【本編完結】君へ捧げる物語~北宇治高校文芸同好会へようこそ~ 作:小林司
吹奏楽部の方は、オーディションが終わったのだろう。
しかし、俺はいつもと変わらない日々を過ごしていた。
オーディション1日目・2日目、その翌日も、普段と変わらず防音室の予約対応に追われていた。
休みを挟んだ月曜日。今日が結果発表の日らしい。
さて。
放課後、いつものように部室へ来た。
「あれ?」
しかし、扉の鍵は開いていなかった。
つまり、室内に先生は居ない。
ここ最近不在の時が多いんだよな……。
先生は一体何をしているのだろう。と思うけれど、先生だって当然仕事があるのだから仕方ない。
鍵を借りに職員室へ向かう。
『職員室』
「失礼します」
……案の定、
「図書館閉架書庫の鍵を借りに来ました」
声を掛けて入室するが、先生は仕事に集中しているようで、机のプリントから目を逸らさない。
というか、もしかしたら吹奏楽部顧問に両隣を挟まれているから、居心地が悪いのかもしれない。
なんと言っても今日はオーディションの結果発表の日だからな……。
借りる物を借りたらすぐにこの場を去ろう。
「あ、金山ちょっと良いか?」
世の中思い通りにいかないものだ。
滝野先生が呼んでいる。
「はい」
滝野先生のところへ行く。
窓際。西尾先生の隣の席。
「お前、今日の授業のプリント、提出してないだろ」
「えっ。プリントですか?」
後ろの席から前へ回しながら回収されたから……。
「提出したはずですよ」
「そっか。じゃあこの無記名、お前か」
無記名だって?
「ほれ」
先生が差し出してきた紙を眺める。
今日の社会のプリントだ。
見慣れた文字が並んでいる。
一番上の欄は、真っ白だった……。
「俺のです。ごめんなさい」
「良いって。ほれ、ペン貸すから今すぐ書け」
先生に借りたペンで名前を書く。
「はい。お願いします」
ペンと一緒にプリントを差し出す。
「オッケー。これ、テストだったら0点だからな……」
「はい」
「って、一度言ってみたかった」
言っただけかよ。
ふと、目線を移すと、音楽の先生方は居なくなっていた。
園田先生まで音楽室に行くってことはないだろうから、部室に行ったのか。
俺は何しにこの部屋に来たんだろう……。
「そういえばさ、お前兄弟居るの?」
「へ? あ、妹が一人」
落胆していたところ、唐突に飛んできた質問に、一瞬うろたえてしまった。
「妹っていうと、この間大吉山行ったときに、一緒にいた子かな?」
「あ、はい」
そうだ。あの日大吉山で会ってる。
「名前は?」
「ゆうきです」
「えっ? ポケモン?」
何を言いだすのこの先生……。
「ポケモンって、どういう意味ですか?」
「知らない?
ハルカ・ユウキ……。
俺たち兄妹の名前と一緒……。
「確かに……」
「だろ? まあ、親御さんがどういう思いを込めて名付けたか、俺には分からないけど、
ゲームかぁ。
俺はどちらかといえば、ゲームっていうより、その年頃には既に物語を書くのに夢中だったからなぁ……。
クラスでそういった話題になったとき、ついていけず孤立しそうになったけど、橋渡し役になってくれたのが書いた物語だった……。
「どうした? 金山」
おっと。ぼうっとしていたようだ。
「すいません、昔のことを思い出してました……。あ、そういう先生は?」
「えっと、なんの話だっけ?」
「兄弟は居るかって話」
「ああ。俺も妹がいるよ、ここの卒業生だ」
「仲良いんですか?」
「ああ。今も一緒に暮らしているぐらいには……」
妹と同居? 同棲と言った方が良いのか?
「妄想は勝手だが、変な関係じゃないぞ。ただ単に、俺が北宇治に赴任するときに、さやかがこっちの方が近いでしょ、って同居勧めてきただけだし。第一、旦那居るから」
マジが。妹さん凄いな……。
ちゃっかり、家賃光熱費折半とか、条件出されてそう。
「時間あるときに音楽室準備室行ってみな。たぶん写ってる写真あるから」
俺に音楽準備室へ行く用事が有るのだろうか?
そう思いつつも、滝野先生の妹さんの顔を見てみたいとも思っている。
さて、遅くなってしまったが、部室へ行こう。
滝野先生はここまで詳しく言っていませんが、『ユウキ』が男の子で、『ハルカ』は女の子です。
なので、確かに兄妹と名前が同じですが、性別は逆なんですよね……。
前にもこの場でお話ししてますが、私の場合、サファイア で遊んでた世代です。
リメイクは、社会人になってからですね。
個人的には、ポケモンのゲームでは、一番遊んだシリーズだと思います。
トクサネシティーの宇宙センターで、『ロケットにミスは許されない』みたいなことを言う人がいますが、まさか私がそういう仕事に関わるなんて、当時は想像してませんでした。
ちょっと話し込んでしまいましたが、まあ、一番思い出深いゲームですね。