誤字脱字に関しては気が向いたら直します。
ある日、俺は転生を果たした。
神と出会い、転生特典として得たのは魔法技術と魔物の解体というスキルだ。
魔法技術の内容は、魔法の作成、改良、構築、発動、そしてコントロールといったもので、こっちではどちらかというと魔術の部類になるだろうか?
神曰く、神秘アビリティがあればやり易くなるそうだ。
転生した種族はヒューマン。
ステータスは一応表示できたが、当然ながら初期値だった。
ただ、異世界仕様らしく、それなりの数の魔物を倒しても、レベルは1のままだったが魔術自体は使えた。
俺は生前、日本という国の出身だが、異世界転移してしまった。
紆余曲折あり、俺は転移した世界で冒険者をしていたが、スタンビートで命を落としてしまった。
死した際、神と遭遇。
今までの功績と転移させられたお詫びを理由に神から特典付きの転生をさせて貰った。
ちなみに、特典の質についてはかつて冒険したダンジョンの攻略段階によって左右されるらしいが、比べる相手や指標が存在しないので、基準が未だによくわからない。
そんなこんなで、転生を完了した訳だが、生まれた場所はエルシオ王国のロダ地方にある村だ。
農家の三男坊に生まれ、十二歳の時に村から口減らしに追い出された。
まあ、奴隷商人へ身売りに出されなかっただけ有難いので、あまり村や家への遺恨はない。
その後、サバイバルで飢えを凌いだ後、何とかロダ地方の領都にたどり着いた。
領都には地方ギルドの施設を運営するファミリアがあって、神の眷属にはなれないが依頼を斡旋、受注を行っている。
そこに行けば採取や討伐といったファンタジー小説の冒険者らしい依頼を受けることができる。
ちなみに、ファミリアとは主神となる神とその眷属で構成された組織、或いは家族の様なものだ。
ファミリアに入るには神から恩恵〔ファルナ〕を貰う必要があるらしい。
また、恩恵持ちとそれ以外では戦闘力や生産的に差があり、冒険者と自称する人達はまず、恩恵持ちになることを目標とするらしいが、そんな簡単な道でもないらしく、この国や周辺諸国に居を構える神々はこういった組合施設〔地方ギルド〕を設けてふるいに掛けている。
まあ、単純に住んでいる神々が恩恵を必要としている人よりも遥かに少なすぎるようだ。
しかも強い冒険者やそのファミリアの大半はオラリオという都市にいるらしく、降臨した神々の多くはそっちに行ってしまう為、真の冒険者と名乗れる人は極端に少ないらしい。
ーーー閑話休題〔それは兎も角〕
朝起きて、朝食とする事を済ましてから地方ギルドにて依頼を受ける。
受けた依頼は魔物の卵採取だ。
移動中、屋台で買った飯を食い、依頼を達成する。
帰り道、常備依頼にもなっている魔物を数グループを討伐してながら領都へ戻り、地方ギルドへ。
施設の建物に入ると受付に行き、依頼達成報酬を貰い、夕食を買って宿屋に向かう。
宿屋に着くと夕食を食べ、身体や歯を清潔にして就寝した。
こんな生活をしてから半年になる。
そこそこ強い魔物を倒しているせいか、お金はそれなりに稼いでいるし、噂もチラホラ聞こえてきたし、そろそろ拠点を移動すべきだろう。
有名になることは名を挙げる上では歓迎すべきことだが、同時に面倒事もやってくる。
俺は求めているのはお金を稼ぐ為の術であって恩恵を求めている訳ではない。
恩恵はお金を手っ取り早く稼げるようになる手段だが、主神となる神物が善良とは限らない。
また、ファミリア内の柵みや派閥抗争など、組織特有の揉め事も発生し易く、主神の方針によっては死人も出るらしい。
そんな面倒事はごめんだ。
そうと決まれば即決即断。
荷物を纏めて、宿屋を引き払い、領都を出立する。
元々、一カ所に留まる道理は無いので事前に長旅の準備はしてきた。
その甲斐もあってか、即決即断の旅は中々どうして、順調だった。
森の広場で野営を始める。
野営に必要な道具は揃えてある。
その中には敵対生物である魔物が生息する異世界ならではのアイテムも存在している。
例えば、このお香。
白い磁器に入った青い粉はお香として焚くと魔物除けの効果がある。
使う量によって燃え尽きる時間を調整できるため、よく野営で重宝していた。
ただ、このお香、100グラムで10万ヴァリスするので、作った分析魔法で材料を分析し、自分で調合した。
かなり大変だったが、試行錯誤の末、市販の物よりかなり良い物ができた。
効果は100グラム=10時間。
市販にある100グラム=5時間、と比べると2倍の効果が見込まれる。
テントを張り、食事にする。
今日の夕食は自家製の兵糧丸。
カロリーメ〇トを薄くした味へ整えたこの食品は、既に存在する旅のお供であるクソ不味い保存食を瞬く間に駆逐し、今や提供先のウィリース商会では目玉商品となっている。
領都を出立する際、製造方法を買い取って貰って、かなりの大金を手に入れた。
おかげで旅生活は快適そのものだ。
雨を凌げるサスペンション付きの幌馬車に料理では欠かせない携帯式魔道コンロ、さらには新調した全装備。
龍種クラスでも来ない限りは余裕である。
そんなこんなで旅の初日は夕食を終え、魔物除けのお香を焚いて就寝した。
さて、明日から何処に向かおうか。
自由気ままな長い旅が始まった瞬間だった。
読んでいただき有難うございます。
ルビの方は気にしないでください。