【本編完結】君へ捧げる物語~北宇治高校文芸同好会へようこそ~ 作:小林司
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このお話は過去をいじくり回したお話なので、賛否両論あるかもしれませんが、お楽しみいただけると幸いです。
入学式から数えて3日目。
今日から本格的に授業が始まる。
「起立。礼。着席」
チャイムと同時に授業開始。
1限目。日本史。
「それじゃあ、まずは自己紹介しとく。先生は、
昨日、二回目に職員室に行ったときに会った先生だ。
隣のクラスの担任だったか。確か、
「それじゃあ名前の確認を兼ねて出欠取るぞ。
呼ばれた順に、大小様々な返事が起こる。
「
「はい」
俺も名前を呼ばれ、返事をする。
……あれ? 先生の反応が普段と違う。
いつもなら、ここで『あれ? 男の子だったの!』という反応があるんだけど……。
「
おお。ちゃんと
もしかすると、西尾先生から何か聞いているかもしれない。
チャイムが鳴る。
「はい。今日はここまで」
と言っても、今日の授業はオリエンテーションだった。
「起立、礼。着席」
「ありがとうございました」
授業が終われば、10分の休み時間。言い換えれば、次の授業への準備時間となる。
しかし、高校生となると、この時間の捉え方は、前者の方が多いだろう。
現に、教室は騒がしい。
「さっき滝野先生から聞いた話だと、先生が生徒だった頃にも、滝先生と松本先生は居たらしいよ」
松本先生……。あの白髪が目立っていた先生だ。
「えっ? 吹部顧問の先生?」
「そうそう。粘着イケメン
ん? 変なあだ名が聞こえてきたぞ……。
「でも、厳しいけど指導力は本物で、吹奏楽部を前年府大会銅賞から、全国大会出場まで押し上げたって」
「全国大会で金賞取ったあとも、毎年全国に進めてたって」
「北宇治が強豪校と言われてたのはその頃か」
「そうそう。でも、滝先生が転勤になって、コロナで大会が中止になって、そこから駄目になったらしいよ。府大会銀賞とか言ってた」
「それを再び立て直して、再び全国大会に連れていったのが、
ん? 園田先生って言った?
その話、詳しく聞きたいな。と思ったらチャイムが鳴った。
「お前ら、高校生になって時間も守れないのか。全く、呆れたものだな」
チャイムと同時に扉が開き、先生が入ってくる。
開口一番、今の言葉が飛び出した。
なんと、さっきの会話に出てきた軍曹先生こと、松本先生だ……。
2限目。現代文。
「私は、松本
おお……。
教室が静まりかえった。
吹奏楽部の顧問らしい話が聞こえていたから、音楽の先生だと思ったけれど、違うのか。
「早速だが、出欠確認をする。名前を呼ばれたら返事をするように」
確かに厳しい、というか、しっかりとした先生という印象だ。
「赤池 秀夫」
「はい」
「阿久比 尚美」
「はい」
「石刀 真紀」
「はいっ」
ほれ。声が裏返る奴もいる。
「
「はいっ!」
また裏返った。
そんなに怖いかな……?
「金山 はるか」
「はい」
返事をすると共に、先生と目が合う。
目を細められた。
いつもの……いや、睨まれている?
俺、何かしたか?
「清水
あーあ。間違えた。
「先生、それで
「そうか。『くれは』か……すまない、以後気を付ける」
メモを取ったらしい。やっぱり、しっかりした先生じゃないか。
出欠確認が終わると、この授業は一年間何をするか? という説明があった。
「それでは。今日はここまで。まだ時間が余ってるから、鐘が鳴るまでは静かに待つように。いいな?」
……。
「返事は!」
「「「はいっ!」」」
少し早いが、授業が終わった。
「
授業終わり、
「えっと……どういう意味ですか?」
何もしていない。第一心当たりがないんだが。
「昨日二回も職員室に呼び出されていただろ」
「あ、あの件ですか。悪いことは何もしてませんよ。
「そうだったか。なら私の勘違いのようだな。悪かった」
「いえ。ところで松本先生、先生って吹奏楽部の顧問ですか?」
「いや、私は副顧問だ。顧問は滝先生だな。それがどうした? 金山は文芸同好会に入るんじゃないのか?」
「どうしてそれを?」
「昨日の職員室での会話と、今の話から分かった。確か部員がいないんだろ? 集めるのは大変だろうが頑張れよ。協力は出来ないが相談にはのるから、困ったら来い」
「あ、ありがとうございます」
やっぱり良い先生だ。
その後、3限4限と終わり、1時間の昼休みに入る。
中学校には昼食と昼休みがそれぞれあったが、高校になると、昼食を含めた休み時間となる。
俺は、学校の真ん前に家があるから、帰宅してお昼ご飯……というわけにもいかない。
昼食持参である。
「はるか居るか?」
「お昼一緒に食べない?」
一人、自分の机で食べようとしていたところ、
「一緒に食べるのは構わんけど、場所どうするのさ」
三人一緒になれる場所がない。
「そっか。場所がないなぁ」
そんなタイミング(?)で、俺のスマホが震えた。
ラインだ。
取り出して見る。
新着通知には『あやち』と表示されている。
誰だ?
アプリを開き、本文を確認。
あやち:
ああ。堀田先輩か。
そういえば、
「よし。中庭行くか」
「おお。行くか」
「うん」
三人で中庭へ行くことが決まる。すると突然、後ろの席の
「どうしたの……?」
急に立ち上がったから、驚いてしまった。
「わ、私も一緒に行って良い?」
三人、顔を見合わせる。
「行こっか」
四人で行くことになった。
中庭に着くと、堀田先輩と加納先輩がいた。
植木を囲うように設置されているベンチに座っている。
「お待たせしました」
「あ、金山くん。小牧さんも。……本当に来たよ」
加納先輩、それどういう意味ですか?
「私の言ったとおりだったでしょ」
堀田先輩……?
なぜかドヤ顔。
「えっと、どういう意味ですか?」
「
クラス違うんだけど。
まあ、たまたま一緒に居たから来れた。
「えっと。それはつまり俺は利用されたってことですか?」
「違うよ。沙也が話したかったのは小牧さんだけど、お昼を金山くんと一緒に食べたかったのは私だよ」
言い訳っぽく聞こえるけれどな……。
「おいはるか。何でお前が吹奏楽部のマドンナ、堀田先輩と仲良さそうなんだよ!」
そうだね……。俺も知りたい。
植木を囲うように設置されているベンチなので、大人数で集まっても座る順番で距離ができる。
ベンチには、
隣同士で話しながらお昼ご飯を食べている。
俺はなぜか堀田先輩と話している。なぜだろう?
「
「平仮名です」
金山 はるか。
「こいつ、妹が居るんですよ。ゆうきって。妹も平仮名」
工が割り込んできた。
「はるかくんと、ゆうきちゃんか……。仲良さそう」
「まあ、悪くは無いと思ってます」
「いいね。私も兄がいるんだけど、年が離れすぎてるから……」
「あやち! ちょっといい?」
堀田先輩が話してる途中で、今度は加納先輩が割り込んできた。
「
「梓ちゃん凄いんだって。これで今年は問題なく行けるよ!」
「はいはい分かった。あとで聞くから」
割り込んできた加納先輩を冷たくあしらう。
「ごめんね。えっと、何の話してたっけ?」
そういえば何話してた?
「まあいいや。そういえば、金山くんは何部に入るの?」
そう言う堀田先輩の声に、工と梓が反応したのは言うまでもないだろう。
そう。今日まで誰にも話していないから。
「文芸同好会です」
「「「文芸同好会?」」」
全員の声が重なった。
「文芸同好会に入るの?」
「そんな部あるのか?」
「なにそれ?」
「同好会って何?」
「廃部になるんじゃなかった?」
しかし、反応はそれぞれ違った。
ん? 文芸同好会の存在を知っている人と、そうでない人がいるようだ。
「堀田先輩知ってるんですか?」
最初の声は堀田先輩だった。
「うん。確か部員0じゃなかった?」
「はい。存続のためには部員集めないといけなくて……。加納先輩も知ってるんですね」
最後の声は加納先輩だった。
「去年まで吹部顧問だった
なるほど。
「はるか水臭いぞ。言ってくれれば俺たちが協力するのにな」
工……。
「それ、私も含まれてるよね。協力出来ることがあるなら言って」
梓……。
「えっ? 梓ちゃん吹部どうするの?」
梓の発言に加納先輩が異を唱えた。
それを聞いた堀田先輩はため息をつく。
「沙也何も知らないんだね。どれどれ……」
堀田先輩が自分の横に置いているバックから、何かの冊子を取り出した。
「あやちなんで持ってるの?」
「沙也はなんで持ってないの?」
冊子には『生徒手帳』と印字されている。
「教室に置いてきた……」
「常に携帯してなきゃダメだよ」
そういうルールらしい。
「俺、無くすと怖いから家に置いてきた……」
「
生徒……手帳?
「
配られた記憶が無いんだけど。
「そういえば。貰ってないよね?」
工と梓の話だと、二人は既に貰っている。
堀田先輩が生徒手帳を開く。
「えっと……あった。『部及び同好会は、いずれか一つのみに所属する事ができる。但し、部と同好会は別として扱う』簡単に言うと、部と同好会の掛け持ちは可能ってことだね」
西尾先生が言っていた通りだ。
「『部又は同好会において、管理職の立場にある者は、掛け持ちを認めない』だって」
そこまでは知らなかった。
「つまり、私とあやちは入れないのね……」
加納先輩が呟く。吹奏楽部の部長と副部長だからか。
「そういうこと。ごめんね金山くん、協力出来ないや」
「き、気にしないでください。お気持ちだけで充分です。吹奏楽部、頑張ってください」
「ありがとう。金山くん」
「なら、俺と小牧さんは入れるんだな。俺は入るぜ」
「
「それなら私も入るよ」
「梓、ありがとう!」
昨日、
あっという間に人数が揃ったな……。
「金山くん。頑張ってね」
「堀田先輩ありがとうございます。頑張ります!」
堀田先輩、美人だし優しいし。凄い人だな……。
あれ? 誰か忘れているような……。
放課後、俺を含めた4人分の入部届を持って、職員室へ向かった。
『職員室』
まさか、2日のうちに3度も職員室に来ることになるとは……。これじゃあ
「失礼します。1-2の
座席配置を把握してしまったので、こう言いながら、先生の机の方を見る。
「金山か。今日も昼以降見てないぞ」
園田先生も、その隣の背の高い先生もおらず、噂していた松本先生だけが居た。
「昨日は部室に居たんじゃなかったのか?」
「はい。園田先生、昨日は部室にいらっしゃいました」
「なら今日もそこにいる可能性が高いだろう」
そうか。
しかし、なぜ先生は部室に入り浸るのだろうか……?
「分かりました。部室に行ってみます。失礼しました」
そう言って、扉を開けようとしたら、勝手に開いた。
おお、自動ドア……って、そんな訳がない。
「あれ? 金山くん」
「
扉を開けたのは担任の西尾先生だった。
「どうしたの? こんな所で」
こんな所って……。職員室をそう言うか?
「あ、いえ。そ、園田先生に用があって……」
「そっか、今日も
先生が一度、園田先生の席がある方を見てからそう言う。
俺に何か……?
「はい。何でしょう?」
「来て」
一緒に先生の席へ向かう。
先生の机には、さっき昼休みに見たあの冊子が積まれていた。
「えっと……はい。金山くんの『生徒手帳』だよ」
その中から一冊取り出し、俺に差し出してきた。
「ありがとうございます……」
『1-2 5
確かに俺の生徒手帳だ。
渡し忘れていたのだろうか?
「あ。別に渡すのを忘れてた訳じゃないよ。私のクラスのだけ印刷ミスが見付かって、入学式に間に合わなかったんだよ」
「印刷ミスですか?」
「うん。表紙にクラスと出席番号が印刷されてるよね? 進学コースと違ってクラス替えがあるから、2年3年の欄は手書きなんだけど、それが全部印刷されてた」
それだけなら手書き修正でも良かったんじゃ?
「最初は手書きで対応しようって話しになってたけど、よく見直したら、中の
とんだ製本ミスだな……。
「それじゃあ使えませんね。いや、昼休みに
「ごめんね。遅くなって」
貰った手帳を鞄に入れる。
「いえ。これから園田先生を探しに行くところなので……」
「涼子先生を? 捜すって、アテはあるの?」
普通、そう思うだろう。
「大丈夫です。昨日と同じ場所に居ると思います」
「なら良かった。そうだ、学校生活は順調かな?」
学校生活? 急に話を振ってくるんだな……この先生。
「まあ、何とか。名前を呼び間違われるのだけは……。いつものことだから慣れてますけどね」
そう答えると、一瞬先生の表情が曇る。
「そうだね。なんというか……ごめんなさい……」
「いや、もう気にしてませんから。……あ、先生
「えっ? 私は何も言ってないよ?」
そう言い、右隣の席を見る。
確か、そこが滝野先生の席だ。今は居ないけど。
「何でだろう? 知っていたのかな、彼女のこと。私は何も言ってないんだけど……」
知らずに読めたのか……。
「そうでしたか。あ、俺はこれで失礼します」
つい、長話をしてしまった。
入部届も揃っていることだし、急ごう。
「ごめんね呼び止めちゃって」
「いいえ。失礼しました」
職員室を出る。
この後、何が待ち構えているかを知らずに……。
はるかの妹登場しました(名前だけ)。
あれ? 名前だけでの登場二回目ですね……。
最初は意識してませんでしたが、気づいてしまいました……。
はるか ゆうき
ポケモンですね……(汗)
皆さんは、ルビー・サファイア世代? それとも、ORAS(リメイク)世代ですか?