【本編完結】君へ捧げる物語~北宇治高校文芸同好会へようこそ~ 作:小林司
今回は番外編というか、他者視点のお話です。
入学早々行われる実力テスト。
新一年生の学力を計る上で重要なテストだ。
行うのは5教科だけなので、もちろん体育は無い。
「西尾先生、次お願いします」
私は採点が無い……筈なんだけどね。
「はい」
滝野先生に手伝いを頼まれてしまった。
曰く、答え合わせをするから、点数を計算して欲しいんだって。
なので、右隣で○×付けたテストの採点中……。
因みに、左隣の
「お。100点だ」
えっと、
あ、私のクラスだ。
「どれどれ、おお赤池社会100点か。数学は40点ですよ」
北新川先生が覗き込んできた。
「
「えっと……阿久比さんは、社会38点か」
「暗記苦手なんですかね?」
そんな話をしながらも採点を進める。
さてと。うちのクラスの分は終わった。
隣を見ると、次のクラスの分は答え合わせの途中みたいだ。
となると、しばらく私は手が空く。
「珈琲でも淹れるか。滝野先生、北新川先生、ちょっと休憩しましょう」
時計は17時を回っている。
「カップください」
「ありがとうございます」
「お願いしますね」
2人からマイマグ(マグカップ)をもらい、自分のも持って給湯室へ向かう。
珈琲といってもインスタントだけどね。
お湯は……あれ。ポットの残りが少ない。
「今から沸かすので少し時間掛かりますよ」
二人に聞こえるよう、大きめの声で呼び掛けた。
ポットに給湯器のお湯を入れ、湯沸かしの
さて、どれぐらいで沸くかな……。水から沸かすよりは早いからね。
暇になったので、窓際に行ってグラウンドを眺める。
お。走ってる子がいる。
陸上部……ではないか。知らない顔だし。
サッカー部?
「お疲れ様です」
「えっ? ああ、滝先生……。お疲れ様です」
滝先生が入ってきた。
「お湯待ち、ですね」
先生もマイマグを持っている。
珈琲だよね。
「はい。もうすぐ沸くと思います」
ポットを見ると、70℃になっている。
「部活……ですか?」
「あ、いえ。今日は外部指導者との打ち合わせでした。ちょっと外出してまして、今戻ったところです」
まだ4月なのに外部指導者を呼ぶんだ……。
「今年は早いですね」
「さすがに私も早いと思ったのですが、新入生に興味があるらしいんですね。彼女……指導者の側から連絡がありまして」
そっか、すごい子が入ってきたのだろう。
ん? どこからか楽器の音色が聞こえてくる。
「おや、噂をすれば。これは彼女の演奏ですね」
「これは……トランペットですか?」
「はい、
清水
彼女の名前は絶対に間違えない。
「この曲……」
「グリーンスリーブスですね」
二人で聞き惚れていた。
「あ、珈琲……」
気付いたら、電気ポットは既に保温に切り替わっていた。
「滝先生、ブラックですか?」
眠気覚ましにはブラックコーヒー、そうでなければ砂糖ミルク入り。
それが滝先生の定番だ。
「はい。あ、ありがとうございます」
ということは、今日も滝先生は残っていくのか。
「連日お疲れ様です。持って行きますから、席で待っててください」
「助かります。先に済ませたい用件がありますから、甘えさせてもらいます」
滝先生が席へと向かう。
私は4人分のコーヒーを入れる。
えっと、滝先生がブラック、滝野先生はミルクだけ。
北新川先生は、思いっ切り甘いの、私はミルク砂糖普通に……。
「お待たせしました」
流石に4つは持ちきれないので、滝野先生と北新川先生のを先に渡す。
「ありがとうございます」
「サンキュー」
そして、戻って滝先生のと私のを持つ。
滝先生の机に行くと、先生は電話中だ。
邪魔しないようにそっと、マイマグを置く。
そして、私は自分の席へと戻った。