【本編完結】君へ捧げる物語~北宇治高校文芸同好会へようこそ~ 作:小林司
『
ノックしてから扉を開ける。
「失礼します。園田先生いらっしゃいますか?」
今日も扉に鍵はかかっておらず、室内の電気もついていた。
「我がお座敷へようこそ」
先生が居た。
「またそれですか……って、本当にお座敷がある!」
机の上に、手のひらサイズのミニチュア模型が置いてある。
しかも、畳敷きのお座敷だ……。
「今日はどの様なご用件かな?」
一瞬拍子抜けしてしまった。
一回深呼吸する。
「部員、集めてきましたよ。これが入部届です」
「お。昨日の今日でよく集めたね。さすが」
先生は大して驚いていない感じがする……。
「驚かないんですね」
「まあね。君ならこれぐらい容易いと思ってたよ」
俺なら?
「どういう意味ですか?」
「やる気があれば、大抵のことなら何でも出来る、ってやつ?」
なぜ自分で言っておきながら疑問形なんだ……。
「意味が分かりませんよ」
「金山くん、あなたについて少し調べさせてもらったの」
「は?」
俺について調べた? 何を?
いや、調べたところで分かるはず無い。
本名使ってないし。
「『砂かけ少女と夢見る少年』著者、
あっさり!
「どうしてそれを……?」
普通に調べたって出てくるわけがない。
「
おい!
教えるなよ。人のこと……。
俺は、小学校四年生の頃から、物語を書くのが好きだった。
初めの頃は自分で読むだけだったが、それを友達に見せるようになり、クラスの一部で話題になったりした。
中二の時、部屋に隠してあった原稿が
出版社から電話があった時のことは、今でも覚えている。
だって、本人に心当たりが無いのに、賞の応募だとか、選考を通過したとか言われたんだからね。
頭に?マークを浮かべる俺と、それを見て青ざめる母の姿は、今となっては笑い話だ。
勝手に応募されたそれは、『第24回坂上出版ラノベ文庫小説大賞 審査員特別賞受賞』という結果で、俺は中三にして小説家デビューを果たした。
デビュー作は砂かけ少女と夢見る少年。
変なタイトルだろう。
これ以上はノーコメント……。
「俺が作家と知って、先生は何をするつもりですか?」
何もしないんだろうけど、昨日初めて会ったばかりだし、よく分からない人だから、なんか怖い。
「別に何もしないよ。ただ、廃部寸前の部にこだわる理由が知りたかっただけ……。分からなかったけど」
いや、答え出てるだろ。
単純に、原稿を進める時間が足りない。
中学の時も(理由は伏せたけど)部活を辞めて、時間を確保していた。
文芸部に入れば、堂々と部活の時間を使って
そう考えていた。
「俺が小説家だってことは、家族以外には教えてませんから、くれぐれも……」
「分かってるって。私からは口外しません。バレれば話は別」
いや、バレませんから。先生が特殊なんです。
「えっと。この
「はい。大丈夫ですよね?」
「問題ないよ。富士松さんと小牧さんは掛け持ちになるから、部長金山くん、副部長大里さんという感じでいけるね」
俺が部長……。
まあ、菜穂子は名前を借りてるだけだからな。
「はい。とりあえず問題は無さそうね。さて、改めまして」
「文芸同好会へようこそ!」
お待たせ致しました。
これで、ようやく物語が始まります。
前置きが長かった感じですね。失礼しました。
本作での北宇治高校は、『北宇治=吹奏楽強豪校』というイメージが強い学校なので、吹奏楽部の活躍を追いかける という形で進めていこうと思ってます。
園田先生が前の顧問なので、無理矢理手伝わされる はるか といった感じですかね……?
はるか についても正体が判明しました。ベターな設定でしょうか? もう少し捻った方が良かったのかも。
あ、これあらすじに書いてあるから隠せてませんね(汗)。
これからもお付き合いいただけると幸いです。
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