Persona5 ~Phantom Thief of Å Villain~   作:誤字脱字

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第五話 friend of the melting snow

 

 

衝撃的な体験した翌日、私と新島さんは普段通りに学校へと登校していた。

若さと言うモノは偉大であり、あの倦怠感は一晩寝てスッキリとしている。なんなら『心の枷』と言う重しが外れたおかげで心も軽く感じられ、心身ともに絶好調と云える状態だ

今なら、あの責任転換校長にも苦言を返せると息巻いている最中、昨日から新たに登録されたグループチャットに連絡が―――私と新島さんは、とある後輩に呼び出しをいただいたのであった

 

「まさか生徒会長と副会長を生徒会室に呼び出すなんて、高巻さんって大物ね?」

「生徒会室を場所に選んだのは私よ。……真剣な話があるって言うから、あそこなら変な邪魔は入らないでしょ?」

 

それはそうだ、と肩を竦め同意しながらも呼び出した子を頭に浮かべた

スウェーデンからの帰国子女であり、両親は海外勤務が多く現在は一人暮らし中。

学業の方は英語が抜き出て他は平均以下、あとは……読書モデルをしている、でしたっけ?

 

試験も近いし勉強を見てほしいと言うのであれば人払いする必要はない。そもそも昨日から関係性を持つ様になった私達に勉強を見てほしいとは、彼女の性格から考えてまず在りえない

 

ならば可能性として――――

 

「恋の相談ですかね?……仕方ありませんね、会長。後輩の恋路の為にも一肌脱ぎましょう」

「ふふ、高巻さんは、しっかりしているから私達に相談する必要はないでしょ?」

「それは……そうですね」

 

恋愛弱者である私達には荷が重すぎると今度は、2人そろって肩を竦めながら互いに笑い合う

いつもと変わらない会話だがいつもと違う。いつもなら『私にも出来る』と見栄を張っていた所だけど、今は周りを見て自分の意見が言えている

 

「……やっぱり、少し変わりましたね。責任から解放されたから、ですかね?」

「解放って云うより、肩の荷が下りたって感じかしら?」

「それはそれは……重々」

 

クスリと笑う彼女の横顔は今までにない魅力を感じ多少……ムラついた

 

「……なに見惚れてるのよ」

「いえいえ、女の格を感じまして」

「なにそれ?着いたわよ」

 

呆れる新島さんは、慣れた手付きで生徒会の扉をノックする

前の授業が移動教室で多少遅れはしたが、鍵は開けておいたので、既に中で待っていると思われる。案の定、室内から上付いた声で返事が返って来たので入室すると私達を呼び出した張本人である高巻さんが落ち着かない様子でパイプ椅子に座っていた

 

「こんにちは、高巻さん」

「飲み物買って来たわ。ストレート、レモン、ミルク、どれにします?」

「あ、ミルクで、おねがい……します」

「はいはい~。無理して敬語を使わなくても大丈夫ですよ?」

「……うん、ありがと」

 

慣れていないのか、それとも私達だからなのか、ぎこちない敬語に高巻さんには悪いと思っていながらも『可愛い』と感じてしまう私。まぁ、上級生を呼び出すなんて緊張するなと言われた方が間違っているかと心の中で解釈し、買ってきた飲み物を配り私は高巻さんと向かい合う新島さんの隣に腰を下ろした

 

「ごめんね、呼び出したりして……それと飲み物ありがと」

「それはいいんだけど……生徒会室に呼び出されるのって、新鮮」

「そうですか?私は1学年の頃、月一で呼び出しを受けていましたよ?」

「それは、貴女が毎月に髪色を変えていたからじゃない」

「え、なにそれ?詳しく聞きたいんだけど」

「あの時の異名は虹色椿でしたわ」

「あはは!レインボーだ!」

 

そうあれは、私が1学年の頃に行った華麗なる武勇伝。頭髪に厳しくない秀尽学園の許容範囲を調べる為に行った1年にも渡る研究の成果!……代償にキューティクルが壊滅しましたが、良い研究データが取れたと満足はしています。

高巻さんに当時の写真の中でも最終形態である7色の髪色をした頃の写真を見せ生徒会室に三者三様の笑い声が漏れた所で話を切り出す事にした

 

「それだけ笑えれば緊張はほぐれましたね?」

「え?あっ!……うん、ありがと」

 

何事も緊張していては上手く事は進まない。時と場合によっては適度の緊張も必要であろうけれど今はその時ではない。無論、新島さんもその事が判っているので場を和ませる為に虹色椿の話を振ったのでしょう………流石、生徒会長です

 

打てば響くとばかりにアイコンタクトだけで意志が伝わる相手がいる事に心がポカポカしながらもレモンティーに口を付けていると高巻さんがいきなり立ち上がり頭を下げて来たのだ

 

「あのね…私、謝りたくて……今までいろいろ、ごめん…なさい」

 

いきなりの事で思わず新島さんと顔を見合わせてしまう

噴出さなかった私を褒めてほしい

 

「えぇっと……何のこと?」

「鴨志田の体罰とかセクハラとか、私、新島先輩のせいにしたでしょ?それ、謝りたかったの…ほんとは、ずっと。」

「高巻さん……」

「後になって、志帆が助けを求めてたのに気づいて……何かできたはずなのにって…悔しかった。自分がバカすぎて、自分のせいにしたくなくて、あの時、新島先輩のせいにしたんだ。……だから、ごめんなさい」

 

……あぁ、校長に言われて怪盗探しをしていた時の事かな?

それよりも鴨志田の実害は聴取や本人の自白によってある程度、把握は出来ているし本人も被害者に損害賠償を支払うと話は済んでいたので何事なのかと理解するのに時間が掛ったわ

 

「……ね、頭をあげて。私たち似ているんじゃかいな?」

「え!?」

「ふふ、高巻さんらしい。鈴井さんの事で貴女に怒られた時、ズルくてちっぽけな自分に気づいたの。高巻さん、いつも正面から言ってくれる。それでやっと気付くの。私、結構鈍いみたい。」

 

新島さんもまた自分の価値について悩んでいた

それで高巻さん達にきつくあたって、高巻さんは自分の過ちを認めたくなくて、新島さんは他人からの価値に溺れて互いが互いに傷つけあっていた事を理解したみたい

 

「……杏、って呼んでもいい?」

「じゃあ、私も……ま、ままま、まこと……て、照れるな!」

 

青春かよ!ニヤニヤしちゃうな~もう!

私の青春は何処にいるのでしょうね~?

 

「ふふ、ねぇ、甘い物でも食べて帰らない?」

「じゃ、私オススメある。それと何食わぬ顔をしてる……椿!」

「つ、椿!?わたし!?」

 

挨拶前のアンプッシュは一度までだ!……いきなり矛先が私に向ってきたので思わずレモンティーを吹きかけそうになったのは乙女の秘密。急いで口から垂れる汁をハンカチで拭き取り高巻さんへ顔を向けた

 

「そう!真と椿は友達!真の友達なら私も友達!なら私の事も杏って名前で呼んで!」

「なによ、その小学生の持論……」

 

友達の友達は友達だ!と謎の超理論を展開する高巻さんに呆れながらも、とりあえず座る様に伝え一旦落ち着くように促そうとしたら予想外の人物から横槍を入れられた

 

「……そうね。椿ってば、いつも『新島さん』や『会長』で偶にしか『真』って呼んでくれないじゃない」

「そ、それは恥ずかしくて」

「あの時は名前で呼んでくれたじゃない」

「あの時は初めてでテンション上がってて!

 

『あの時』とはペルソナ能力に目覚めた時……それ以外にも感情が高まった時に呼んじゃった気はするけど、正直2年近く『会長』や『新島さん』と呼んでいたと言うのに今さら『真』と呼ぶのには抵抗と言うより羞恥心の方が勝ってしまう。クラスのみんなにもいきなり名前を呼び合うようになったと感づかれたら変な噂が立つかもしれないし、それに―――

 

「……それに私ってば真っ黒クロ助の反社だから親しくしていると迷惑かけると思うわよ?」

「それこそ今更よ!2年の間では会長と副会長が男造らない理由って2人がデキているからって話が上がる程だし」

「え!?うそ!?嬉しい!」

「…うれしい?」

 

訂正。変な噂はウェルカムでした

明るく流そうと思っていたけど思わぬ朗報に気持ちが上浮いて隙が生まれてしまい高巻さんから更に追及され、新島さんにも後押しされる始末。……百歩譲って、ままま、真は良い。私といる事のデメリットを理解しているし『覚悟』も決まっている。でも、高巻さんは私といる事で起きるデメリットを理解しているとは思えない

 

「……はいは~い、唄いまーす」

「え?なんで歌うの?」

「杏、今のは自白しますって意味よ」

 

そりゃそうだ、今この場で歌ったら変人扱い間違いなしだわ

頓珍漢な事を言う高巻さんを尻目に私は出来る限り真剣な主面で高巻さんを見つめた

私の雰囲気が変わったのを感じとったのか高巻さんも背筋を伸ばし此方を見据える

 

「……真には、答えを聞いたから観念したけど高巻さんはいいの?」

「え?なにが?」

「さっき言った通り私は反社……反社会的勢力側の人間で私と関係を持つと将来的にデメリットを生む。……それでも私と仲良くしたい?」

「?いいわよ、べつに」

 

だからなに?と言わんばかりに首を傾げる彼女に本当に理解しているのか、こめかみを押さえながら更に言葉を繋げた

 

「本当に理解しているの?貴女が……将来、モデルになった時、私との交友が貴女の価値を下げるかもしれないのよ?今はまだ親が反社なだけだけど、私は将来的にもソチラの道を行くわ」

 

友達を選べと高貴な事を言うつもりはないけれど、反社会勢力は違う

モデルしかり芸能界は特にそういうモノを嫌っている。……私と友好を結ぶことによって彼女の未来に影を落とす事は避けたいのだけれど―――

 

「……真も言っていたけど、自分の価値ってそんなに大切?私がヤクザになる訳でもないし友達がヤクザでもいいじゃん。」

「貴女ねぇ、そんな簡単な「簡単だよ」ッ!」

 

こちらの気持ちは知った事は無いとばかりに、高巻さんは私を真っ直ぐに見詰めて来た

 

「社会的とか世間体とか私には良くわかんないけど、私は、ただ単に『稲山椿』と仲良くなりたいだけ。……メリットとかデメリットとかで考えたくないな」

 

彼女から寄せられる満面の笑みにはとてもじゃないがNOと伝える雰囲気では出来なかった

 

「貴女の負けよ、椿。杏はいつも真っ直ぐ正面から言ってくれるわ」

 

呆気にとられていた私に、真は笑みを浮かべながら背中を押してくれる。

いやはや、青春とはよく言ったモノだ。まさか私まで絆されるなんてね

心情とは裏腹に自然と私の口角は上がっていた

 

「私は、フルーツがいっぱい入ったクレープが好きよ、杏」

「もち、いっぱい盛ってあるから!」

 

まだ18しか生きていない若輩者ではあるが衝撃的な出来事はまだ始まったばかりだった事を思い知らされた

それは良い事ばかりで、こんな私なんかでいいのかな?と不安になる一方、だからこそ素敵な事柄を運んでくれる彼女達を守らなければならないと一層に思うのであった

 

 

 

 

Persona5 ~Phantom Thief of Å Villain~

 

 

第5話 friend of the melting snow(雪溶けの仲 )

 

 

 

―――ピロン♪

 

授業中に鳴り響くLINEの通知音―――そう私の携帯だ

 

「稲山、おまえ10日間も学校を休んだろ。その調子じゃ次のテストに困るぞ?」

「………すみません」

 

後輩からの嬉しいアプローチに油断していた事もあり、うっかりサイレントモードにし忘れたと反省しながらも教師の目を盗み画面を開くと昨日、追加されたグループ欄に通知が届いていた

 

喜多川佑介:

『今さらだが新島さんと稲山さんのこと、なんと呼んだらいい?年上の方への最低限の礼儀は必要だ』

 

……うむ、その心意気良し。だが、タイミングが悪かったな

 

稲山椿:『喜多川佑介君、放課後に校舎裏に来なさい』

喜多川佑介:『なん…だと…!?』

 

なにこの子、おもしろい

この文字を打ちながら驚いている姿が目に浮かぶわ

 

新島真:『サイレントにしなかった椿が悪いでしょ?』

稲山椿:『ぴえん』

坂本竜司『ぴえんwwwでも、たしかにな。さんとか先輩?』

新島真:『そんなに気を遣わないで。みんなと一緒でいいから』

稲山椿:『別に年上だからって気を張らなくていいですよ?』

雨宮蓮:『恐縮です』

坂本竜司:『それは堅苦しすぎじゃね?』

高巻杏:『私はもう呼び捨てにしてるよー』

坂本竜司:『マジか、なんかあったんか?』

高巻杏:『女同士の秘密でーす』     

坂本竜司:『ちくしょう、なんか楽しそうだな』

稲山椿:『……性転換する?タイに心当たりがあるわ』

坂本竜司:『いやしねぇよ!つか、こぇよ!』

新島真:『みんなも真と椿でいいから。改めてよろしく』

坂本竜司:『スルー!?スルーかよ!』

喜多川佑介:『では遠慮なく呼ばせてもらおう』

坂本竜司:『ねぇ聞けよ!俺は男でいたいの!』

 

ふふん

今まで同級生や後輩に一歩引かれて話し掛けられていたけど、こういうのも新鮮でいいわね

関わる様になって間もないと言うのに、この気軽さって彼等の本質がそうさせているのかしら?

 

自然と笑みが浮かび上がり、次はどんな風に弄ろうかと端末をフリックしようとした時、教壇から白い弾丸が打ち放たれた

無論、誰の手で如何なる理由で放たれたのかは理解している。だけど、安々と額に風穴を開ける訳にはいかないので飛んできた弾丸を掴み取り、山なりに犯人へと投げ渡した

 

「レディにチャーク投げるなんて酷いです」

「二度目だからな?……次は没収だ」

「は~い、稲山椿。真面目に授業を受けま~す」

 

だが、私が悪いのは間違いようのない事実なので大人しくしていようと思い最後に蓮君から話しの流れを無視して書かれた『放課後、アジトに集合』に『かしこま!』と返信するのであった

 

 

「さて、カチコミますか!」

「いや、俺ら怪盗団だから!?殴り込まなねぇよ!」

 

怪盗団としての初陣

気兼ねない後輩のツッコミを小耳に私達は敵地【カネシロ銀行】の前に立っていた

 

「怪盗とは常に慎重に、そして大胆に行動する者だ。」

「ふふ~ん。なるほど…ご教授ありがとうございます、せ・ん・ぱ・い?」

 

無論、攻め方は怪盗団風に……間違ってもトラックでの正面突破などはしない

まぁ、今時トラックでエントリーするカチコミも時代遅れかな?

さてはて、常識外の異形とのドンパチですから獲物は必須。

流石にチャカを持ち出すのは骨を折りますから手軽に投げナイフとか持って来ましたが、まさかパレスではモデルガンが本物として認識させる事が出来るとは盲点でしたわ

 

「ねぇ、私の事はなんて呼ぶの?コードネーム使っていたわよね?」

「察しが良いな」

「レベルたけーな、今回。『肩パット』とかかな?」

「着眼点ダメすぎるだろう……なんかあるか、ジョーカー?」

「……クイーン」

「クイーン…いい響き。気に入ったそれでいいわ」

「なら椿はどうするよ?」

 

ナイフを弄びながらも認知世界に付いて思いを馳せていると竜司もといスカルからコードネームに付いて打診されていた

 

「ん?なんでも良いですよ。あっ!でも『マフィア』はダメ。あれは仁義に反する者達ですから」

「仁義?……う~ん…どうするジョーカー?」

「………レディ」

「お嬢、ね……安直だけど、まぁいいわ。決める事決めたし、今回の作戦を説明してくれる?」

 

ナイフを太腿の収納ケースに収め、腕を伸ばしストレッチしながら怪盗としての先輩達にどんな絵を書いているのか確認してみるとスカルとパンサー、モナは首を傾げていた

 

「さく、せん?」

「え?ないの!?怪盗って無策でやっているわけ!?」

「えっと…とりあえずこの辺りを見て回ってなんかあったらナビして、それで…」

「ジャドウがいたらブッ飛ばす!」

「ふふん、まるで鉄砲玉だわ」

 

まぁ、高校性の考える事だから碌な事は考えていないとは思っていたけど出た所勝負だなんて……そりゃ、撤退時に待ち伏せされますわ

真もといクイーンと顔を合わせれば苦笑がこぼれる。いくら彼等が先達者だったとしても私達にもやれることがある

 

「まぁいいわ。役に立てそうな気がしてきた。私の役目はモナの情報を分析して指示を出す。ブレインってことね」

「ふふ、知恵を出すのであれば多角性を持たせた方がいいわ、クイーン。……私なら奴らが考えそうな事、アウトロー側の心理が想像出来るわ」

「なら私が正当性、レディは意外性の心理分析が出来るわね……異論は?」

「ないっす!クイーン!」

「スカルって絶対尻に引かれるよね」

「ふふ、確かに。じゃあモナ、ナビを初めてくれます?前回と同じ方法で昇れて来れたのに正面玄関が封鎖されている。……入れないのに招き入れられている。しかし目立った出入口は正面玄関のみって事は、中に通じる脱出口もしくは別経路がある筈だわ。差し当たってはあそこの『金のブタの像』が怪しいわね?」

「は、はいっす!レディ!」

「こっちもか…」

 

さてはて、稲山組組長の孫娘ではなく心の怪盗団『ファントム』のブレインとしての初陣!華々しく飾ってみましょうか!

 

 

 

 

―――と言って張り切ってみたモノの正面切ってカチコミしているのではないので隠密にアンプッシュがメインの効率重視がメイン

個人的には鬼っぽいシャドウの歯応えの無さに物足りなさを感じるけど、それは怪盗団の連携がうまく取れている証拠。画家がいない無策者集団だと思っていたけどむしろ、異形との戦闘に慣れない私達のフォローまで入れてくれるあたり、手放しで讃頌を送るわ

 

「流石は世間を賑わせている怪盗団。必要最低限な戦闘だけを行って相手に余計な警戒心を抱かせない、踏んできた場数が違うわね?」

「謙遜する必要はないぞ、レディ。……正直、2人がいなかったらもっと消耗していただろう。流石は怪盗団のブレイン達だ」

「ふふ~ん。褒めてもチュールしか出てこないわよ?」

「……何故だか知らんが、吾輩を馬鹿にしていないか?」

 

モナをおちょくりながらも現実では見る事の無いEVに乗り込み下へと降りていく

浮いていた島?…カネシロ銀行の外観を考慮しても突き抜けているのではないかと言う程に下って行く。パレスと言う異空間ならではの常識外れな出来事に最早なんでもありだな~と改めて自分が体験している異常性に感心すらしていた

 

「しかし、本当に面白い存在よね。シャドウって?」

「どうしたのレディ?」

 

パレスだけではない

行く先々で打ちのめしてきた敵であるシャドウに思いを馳せているとパンサーが手持ち房だったのか声を掛けて来た

 

「モナ曰く、シャドウって存在を歪められパレスに取り込まれた存在だったわよね?」

「え?う、うん。私も上手く分かっていないけど、そんな感じだった気がする」

「心理学上、シャドウって自分自身を否定し抑制しながら表から遠ざけ無意識の領域に追いやった自己自我の事を言うわ。」

「え、心理学?」

 

馴染の無い単語に仮面で判りにくいが目を丸くするパンサーは可愛い…じゃなくて

 

「そう。その事を踏まえて私が思うに無意識可に追いやった領域って言うのが『パレス』。そして制御が外れた自己自我がシャドウになると考えた」

 

追いやったとしても本人の本質は引き継いでいる。

だからパレスには本人の『色』が反映され、世界を自分色に染めたシャドウはその領域の王となる

 

「シャドウが面白いとは……しかし、制御が外れた感情など危険でしかない。……俺は少なくとも『面白い』とは思えないが?」

 

私達の会話を聞いていたフォックスが難色を示しているけど、芸術家でもある彼なら共感できる所もあるかもしれないわ

 

「制御が外れた感情って言わばその人の『欲望』よ。それも純度100%の飾り気無しの『欲望』。『色欲』『保護欲』『金欲』どれでもいい。その人が遠ざけたい隠したいと無意識に追いやったその人たる『心』。それがシャドウと言う形になっているなんて面白いし、綺麗だと思わない?」

「……ごめん、私には難しくてついて行けない」

「ならば『ペルソナ』と『シャドウ』は本質的には同じと考えられるな」

「え?フォックスわかるの!?」

 

頭を抱えるパンサーとは違い、顎に手を当てて検討が付いたのか、将又共感するところがあったのかフォックスは仮面を一撫でした

 

「モナが言っていただろう。『ペルソナ』は俺達の『叛逆の意志』だと。……あの時、抱いた感情は混じりっ気のない俺の本心。己が感情を解き放ち制御した結果『ペルソナ』が生まれた。……パンサーはどうだ?」

「え?……そっか、そうだよね。心の奥で疼いていた叛逆心(気持ち)を表に出したらこの力に目覚めていた。あの時の気持ちは他のどれとも違う本当の私の思い」

「……まぁ、金城の場合は潜んでいた『欲望』が表にも出て来てるけどね?いや、根本の『欲望』が影響を与えているなら……興味深いわ」

「ごめん、もう頭が付いてこないからこの話パスで」

 

頭を抱えるパンサーにニッコリ、私と同じで関心を引いているフォックスには今度、じっくりと話し合ってみたいと思うけど一番、興味深い対象は目の前の彼―――ジョーカー

 

本当に面白い存在

シャドウに『名前を思い出させ』制御し、自分の力に変える事なんて人間業じゃないわ

純度100%の『欲望』を自分に何個も取り入れて人格が崩壊しないなんて在りえない

彼には何かがある。彼にしか出来ない彼だけの力―――

 

「見えて来たわ…ってなにあれ」

 

異形に異界に非常識、シャドウも徘徊する珍道中―――

目下に広がる光景がまだまだ終わりを告げてはいなかった

 

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