緋弾のアリアーー無意味なチカラ。   作:赤いラムネ

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何だか区切りが多い気がするけど…

気のせいだよね。気のせいだ。


第1話

 

「うん。どうやら確かに異世界に来たようだ。失敗じゃない。失敗じゃないんだけど…」

 

「敵は本能寺にありいいいーーーー!!」

 

「「「「「「「「うぉーーーー!!」」」」」」」

 

そこには馬に跨り中々上質な鎧に身を包んだ一人の武士が叫んでいて、その言葉に一体何が含まれていたのか、周囲にいた軽装備の野郎達は呼応して雄叫びを上げていた。

 

富、名声、力…この世の全てを手に入れた男ー織田信長。

彼の死に際に放った一言は、人々を本能寺へとかきたてた。

『俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せ!この世の全てをそこに置いて来た!』

男たちは本能寺を目指し、夢を追い続ける。世はまさに戦国時代!

 

「…だったでござる。」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

「よし。時間飛ばそう。折角異世界に来たけれど、飛ばそう。」

 

そう言って凛は時間を早送りするスキルを使いある程度文明が発達するまで時間を早送りした。

 

「日清戦争始まる位でいいかなー。戦争とか引っ掻き回したりしたら楽しそうだしね。あと有名人巡りとかも楽しそうだ。まさか時代の当事者になるなんて夢のようだわ!……って思うじゃん?」

 

『お、おう…』

 

目の前にいるのは一頭の亀。なぜ亀と話をできるのかと言うとそれは勿論、動物と意思疎通を図ることのできるスキル、一心動体《アニマルシンクロ》を使っているからである。

 

ちなみにこの亀はゾウガメの一種である。

 

「ところがね。それは元の世界なんかでもやってるわけよ。なんたって3兆4021億9382万2562歳だしね。それで、どうしたらいいと思う?グレッグ君。」

 

亀相手にいきなり語り出し、あまつさえ自分の年齢が3兆歳とかいいだす青年。

どう見てもただのキチガイです。本当にありがとうございました。

 

『儂の名前はグレッグなどというものじゃないのじゃが…。

よくわからないが、君はしたいことをすればいいのじゃよ。

ーーこんな言葉がある。ある有名な老亀は言った、【海流に身を任せてたらイルカに襲われたったwww】と。』

 

この亀一体何を言っているのか。そして全く名言でもない。最早迷言を例に上げてくるクソ亀。どうやら凛は話す相手を間違えているようだ。

 

「なるほど!そうか!そうだよね!やはりここは初心に帰って世界を巡ろう!俺はくだらないことにはとらわれない、繋がれない男《ミスターアンチェイン》だ!フハハハハハ!」

 

 

 

 

『フハハハハハ!』

 

 

おい亀コラ。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

ようやく西暦が2000年を突破する少し前の頃。

 

凛はロンドンに来ていた。目的はシャーロック・ホームズである。

 

凛の元のいた世界では、シャーロック・ホームズは、アーサー・コナン・ドイルの推理小説『シャーロック・ホームズシリーズ』の主人公であり、架空の探偵であった。それがなんと実在しているではないか。

と言っても凛は本の中の世界に入るスキルを持っているので会おうと思えばいつでも会えるのだが。

 

というわけでロンドンのベーカー街221Bにある元ワトソン所有のアパート跡地に来ているわけである。

今でもその姿形は残っており、歴史的に価値があるものとされている。まあ今ではワトソン家とホームズ家どちらが所有しているのか将又イギリス政府が所有しているのかは謎であるが。

 

「やあ、僕の元事務所に何かようかい?」

 

凛がアパートを見ていると突然、背の高い美丈夫が話しかけて来た。

凛も背は高い方であり、身長は180cmくらいは行っている。それと同じくらいの背丈であった。

 

「いや、ちょっと放火して俺も歴史に名を残そうと思ってさ…」

 

「やめたまえ。」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

「で?君は誰ですか?俺、オールバックの人とは話しちゃいけないってばあちゃ…いやなじみに言われてるんだ。」

 

「君の祖母はオールバックの人に恨みでもあるのかい?」

 

「いえ…。実は俺のばあちゃん、シャーロック・ホームズが本当に嫌いでして。その嫌い具合と言ったらそりゃもう酷かったんですよ。ばあちゃん曰く『シャーロックホームズよりゴキブリのコスプレした剛力彩芽の方が可愛い』って…あれ?どうしました?何か機嫌悪そうですよ?」

 

オールバックの髪型をした美丈夫が聞いた質問とは全く違うことを言い出す凛。

何故かシャーロックホームズのことを安心院なじ…いや、ばあちゃんが嫌いだと、目を輝かせ、両手を開きながら露骨にアピールしていた。

そしてこの男、シャーロックホームズのファンだったのであろうか、整った顔の眉にシワがよる。

 

「いや、なんでもないよ。本当に。」

 

ところで、と彼は逸れた話題を戻すために話を続ける。

 

「君は一体何者だい?僕の条理予知《コグニス》でも推理できなかったよ。」

 

「お?中二病の方かな?」

 

「誤魔化さなくてもいいよ。これでも僕も力には自信がある方だけど、君に勝てる未来が推理できない。もう一度聞こう。君は誰だい?」

 

果たしてこの青年は一体何者なのだろうか。それは不明であるが、男は目の前の存在の力の底が見えなかった。

彼の知りうる限り最強の人物を勢揃いさせても目の前の青年に手も足も出ない。

そんな光景しか浮かばない。只者では無い。そう男の、長年のある職業としての勘が言っていた。

 

そんな男の警戒をよそに、青年は口角を吊り上げて両手を広げて言う。

 

「俺は7932兆1416億4152万3222個の異常性と4925兆9245億2611万643個の過負荷、合わせて1京3000兆519億6763万3865個のスキルを持つ、どこにでもいるただの人外、芦屋 凛だよ。よろしくしないでいいぜ、シャーロック・ホームズ君。」

 

「……知っていたのかい?」

 

凛が出した威圧感によって、額に汗をにじませた男ーーシャーロック・ホームズは言う。

 

「まあね。全知全能のスキル、他にも未来予知等のスキルが売るほどあるしね、当然だよ。ところで、君はどうやら最近生まれた君の子孫ーー曽孫ってところかな?その娘のことが気になってロンドンに来たようだけれど、俺なんかに構ってて良いのかい?」

 

心の内が全て見透かされているような錯覚に陥るシャーロック。

ような、というか実際心の内が全て見透かされているのだけれど。

そして凛。この男もまさか生まれて来た曽孫の性別まで知っているとは最早狂気の沙汰ではあるまいか。

 

忘れてはならないがこの男、ロリコンである。

 

とりあえず通報してから話の続きをしても遅くはないぞ。シャーロック・ホームズ。

 

「いや、そこまで性急な用事でもないさ。彼女《曽孫》はいずれ立派な武貞になる。そう推理しているから《分かっているから》ね。」

 

武貞。

ーーそれは凶悪化する犯罪に対抗するために新設された国家資格。「武装探偵」の略である。

武偵免許を持つ者は武装を許可され、逮捕権を有するなど警察に準ずる活動が可能になる。

ただ、警察とちがうのは、武貞は金で動くということだ。

 

「武貞?始めて聞く単語だね。んー何々?武装探偵の略称か。へー。要は武装した探偵ってことでしょ。

………って!そのままやないかーい!」

 

「元気だね。」

 

「元気があれば何でもできるッ!!」

 

「ところで凛君。君はイ・ウーに入学する気はないかい?もし入学してくれるなら是非とも歓迎しよう。」

 

「え!?そこで話題変えちゃうの!?それじゃあ僕は一体何のために街中でアゴをしゃくれさせたって言うんだ…」

 

orzのポーズになる凛。まったく、長き歳月を生きているというのに精神年齢は随分と幼いようである。

たかだかアントニオ◯木のモノマネを人通りの少ない街中で大声でやり、シカトされただけじゃないか。そもそもここが元いた世界では無い時点でネタは通用するのか。

 

「まあ…、そのイ・ウーってところがどんな所か知らないし知る気にもならないんだけれどね。つまり答えはNo、嫌だ、入らない、帰れホモ野郎。」

 

「…最後の発言はともかく。残念だよ。君が入ればイ・ウーは今よりも賑やかになると思ったのだがね。」

 

やけにあっさり受け入れるシャーロック。元から玉砕覚悟、ダメで元々くらいの気持ちで勧誘したのだろう。

しばらく経つと何を思ったのか、凛が笑顔で目の前の男に話しかける。

 

「イ・ウーなんて言う《イウ》なよっ!」

 

「………。」

 

「いや、こうなるとは分かっていたんだ。俺だって馬鹿じゃない。でもさ、シャーロック・ホームズ。俺は思うんだ。例え駄目だと思っても漢にはやらねばならない時がある、って。

君もそう思わないかい?……………ってあやつ帰りおった!!」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

「うぇぐっ…くそぅ…シャーロック・ホームズめ。あいつだけは絶対に許さない。次合った時にスーツに鳩の糞が落ちてくるスキル使用してやる…。」

 

若干涙目鼻声になりながらベンチに腰掛ける凛。

当たりはすっかり暗くなっており、周りが小規模な森林で囲まれたこの公園には人っ子一人いない。今更ながら、何故シャーロックに、相手の動きを封じるスキル、収監接着剤《プリズン》を使っておかなかったのかと一人寂しく考えを巡らせる凛。

最早ただのぼっちである。

 

「腑罪証明《アリバイブロック》やその他のスキルであいつの所に今すぐ行くことは可能だけど、それだと何か俺が会いたがってるみたいで癪だ…。」

 

ちなみ腑罪証明《アリバイブロック》とは何時何処であろうと行くことができるというとっても便利なスキルである。

 

どうやって憎きあの男に仕返しをするか、実は何百通り以上浮かんで来ているのだがどうもこれだと言う案が出てこない。

いっそのことまたスキルに頼ってしまおうか。

そんなことを考えていると、シャーロックが言っていた『イ・ウー』という言葉を思い出す。そうだ、これだ!と立ち上がる凛。

 

一応もう一度言及しておくと、ここは夜の公園で今いるのは彼一人である。一人奇声をあげていると勘違いされてもおかしくはない。

 

「よし。決めた!とりあえずこちらからはシャーロック・ホームズは探さない。だがしかし、イ・ウーとかいう組織の構成員はスキル無しで探す。そこで偶然シャーロックがいたりすれば…。これなら俺のプライドも守れてカンペキーヌ!」

 

『イ・ウー狩りスタートだぜ!』そう言い残して、彼の姿は闇へと消えて行った。

 

あれ?腑罪証明《アリバイブロック》使ってね?移動はいいのか…。

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