異世界転移の冒険者、ダンまちに転生する。   作:龍神王聖人

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先に言います。わかり辛かったらごめんなさい。
 書き上がりましたので投稿します。
 ではどうぞ( ^-^)_旦~


第三話 橋の討伐隊

「えいっ!」

 

「甘い。」

 

「やぁーっ!!」

 

「相手をよく見ろ。」

 

「だあぁー!!」

 

「正直すぎ。」

 

朝日が訓練所に差し込み始める。

 威勢の良い男女のエルフ達が、一人の少年を相手に襲いかかるが、その攻撃をヒューマンの少年は1C(セルチ)先ギリギリで敢えて躱しながら彼らの剣を苦も無く捌いていく。

 彼らが持つ木材で出来た剣は1M(メドル)を超えたくらいの物だが、闘気を纏うそれを必然的に躱す光景は歴然とした技量の差を際立たせていた。

 少年ーーーといっても俺なのだが、今、していることは彼らに教えている剣術の手合わせをしている。

 

 半年前のあの日、クーリエからの頼み事はその場で断った。

 そもそも、最初の数日間の心象がよろしく無かった事と赤の他人でもある彼らに努力の結晶たる自身の剣を教える気は無かった。

 しかし、あの森を出た日以降、友好的な交流が続いていた事と弟子入りを希望した日以来、しょっちゅう粘り込んできて、最終的には幾つかの条件を提示する形で折れてしまった。

 

 最もその後、クーリエから師弟らしい関係を要求された。

 家族以外の女性ーーーそもそも天涯孤独の身だけどーーーを名前呼びすることに抵抗はあったが渋々了承した。

 その後、何故か傾れ込むように他のエルフ達からも剣術指導を頼まれた。

 魔法職だろあんたら。 

 そんな思いはあったが、出来て損も無いだろうと彼らにも了承の意を示した。

 

 

 とはいえ、行きなり修練を始めた訳ではない。

 何事も周囲への配慮が大事だ。

 まず、この町を守る守備隊長を始めとした軍事、憲兵の重要機関に、訓練所や城壁の上の立ち入り許可や木剣や備品の使用に関する交渉などの根回をする。

 民間の冒険者がよく使うらしいので許可が下りる公算は高いが、上とのやり取りがあり、時間が掛かる。

 やがて、一週間後で漸くその許可が下り、最初の修練が始まった形だ。

 

 最初の修練は町を囲う壁上を使いランニングする事。

 準備運動をして、バテるまで走らせて、己の限界を体力的、精神的に図り、それを数日間行う。

 その後は剣術の基礎修練へと移行する。

 俺が習得した剣術の流派は複数あるが、その内の一つである『剣神流』を教えることにした。

 『剣神流』とは転生前の世界、または日本から異世界へ転移した世界で広まっていた『三大流派』の一角を成す剣術の流派だ。

 ヤベー奴だと、振るう剣で海を割ることも出来ると聞いたことがあるが、剣神ジノ・ブリッツが振るう剣を見ると普通に納得できた。

 

 まあ、他の流派も大概に剣術がヤバいがな。

 三大流派の剣士には七つの等級が存在し、下から、初級、中級、上級、聖級、王級、帝級、そして神級が存在する。

 生前の晩年に着いていた剣神流の等級は剣帝級。

 現在の実力は生前の記憶と魂に心構えが刻まれている影響と日頃の修練により剣王級にまで戻ってきていた。

 この事から十分に教える資格があると判断した次第である。

 

ーーーそれはともかく。

 

 冒険者ということもあってその関係上、修練はその仕事の合間に行っている。

 とはいえ、一人前に育てる事には流派の布教というメリットがあるので、依頼は生活できる程度に留めて修練の頻度を増やしている。

 

 

 

 そんな日常に変化が訪れたのは弟子の修練を始めて三ヶ月程経ったある日の事だ。

 今日は三人同時を相手にした模擬戦だ。

 彼らの実力は下地が出来ているとは言え、成長が早かった。

 等級がどれも中級以上で、魔力と魔法特化型のリティシアが中級なのも凄いが、クーリエやカールティに至っては闘気を自覚的に御することが出来ていたために上級へと上がっていた。

 ちなみにカールティの本名、カールティ・ロフィリャスという男性エルフだ。

 その他のエルフ達は下級から抜け出すかどうか辺りだが、順調に力を付けていて、ゴブリンやハウンドドッグくらいなら何とかなるようにはなってきた。

 

 そんな事を思いながら、倒れた弟子達に休憩を促すと、それぞれが談笑をしながら休憩を取り始める。

 すると、何故か俺の隣にやって来たクーリエが最近話題になっている話をした。

 

 それは、通りすがりのファミリアがエルミ橋のカドモス討伐に向かったという話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クーリエ達は昨日、民間の冒険者の登録を施設で行って来た際に知った情報なのだろう。

 つい先日、子爵夫人の依頼報酬で予定外の収入を手に入れた俺達は一週間の間、長めの休憩と日頃から励む修練の成果を見る為に弟子の試験を行っていた。

 その為、冒険者情報に一週間分の空白が生まれたのだ。

 クーリエから詳しい話を聞くとそのファミリアはオラリオ出身らしく、彼の迷宮都市の中でも中堅規模の実力を持っていたらしい。

 規模は縮小したが公表されていた冒険者の中にレベル3が何人かいたらしく、施設内は楽観的な雰囲気が漂っていたそうだ。

  

 確かに中堅規模にレベル3が複数在籍していれば、浮かれる気持ちも解らなくは無いが、それはあくまでオラリオに在籍していた時の話だ。

 外世界の事情を考えると、レベルの申告も怪しい。

 世界唯一のダンジョンがあるオラリオはそれ相応の勢力を保持している。

 その力がもたらす利権が少ない道理は無く、そういった勢力を流出させない為にオラリオの冒険者やファミリアには外出に対する制限措置が掛かっていても可笑しくない。

 その事を考えると、彼らは何らかの事情でオラリオから追放されたのかも知れない。

 そして、追放されたならば、ファミリアの力が幾らか削がれてしまっているだろう事。

 それに追放後の規模をハッキリさせていない事を考えると、喜ぶのはまだ早いかもしれない。

 

 以上の見解を出してはみたが、弟子達の反応は町に広がる楽勝ムードに呑まれている影響か、あまり響いていない様子だった。

 

 まあ、南側のルートが解放されるかもしれないのはオラリオ行きを希望する人々にとっては朗報かもしれない。

 この町に来てから発覚した事ーーーそもそも興味が薄かったので今まで調べて来なかったーーーだが、オラリオへの最短ルートはこの町の場合、南側から行くのが良いらしい。

 その事実にエルフ達は口惜しさを滲ませていた。

 

 そんな訳で、夢見るだけならタダだと思い、休憩の後、朗報を待ちながらも再び修練の日常へと戻っていった。

 今更、森を歩いて再び地元のエルフ達を騒がせるのも如何かと思うしね。

 彼らも里を出た手前、1年も経たずに戻るのも据わりが悪いらしい。

 

 その数日後、リティシアも自覚的に闘気を御せたので上級剣士の仲間入りを果たした。

 浮かれた空気?は何処へやら、他の弟子達が負けられないと言わんばかりに奮起していた。

 そんな弟子達の様子を微笑ましく思いながらも、討伐戦に対して何とも言えない心情で南側の空を俺は見ていた。

 

 

 

 

 

 

 数日後の夜。

 ふと、真夜中に妙な胸騒ぎを覚えて目が覚めた。

 何となく、宿屋のバルコニーへと顔を出すと、三日月の夜空は妙にざわついていた。

 

「ーーーっ!?」

 

 

 その時、夜空の天を貫く光の柱が町から見て南の方角に出現した。

 柱が天界にまで届いていると言わんばかりの神々しい光景に己の中にある確信が過ぎる。

 

「何、あれ・・・。」

 

今し方来たのだろう、何も羽織らず寝間着姿のクーリエは光の柱を呆然と眺めていた。

 他にも、足音を立てながら次々と出てくる宿屋に宿泊していた人々。

 皆一様に信じられないものを見るかのような表情で立ち尽くしていた。

 それもそうだろう。

 ここからエルミ橋まで数K(キルロ)離れているにも関わらず、その凄まじい力の波動と幻想的に感じさせる光景に誰もが目を奪われているからだ。

 そして、

 

「神の、送還・・・だと!?」

 

光景から我に返ったのだろう誰かが震えるような声で呟き、周囲に動揺が走った。

 神の送還。

 これは神が何らかの要因で致命傷を負った時、封じられし神の力〔アルカナム〕による生命保険が発動し、生命は保障される代わりに禁を犯したとして天界へと送還される時に発生する現象だ。

 この世界の常識に疎かった幼少期の頃に転生神ーーーこの世界に転生させた神ーーーからの目付役として出会った案内人から聞かされていなければ分からなかった現象だ。

 世界案内人は精霊だが、今は全く関係無いので割愛するが、彼女から教えてもらった常識では神が送還される原因は、魔物に襲われる、病気を煩う、ファミリア間の戦争や抗争などが挙げられるそうで、今回の場合は抗争相手が不在なので一目瞭然だろう。

 その事実に気づいた人々の表情には魔物からの報復を恐れて、恐怖や不安が渦巻いていた。

 神々は暇つぶしに地上へ遊びに来ているのだというから、大方、討伐の物見遊山に行った結果、逆に・・・といったところだろう。

 この調子だと、討伐の勝敗どころか、全滅かも知れない。

 

「・・・これはしばらく騒々しくなるな。」

 

誰に言うまでもなく、一人呟く。

 当然ながら昼間を錯覚させる異変に住民たちが気づかない筈も無く、チラホラと明かりが灯り、人々が飛び出してくる様子が確認された。

 やがて、幻想的な光景は光の柱が消滅した事により、終わりを告げ、再び訪れた夜の闇が不安が渦巻く町を覆いかぶさる様に包み込む。

 それに抗うようにして灯る明かりはやがて、怯えるように一つ、また一つと消えていった。

 

 そんな町を一瞥した後、呆然とする弟子達を横目に寝室へと足を向けた。

 睡魔による欠伸を噛み殺し、ベッドに入り眠りにつく。

 明日は荒れそうだ。

 そんな確信めいた直感が静かにそう告げていた。




次も書き上がり次第、その日の午後六時に投稿します。

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