完成だああああ!!
以下数回各投稿毎に画像数点添付
返信
@御神苗
うおおおお!かっけーな!
@悟
へぇ、上手に出来てますね。
@シオン
まだまだ拙いけど、よくやってるんじゃない?
@半熟探偵
うちの相棒が見たら喜ぶ出来だな。
@AGE
知り合いの社長さんの言葉を借りるなら、素晴らしい!の一言。
@ATM
ほほう。良く出来ているな。しかし日々の精進も忘れぬようにな!
@世界の中心
これは良いものだね?
@セカンドマン 20XX年5月XY日
悲劇が起きた。神よ、俺が何をしたorz
その後の画像を添付
返信
@アキラ
これは、ご愁傷様としか。
@ノア
これはひどいね。
@トニー
めげるなよ。
@ブルース
下手人に天誅を。
@ながみち
……うん、気を落とすなとしか。
@MT
これからどうするかは君次第だ。
唐突だが、心が折れる音、というのを聞いたことがあるだろうか。
実際にそんな音が鳴るという訳ではなく、何か絶望的なことで心が屈してしまう時に聞こえるという、文学表現の一つである。
だが、俺は今この瞬間、確かにそれを聞いた。
具体的には、プラモデルが砕ける音だった。
それは周りの騒音など無いかのように俺の耳へと飛び込み、脳を震わせ、次の瞬間、俺の中から感情という感情が抜け落ちた。
膝から崩れ落ち、呆然と残骸を見つめる俺に、消えた感情の空白を埋めるかのように記憶達が呼び起される。
発売されたのを知り、買いに走り、組み立て、改修し、塗装し、現状で出来るだけ心血を注いで完成させるまでの記憶の数々。
それらと共に、この悲劇が起きた原因も思い出される――。
事の起こりは、ほんの数分前に遡る。
夕食後に俺と織斑の寮室に突撃してきた来客がそもそもの発端だ。
その時織斑は漫画を読んでいて、その傍らで俺は完成した“蒼獅子”という名のロボットのプラモを携帯端末で撮影していた。
「楽しそうだな、鼻歌まで歌って」
「まあな。やっと完成した力作だからな」
IS学園に来て初めて完成した作品なので、記念的な意味もある。
そうでなくても、入学の準備で忙しい時期に暇を見つけてフライング販売したのを運良くゲットできたものだからして。
好きなラノベのシリーズに出てくる、劇中で最初に主役が乗った機体であることもあって楽しみにしていたのだ。
持てる技術の粋を集めて作ったのだから、愛着も湧こうというもの。
因みに撮ってる写真は、“セカンドマン”というアカウント名でやっているSNSに投稿予定である。
日々のあったことや思ったことを呟いたり、他のユーザーと絡んだりできるサービスなのだが、こうして時々作ったものの画像をアップロードしている訳だ。
感想なども貰え、今回もどういった内容で返信が来るのかというのも楽しみだったりする。
と、アングルやポーズを変えて撮影し、それらをネットに上げていると、何やら部屋の外から騒々しい足音が聞こえてくる。
どうやら複数人の足音らしいく、それはこちらに近づいてきているようだ。
そして、
『一夏ッ!!』
勢いよく開け放たれた寮室の扉から対照的な外見を持つ、二人の女子が突入してきた。
一人は日本の女子平均身長より高く、メリハリの利いたスタイルのポニーテール少女、篠ノ之箒。
一方、日本の女子平均身長より低く、メリハリの少ないスタイルのツインテール少女、凰鈴音。
この二人が異口同音に我が同居人の名を叫び、本人に詰め寄った。
「ど、どうしたんだ? 二人とも突然」
織斑がいきなりの二人の訪問に首を傾げて問うた。
「どうしたじゃない! 貴様、鈴が酢豚を作れるようになったら毎日作ってもらうと約束したそうだな?」
「え? あ、ああ、そうだな。そんな約束もしたな」
「ちゃんと覚えてるようね」
うんうん、偉いわ、とでもいうかのように織斑の返答に頷く凰。
……ここで既に悪い予感を感じ取ってはいたのだが、それがどういう風に当たるかを予想できなかったのが悔やまれる。
「それがど、どういう意味か分かってるのか?」
「うん? どういう意味って、……毎日酢豚を奢ってくれるって事だろ?」
「え?」
「は?」
傍で聞いていた凰が呆然とした表情になったが、蚊帳の外だった俺も同時に同じ顔をした。
「あの頃はバイト帰りとかに毎日鈴の家でご飯食べていたからな。通常価格よりも安く食べさせてくれたから助かったぜ」
……おい馬鹿織斑こら。それ意味が違ッ!?
昨日のコイバナ事情聴取の過程で明らかになったことだが、凰の家は昔、中華料理の店をやっていたらしい。
だが両親の離婚を機に店を畳み、凰自身は母親について中国に帰属したそうな。
その所為で織斑と別れることになり、その逆境を跳ね返すかのように中国で出会ったISでその才能を開花し、一年足らずで代表候補までになり、今に至るのだそうだ。
しかし問題はそこじゃない。織斑が約束の意味をはき違えているのが問題なのだ。
「ふん、やはり勘違いしていたか。そんな事だろうと思った」
篠ノ之がそれみたことかと凰を見るが、当の本人のほうは顔を伏せてしまっている。
まさか織斑が一大告白(少なくとも凰自身はそう思っているようだ。それを聞いた二組の連中は俺を含め、皆生暖かい目をしたが)を盛大に勘違いしてたのだからそれも仕方ないことだろう。
中国に行った後、金も地位も名誉もないないずくしだった中学生の小娘が日本にいる織斑に会うには、今のご時世、ISに頼るしかなかったのだ。
それをたった一年で叶えるには、それこそ今の俺には想像もつかないような努力や苦労をしてきたに違いない。
なのにこんなしょうもない勘違いで心の支えだった思い出を崩されたのだ。心中穏やかじゃいられない筈だ。同情に値する。
「まあ最初は雰囲気もあったから、毎日味噌汁を作ってくれるっていうのと同じ意味かとも思ったんだけど……」
『!?』
余裕だった篠ノ之、意気消沈していた凰、そしてそれらを見守っていた俺、その三人が織斑の発言にそれぞれ反応する。
……まさかこの朴念仁が、凰の告白を正確に理解していただと!?
しかし、
「けど鈴がそんなことを言うはずがないなって思い直したんだよ。きっとその時の俺の境遇に同情してくれたから言ったんだろうって。そうだ、もう酢豚は作れるようになったのか? 今度食わせてくれよ」
血の気が引くとはこの事か。今この織斑の台詞には戦慄せざる得ない。
一旦下げてから持ち上げ、更に落とすとか、鬼畜の所業である。俺が凰の立場なら立ち直れない。女性不信に陥ること請け合いだ。
そして何よりも酷いのが、これらの事を無意識に発言しているということだ。
確かに、確かに凰も暴露中にこれは遠回しすぎたと語ってはいたが、ここまで乙女心を抉るようなフラれ方はない。断られるどころか、恋慕の情にすら気づいてもらえない。いや、気付いてもらえそうになったのに、真っ向から否定されるなんて。これなら悪意でフラれる方がまだマシだ。感情のぶつけ所が無さすぎる。
それでも、それでもどうしても溢れるものはあるのだろう。徐々に彼女の目に涙が溜まり、一つ、二つと零れていく。
そして静かに、しかし大きく息を吸い、内に溜まった荒ぶる感情を織斑に叩き付ける!
「一夏の……、一夏のバカああああーーーーッ!!」
心からの叫びを上げ、凰は部屋から走り去って行く。
それを織斑は目を見開き呆然と見守るしかなかった。奴にとってあまりにも突然すぎる事態なのだろうから。
……けどな織斑、事情を把握しているこっちからすりゃ、黙って見ている訳にはいかねえのさ。
「おい織斑、さっさと追いかけろよ」
「……え? あ、いやけど、何がどうなってるんだ?」
本気で分からないといった顔をする織斑。
唐変木、朴念仁、鈍感野郎、そう言った単語が幾つも頭をよぎる。
前々から話を聞いたり、普段の態度だったりから多分そうだろうなとは思っていたが、ここまで酷いとは。
さすがに傍観決め込もうとしても許容範囲を超えている。
だから、
「馬鹿かお前、馬ッ鹿じゃねえのか!? またはアホか!! てめぇ、本当に気付いてねえのか!」
織斑の胸ぐらを掴んで言ってやる。この場で何の気兼ねもなくコイツ言ってやれるのは、第三者の俺だけなのだから。
そう、恥ずかしそうに照れながらも、それでもやってやったんだと満足気に語っていた時の凰の顔を知っている身としては、それを無駄にしない程度には言ってやらないといけないのだ。
「今のはどう考えても告白だろうが! さっきの、いつ、どこで言われた?」
「あ……、ほ、放課後の、校庭の隅の木の下で」
「そんとき、他に誰かいたか?」
「いなかった」
「その木の下で告白したら付き合えるとか、逸話がなかったか?」
「……あった」
「雰囲気、出てたんだろう?」
言葉では返さず、首を縦に振る織斑。
「それにちゃんと答えてやったか?」
「いや答える前に、怒られはしなかったけど、今みたいに急に走っていなくなった」
恥ずかしさに耐えきれなくなったと、凰は言っていた。
言い方が回りくどすぎるし、返事も聞かずに分かれて、そのまま中国に引っ越してしまうから変に拗らせるんだ。まあ、答えを聞いても今のようになっていたんだろうが。
「そんで? 俺が言ったからだけど、ちゃんと意味は理解したよな? じゃあどうするよ?」
「…………ッ!」
織斑は顔を引き締め、俺の手を振り払う。そして凰を追いかける為に部屋から出ようとする。
「言っておくけど、勢いやアイツへの同情で答えんなよ? 失礼すぎるからな。どうなるにせよ、自分の気持ちを正直に言うんだぞ」
「……分かってる」
「ホントかよ。まあいいや、後で殴らせろよ?」
「怖いな」
「女の子を本気で泣かせた罰だ。いいから早よ行け」
「応」
そして織斑は全力で凰を追いかけていく。
青春してるなあ、と思う次第である。生まれてこの方、他人のも含め恋愛事には全く縁のなかった俺ではあるが、気分はもう若者の恋愛模様を温かく見守る中年の気分である。……枯れてないよね、俺?
取り敢えず、俺の出番はここまでである。人の恋路を邪魔したこともなければ、応援することもなかった俺ではあるが、今回は事情が事情なので仕方なし。あとはどういう結果になるにせよ、当人同士で解決していただきたい。これ以上は俺に出る幕なんてないのだから。
なんて、部屋の真ん中でしみじみ思っていると、
「おい貴様」
声をかけられた。篠ノ之だ。すっかり忘れていた。
「ん? どったの?」
その声の硬さから、少し嫌な予感をさせつつも振り返る。
するとそこには、篠ノ之が木刀を構えた姿を見ることができた。
どこから木刀なんて持ってきた? もしかして最初っから持っていたのか? 急な事態で目に入らなかったのだろうか。
「何故あんな……、鈴の手助けになるようなことを言った。前に私にアドバイスをくれたのに!」
いつさ? もしかしてこの前、皆で屋上で昼飯食った時の事か?
「昼飯の時のあれか? あれは事実を言ったまでで、別にお前の為のアドバイスって訳じゃ……、って危ねぇ!?」
……おいおいマジで木刀振り回してきたぞこの娘!
「ちょ、おま、シャレにならねえぞ!?」
「問答無用!」
ていうか俺なんかした? なんで篠ノ之はここまでキレてんのさ。いくらなんでも理不尽だろ。
剣道有段者の攻撃だ。整った場でないとはいえ、素人が容易く避けれるような代物ではない。それを何とか避けられている自分を褒めたくなる。
これ以上に速い剣戟といえば、IS学園の入試の実技で喰らった剣ではあるが、そう考えるとあの時の試験官ってどんだけの実力者だったのかということである。
と、思考がズレたが、気にしないといけないのは目の前の風切音を鳴らしている木刀である。
喰らえば怪我、当たり所が悪ければそれ以上もありうる事態も考慮しなければいけない状況だ。気を逸らしている暇なんてない。
右から左からやってくる木刀を無様なポーズで回避し続ける。
そうして篠ノ之の連撃を避けること数度、それは起こった。
篠ノ之の最上段からの振り降ろしをギリギリで飛びのいて避ける。すぐ傍を木刀が通り過ぎる音に冷や汗をかくが、直後に嫌な音が聞こえた。
反射的に発生源に目を向けると、そこには無残にも木刀で砕かれた俺の“蒼獅子”が。
「あぁ!?」
「む?」
そこで漸く我に返った篠ノ之が動きを止める。
だがそんなことはどうでもいい。既に俺の視線は砕かれた蒼獅子にしか向いていないのだから。
「す、すまん。ワザとではないんだ。ワザとでは」
ワザとなら万死に値する。というよりも、頭が追い付かない。は? 壊れた? まだ完成して三日と経っていないんだぞ。
「また作ればいいだろ? 壊した分は弁償するし、それで許してくれ」
篠ノ之が何か言っている。しかしそれが脳に届いた瞬間、理性で抑える前に感情が爆発した。
「ここから、出ていけぇーーーー!!」
……これに費やした時間と労力と思い出は、金じゃ解決しないんだよ!!
それから小一時間、織斑が返ってくるまで俺はずっと砕かれた蒼獅子を見つめていたという。
ちょっと受け止めきれない現実が辛い。不幸だ……。
世界が真っ白だ。
「ハハ、ヒバリが飛んでら。食ったら美味しいかな……」
「食べちゃダメだよ!?」
いつの間にか寝て起きて、無意識に支度をして、呆然自失としたまま授業を受けて、昼になって漸く自発的に発した最初の一言がこれだった。
今鏡を見たら死んだ魚のような眼を見ることができるだろう。
そう、未だにショックから立ち直れない俺は、自分の席で灰になっていた。
因みに先の発言は、昼食に食ったもの全てに味を感じなかった為である。
これはイカンと頭の隅で警鐘が鳴っているが、今は何もする気が起きない。
「こんな状態の彼、初めて見たよ」
「重症だねー」
隣の都下や、やってきた菊池が昼食を食べながらこちらを心配してくれているが、もう暫くは無理そうです。
「……はあ」
そしてもう一人、魂が抜けた奴がこの教室にいる。
俺から都下の席を挟んだ向こう、二個隣の席で机に突っ伏しているのは凰鈴音だ。
彼女は俺と同様、授業に身が入らず、一日中溜息ばかりついていた。
今も溜息のついでにご飯を食べているような状態だ。こちらもこちらで重症のようである。
どうやらあの後、ちゃんと織斑は凰に追いついて話し合ったらしいのだが、織斑からも詳しいことは聞いていない。その余裕もなかったというのもあるが。
昨日の騒ぎは一年を中心に広く知れ渡ってはいるが、事情そのものは知られていないらしく、様々な憶測が飛び交っているのを風の噂で耳にした。
その影響か、さっきから一組がいつも以上に騒がしいことこの上ない。
どうせ木刀さんとオルコット嬢辺りが、織斑を挟んで姦しくしているのだろう。
因みに、篠ノ之のことは昨日の一件で木刀さんと呼ぶことにした。少なくてもIS学園在学中は変えるつもりないです。ささやかな復讐ですよ。心の小さい奴だと思われようが知らん。
……凰のほうは、あの後何があったか、言いたくなったら言ってくるだろ。それまではそっとしておこう。
お互い、昨日は色々ありすぎた。心の休息が必要なのである。
『……ハァ』
「人を挟んで溜息つかないでくれるかな!?」
いや、ホント、都下さんマジすんません。
で、丸一日かけてなんとか復活した俺は、性能テストに駆り出されていた。
ISではなく、ISスーツの、だ。
IS本体はどうした、と言いたくなるが、色々事情があるのだそうだ。
ISコアの絶対数が少ないこともあるが、そもそもどこの国が俺のISを用意するんだ、というところからもめているらしい。
前例として、既に男で最初にISを動かした織斑にはISが提供されているが、アレは完全に曰く付きのもので、割とすんなりと支給されたのは特例中の特例だったそうだ。
触らぬ神に祟り無し、という諺が頭に浮かぶが、誰もが出てくるものが最大級の厄ネタだと確定してる藪を下手につつきたくなかったのだろう。
その反動からか、バックに何もない誰もいない二番目の男子の方に色々試してみよう、ということらしい。
そしてどういう流れでそうなったかは知らないが、なんと俺自身にスポンサーがついたのだ。しかも複数社。
どういうことかと思うかもしれないが、レーシングチームを思い浮かべてくれればなんとなく納得してくれるのではなかろうか。
俺のIS関連の活動について色々とサポートが入るのだが、IS学園にいる間の三年間を取り敢えずの期間として、そういうことになったのだ。……なって、しまったのだ。
ありがたい話ではあるのだけど、あまり手放しで喜べないのだ。なんせ、話の規模が俺個人に対してデカすぎるからだ。
出資希望社総数、実に四二八。
ISを動かせる男というものの価値はこれまで何度か語ってきたが、これ程かと本気で頭を抱えたもんだ。
とはいえ、それじゃ多すぎるということで、国連やらIS学園やらが厳選し十分の一以下にまで減ったがそれでも多いと思う。
その中でいくつか挙げるとすれば、アーカム財団、ASE、ヴェクター・インダストリー、財団X、鴻上コーポレーション、ブキヤ、I.A.I、IZUMO、篠原重工、四菱重工、シャフトエンタープライズ、スターク・インダストリーズ、ウェイン・エンタープライズ、東亜重工、あと個人出資で寺月恭一郎の名前もあるが、俺に死ねというのか。
ともかく、そのサポートの一環として試作のISスーツ(アウターとインナーの両方)が何着か送られてきたので、それらのデータを取ってフィードバックし、俺にあうものを作ろうということだった。
「どうです、山田先生? なんか良いデータ取れました?」
打鉄に乗ってテスト項目をこなしていった俺は、規則上IS学園に直接企業が入れないので代わりにデータ収集をしてくれている山田先生に通信越しに問いかけた。
『そうですね、中々良いデータが取れたと思いますよ。使ってみた感想はどうです?』
「悪くないっすね。さっきのみたいにこっちの動きに反応しすぎるってこともないですし。ただ装甲の面積が少な目ってのはちょっと不安ですけど」
『成程。ではあと少しで終わりですので頑張ってくださいね』
「うぃーっす」
と、こんな感じでデータ収集は進み、つつがなく終わるかと思った時だ。
「てーい」
いきなり真横から、巨大な刃が襲ってきた。
「っとぉお!?」
危機一髪、弾かれるようにして反対方向へと飛びのきそれを避ける。
中腰の側転から態勢を整えつつ振り向くと、そこには、
「やっ」
見慣れないISを纏った凰が良い笑顔で手を上げていた。
「やっ、じゃねえよ! 危ねぇだろ!?」
「目の前をフラフラ飛んでたから、ついね」
「つい、じゃねぇ!!」
死んだらどうする! と言いたいところだが、シールドバリアや絶対防御があるだろうと言われるだけなのでやめておく。
「……で、いきなりなんだよ? なんか用か?」
「いや、その、別に用があるって訳でもないんだけど……」
「ん?」
歯切れが悪い。人のことは言えないが、まだ昨日のことを引きず……ああ。
「ああ、結局フラれたのか。成程そーいう」
「ちょ、馬鹿! アンタねっ!!」
いきなり攻撃されたんだから、これくらいの意趣返しはさせてもらわないと割に合わんのだからして。
そしてどちらともなく一息吐く。
「……返事はまだよ。けど、その所為でうじうじ悩んでても私らしくないっていうのにやっと気づいて。それで気分転換に身体動かそうと思ってアリーナにきたらアンタがいたから」
「HAHAHA、そんなんで命の危険に晒されるとか、俺ってヤバくね?」
「うっ、悪かったわよ」
ばつが悪そうに謝るので、仕方なしに許してやる。あんまり追及しても仕方ないし。
「それで何してたのよ? なにかテストしてたみたいだけど」
「それがな……」
何をしていたか凰に説明する。
すると凰はニヤリと笑みを浮かべて、
「じゃあ私が相手してあげるわよ。実戦データも取れるて一石二鳥でしょ」
「俺は別にいいけど。……ちょっと確認取るわ。山田先生?」
『はい、なんですか?』
今まで肉声で喋って通信に流していなかったので、山田先生にこのまま模擬戦をしていいか尋ねる。
すると了承を得たので、仕切り直す為に凰との距離を取る。
両者共に戦う準備をしている時にふと、
「そういや、ISでまともに戦うの初めてかもしれん」
と、思い出す。結局これまでに戦ったのって、入試の時以来なんだよな。戦いになってたかどうかすら怪しいが。
『へーそうなんだ。じゃあISにつては先輩である私の胸を借りるつもりで来ていいわよ』
「いやそんな薄い胸を張って言われても……あ」
『あ゛? 今なんて言った?』
拙い。今俺地雷を踏み抜いたわ。
『言ってはならないことを言ったわね。覚悟は良いわね?』
良くない良くない。絶対良くない。
その恐ろしい気配を漂わせる凰から思わず視線を逸らすと、自主練をしていたり観客席に疎らに座っていた女子達全員からギルティコールを貰った。親指を下に向けられるジャスチャー付きで。
……くっそ、味方が一人もいねぇ!
まあ、俺が悪いのは理解出来るので、何も言えやしないんだが。
『死ねぇ!』
などと思っていると、この上なく分かりやすい死刑宣告と共に地獄が始まった。
そして、
「ぎゃああああああああ!!」
四分二十八秒。
それが、俺が全面降伏で土下座までし、食堂の豪華パフェを献上することが決まるまでのタイムだった。
ワンサマには主にガ○ダムや勇○シリーズの企業がスポンサーになってます。