【本編完結】君へ捧げる物語~北宇治高校文芸同好会へようこそ~   作:小林司

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あとがきでお話しした通り、本編の進行に影響しない番外編を投稿していきます。

まず最初は、名前の由来です。

苗字の法則性に気付いている方もいらっしゃると思いますが、お楽しみにいただけたら嬉しいです。





番外編
その①……名前の由来


 

ある日の放課後。

 

「という場合もあるんですよね」

 

例の如く(?)、部活が休みだという犬山(いぬやま)さんが来ている。

 

「そうならない場合もあるだろ」

 

同じ理由で各務原(かかみがはら)先輩も来ている。

 

当然加木屋(かぎや)先輩も居るから、編入生が三人揃っている。

 

「言い切るねぇ。違う場合もあるんじゃない?」

 

「あやちもそう思う?」

 

「そうですか?」

 

そして、何故か吹奏楽部を引退した堀田(ほりた)先輩と加納(かのう)先輩に、現副部長の白沢(しらさわ)先輩まで居る。

 

文化祭の時に借りて、使わずに書庫の奥に片付けてあったパイプ椅子をひっぱり出し、それに座っている。

 

なお、そのパイプ椅子。本来返却しなきゃいけないやつだけど、何故か保管場所の都合上という理由で、書庫の奥に置いておくよう生徒会から指示された。

 

おそらく、体育館ステージ下の収納スペースへの入れ方が悪く、収まりきらなくなったんだろう……。

 

 

 

「そういえば、皆さんの名前の由来って知ってますか?」

 

唐突に犬山さんが言った。

 

「ほら、白沢先輩って名前片仮名じゃないですか? 気になりまして」

 

白沢 タカヒロ。確かに。

 

というか、それを言うならこの部屋に今平仮名の人が二人居るけど、それには触れないのか?

 

「そうか? まあ、珍しいと言えば、そうかもしれないなぁ……」

 

そう言いながら、頬を掻いている。恥ずかしいのか、心なし顔が赤い。

 

「親が漫画やアニメが好きなんだよね。それで、とある漫画に登場するキャラクターの名前から取ったらしいよ。タイトルとか詳しいことは知らないんだけどね」

 

タカヒロ……。あ!

 

『あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~』という名言が生まれたあのアニメか……!

 

となると、まさか兄妹で名前が取られているとか?

 

「因みに、妹は(さき)って言うんだ。妹は普通の名前なのに俺だけね」

 

マジかよ。予想通りじゃないか。

 

白沢先輩、妹さんの名前も同じアニメから取られていますよ……。

 

 

 

「犬山さんは?」

 

「私は、読んで字の如く。愛され実る、って聞きました。ただ、そのまま読むのも変だから、愛実(めぐみ)にしたらしいです」

 

あいみ……地名みたいだな。それは相見(あいみ)か。

 

各務原(かがみはら)先輩は?」

 

各務原(かかみがはら)だ。いい加減覚えろ」

 

「ごめんなさいー。で、先輩のは?」

 

「俺? 俺は、苗字が長いから、書きやすい字にしようってことで、最初は愛の予定だったのを哀に変えたらしい。出生前の検診で女の子だって言われてて、祖母が付けたんだってさ。産まれたら男の子だったのに、そのまま……」

 

そのままって。

 

「加納先輩は?」

 

「私は聞いたこと無いから分からないなぁ……」

 

「私も知らない」

 

加納先輩に堀田先輩が続いた。

 

どうやら、二人共知らないらしい。

 

まあ、本人が気にならなければ聞くことなんて無いだろうし、知らなくても不思議ではないだろう。

 

 

 

さて、吹奏楽部(元、も含む)五人が終わった。そろそろこちらに振られる頃だろう……。

 

「金山くんは?」

 

ほら来た。

 

「俺か。俺は、漢字じゃあどんな字を選んでも難しいから、平仮名にしたんだって」

 

遥、悠、遙。一文字はこれくらいか。あとはどんな字を選んでも二文字以上になる。

 

因みに、これは名前を平仮名にした理由だ。名前の由来は……御察しください。

 

既に、この物語の中で触れているから、言わなくても分かるでしょう?

 

「なるほど……。そういえば、クラには平仮名の人が三人居ますね。片仮名も一人」

 

犬山さんが気付く。

 

伏見(ふしみ) あやせ。南宿(みなみじゅく) さくら。矢田(やだ) まどか。日長(ひなが) レイ。

 

「トロンボーンにも、平仮名と片仮名が二人ずつ居るじゃないですか!」

 

竹村(たけむら) ほのか。高浜(たかはま) みなと。土橋(つちはし) アリス。白沢 タカヒロ。

 

「気付きませんでしたよ……」

 

気付け。同じ部だろ……。

 

「そっか。犬山ちゃんは知らないかぁ」

 

今の一言に加納先輩が反応する。

 

「この、タカくんと、ファゴットのアカネちゃん。二人のことを『カタカナコンビ』って言うんだよ」

 

「言われますね。時々」

 

加納先輩が(何故か)自慢気に言い、白沢先輩はまた頬を掻く。

 

確かにそう聞いたことがある。

 

ファゴットの水野先輩を二人まとめて『W水野(ダブルみずの)』と言うのも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうして聞いてみると、いろんな由来があるんだね」

 

堀田先輩は感心している。

 

「面白いですよね」

 

言い出しっぺの犬山さんも満足げだ。

 

しかし、一人忘れていないだろうか?

 

この部屋にはもう一人、文芸同好会の部員が居るんだけど。しかも、彼女も平仮名。

 

あ、犬山さんと目が合った。

 

目配せで合図を送る。一人忘れてるだろう……。

 

「あ……」

 

気付いたらしい。

 

「えっ?」

 

「ああ」

 

「あら」

 

「おっと」

 

他の人も気付いた様子。

 

「……えっ? 何?」

 

なにか気配を感じたのか、加木屋先輩は読んでいる本から顔を上げた。全員の視線が集まっているのに気付き、狼狽(うろた)える。

 

「先輩は?」

 

犬山さんが簡潔に尋ねる。話は聞いていた筈だから。

 

「あ、えっと……。私も名前の由来は聞いたこと無いかな。平仮名の理由は、漢字で書くと堅いイメージがあるからって言ってた」

 

南、美波、美並……。

 

確かに。どれも何となく堅い。

 

「あ、ああ。なるほど納得です……」

 

それを聞いた犬山さんは、何かに気付いたようで、慌てて話を終わらせた。

 

「そ、そろそろお腹も空いてきたので、今日は帰ります。失礼しました~」

 

言うが早い。荷物を纏めて部屋を出ていった。

 

その様子を、突然すぎて何も言えず、黙って見送った六人。

 

「別に、偶に言われるから気を遣わなくても良かったのに……」

 

加木屋先輩が、ボソッと呟いた。

 

「ああ。まあ、今更だよね」

 

「確かに」

 

「ですね」

 

加納先輩、堀田先輩、各務原(かかみがはら)先輩も、犬山さんが何に気を遣ったのか気付いたみたいだ。

 

「まあ、それが犬山らしいと言えばそうなんですよね」

 

みんなで納得……。

 

「えっと……。何の話ですか?」

 

あ。

 

一人だけ気付いていない人が居た……。

 

「さて。何の話でしょうね?」

 

お。加納先輩は惚けるつもりだ。

 

「えっ? 教えてくださいよ~」

 

取り残された(?)白沢先輩は、今にも泣きそうだ。

 

 

 

因みに、犬山さんが何に気を遣ったか、というと、

 

『加木屋先輩の名前を漢字表記にし、姓名逆にすると、南加木屋。つまり、駅名になる』

 

このことだろう。

 

 

 

言い出したらきりがない。

 

加納 堀田 白沢 金山 犬山。そして、南加木屋。

みんな、駅名から採られている。

 

 

 

……。

 

…………。

 

そういえば、誰か忘れているような?

 

 

 

 





『白沢先輩の名前が、某アニメのキャラクターから取られている』件について。

年代がずれていますが、気にしないで下さい。時差です(←意味が違う)
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