【本編完結】君へ捧げる物語~北宇治高校文芸同好会へようこそ~ 作:小林司
課題曲と自由曲合わせ12分。
北宇治の演奏は、あっという間に終わった。
会場が
何というか、上手い例えが見つからない。
まとめるなら、『凄かった』この一言に尽きる。
「……」
「……」
『チームほたか』のメンバーは、互いに言葉は交わさない。
交わすのは、ハイタッチだけ。
しかし、
演奏が終わったからには、楽器の撤収が待っているのだ。
「そっち先に積んで!」
演奏を終えたばかりの部員たちが、声を掛けながら積み込んでゆく。
「お、金山。演奏どうだった?」
早速、声掛けられる。
「最高でしたよ。でも
凄い演奏だった。
しかし、早く搬出を終えなければならない。話は後だ。
「厳しいねぇ」
さて、次は何を載せれば……。
「あれ? 誰か
えっ? あ。確かに日比野先輩がいない。
「誰かが、
関西三強の一つであり、北宇治が全国大会に進むために倒さなければならない学校の一つでもある。
野球部も強い。今夏の甲子園の北大阪代表だった。
「そういえば、
「あ、確か泣きながら走ってる人を見たとか? あれ、
「目元真っ赤な子がいたけど、そういうことなのか」
話がどんどん拡大していく。しかし、肝心な日比野先輩に関する情報が少ないけど、何があった?
「
「うん。準々決勝まで進んでたね」
「エース山本のピッチング、凄かったよね」
おいおい。話が脱線してるぞ。
日比野先輩の話は
「あ、日比野戻ってきた!」
白沢先輩が声を上げる。
先輩の目線を追うと、日比野先輩が、人混みを掻き分けながら歩いてくるのが見えた。
「噂をすれば何とか、か。何処行ってたんだ?」
「噂してたのかよ。
弓……?
「弓って、コンバス演奏するための、あの弓?」
「そうですよ。弓が無ければコンバスは演奏出来ないからね。まあ、ピチカートという手段も有るけどさ……」
ピチカート……?
俺には謎な会話が続く。
「弓は、コンバスを演奏するための弓ね。はるかも分かるよね?」
「えっ? はい」
いつの間にか、俺の横に
「ピチカートとは、コンバスの弦を、指で弾いて演奏することね」
なるほど……。
疑問が解決した。
「まあ、あの曲なら、本来弓で演奏すべきだから、忘れたのは致命的ね。顧問の先生が怒るのも、奏者が泣くのも納得だね。近ければ取りに帰れるけど、ここじゃあそうもいかないしね」
確かに。
うちでさえ2時間掛かってやって来たんだから……。
撤収が終われば、解散となり、表彰式まで自由行動となる。
今は6番目、滋賀県代表のマキノ商業高校の演奏中。
ロビーへ戻ってくると、ホールから拍手が聞こえてくる。課題曲が終わったようだ。
少し間を置いて自由曲が始ま……らない?
それどころか、ざわめき声が聞こえてくる。
俺が今いる場所からは、ホール内の様子が確認できない。何が起きているんだ?
……通常より長い間を置いて、ようやく自由曲の演奏が始まった。
マキノ商業の演奏が終わる。
「次、
「じゃあ、急がないと!」
「席空いてるかな……」
「先輩、一緒に行きましょう!」
殆どの部員が
北宇治の次に演奏した、滋賀県代表のもう1校、
流石、三強の一つだ。みんなが聞きに行こうとしている。
『続きまして、プログラム7番。大阪府代表、大阪
アナウンスがあった。
そして、
さて、俺はどうしよう?
ノートパソコン(私物)を持ってきているから、執筆は可能だ。
この建物内には喫茶店があるが、さっき近くを通ったら、かなり混雑していた。
確か、近くにも喫茶店があったよな……。
一応、『関西三強』等の学校は、原作に準拠した学校を使っています。
それ以外の学校については、ここ数年の関西大会出場校を基に、それらしい架空名にしています。