平成妖怪譚   作:事代 件

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失敗は成功の母?

そりゃ親不幸にもなる。






15夜 夢、失敗

 

 

夜に魔理沙の家に集まる約束をし、一時解散となった。

 

家に帰るともう日が暮れかけており、既にチルノが帰っていた。

何故か不機嫌そうな顔をしている。

もしかしたら算数のテストが上手くいかなかったのだろうか?

 

「ただいま。今日はどうだった?」

 

「随分遅かったけど何してたの?」

 

どうやらテストの事では無いらしい。

確かにチルノがテストの出来ごときで機嫌を損ねるとは考えられない。

 

「今朝の戸見乃と一緒に魔理沙と博霊の巫女の所へ行ってきた。」

 

「そっか。で、終わったの?」

 

そう胡座をかいて流し目で聞いてくる彼女。

こんな露骨に不快感を表す姿は初めて見た。

 

「いや。今日の夜博霊の巫女と三人で魔理沙の家に行く。もしかしたら何とか出来るかもしれないから。」

 

「じゃあそれで終わりにしてね。アイツはジメジメしたような嫌な雰囲気が有るの。一緒にいると良くないことがある気がする。」

 

今朝初めて見たときもそのような事を言っていたが、チルノは戸見乃の事を良く思ってないようだ。

 

「俺もアイツとは長いこと友達でね。会うなって言うのはキツいけど家には呼ばないようにするよ。それで良い?」

 

「…折角心配して言ってるのに。もう勝手にすれば?明日は寺子屋に来てよね。」

 

そう言いチルノはそっぽを向いてしまった。

声を掛けても返事が全く無く、仕方がないのでこれからの事を考える。

 

今日俺がやろうとしてるのは魔理沙に呪いを掛け直す事により、俺の夢に彼女を出現させる。

そして無事に彼女を起床させ、取り敢えず今の睡眠不足を解消させる。

その間俺が注意しなければならないのは、彼女を殺してはいけないという事。

それだけの事なのだが正直出来るかどうか自信がない。

何故なら、俺は夢の中で人を殺さなかった事が無かったからだ。

これは俺が猿夢という怪異である以上仕方がない事なのだが。

戸見乃もここ点を一番心配していた。

 

一番良いシナリオは更に猿夢から魔理沙を解放することなのだが、多分それは無理であろう。

猿夢である俺自身がどうすれば良いか分からない。

 

 

 

 

 

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結局考えが浮かばないまま魔理沙の家まで来てしまった。

予定としては、行き当たりばったりで何とかしようという事にした。

しかし、失敗すれば魔理沙を危険な目に会わせる他にも俺自身が博霊の巫女に退治される。

そういう約束だ。

 

先程家を出る際チルノに「行ってきます」と声を掛けたが、返事は無かった。

もしかしたら今生の別れになるかもしれないのに冷たい奴だ。

 

「お待たせ一匹王子!最期の晩餐はなに食べた?やっぱり大好物のカップ麺かえ?そういえば博霊の巫女様はまだ来てないの?」

 

少し遅れて戸見乃が到着し、いつも通りのニヤケ顔で絡んでくる。

他人事だからといって少し緊張感が無さすぎやしないか?

自分の部屋の水道管から漏水したときは血相を変えて家に駆け込んできた癖に。

 

「俺がカップ麺ばかり食べてるのは俺が調理が出来ないからだ。博霊の巫女はまだ見てないな。」

 

「その博霊の巫女って止めてくれない?一応博霊霊夢って名前があるのよ。」

 

家の扉が開き噂の博霊の巫女様が出てきた。

既に着いて部屋に上がっていたらしい。

俺達も家に入れて貰うと相変わらずやつれた魔理沙がベットに腰かけていた

 

「じゃあ約束通り呪いの掛け直しをして頂戴。もし失敗したら即座に夢仁を退治して無理矢理呪いを解くわね。…本当はこのまま退治しちゃった方が手っ取り早いのよね。変な約束をさせられた物だわ。」

 

霊夢さんはそう言うと戸見乃を睨みつける。

どうやら俺達の三文芝居はバレてしまったようだ。

 

「ちなみに呪いの掛け直しってどうやるんだ?掛けられる方とすればやられる前に知っておきたい所だぜ。」

 

それはそうだ。

簡単な手術だって何も知らずに勝手に弄られれば怖いし気持ち悪い。

 

「方法というか、殺したいと思う人を念じながら寝ると猿夢が見れるという感じかな。だから主観的には呪いを掛けてる実感は無いかな。」

 

特に考えもしないで説明してから、何で馬鹿みたいに正直に言ってしまったのかを後悔をした。

 

「なぁ霊夢…本当にコイツに任せて大丈夫なのか?」

 

霊夢さんは答えない。

殺す前提で呪いを掛けると宣言されたのだから、大丈夫とは言えないだろう。

完全に失言だ。

 

「まぁまぁ、お二方とも。無理矢理訳の分からない呪いに手を出すのも危険ですし何より夢仁は弱い。取り敢えず一回彼に任せましょう?退治は一瞬で済みますから!蚊みたいなものですよ蚊!」

 

「魔理沙に何かあってからでは困るのよね。」

 

「本当に大丈夫です。弱いくせに更に超臆病者で、雷が鳴ると何故かいつも家に来るんですから。妖力も弱いし首でも引っこ抜けばすぐ死んじゃいますから。しかも最近切れ痔なんです!!笑っちゃいます!」

 

「おい!何でお前が俺のお尻事情を知ってるんだ!?」

 

そんな感じで戸見乃の必死のネガティブキャンペーンが項をそうしたのか、俺はチクリとする許可を頂けた。

 

 

 

 

 

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魔理沙は積み重なった睡眠不足の影響で目を閉じれば直ぐに眠ってしまった。

俺も近くの椅子に座り魔理沙へ恨みの念を込めながら目を閉じた。

例の一件により魔理沙に対して良い印象を抱いて居なかったので、呪いは滞りなく掛けられた。

 

そしてここは夢の列車内。

客車にはクロスシートが並んでおり、乗客は男の人と女の人が一人ずつ。

それぞれシートの区切り内に一人で座っている。

 

外は夜なのか車窓に広がるのは真っ暗い闇ばかりで、街頭や街のネオンが通り過ぎる事もない。

もしかしたら地下鉄という線も有るのかもしれないが。

 

そして二人の乗客以外にも見知った黒き魔女である霧雨魔理沙も女の人の後ろのシートに座っている。

それを見ている俺は客車後方にある乗務員室にいるようだ。

残念ながら進行方向に向かって座っている魔理沙の表情を覗う事は出来ない。

 

 

 

 

特記する事が有るとするならば、俺は自分の身体を制御出来なくなっていた。

 

 

 

 





短いですね




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