ゲンドウはどうにかこうにか己の計画を前へ進めている、シンジのおかげで上手く行っている訳ではないがおおむね修正できる問題に収まっている。
今日はそんなゲンドウの抵抗、もとい計画の為に宇宙の大陸コロニーのネオドイツから新たなエヴァと共にパイロットが地球の日本へ向かってきていた。
今は地球のドイツに降り立ち海路でネルフに来ているそうなのだ、ミサトは顔合わせと息抜きも兼ねて『豪華なお船でクルージング』とシンジとケンスケとトウジが誘われていた。レイはクローン故に定期検診を受けなければならず今ネルフから出られない。
逆に何故トウジ達が居るかと言う理由は、エヴァとエヴァのパイロットを知ってしまった事、そして次に選ばれるチルドレン候補だからだ、ネルフの好感度稼ぎと言うことらしい。
VOLTに乗り目的の戦艦へ飛んでいく中でケンスケが異常にテンションが上がった、ケンスケはミリオタだった。この反応にパイロット以外は全員ドン引きである。
「おおっ! スゴイスゴイスゴイスゴイスゴイスゴイ!!!」
「うるさいなぁケンス……なんだありゃ!?」
トウジが気になり外を見ると眼下に海面すれすれに大艦隊が進行している所が見えた、その中に天使のようなシルエットの戦艦と言えば良いのか、トウジは戦艦に詳しくないのでかえってそう思った。
「むふふ驚いてるわね、あれは地球連邦軍ロンド・ベル所属アークエンジェル、艦長はマリュー・ラミアスって「マリューさん?!」シンジ君知ってる?」
「知っているもなにもちょいとお世話になったんで、あれは確か……プラントと全面戦争になりかけた時だったかな?」
「うぇっ?! シンジ君何してんの!? プラントとの全面戦争の時居たの?! そんなこと言ってなかったじゃん!」
「言ってなかったっけミサトさん、二年前まで師匠につれ回されて戦場を転々と渡り歩いていたんだ。世界の真実をしれぇい! と強引にだけど、そのあとも個人的に世界を回って理不尽な奴等をぶん殴って来た」
「流石師匠や、シンジも立派な俺の兄弟子やでぇ……」
「トウジ、そこよりシンジが14まで戦争に介入していたことを驚けよ!」
「シンジ君無茶が服着て歩いてるみたいね……あぁそろそろ着艦よ、降りる準備してね……ケンスケくん、カメラ禁止よ」
VOLTがアークエンジェル後方の格納庫へ着艦すると艦長らしき軍服を着た女性がこちらへ歩いてきていた。
「おひさ~、マリュー」
「久しぶり、ミサト」
「うっす、お久しどわっ!? またこのパターン……」
「うそ……生きてる、生きてる……っ」
シンジを見るなりマリューはシンジの顔を両手でベタベタと触ってから抱き寄せ胸元に納めた、本人は無意識にやっているがやられたシンジはあたふたしてしまう。
しかしこうなるもの仕方無いこと、シンジが語ったプラントとの全面戦争になりかけた時にミサトに以前語ったように月にメタルビーストインベーターが現れプラントと一時休戦してまで対処せざるおえない状況になっていた、シンジはそこで胴体と首がおさらばし死んだと思われていた(実際はソレスタルビーイングの最新医療技術で生きていた)が実は生きてましたと言われたらこうもなる。
「「「なんだって! シンジ君が生きてるー!?!」」」
月面戦争以前からアークエンジェルに乗り込む乗務員は幽霊が出たのかと騒いだが実は本当に生きていたと知り腰を抜かしていた。
「シンジ君一体何したの……?」
「ほら、プラントとの戦争の時に月面戦争が始まって俺そこでサイコロステーキになった後会って無かったからさ……うぷぷ」
「あぁそう言う……あの、マリュー、いえラミアス艦長……そろそろシンジ君を離してあげても……」
「ダメです、また無茶をして死ぬかもしれません。私の生きているうちは私の艦に乗る者から死者を出したくは無いです、シンジ君も既にここのクルーです」
「ごもっとも、ごもっともです。しかし思春期の少年と言う点を考慮して離してやってください、彼限界です」
「ぱぁ~思春期を殺した少年の翼ってしゅてき~」
「遂に訳の分からないことをいいよったでアイツ、あれは男にはキツいわ」
「むにむにか! むにむになのか! 写真とってレイに見せるぞ!」
中学生に大人の女性は刺激が強すぎた、ただでさえそう言う方面に馴れていないシンジは真っ赤に燃え上がっていてさながら夕焼けに照らされる空である。
マリューはやっと己のやらかした事を認識にムウには内緒ね? とミサトに釘を刺す、良くマリューをからかう男なので知られると面倒なのだ。
「俺復活、マリューさん、改めてお久しぶりです」
「シンジ君も生きてたなら早く連絡くれれば良かったのに……全くお姉さん泣かせね」
「え? でもお姉さんって歳「シンジ君ストップ、マリューは怖いわよ」うっす!」
その後は談笑しマリューとミサトは久しぶりにあった友人らしくお互いの近況報告や載せているエヴァについて話していた、もちろん互いに組織の機密を話すわけはないが、それにスレスレの内容や一部では公然の秘密と化したネルフをネタにしていたのでもし互いの組織のトップがこの場に居たら速攻首が飛ぶ。
シンジはトウジやもう我慢しきれないケンスケをつれて船内をぐるぐる巡っていた、船内は気密性が高く宇宙空間でも動きやすいように可動式の手すりなど、軍人じゃないと見れない設備の数々は興味が無かったトウジすら惹き付けていた。
「シンジってのは、あんた?」
船内の休憩スペースで落ち着いていた三人にふと声が掛かった、声を掛けたのは赤い服の少女、名指しされたからにはシンジが対応するのが道理なのだがその少女は誰がシンジかも分かっていないのか、トウジに一発かましていた。
「シンジってのはあんた? そこに『おすわり』してね」
「誰がそんなことするかいな……え? なんで俺は座ってるんや!?」
「何よ、そんなので良くもまぁエヴァのパイロット続けれたものねぇ?」
そう言う彼女の瞳は鳥のシルエットが光っていた、シンジはすぐに何をしたか理解しトウジを立ち上がらせこの少女に対し嫌悪感を露にしていた、理不尽は嫌いだ、ギアスなんて最たる例だ。ギアスで理不尽に立ち向かったルルーシュ、もとい黒の騎士団のゼロのように反抗ではなく相手をバカにするだけの手段に使う事が許せない。
「あんたなんだ? ギアスを使うようだが、友人を、トウジをいじめてくれるなよ。その力はそう使わないんだ、そう使っちゃいけないものだ。出身はどこだ? ブリタニアか? クソ皇帝の手下の生き残りか? ん? おうっ! きいてんのかよ!」
「私はアスカ、式波・アスカ・ラングレー、『無理に覚えなくて良いわ』」
「そうかよならそうしてや……チッ、ギアス使ったな。頭から離れねぇ」
「私のギアスは『反転』対象はなんでもひっくり返るのよ、無機物有機物関係なく、人の思考や意識でさえもよ。『クソみたいでしょう』?」
「あぁもう止めろ! そんな素敵な能力をポンポン使うな! ……またやったなこんちくしょう!」
なんたる侮辱か、シンジは怒りが頂点に達しようとしていた。このまま行けば男女平等鉄拳制裁待ったなしである、しかし相手がギアスの種明かしをしてくれたのは大きい、以前ギアス持ちとの戦闘を経験したシンジはアスカのギアスを無効化出来る方法を思い付いた、要は精神に影響するのだから精神を強く保ち相手の反対の事を思い浮かべる。
するとそれは一周回って元に戻る、そんな無茶な、と思っても師匠直伝の精神集中法を用いれば何とかなる辺りチートじみた老人なのだとシンジは再認識した。
「『エヴァに一生乗って』人生を過ごせば良いわ」
「言われなくとも『エヴァに一生乗って』やるよ……もう効かねぇからなぁ?」
「あんたがシンジね……嫌い過ぎて顔も確かめなかったから丁度良かったわ」
「いいさ、俺もてめぇが大嫌いになったんでな」
シンジはアスカは敵だと認識した、下手な使徒より警戒心を抱いている。
置いてけぼりのトウジとケンスケはこの雰囲気は胃が痛い、逃げたいが逃げたら殺されそうな予感までしていた。しかしどんな時も諦めなければ救いの手は差し伸べられるものである。
ミサトがゆるーくアスカとシンジの間に割って入る、助かったトウジとケンスケは心からミサトに感謝した。
「あららー、せっかくの感動の再会なのに地獄みたいね。アスカはそれ止めなさいって前から言ってるでしょ?」
「なんだミサト『相変わらず荒れた肌』ね」
「ん? あら、ちょっとお肌の調子が良くなったわ、サンキューアスカ。シンジ君、その子は聞いてると思うけどアスカよ、新しいエヴァのパイロット。受け継いだギアスのせいでアスカ自身が『反転』してるから問題起こしても許してあげてね? 基本的には良い子よ」
シンジは知らぬ事とは言え自分もまた理不尽に怒ってしまった事を謝る、されたくないことは人にもしたくない、間違えば謝ることは師匠からビッチリ仕込まれた礼儀と言う面もあるがこれがシンジの生き方だ。
「なんだそうだったのか。知らないとは言え悪かった! 本当に申し訳ない、しかしトウジに仕掛けたり俺に仕掛けたりしたのはなんでだ?」
「アスカなりの友好的な挨拶よ、ちょっかいは気さくな挨拶って考えてね、反転ってそう言うことよ」
「ずぐっ……泣けるでぇ式波さん……っ!」
「でも、式波さんなりの挨拶なら仕方無いよね、大丈夫大丈夫僕ら人類は文化の違う宇宙人、ゼントラーディとだって分かりあえたから(震え)」
可憐な見た目と裏腹にニコニコ毒舌を吐く天使と悪魔の混在する女、式波・アスカ・ラングレー。トウジとケンスケは畏怖するが、シンジはミサトが言った感動の再会と言う言葉にやけに気にかかる。アスカとどこかで会ったのか? 自分の記憶を辿ってもそれらしい人物には思い当たらない。
トウジとケンスケはミサトがアークエンジェルのブリッジを見学が出来ると言うとほいほい付いていった、シンジとアスカは既に知っているので興味を示さなかった。
シンジは二人きりになったこの時を使って先程のミサトの発言、冗談の可能性が高いが気になって仕方無いので遠慮しつつ尋ねてみた。
「えっと……アスカさん、どこかで会いました?」
「アスカよシンジ、シンジは覚えてないの? シンジには『思い出せない』よね」
「うぅ~ん……あ、なんだか思い出せてきた……もっと強めにギアス頼む」
「なら絶対シンジは『知らない』! 『知ってるはずがない』どう?」
「……なるほど、ネオドイツのガンダムファイターの弟子だったような……あっ! 思い出した! 久しぶりだな! もう五年も前なのに良く覚えてたな! 交流試合振りか我が友『惣流・アスカ・ラングレー』! なんで式波になったんだ?」
「式波になったのはもう二年前よ、それより私を思い出してくれたようね」
「あぁ、スッキリ思い出した。昔から演技してたんだよな、ギアスのせいにして反転したーなんてシュバルツ先生の修行受けてたらそんなこと起きないだろ?」
「もっちろん! ていよく相手の悪口言えるから便利よこの設定、シンジには出来るだけ素で接したいからそんなことしたくないけどね、昔からギアス持ちってだけで人は忌み嫌うから可哀想な子を装うことが一番手っとり早かったのよ、シンジの友達二人もそうだったでしょ?」
二人の本当の初対面は五年前の事だ、シンジが東方不敗と武者修行の旅の中で地球のドイツに立ち寄った際にネオドイツのガンダムファイターのシュバルツブルーダーとその弟子のアスカと出会った。
シュバルツと東方不敗はドモンを通した知人だったので連絡を取り合うこともしばしば、その中で互いの弟子同士を戦わせようと言う流れになりシンジとアスカは拳で語り合った。
ゲルマン忍術と流派東方不敗、教わる流派と師匠は違えど少年少女の実力は拮抗、技を尽くし知恵を尽くし意地と根性で限界まで踏ん張るが結局は両者は無理をしたため気絶、引き分けに終わった。二人は互いの健闘を称え拳交えたライバルとして認めあった。
彼らは生まれや境遇から当時九歳で同年代の友達というものが居なかった二人はいつまでも忘れない友達でありライバルでいようと約束をしていたのだ。
シンジは忘れていたがアスカはしっかり覚えていた、シンジがまさかエヴァに乗るとは思ってもいなかったアスカはシンジまでこの醜い大人の世界に来てしまったと憤慨しシュバルツがいさめるまで怒りが収まらないこともあった。それだけ大切な存在とアスカは思っている。
「約束してたのに忘れていた俺は情けない」
「気にしないでよ、それより旅の事が知りたいなぁ」
「良いぞ、師匠との濃い旅の一部始終を覚えている限り話そう」
本当の意味で再会した二人はお互いに話していた、互いに運命に翻弄される身、互いの師匠から抗う力を得ても安息は必要だった。しかし使徒は時を選ばない……
アスカ大改変!原型残さずぶち壊し!こいつはいけねぇ!(自戒)