緋弾のアリアーー無意味なチカラ。   作:赤いラムネ

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第0話

 

とある夕暮れの教室で二人の男女が向かい合って話をしていた。

 

片方は、綺麗なブラウン色の長髪を腰まで伸ばし、端をリボンで纏めている少女。

その魅力的すぎる容姿は、まさに美少女と称するに相応しいだろう。

 

「それで?この僕に一体何のようだい?ーーと言っても動機から目的 まで、全てわかっているけどね、芦屋 凛《あしや りん》君。」

 

ロッカーに腰掛け、すらりとした形の良い脚を組み直しながらどこか余裕の表情で少女は言う。

彼女の左側に纏めた髪が僅かに揺れる。

 

「そうだね。

君が全てわかっているのもわかっていたけれど、理由を言うとだね、

ーーーーぶっちゃけ暇なんすけど、どうにかならないかなこれ。」

 

気怠そうにその真紅の眼を夕日の光で細めながら青年は答える。

この青年もまた、街を歩けば十人中十人が振り向くような、深い黒髪を首元まで伸ばした美青年である。

 

他から見ればさしずめ美男美女のカップルと錯覚してしまいそうだが、残念ながら彼等はそのような関係では無かった。

 

「暇かあ。君が仲良くしていた黒神めだかや人吉善吉を含む元箱庭学園生達はほとんど寿命で死んじゃってるからね。始めて深い友情が芽生えた人達との思い出は結構重厚なものだったから、その後の平凡な思い出はどうしても何か欠けてしまうよね。いくら君と僕が宇宙誕生前から生きているからと言ってもさ。」

 

「そうなんだよなあ。彼等と過ごした日々と比べると、やっぱり面白さにかけちゃうんだよね。気を取り直してもう一度箱庭学園に通うってのも有りだけど、もうフラスコ計画終わっちゃってるわけだし?面白ろそうなこともほとんど無いんだよね。」

 

「僕のシュミレーテッドリアリティもめでたく治った訳だし、あの計画は最早必要ないからね。あ、そうだ。そこまで暇なら僕と性行為でもして子孫でも残してみるかい?」

 

「でもお前3兆歳越えのババアじゃん。」

 

何が楽しいのか、気怠げに細めていた目を見開き、赤が輝く。

しかしさっきまでお互いに宇宙誕生前から生きていると言っていたので同年齢のはずなのだが。

するとこれとは対照的に目からハイライトが消えた少女は言う。

 

「たった今妙案が浮かんだよ。そんなに暇なら僕の7932兆1354億4152万3222個の異常性と4925兆9165億2611万643個の過負荷、合わせて1京2858兆519億6763万3865個のスキルのうちの拷問に関するスキルを一通り受けてみるってのはどうだい?」

 

「すみません調子こきすぎました勘弁してください。」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

「で、結局の所何かいい案無いの?安心院 なじみ《あじむ なじみ》さん。」

 

土毛座の姿勢から立ち上がり、膝の汚れを払いながら凛は尋ねる。

 

「変わり身早いね君。」

 

まあいいや、と呟いて安心院なじみと呼ばれた少女は背後の黒板に背を預ける。

 

「うーん。僕の、未来を予知するスキル、神のみぞ知る未来《リーディングフィーチャー》を使った所、これから先、君が面白いと思うような出来事は一切起きないね。御愁傷様。」

 

「あ、やっぱり?それ俺も知ってたんだけど。」

 

「そりゃあ君だって僕と同じようなスキルを持っているからね。今何個あるのかな?」

 

「たった7932兆1416億4152万3222個の異常性と4925兆9245億2611万643個の過負荷、合わせて1京3000兆519億6763万3865個しかないよ。」

 

すかした態度で答える凛。

こちらもこちらで相当量のスキルを持っている凛。

先程の安心院 なじみのスキルの数と比べると142億個程多い。

 

これは安心院 なじみが黒箱塾改め箱庭学園を設立したり、凛の友人によって三年間封印されていたりと凛と別行動をとっていた時に、凛が増やしたものである。

これほどの数があれば最早新しいスキルなど必要ないようにも思えるが。

 

「僕よりも少しだけ多いねえ。

そうだ。その中に、異世界に行くことのできるスキルはあるかい?」

 

「もちろんあるよ。なるほど、この世界での未来は暗黒時代だから異世界に行くってわけか。所謂年の功って奴だねさすがっす。」

 

「さっきっから年齢ネタちょくちょく挟むけど、それ全部君にブーメランだからね。」

 

何度も言う通り、安心院 なじみと芦屋 凛は同年齢である。

 

「なん…だ…と…?」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

「僕はおっさんなんかじゃないよ!仮におっさんだとしてもおっさんと言う名のロリコンだよ!」

 

どっちにしろ最悪である。

何故凛の一人称が『僕』になっているかというと、

彼の旧友であるトクメイキボウ☆の少女が、『凛君。ボケに走る時には一人称も大切なのだよ。例えば、オッス、俺、悟空!っていった時何か違和感を感じるでしょ?』とあひゃひゃ、と笑ながら指摘したせいである。

 

「いいからさっさと異世界行けよ。」

 

「っていうか君も災難だよね?何か『僕にとっては人間は等しくゴミに等しい(キリッ)』とかのたまっておきながらそのゴミ輪ゴムで倒されてさ(笑)誰だっけ?えーっと、ゲゲゲの鬼太郎君だっけ?」

 

「獅子目 言彦《ししめ いいひこ》だよ。確かに『げげげ』とか言ってたけれど、流石に鬼化しちゃだめでしょ。」

 

獅子目 言彦は『人間を等しくゴミだ』とか言ってる悪平等、安心院なじみが唯一勝てなかった男である。なんでも、言彦が世界に与えたダメージはその後、決して回復することがなく、砕けたものは砕けたまま、壊れたものは壊れたまま、千切ったものは千切れたまま、潰れたものは潰れたまま、自然(ナチュラル)でも超自然(スキル)でも治らないし治せない。つまりスキル頼りの悪平等(笑)では当然歯が立たないわけであっけなく殺されたのである。

 

それ故に本来、なじみがこうして存在していることが可笑しいのだ。

 

しかし、この場にいるこの男、芦屋 凛が彼女を復活させたらしい。

凛曰く、「なじみの残留思念的なものが残ってたから頑張ったらなんか復活した。」らしい。

 

「まあ、君の復活は僕の汗と努力の結晶ってことだよ。なんかそう考えると君汚ないな。」

 

「この360度何処から見ても超絶美少女な僕に向かって汚ないなんてそんな戯言をよくもまあ言えたものだね。」

 

「悪平等とか言ってる時点でお察し。」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

「じゃあいってくるよ。どんな世界だか楽しみだ。」

 

「いってらっしゃい。僕はまだこの世界にいるからいつでも帰ってきてくれたまえ。精々地球が消滅するまではいるからさ。」

 

まるで女神。そう錯覚されてもおかしくない程魅力的な笑みを浮かべるなじみ。

 

すると何かを思い出したように凛は言う。

 

「地球が消滅しそうな時は呼び戻していいよ。僕が15秒だけ時間を稼ぐから。」

 

「やめてそれ恥ずかしいから掘り起こさないで。」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

「行ってしまったか…。さて、彼が行く世界はどんな世界だろうね。

見当しかつかないけれど、まあ精々楽しんできてよ。」

 

そう言って彼女、安心院 なじみは本を閉じる。

そこに書かれているタイトルはー

 

 

                 『緋弾のアリア』




一応主人公も安心院なじみと同じくらいの人外って設定です。
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