【本編完結】君へ捧げる物語~北宇治高校文芸同好会へようこそ~   作:小林司

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     吹奏楽部 関西大会銀賞

 

 

 

『プログラム12番、京都府代表、北宇治高校吹奏楽部。課題曲Ⅳ番に続きまして、自由曲 北からの子守歌、指揮は園田 涼子(そのだりょうこ)です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと。言いたいことは山ほどあります。正直、銀賞というのは納得出来ません。でも、私たちは今日、最高の演奏をしました。全国へ行ける明静工科(みょうじょうこうか)立華(りっか)に負けない……いや、それ以上の演奏をしたと思います。結果は残念だし悔しいけれど、この悔しさを忘れずに。今日はみんなお疲れ様でした」

 

部長の黒田(くろだ)さんの挨拶に、盛大な拍手が捧げられる。

 

それを見て、思わず泣きそうになる。

 

「では、園田先生から」

 

でも、私の番だから泣くのは後、我慢しないとね。

 

「皆さんお疲れ様でした。言おうとしてたことは黒田さんが言ってくれたので、私からは一言だけ。演奏、楽しかったですか?」

 

そう問いかけると、一斉に返事が来る。

 

「はい!」

 

「楽しかったです!」

 

「最高でした」

 

部員全員を見渡し、頷く。

 

「良かったです。3年生は昨年の先輩より少し早い引退になりますが、これから進路決定に当たって大切な時期となります。頑張ってください」

 

「はい!」

 

3年生の部員より返事が来る。

 

「えっと……松本(まつとも)先生からは?」

 

隣に立っている副顧問の松本 美知恵(みちえ)先生を見る。

 

「いえ。私の言いたいことは二人が代弁してくださいましたから何も」

 

そうですか……。

 

では、私が締めれば良いのか。

 

「それではバスに乗って帰りましょう。疲れてると思うけど、家に帰るまでは気を抜かずに! オッケー?」

 

 

私が顧問になって3年目となる今年。北宇治高校吹奏楽部は、関西大会銀賞で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日放課後、部活の時間。

 

音楽室には、1年生と2年生だけが集まっている。

 

「皆さん、昨日は本当にお疲れ様でした」

 

本来、進行は部長の役目だけど、3年生は引退したから2年生の新部長が決まるまで、顧問である私が務める。

 

「今日、練習はお休みですが、来年に向けての体制作りを行います」

 

振り返り、黒板に向かう。

 

チョークを手に、『全国大会金賞』と書く。

 

「これが今年の目標でしたね。私も、引退した3年生も、来年こそこの目標を達成して欲しいと思っています。そのための新体制として、黒田部長から新しい部長が指名されています。これからは新しい部長に進行をお願いします」

 

そう言って教壇から降りる。教師の出番はここまでだ。

 

「部長に指名されました、加納 沙也(かのうさや)です」

 

私と入れ替わりに、加納さんが教壇へ上がる。

 

黒田部長他、パトリ全員からの指名だった。

 

もちろん、これらの人選に私は一切口出ししていない。

 

「反対意見ありますか?」

 

加納さんの声に、返事はなかったが代わりに大きな拍手が起こった。

 

「ありがとうございます。次は、副部長です。指名されているのは……誰?」

 

誰も反応を示さないので、加納さんが室内を見渡してから、私を見る。

 

おーい。新部長困ってるよー。

 

彼女はその様子を楽しんでいたのか、ようやく動き出し、教壇へ上がる。

 

「副部長に指名されました、堀田 彩花(ほりたあやか)です」

 

「あやちか。びっくりさせないでよ」

 

「ちょっとからかっただけだよ」

 

相変わらずな2人。

 

でも、この2人なら大丈夫。来年はきっと全国大会へ行ける。

 

それに、金賞だって狙える。

 

 

 

 

 

そう思っていた。

 

 

 

 

 

この時は……。

 

 

 

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