Persona5 ~Phantom Thief of Å Villain~   作:誤字脱字

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第二話 The name is phantom

Persona5 ~Phantom Thief of Å Villain~

 

第二話 The name is phantom(その名はファントム)

 

 

 

 

5月6日―――

 

 

「Take Your Heart。……あなたの心を頂きます、ね」

 

真っ赤な紙に新聞紙の切り抜きで作られた例の一文、裏面には小学生が書いた落書きの様なマーク。そして差出人の名前は『心の怪盗団(ザ・ファントム)

本校の掲示板に貼られていたこの『予告状』は、いま話題の最中にある

 

通常なら悪質な悪戯だと生徒にも教師にも相手に去れずに処理される程度の案件なのだが、今回に関してはそうはいかなかった。……なぜなら『予告状』通り、心を奪われた人物が現れたのだから

 

鴨志田卓―――――

手口は判らないし説得したのかは定かではない。しかし、受取人である鴨志田は先日の朝礼において登壇し、生徒への暴言や部員への体罰、女子生徒へのセクシャルハラスメント行為。そして、なにより先日、飛び降り自殺を計った女子生徒に深く関与していたと自白したのだ

壇上で泣き崩れるその姿は、普段の鴨志田とはかけ離れており、まるで別人のようなで、まさに『心を取られた』かのように感じられた

社会の裏側を知っている私から見てもその変わりようは異常に見え、それがカタギの目からしてみれば尚更に異常に見えたはず……案の定、生徒達は教師の自白に驚き彼をそうした原因を追究……先の悪戯主である『心の怪盗団(ザ・ファントム)』へと辿り着いたのは無理のない話だった

 

「……まだ残っていたのね、稲山さん」

「おかえりなさい、新島さん」

 

手元のカードをヒラヒラと弄んでいるとタメ息と一緒に扉が開らかれた

時刻は放課後。この時間帯に生徒会室の扉を開ける生徒なんて生徒会役員しかいないけれど、今日は先日(かもしだ)の件もあり役員は、全員帰したのに関わらずやって来る人物なんて真面目な生徒会長様しかいない

 

「鴨志田先生の置き土産が残っていますから。体罰を受けた生徒や体罰の実態を知っていた生徒への全校アンケート用紙の作成及び集積表の作成、臨時保護者会出席者の名簿作成……本来なら第三者委員会が作成する仕事をやっていますからね?」

 

教師による体罰が原因で生徒が自殺を行ったと、あの場にいた生徒全員に告白すれば口止めしていたとしても情報が漏れる事は、目に見えていた事であり、当然の如く警察沙汰になり第三者委員会が設置された。それにあたり、学園側も委員会への対応、追求に関する返答などやる事が山ほどあり、なぜか信頼の厚い生徒会にも仕事を振られてしまったのだ

 

「……早期に解決したいのでしょ」

「逆に不味いモノが上がらない様に先に知っておきたいって云う校長の思惑も感じるわ」

 

臭い物には蓋をするとばかりに第三者委員会には心地よい返答しか出さないつもりなのでしょうけど、いずれは判る事であり時間稼ぎにしかならない。……むしろ、時間稼ぎをしたいから足掻いているのかもしれないわ

 

「それで狸校長からの呼び出しは何かしら?」

「……なんでもなッ!?」

 

眉間に皺を寄せる新島さんの額を私は人差し指でトンっと突っついた

案の定、ポカンと口を開ける彼女に私は笑って自身を指差した

 

「一人で抱え込まない。周知の事実ですけど、秀尽学園生徒会副会長は頼りになるって噂よ?」

「……ふふ、貴女の事じゃない」

「ふふん、そうそれ。貴女は笑った顔の方が可愛いわ」

「もう、からかわないでよ!」

 

褒められ慣れていない性か顔を真っ赤にし、手をあおぐ彼女は可愛い

そんな顔もずっと眺めていたいモノだけれど、気持ちの切り替えの上手い彼女は、すっと表情を変えて目線を私の手元へと移したのだ

 

「校長先生には鴨志田先生に出された予告状の犯人捜しを言われたわ」

「予告状、ねぇ?」

 

鴨志田先生が急変した原因の一因であろう予告状の送り主である集団『心の怪盗団(ザ・ファントム)

時期的に見ても彼等が何かを知っているのは明確ですものね?

 

「校長先生は校内に貼られていた事から生徒の犯行だと思っているみたい」

「そこで、教師や協力者の可能性を考えないあたり、相当余裕が無いわ」

「えぇ。……でもあながち間違ってはいないと思うの」

 

そう言うと新島さんは生徒会室据え置きのホワイトボードに事の経緯を書き始めた

 

「校内掲示板に貼られていたと言う事は学校に容易に入る事の出来る人物。そして、予告状に使われている用紙は、学校で使われている用紙ではない。……この二つだけでは何とも言い切れないけど、今ある大きな手掛かりは、この二つね」

 

ホワイトボードに書かれた二つの事柄、現状で判るもっとも簡易な手掛かり。

一つ目の手掛かりは、生徒教員全員が予想できる事柄で、二つ目の手掛かりは教師と一部生徒……赤い用紙が何処で管理されているか判る人物なら予想できる手掛かり

 

「用紙に関してはあの後、直ぐに確認しましたが減っている痕跡はありませんでした。犯人が減った分を戻した可能性はありますが……まぁ、ないでしょうね?」

「えぇ、戻すぐらいなら最初から学校の備品には手を出さないわ」

「そんな訳で学校の印刷機を使用するのもリスキーだと判る相手だろうし、予告状は自宅で作った。そして第三の手掛かりが、これ」

 

先程からずっと持っていた一枚の予告状

掲示板に貼られ回収できたモノで唯一、他の予告状と違うモノを新島さんに手渡した

最初は違いが判らなかった彼女も数秒し直ぐに違いに気づいた

 

「……切り口、かしら?」

「えぇ、予告状は原本を印刷後、全て手作業で切り分けられている。でも、その中の一つに裁断を失敗して切り口が曲がった予告状があった。……恐らく指紋対策に手袋をつけて作業をしたと思うわ。慣れていないと手袋をしながらの作業は難しいから失敗したのでしょう」

「誤差も微妙……まとめて見ないとわからないレベルだわ」

「ふふん、こんなモノをご丁寧に用意し、使用するのであれば細部まで気を使う人物……大人なら尚更、気にするわ。でも廃棄しなかった理由は、金銭的に余裕が無かった、とか?カラー用紙は割高だし?」

「……そういうことを気にしない人物っていう線もあるけど、その事も考慮し7:3で学生の方が可能性は高いわね?」

「えぇ、鴨志田先生は外面良かったみたいだし、外部犯の線も薄い、と」

 

在校生関係者……OBや親族に頼ったって云う可能性は捨てきれてないけど、私も新島さんと同じで7:3の可能性だと思っている。そして更に私は第四、第五の手掛かりを口にした

 

「更に上げるとしたら犯人は運動部関係者で最近、犯行を考えたみたいよ」

「え?」

 

驚く彼女を尻目に私は、自慢げに鞄から一部の新聞を取り出し机の上に広げ、予告状の文字と照らし合わせたのだ

 

「この予告状に使われている文章は、4月20日のスポーツ新聞一部から作られているわ。……文化部がスポーツ新聞を読まないって訳はないけど、少なくとも20日のスポーツ新聞に文化部が食いつきそうな記事は記載されていなかった」

「うそ……」

「もっと詰めるであれば予告状に『俺たち』って書いてあることから複数犯と云う事は理解しているわね?」

「え、えぇ」

 

驚きながらも頷く彼女からインクペンを受け取るとホワイトボードに書き込んでいった

 

「おそらく男性2人以上か男性1人女性1人以上のグループと云ったところかしら?」

「え!?そこまでわかるの!?」

「えぇ、あくまで私の推測だけど文面から見て『クソ野郎』って言葉を使っている事から知能の低い男性の可能性が高い。そして最後に『覚悟してなさい』。……文面が崩れているのよ。これを一人で作っているのであれば最後は『覚悟しろ!』とかになるはず。この事から予告状を造るにあたって誰か監修していた存在がいる。そして、それは作成者より知識がある人物」

「……それは何故?」

「こんな知能の低い言い回しをする人が『色欲の罪』とか気を利かせた文面を思いつくとは思えないわ。それに文面が崩れているのは敢えてそうして個人を断定させないようにしているとも感じる」

「……感情的な人とそういう行為に知識がある人達って事ね?」

「えぇ、それでこそ全て一人で行っていたとしたら………相当頭の切れる学生よ、ソイツ?異なる二面性を持ちながら今も普段と変わらず何食わぬ顔で過ごしているのだから」

 

特に感情的な犯人に至っては自身の成果を周りに伝えたいと考える筈なのに、特にそう言った情報は流れて来ない。恐らくもう一人の犯人がストッパーとして彼もしくは彼女を押さえているのだろう

 

「目星がついたのはいいけど、男子2人組とか男女とかって結構、幅が広いわね」

「そこはアレよ。鴨志田先生が教えてくれるわ」

「ッ!?最近になって鴨志田先生と揉めていた生徒ね!」

「まぁ、可能性としては一番大きいかしら?」

 

後は地道に聞き込みしていれば犯人候補に行きあたるだろう

しかし、私の予想があたっているのなら犯人候補は彼等になる

鴨志田と揉めていたし、一人は男子バレー部だし、更にもう一人は反抗的な瞳を宿した転校生

 

でも、その事は会長様には伝える気はない

私の憶測である可能性はあるし、なにより彼の瞳は魅力的だったから……

探偵ごっこもお終いとホワイトボードに書かれた手掛かりを消しながら、残っている仕事の配分をどうしようかと会長様に視線を向けたが、彼女は生徒会室の扉に手を掛けて半身の状態であった

 

「………え?」

「なら私!今から生徒に聞き込みをして来るわね!」

「今から!?」

「えぇ!何事も早い解決がいいでしょ!」

「ちょっと、まって!昨日の今日で動くのは時期早々と言うモノで!それにアンケート用紙の作成はッ!」

 

さし伸ばした手は虚しくも空をきり、停止の声は届かず会長は生徒会室を出て行ったのであった

 

 

 

 

 

日は沈み外灯が町を照らす中、とぼとぼと帰路につく私達。………実に愚か

結局の所、冷静さを取り戻した会長様は謝りながらも戻ってきて2人で仕事を熟していたのだが、見回りの教師が声を掛けにくる時間まで熱中して作業を行ってしまった

 

期限もだいぶあるし明日、他の生徒会役員と共に作業を進めようと話していたのに、2人共仕事人間なモノだ

 

そんな事から反省会も兼ねて私が糖分摂取を提案し、会長はそれを了承

駅近くのカフェに赴き入店しようとした所、ポケットに入れたスマホが震えだした

 

「………ちょっと外すわね?」

「こんな時間だし親御さんからじゃない?」

「うちって基本的に放任主義ですけど……新島さん、私トールバニラソイアドショットチョコレートソースノンホイップダークモカチップクリームフラペチーノでお願い」

「……え、なにそれ?」

「トールバニラソイアドショットチョコレートソースノンホイップダークモカチップクリームフラペチーノ。……紙に書いたからこれ渡せば伝わるわ!会計は……これでお願い!新島さんの分も買っていいですから!」

「ちょっと稲山さん!?」

 

一万円(ゆきち)を新島さんに押し付けて退店し、直ぐに裏路地へ駆け込んだ

周囲に人影がない事を確認し後、私は電話を耳に当て声を殺しながら言葉を口にした

 

「……鴨志田から薬物反応が出たの?」

 

開口一言目が裏路地へ入った原因である

花の女子高生が路上で『薬物反応』なんて言葉を口にして誰かに聞かれたりしたら堪ったモノではない。

鴨志田の急変は、薬物を摂取していた疑いがあった為、組の力を借りて薬物検査の結果を流してくれるように頼んでいたのだ

もし薬に手を出しているのなら最悪、生徒やバレー部員にも横流されている可能性が出て来るので、そんな事は生徒会としても一個人としても許せない。

至急と伝えていたから尚更言葉尻に力が籠ってしまったが、電話越しで聞こえてきた声に熱が冷めていった

 

『落ち着け椿。奴さんはクスリはしてねぇよ。』

「………そう、それは良かった」

 

唯一の肉親からの電話だからなのか薬物の可能性が無くなった安心感だからなのか肩の荷が下りた私は大きく息を吐く

 

「なら……彼の急変は、他に原因がありそうね」

『そこら辺はサツが調べるだろう。それよか少しばかり時間あるか?』

「カロリーの化け物を頼んだから少しならあるわ」

『カロリーの化け物?』

「トールバニラソイアドショットチョコレートソースノンホイップダークモカチップクリームフラペチーノ」

「………タブレットに面白れぇモン送ったから見ろや』

「面白いもの?」

 

どうやら私の近親者も新島さんと同じで呪文注文には耐性がないようだと、新島さんに失礼な事を考えながらも鞄からタブレットを取り出しメールを確認してみれば一枚の写真ファイルが送られてきていた

電話してきた爺ちゃんの声は明らかに弾んであり、余程良い事が起きたのであろうと思いつつ言われた通り、写真ファイルを開いて見れば顔馴染の構成員と共に写る数枚の絵画。その絵画を見て私は疑問の声が出てしまった

 

「これって……【さゆり】?」

『おうよ、知ってたか!名高き絵描き斑目の代表作【さゆり】だ』

 

カッカッカ!と電話越しに笑う爺ちゃんを尻目に私は【さゆり】と言う絵画について記憶を辿っていく―――

【さゆり】とは最近話題の画伯、斑目一流斎の失われた代表作。黒髪の女性が、どこか母性にあふれた笑みを浮かべた絵画だ。暇つぶしに買った旅行雑誌に『かの斑目画家が【さゆり】の構想を練った地』と下らない記事と一緒に連載されていたので記憶に残っていたのだが、私が疑問に思った理由はそこではない

 

「う、うん。前に雑誌で見たから知っているけど、何でその【さゆり】が複数枚あるのかしら?」

 

そう、送られた一枚の写真には、その場にいる屈強な構成員の手には余る程の【さゆり】が鎮座していたのだ

 

『天草とは関係ねぇが最近、顔を聞かせている組が稲山組にちょっかいかけてきたもんだから相手してやったら出て来てよ』

「出てきたって……贋作って事?」

『あぁ、贋作だが出来がいい。目利きも出来ねぇコレクターなら高く買ってくれると思ってな!それでオメェさんにも小遣いと何か買ってやろうかって思ったわけよ』

 

確かに有名画伯の絵画は贋作とはいえ価値はある。さらに言えば色々と逸話がある【さゆり】を本物が発見されて流れて来たと虚言を付けば尚の事、数倍いや数十倍の価値が出てくるだろう。

組にとっては贋作だろうが本物だろうが関係なく、良い資金源が手に入ったぐらいしか感じないし、折角お小遣いをくれると言うのであれば素直に甘えようと思った次第、作者への感謝の気持ちはあるが、罪悪感は欠片も持ち合わせてはいけない

 

「……なら車が良いわ」

『あぁん?足は単車があるだろう。それに免許はあんのか?』

「取得中よ。今すぐに欲しいって言う訳ではないわ。車は……卒業祝いでお願い」

『おめぇがそれでいいのならいいがよ。ッ!?まさか男と出掛けるのに使うつもりじゃねぇだろうな!』

「残念、女友達よ。……仲良くしている友達を誘って卒業旅行っていいと思わない?」

 

女友達の二人旅……素直に行けたら嬉しくは思うけど、あの堅物の会長様は厳しいかもしれないな~?車初心者だし女2人で泊まり込みですからね~?

 

『そうかい。なら、卒業祝いに買ってやる。』

「えぇ、ありがとう。でも黒塗りは勘弁してね?」

『わかってるって』

 

冗談を交えながらも私は電話を切った

 

 

しかし、この時の私は知る余地も無かった

良いカネになると思っていたブツが数日後には無価値の紙切れに変わってしまう事を………そして、それを行ったのが校内だけで噂になっていたはずの『怪盗団』によってなされることを――――

 

更には呪文を間違えて店員に伝えた会長様が怪物を越えるハイカロリーモンスターを私に押し付けてくる事も………

 

 

5月7日―――

 

 

 

「ア″ァァ~…糖分切れた~、かいちょ~帰りにお茶しませんか?」

「ごめん、今日は…」

「え~?……まさか、男でも出来ました?」

「ち、違うわよ!ちょっと調べ事があるだけ!」

「調べ事……例の怪盗団ですか?」

「……えぇ」

 

昨日、私が口を滑らした性で我が生徒会長様の『怪盗団』探しに進展があったようだが、私としては『怪盗団』より糖分摂取の方が、優先順位が高いゆえ……面白くはない

 

「私なりに調べて見たのだけど、鴨志田先生に目を付けられていた生徒がわかったわ」

「……こんな短時間で凄いですね?」

「そうでもないわ。……彼等って、元から目立っていたもの」

「ふ~ん、それで目星は?」

「二年生の高巻さん、坂本くん、三島くん、鈴井さん。そして…雨宮くんね」

「ふ~ん」

 

気のない返事で答えているけど、内心この短時間でここまで絞れた事に驚いた

確かにこの5人は、鴨志田と問題を起こしていたし噂も立っていた。私も彼等だろうと目星をつけていた手前、驚きを顔で表す事はしなかったけど……

違うとしたら屋上から飛び降りた鈴井さんは怪我の影響があるから外しているって感じかな?

 

「それにしても意外でした。会長が怪盗団探しに躍起になるなんて?」

「………」

「会長?」

 

返事が返ってこない彼女へ視線を向ければ、アゴに手を当てて考え込んで、ふっと言葉を漏らした

 

「ねぇ、稲山さん……私のやっている事って本当に正しい事なのかしら?」

 

表情を曇らせ言葉が淀む。いつもの彼女らしからぬ姿に若干そそられる気持ちが湧き上がるけど、今はその時ではない

 

「彼らを目星にしたのも鴨志田先生が変わる前に関わっていたからで、明確な証拠はない。それに生徒の中に犯人がいると決めつけて調べるなんて……」

 

なるほど、そう言う事ね。警察なら兎も角、私達は一生徒でしかない。

ただの生徒が怪盗団の運命を握る責任に後ろめたさがあるのかぁ

 

「そうですね、校長から依頼されて……いや、この時点で可笑しいのですが、確かに生徒会の範疇を越えている行為です。それに生徒会が『怪盗団』探しに一役買ったと言われれば在校生に反響は少なからずあるでしょう」

「………そう、よね」

「まぁ、私は生徒会とか校長からの依頼とか関係なしに自分のしたい様にするのが一番だと思いますよ?」

「……自分のしたい事?」

「命短し恋せよ乙女、ではないですが、しない後悔より行動して後悔した方が自分に納得できると思いませんか?……勿論、危ない橋を渡らない前提ですけどね?」

 

まだ『怪盗団』の手口が分からない状況下では、彼らに喧嘩を売らない方が得策

クスリには手を出していないようだけど、世の中には常識を掻い潜る危ない薬が存在するし、催眠・脅迫・洗脳……いずれかの行為を行った彼らに近づき過ぎた結果、第二の鴨志田になる可能性は捨てきれない

 

うちの会長は真っ直ぐに行き過ぎる性格だから絡め手に弱そうですしぃ……まぁ、そこら辺は私が傍にいれば問題は無くなりますけどね?

 

「先当って会長は自身のやる出来事に目を向けるべきだと思います。……来月の模試とかね?」

「えぇ、わかったわ。……後悔が無いようにするわ」

「ふふん、その通りですわ」

 

こりゃダメだわ

今の彼女は焦っている様に感じられる。間違いなく『怪盗団』に接触するだろうが、まだ間に合うはず

雰囲気的に校長から何か言われた感じだし家族関係の事で脅しでも掛けられたのかしら?それ以外にも鬱憤が溜まっている様に思える

 

「私行くわね?……また、明日」

「えぇ、ごきげんよう」

 

生徒会が没収した少年誌を片手に持ち生徒会室を後にする彼女に私は溜息を吐く事しか出来なかった

 

 

 

 

 

Next stage→ I was a villain

 

 

 

 


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