この素晴らしい世界にお兄ちゃんを! 作:愚かな一族
その何処までも紅い瞳を見て、俺は表しようのない不思議な感覚に陥った。どこまでも吸い込まれそうでもあったし、どこまでも見通されてるような気分でもあったし、恐怖も感じた。
だけど同時に美しいとも感じてしまった。矛盾した感想だがそう思えてしまったのだ。筆舌に尽くしがたいとはこのことを言うのだろう。
一言で言ってしまうと色々な意味で見惚れてしまいそうなものだった。現にアクアも隣で俺と同じように固まっている。恐怖でか、それともその美しさからか。或いは両方か。
ボーっとしていたからだろうか。まるで魅了されたように動かない俺たちを思ってかミカゲさんの瞳は瞬きと同時に元の黒色に戻っていた。それを合図のように俺とアクアもハッと意識を戻す。
「見た目からも分かる通りこの眼は普通ではない。俺たちのこれは写輪眼と言うんだけど女神様は知っていたりします?」
魔術師の事も知っていたアクアだ、この瞳についてもなにか知っているのかもしれない。ミカゲさんにとってもアクアが知っていたほうが説明がしやすいのかもしれない。忘れそうになるがこいつは女神だからな。
「あっ・・・いや、知らないわ。初めて見るし初めて聞く代物だわ。知っている女神も居るかもしれないけど基本的に私たちは下界にあまり干渉できないからそれを理由にあまり下界の事を知ろうとするものもいないの。魔術師や吸血鬼だって、私たちの敵だから知っているだけだったし。」
なるほど、ようするに興味のあることしか知らないとかそんなレベルなのか。まぁ確かに干渉もできないのに進んで知ろうとするのはそれこそ探求心や好奇心旺盛な人しかいないか。現代でいう研究者とかみたいなものだな。
魔術師とかに詳しいのもこいつが
それにしても写輪眼か。見た目もだけど名前もカッコいいな!いかん、抑えられない衝動が沸き上がってきそうだ!俺の黒歴史が記憶の底から舞い戻ってきてしまう。
「けど見ただけでわかったわ。その眼、魔術師の持つ魔眼とかそんなレベルじゃないわ。少なくない神性みたいなものも感じたし__いえ、正確にはちょっと違うけど・・・分からないわね。でもとんでもない物だっていうのは分かったわ。一体、何がどうなって人がそんな代物を得られたのかしら?はっきり言って信じられないわ。」
そういってアクアは考え込んでしまった。
どうやらあのイカす眼は想像以上にすごい物らしい。女神が言うほどなのだからもしかしたら神レベルですごい物なのかもしれない。ますます俺のハートを掴んで離さない勢いだ。こうなったらもう気になって仕方がない、ギルドまで後どれくらいかは分からないが聞けるだけ色々聞いてみよう。
「それでその写輪眼?ってやつはどんな事ができるんですか。あっ!もしかして魅了とか!ちょっと俺も(色々な意味で)クラっときましたし。」
「そうだね、一般的には知られていないけど、想像しやすいように魔術師を例にだすけど。魔術師には魔力があるように俺達忍びにも似たようなものがあってね。チャクラと呼ばれる身体エネルギーと精神エネルギーを混ぜ合わせたものがあるんだ。写輪眼はそれを色で見ることできるようになり、さらには幻術、体術、忍術といったあらゆる面で強化される状態になる。」
マジかよ、その口ぶりだと漫画みたいに忍術とか幻術とかも実在するんだな。ん?でも聞く限りじゃ確かに凄そうではあるけどアクアが言うほどじゃないな
「それだけじゃないわよね、その眼、まだまだ隠されてる力があるはずだわ。」
「う~ん、忍びとしては正体を明かすこともそうだけど己の能力を話すのもちょっと抵抗があるんだけど。まぁ、女神様に隠し事は良くないし、ここは異世界だからいいかな。だけどあまり広めないように心がけては欲しいかな。」
いや、本当に仰る通りですわ。忍びだから忍ぶのは当然だわな。なんか当たり前のことを忘れていたけど普通は自分の能力とかをペラペラ喋らないよな。興奮して忘れてたけど。
後ずっと気になってけど
ちょくちょく聞きにくいこともズケズケと聞くし隠されてる力どうこうも本人が言う通りあまり気が進まない事っぽいのに聞くし。
「そうだね、大雑把に忍・体・幻を強化するとは言ったけどこの眼は見抜くことに優れていてね。相手の動きはもちろん、使う術なども見るだけで見抜いてすぐさま解析と分析が出来たりするんだ。もちろん、所有者の技量にもよるけどね。見抜くことで何が出来るかというと知識と技術さえあればすぐさま相手の術をコピーすることなんかも難しくないのさ。」
「つまりそれって相手が使った魔法とかを、使い手にもよりますが、見るだけですぐさま自分のものにできるって事ですか?」
「例としてはそうだね。動体視力が優れているから相手が何をしてくるのかもすぐさま分析できて、相手と同じ術を鏡のように同時に使って相殺、なんてことも可能だよ。」
「何よそれ、私たちが与えるチート並じゃない!」
それな!
アクアと同じ言い方で失礼だけどマジでSRどころかSSR級の人を呼んじまったんじゃないか?
「その他にも強力な催眠と幻術が使えてね、得意不得意もあって使用者にもよるが相手と目を合わせるだけで幻術に嵌めることも可能だ。どちらかというとうちは一族が恐れられていたのはこっちが理由の大半だな。」
なにそのエロい事できそうな能力。
いや、実際問題こんなの恐れて当然だわ。幻術に嵌まった瞬間に戦闘では有利だしそれをさけて目を見ないようにするとか戦いくいとかってレベルじゃねぇ。
その上で相手の動きも見抜けるんだろ?なにそのチートな一族。魔術師もよくこんなヤバい一族を狙うな。こんなチート一族を相手にしてでも写輪眼が欲しいのか?目を研究して似たようなものでも作る気か?んな面倒なことを?
ん?
「はえ~、そんなすごい一族相手をよく狙おうと思ったわね。リスク高すぎじゃない。いくら研究したいからって無謀なんじゃないかしら?」
「いや、違う。それ以上にその眼が魅力的だったんだアクア。聞いている俺達ですらすごい代物だって分かるんだ腐っても探求者ならそこまで馬鹿じゃないはずだ。リスクを負ってでも執拗に狙う、それってつまり__」
「鋭いね。そうだよ、この眼は移植できるのさ。」
つまりそれって忍びの肉体を素材として手に入れれるだけでなく、そんなヤバい眼も自分のものにできるって事だ。それならリスクを承知で襲うのもうなづける。それほどあの眼はヤバイ。
いやそれ以前にだ。
魔術師の人でなしっぷりはこの短期間で分かった。そんな奴らが執拗に狙うって、それって移植が可能なのを分かっているという事だ。
どうやってそのことを知った??
その答えはすぐに想像できてしまった。それと同時に気分も悪くなる
「過去に・・・それをした人がいたんですね。」
「えっ?」
「頭が回るというのも考え物だね。嫌なことにも気づいてしまう。うん、君の言う通り眼を奪って移植した奴がいてね。それでこの眼の価値がさらに上がったのさ。」
ミカゲさんの表情から、少しだけ哀しさの色が見える。
それは奪われた一族を思ってのことだろう。
けどそんな事実に気づいてしまった俺を気遣っているようにも見えた。
「嘘っ!?それじゃぁその魔術師ってもう手のつけようがなくなったんじゃ。」
「いや、そう単純なことでもないんだ。確かに、この眼は移植できるしそのまま使うこともできる。だけどね。うちはの血が流れていないものがこれを使うと消耗が激しすぎてね、おまけに眼を通常のものに切り替えることもできないから常に力を垂れ流しにしているようなものさ。穴の開いた風船のようにね。30分も持てばいいほうだね。それ以上は流石に何週間も動けなくなるほど体力と魔力がスッカラカンになるね。最悪衰弱死することもある。だから調子に乗って両目とも移植した愚か者は一日中目を閉じてなければいけなくなったんだ。」
「なっなるほど。」
「おまけに魔術師って戦士ではなく探求者だからね、視力を潰して生活するなんて至難であるしそれで戦闘なんてできっこない。気配が読めるなんてことも出来ないからそいつはあっけなく一族に復讐されたよ。」
「それでも魔術師はうちはを狙うのね。」
「そうだね、そいつを反面教師に色々な方法で適合しようとしたんだろうね。そのためのサンプルが欲しかったんだろうとも思うし。」
もう魔術師がただのヤバイ集団にしか思えないわ。
いや、忍びも色々な意味でヤバイ集団だけどな。
もうなんていうか皆やばい。
そうこう話しているうちに俺たちはタイミングよくギルドに到着した。
緊張している俺をよそにミカゲさんとアクアは動じることなく中へと入っていく。さすが忍びと女神だ緊張した様子なんてまるでない。慌てるように後を追うと俺はその内装に感動した。
まさに俺が想像していた通りのザ・ギルドって感じな内装でそこにいる人たちもイメージ通りの者たちばかりであった。
屈強な男や顔に傷のついた男、露出の多い女の子やガッチガチな鎧に身を包んだ者たちとまさに十人十色。
皆それぞれ好きなように食事をするものや作戦会議をするもの、笑顔を振りまいているギルド職員であろう女の子たちを口説く酔った男や腕試しとばかりに腕相撲をするものとまさに異世界ファンタジーのギルドって感じの光景だ。
そんな光景にミカゲさんとアクアは「賑やかなところだな」「そうね」と普通な感想をこぼすのみ。まるで感動している俺が間違ってるような気分になってしまう。
そんなわけで少しばかりテンションの下がった俺はテンプレに従って美人な受付のいる場所まで二人をつれて歩いた。後ろでアクアが「わざわざ美人のところ選んだわね引きニート」とか呟いていたが無視だ無視だ。ミカゲさんなら分かってくれるはずだ。後ろにいるからどんな表情してるか分からないけど。まぁミカゲさんも男だしね多分分かってくれていると思うことにしよう。
「えっと・・・ぼっ冒険者になりたいんですけど__」
「ぷっ、どもったわ」
「まぁまぁ、そういうこともあるさ」
あっあんにゃろ~、ちょっと緊張したくらいで笑うんじゃねぇ!
ミカゲさんもそのフォローは嬉しいけどなんか余計恥ずかしいです!
「・・っあ、はい!駆け出し冒険者の町、アクセルへようこそおいでくださいました!冒険者登録ですね!お一人様千エリスになります。」
この人・・・・ミカゲさんを見ていたな。
一瞬の間ではあったから気づきにくいだろうが俺には分かる!この受付嬢、ミカゲさんを見ていて一瞬対応が遅れていた。だが、さすがと言うべきかすぐに正気に戻っていた。そのあとも滅茶苦茶きれいな笑顔で受付してくれるし今だって微妙に目はミカゲさんのほうを向いている。
ちっ、これだからイケメンは。
この町が駆け出し用で名前がアクセルだという新情報もすぐに頭の隅へ追いやって俺の脳内はイケメンへの妬みで埋め尽くされた。美人と話すことで上がるはずだったテンションがさらに降下する。
「ア、ウン・・・・・千エリスね。ちょっと待っててもらえます?」
まさかの有料であった。
いや、確かにゲームとかだとタダみたいなものだけど日本でも登録料なんて普通にあるもんな。特別おかしなことではない。問題は俺達・・・少なくとも俺は今無一文であることだ。ポケットを探ってみてもなにもなしだ。転移と同時にスターターキット的な物ももらってない。恐らくというかギリギリ巻き込まれていたミカゲさんもないだろう。しかし、万が一という可能性もあるのでアクアに小声で聞いてみる。実際この世界を一番知ってそうなのもアクアだからな。サポートAIみたいな事も期待してこいつを特典として選んだしなにかしら持っててもおかしくないだろう。
「おい、アクア金持ってる?」
「あんたあの状況で私がそんな余裕あったと思ってるの?」
「マジかよ、んじゃぁどうすんだよ。不親切すぎるだろ。こんなの駆け出し以前の問題じゃねぇか。」
「普通はちゃんと用意することになってるわよ!あんたがいきなりこっちに連れてくるからでしょ!」
ぐっ、流石に無一文で飛ばすわけないか。
そう言われると俺は何も言えなくなってしまう。色々とドタバタしていたのも事実だし。
「まったく頼りがいのないヒキニートね。」
「んぐっ、じゃぁ仕方がないから金の稼ぐ方法をなんか教えてくれ。それでとりあえず手っ取り早く登録料だけでも稼ごう。」
千エリスがどれほどの値段かは分からないが登録料でそんなにするとは思えないからお小遣い稼ぎ程度の仕事でなんとかなるだろう。それ以外にもアクアならなにか稼ぐ方法を知っているかもしれないしまだそれほど焦る時間でもないだろう。
「はぁ?そんなの知らないわよ。そこの受付嬢にでも聞いてみたら?」
なんだって?
どういうことだコラ。
「この世界だって地球と同じで数多く存在する世界の一つなのよ、一般常識くらいしか知らないわ。あとこの世界では私は崇められてる神の一人なんだからいい加減、様をつけなさいこのヒキニート野郎」
こいつ!!
「つっかえねぇ~なオイ。それでも女神かよ今どきのサポートAIのほうが全然有能じゃないか。じゃぁなに?お前は一体何が出来るんだよ。」
「勝手に連れてきて何よその言いぐさ!知らないんだからしょうがないじゃない!それに私は癒しの神だって言ったでしょうが!」
「えっ?じゃぁなに?お前もしかして戦えねぇの?」
マジかよ。いや、ヒーラーは大事だけどそれ以外の事にも期待していたのに・・・・・。
情報もなければ戦う力もなし?あれ?もしかして俺ってハズレを選んでしまったのか?今までの会話から嫌な予感はしていたがコイツ、女神のくせに馬鹿っぽいし。
うわ~じゃぁなにか?俺はこれから自衛手段のないヒーラーを守りながら戦わなければいけないのか?
「えっと?この短時間で何があったんだ?とりあえず二人とも、喧嘩はやめなさい。」
「ちょっと聞いてよミカゲぇ~~~。このヒキニートったら酷いのよ!」
あっ!こいつミカゲさんを味方につけるつもりだな!泣きついてんじゃねぇ!
「あ~・・・とりあえずアクア様。あまり大声出すとギルドの人に迷惑ですので落ち着いてください。」
「ん・・・・・ヒキニートならともかくミカゲは様もつけなくていいし敬語も必要ないわ。流石に申し訳ないし」
流石のアクアもミカゲさんの言葉には素直に従うらしい。色々と負い目もあるからだな。俺だって素直に従う。負い目も勿論だがいい人だしな。
「アクアs、アクアがそれでいいならお言葉に甘えようかな。落ち着いたみたいだしいいかな?お金が手に入ったから二人を呼びに来たんだ」
「えっ!本当ですか!?っていうかどうやって?」
マジかこの人、俺たちが言い争ってる間にもうお金の問題解決してきちゃったよ。本当にどうやったんだ?俺よりも唐突にこの世界にやってきたのだから無一文のはずなのに。
「受付嬢にお金のことを簡潔に話したら親切にも特別に換金できそうなものと交換してくれたんだ。ついでにバイト先も何件か紹介してもらったよ。」
「さすがSSR」
「えっ?エスエっなんだって?」
「あっいや、何でもないです。それよりもすいません!換金って一体なにと交換したんですか?いづれその分もまとめて支払います。」
一番の被害者が一番有能な件について。
滅茶苦茶有能じゃないかこの人。道中の話からも十中八九強いのは確定的だし、巻き込まれたことも許すほどの聖人でこんな異世界でも焦ることもなくサッと目先の問題も解決してきたし。
もうなんかすごいけど同時にものすごく申し訳なくなってくる。
「大丈夫だよ、換金したのも数多くある忍具の一つとかだから大したものでもないし。気にしなくてもいいさ。」
「最高ねミカゲ!どっかの役立たずのヒキニートも見習いなさい!ミカゲみたいな人こそ魔王を倒す勇者にふさわしいわ!来てくれたのがあなたで本当によかったわ。」
おい駄女神、特大ブーメランぶっ刺さってるぞ。役立たずなのはお前も同じだ。
ミカゲさんが最高なのは同意だが巻き込んだ張本人がどや顔して言ってんじゃねぇ。
もうなんか、アクアはなんとも思ってなさそうだがここまで良いとこなしの自分が惨めに思えてくるぜ。
ため息をついて肩を下す俺を無視してアクアは上機嫌で受付へとミカゲさんの手を引っ張りながら行ってしまった。
何もしてないくせになんであそこまでドヤ顔で上機嫌なのかは謎だ。受付嬢さんも不思議そうにしてる。
ただ一瞬だけミカゲさんの手とアクアの手を見て鋭い目つきになったのを見逃さなかった俺であった。
写輪眼ってやっぱチートだわ。なんなのあのメンヘラ一族。ヤバすぎてヤバいわ。
・「はぁ?そんなの知らないわよ。そこの受付嬢にでも聞いてみたら?」
この時点でミカゲはアクアのいう通り受付嬢に聞きに行ってます。
・アクアは上機嫌で受付へとミカゲさんの手を引っ張りながら行ってしまった。
アクアは意識なんて全然してません。子供が親に「はやくはやく!」っと手を引っ張てる感じ。
受付嬢さんは面食い
やたら説明が多い気がしますがまぁ序盤だし・・・・。
何書けばいいのか分からないので自分語り。
拙者、お色気よりかわいい物大好き侍。露出してる女の子より着ぐるみパジャマとかモコモコの冬服きてる方が刺さります。もう可愛がりたくてたまらないです。めっちゃお世話したくなる。保護欲マックスハート。
何が言いたいかって?冬将軍編のアクアとめぐみんめっちゃ好き。
えっ?ダクネス?アァ、美人デオッパイオオキイネ。
あと可哀そうな子も好き。アホガールのさやかとかも刺さる。めっちゃ幸せにしてあげたい。ていうか保護したい。