異世界転移の冒険者、ダンまちに転生する。   作:龍神王聖人

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あまり上手い文章ではありませんが、暖かい目で見てください。


第一章 始まりの出会い 第一話 森の中の遭遇

 今日も今日とて俺は当てない旅を続けている。

 

 あれから数週間の時が流れた。

 

 町へよっては適当な依頼をこなし、商売にも手を出した。

 地域によって物の相場が違う為、旅をする今の身分には打って付けだ。

 そこで、もっと利便性を高める為に一つの魔法を作った。

 

「やはり、これが有ると無いとでは利便性が圧倒的に違う。」

 

一人呟きながら、表面の部分に魔方陣が描かれたバックパックを見つめる。

 掛けた魔術は『アイテムボックス』。

 とは言っても、時間が止まることも無ければ、自動的に入れた物をリスト化したりもしない、ただ単に魔法を掛けた袋の中を拡張して重さを軽減しただけの魔法だが、効果はかなりヤバい。

 日本の一般サイズのバックパックに小麦袋が三トンほど入った。

 重さも三トン入ったバックパックを肩掛けできるぐらいヤバい。

 まあ、日本のファンタジー小説に出てくるそれと比べると何段も劣るが、俺にはこれが想像の限界だ。

 何となくで時間は止まらないのだ。THE・WORLDじゃ有るまいし。

 

 

ーーー閑話休題

 

 

 そんなこんなで、自由気ままな旅をしていると、森で一人の女性と出会った。

 緑を基調とした肌の露出を最低限度に留めた旅装に身を包み、腰まで伸びた長いブロンドの間からピーンと尖った耳が飛び出している様子から恐らくエルフだろう。 

 この世界でのエルフは当然ながら男女ともに容姿端麗で魔法に高い適正を持つ種族であり、森の妖精とも呼ばれ、オラリオ以外だとその殆どが森に集落や国を構え、閉鎖社会を築いているらしい。

 突然の遭遇に彼女は警戒している様子だ。

 彼女の他にも何人か気配を感じる。

 対話を探るために此方から話を切り出すことにした。

 

「人間の生活圏ギリギリとは言え、こんな所でエルフと出会うとは珍しいな。

 俺に何用かな?」

 

しばらく沈黙が訪れるがすぐに破れる。

 

「・・・旅をするエルフはそんなに珍しくないわ。

 臆病者で知られる小人族〔パルゥム〕の一人旅の方が私は珍しいと思うわ。」

 

どうやらエルフの女性は此方を小人族と勘違いしているらしい。

 まあ、成長期とはいえ、まだ十二歳だ。

 身長もそれ相応だし、貧しい村出身なので、栄養不足で日本にいた頃に比べると成長が遅れていた。

 最近は狩猟の獲物に恵まれていたお陰で、だいぶマシになったが・・・

 

ーーー閑話休題(また逸れた)

 

 

 

「生憎、小人族ではなくヒューマンなのでな。

 そこまで肝は小さくない。

 そちらは集団で囲っているようだが・・・」

 

周囲を見回して、それぞれ居るであろう場所を一瞬だけ目を止まらせては移動させてみると、こんな子供に気づかれたのかと驚愕した気配を周囲から感じ取れた。

 目の前にいる彼女も例外では無いらしく、黒真珠のような瞳を丸くしていた。

 

「あら、そうだったのね。

 なら、珍しいと言う言葉は貴方にこそ当て嵌まるわ。

 ヒューマンの子供が一人旅って、・・・フフッ。」

 

なにがツボったのだろうか。

 端整な顔立ちから発せられる無邪気な笑顔と綺麗な声にドキマギする。

 あれ?町でよく聞くエルフの性格と違くね?

 取っ付き難く、肌の接触を嫌う潔癖な種族だという情報はよく耳にした。

 

「フフフ・・・ごめんなさいね、ヒューマンの子供にしてはやけに大人びている子だから可笑しくって・・・。」

 

「・・・はぁ」

 

どうやら、幼い子供から発せられる大人びた発言から来るギャップがツボったらしい。

 こういった子供らしくない、といった発言は村にいた頃からよく言われた。

 ある意味、素でやってしまう転生者あるあるだ。

 俺もその部類で如何しても生前の習慣が抜けきれなくて、よく怪訝な目で見られていた。

 異端な子供は小さな社会ではよく目立つ。

 恐らく、これも口減らしに選ばれた要因の一つだろう。

 

 彼女が落ち着いた所で再び会話を試みる。

 

「それはそうと、俺になにか用か?」

 

「ええ、実は貴方に一つ尋ねたい事があるのよ。」

 

「尋ねたい事・・・ね」

 

はて?森のエルフさんはしがない冒険者になんの用事があるのだろう?

 己の頭の中でしばらく考えてみるが皆目見当が着かず、エルフの彼女に話の先を促した。

 

「オラリオに行きたいのだけれど、どのルートを進んだ方が良いかしら?」

 

ーーーオラリオ。

 世界で知らぬ者は居ないと言われている都市だ。

 唯一本物のダンジョンが存在し、数々の英雄が現れ、そして、数多くの神々が住まう場所だ。

 俺もいつかは行ってみたいと思っている。

 

「・・・ルート?

 うーん、あまりそっち方面には行ってないからな。全くわからん。」

 

とはいえ、今すぐ行きたいとは思えない。

 大昔から栄えている場所だ。

 調べた限りでも、900年以上の歴史があり、古代から続く繁栄には同時に深い闇を伴っているのは堅いだろう。

 それに加え、そこに住まう自由奔放な神々による厄介事(イベントとも言う)も多く、オラリオ行きは慎重に期している。

 

「え!?オラリオと言ったら世界一有名な場所でしょ!?なんで知らないの!?」

 

彼女は信じられないと言わんばかりの表情で俺の肩を激しく揺さぶる。

 

 

「・・・オラリオは知っているし、ルートも大雑に理解しているが、詳しいルートは調べてない。

 急ぐ理由もないしな。

(それより、肌が触れちゃってるけど大丈夫なのかな?)」

 

彼女の勘違いを訂正しつつ、見当違いな方向に思考が傾く。

 ふと、静かになっていることに気づいた。

 彼女の方を見てみると、神秘的な白肌の顔を真っ赤に染め上げていて、茂みの奥から出てきた女性にからかわれていた。

 

(何故、今、出てきたし。

 からかうため?からかう為なのか!?)

 

ただその為だけに姿を現したその人に密かに戦慄していると、徐に前置きした後、自己紹介を始めた。

 

「こんにちは、小さな冒険者さん。

 お互い、名乗らないのは不便でしょうから自己紹介させて貰うわね。

 私の名はウィーシェのリティシア・ウィリディス。

 見た目通りのエルフよ。

 こっちの娘はーーー」

 

「ーーークーリエ・ウォツリエよ。

 同じくエルフよ。

 ・・・よろしくね。」

 

エルフ流の挨拶をしながら二人は微笑みを見せた。

 ただ、リティシアさんから促されて、自己紹介するクーリエは未だにほんのりと頬を赤らめていた。

 

(・・・あれ?肌を触れただけだよな?

 なんで、ラブコメっぽくなってるんだ?)

 

クエスチョンマークが頭の中を埋め尽くす中、場に流される形で自己紹介をさせられる。

 

「・・・ただのハクルドだ。

 見た目通りのヒューマンのガキだが、よろしくな。」

 

エルフ流の挨拶には明るくないので普通にお辞儀をしただけの挨拶だが、特に問題はないようだ。

 

「ハクルドさんね、よろしくね。

 所で、ハクルドさんはこの先になにか御用?

 この付近にはエルフの領域が広がっているのだけれど・・・。」

 

顎に人差し指を当てながら、如何にも疑問ですと言わんばかりの表情で此方を見る。

 問いかけると共に忠告を加える辺り、警戒心も持ち合わせている。

 エルフが言う、エルフの領域や集落という単語は『忠告』という意味が込められているのは旅人や軍人の間では有名だ。

 魔法種族〔マジックユーザー〕であるエルフは神の恩恵無しでも魔法を扱うことができる。

 もし、領域を穢したり、集落が襲われたと勘違いされたら、魔法でブッパされても文句は言えない。

 約90年前に起きた悲劇により、余計に神経質になっているので、最も注意しなければならない事だ。

 それ故にもし、下手な答えを出せば、周辺のエルフ?達が敵に回る可能性もあることは十分に考えれ、慎重に越したことはないのだ。

 

「この森を抜けた先にあるアークラの町だ。

 本来、彼の町に行くにはこことは別ルートを通るのだが、先月の洪水で橋が落ちてしまって通れない。

 橋を直そうにもカドモスが近場を彷徨いているし、それを討伐するにも、依頼を出す側であるアークラにとって、その道は重要な街道では無いらしくてな、少なくとも1、2年は掛かるという。

 そんな訳で、旅人の立場としてはそんな長い間、足止めされるつもりは無ないのでな、村人から、この道を教えて貰ったのさ。」

 

若干、言い訳がましくなってしまったが、内容は事実だ。

 まず、今回、俺が向かう場所は先に述べたようにアークラという町だ。

 その街道の通過点には村が点在していて、そこへ寄りながら物資や食料の補給を行い、情報収集も兼ねて村の宿舎に宿泊していた。

 しかし、件の橋を渡ってアークラの町に向かう予定だったのだが、トラブルが発生し、別ルートを行かざるを得なかったのだ。

 さらに、運が悪いことに橋近くで魔物が彷徨いていた。

 その魔物の名はカドモス。

 強い竜と書いてそう呼ぶ彼の魔物は古の時代からの系譜を受け継ぐ存在で、迷宮のソレと比べると弱体化はしているが、レベル3の冒険者が集うパーティーなら簡単に蹴散らす力を持っていると言う。

 実際、この周辺を治める国の軍部に席を置くファミリアが彼の魔物相手にレベル3の兵を何人か混ぜた軍隊を送り込でレイド戦に持ち込んだが、その結果は散々なものだったらしい。

 

 そんな事情をつらつら述べたのだが、彼女らの反応は一応納得こそ、してはいるものの、完全に信じられている訳ではないらしく、こんな提案をしてきた。

 

「ふーん、そちらの事情はよく分かったわ。

 ここまで大変だったでしょう。

 もし貴方さえ良ければ、この近くにある私達の拠点によって行かない?

 そこでもう少し詳しい話を聞かせてもらえる?」

 

これは…、一見、旅人を労う意味の善意にも捉えることができるが多分、その線は無いだろう。

 明言こそ、してはいないが恐らく彼女達の中ではハクルドと名乗るヒューマンはまだまだ怪しい人物なのだろう。

 現に、一度、看破されているにも関わらず、未だに姿を現さない彼女らの同胞達は一人だけ走り出す気配を除けば、俺に対する警戒を解く気配は無い。

 

 でも正直、断る理由も無い〔断ることもできない〕俺は了承の意を伝えるしかなく、滅茶苦茶美人な彼女達の案内でエルフの拠点に向かうのだった。

 ・・・隠れている人達も一緒に。

 

 

 ・・・でもやっぱり思ってしまうんだよ。

 エルフの美少女(見た目)とワンチャン有るじゃね?と。

 




若干、しつこかったかもしれません。
 次も頑張ります。((((;゜Д゜))))

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