ざめたまま気絶をしていた。よほどトラウマだったのか、急いで抱き寄せる。

 

「ベル・・・ッ!ベル!」

 

ベルは一向に目を覚まさない。何も出来なかったアリーゼは無力感で涙を流す。アリーゼはベルと旅を初めた最初は罪滅ぼしのつもりだった。しかし、旅をするにつれてアリーゼは段々、何かが外れた。ベルといられる時はローゼ・アーリヴェルと名乗りながらも共に遊び、時に学び、時に喧嘩・・・は、なかったが充実した日々を過ごしていた。罪人であるアリーゼに唯一、安らぎを与えてくれたのはベルだった。旅を通してベルの事について良く知れた。この子は甘えん坊で、それでいて頼もしくて、優しい・・・いつの間にか大切な家族になっていた。守らなければいけないのに・・・アリーゼはベルを守れなかった。今回もベルのお陰で勝てたのだ。レディの戦いもベルとシックス頼みだった。彼らは子どもであるのに・・・守らなければいけないのにだ・・・それがアリーゼの心を打ち付けた。

 

「ごめんね・・・ベル・・・ごめんね・・・」

 

謝りながらアリーゼは何時ものように頭を撫でる。それでも一向に目覚めることはなかった。

 

「アリーゼ・・・」

 

「来ないで!!!」

 

急にアリーゼは大声でリュー達に怒鳴りつける。アリーゼはハッとしてうつむく。

 

「ごめん・・・」

 

「いえ、大丈夫です・・・」

 

そう言ってリューは一歩下がる。アリーゼはとりあえずベルを寝かそうとする。その時だった・・・

 

「ウ・・・ロー・・・ゼェ・・・」

 

ベルが口を開いたのだ。ベルは徐々に目を開ける。リュー達は物陰に隠れた。

 

「ベル!良かった・・・・・ッ!」

 

アリーゼはベルを抱きしめる。ベルはアリーゼがそばにいるのを実感し、胸に顔をうずくめる。そして・・・

 

「ローゼ・・・ウ・・・わあああああああ!!」

 

「怖かったね・・・よしよし・・・もう大丈夫だよ」

 

恐怖のあまりか泣いてしまった。それもそうだろう、9歳でこの光景はトラウマ並だ。アリーゼはそっとベルの頭を撫でる。暫く、ベルの泣き声が辺りに響いた。

 

リュー達は隙を見てこの広間から脱出した先にモウに脱出するための船を用意していたのだ。急いでその場所に向かう。アーディは暫くアリーゼと行動をすることにした。一応船は残していてはいる。ちなみにリュー達は窓から外に出たが・・・

 

暫くしてベルが泣き止み、とりあえずモウから脱出しようと広間を出た。アーディに安全な方を教えてもらい、暫く歩くと見たことある道が見えた。そう、ベル達が、モウに入って最初に来た道だった

 

「ベル・・・下がっていて」

 

アリーゼ達はゲスト達を警戒し、剣を抜く、しかし・・・

 

「襲ってこない?」

 

「食べている音もしないよ・・・」

 

不気味と言うほど静かだった。ベル達は大きな扉に向かう。ここは出口までの直線の廊下でもありゲストがかなり集まる場所である。

 

「じゃあ、行くよ!」

 

その合図と共に、ベル達は一斉に扉を開けた。そこに広がっていたのは・・・

 

「え・・・何これ・・・」

 

ゲストの山のような死体だった。奥には光がある。更にはカモメの音が聞こえた。そこに小さな人影が映る。そこには・・・

 

「やあ、ベル、ローゼ、アーディ・・・」

 

後ろ明かりで影が重なるが姿ははっきりしていた。

 

 

「シックスちゃん・・・」

 

ネズミのように小さく黄色いレインコートを着て何か黒いオーラのような物をまとっており手には手紙を持っていたシックスだった。




はい、今回はここまでです。次回でリトルナイトメア編最終回です。後日談のような物で2に関するネタバレ、考察もあるのでご注意ください。それではまた次回!

追記

例の二人組をリトルナイトメア風に紹介してみました。

二人組

レディの一部である彼らは,ただひたすらレディの為に働き続ける。

毎日、毎日、毎日

24時間365日、働き続ける。

それがどんな狂っていた事としても

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