ストライクウィッチーズ 君の明日は   作:桜子道 晴幸

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ストライクウィッチーズの二次創作です。全編で4話のストーリーなので気軽に読んで行ってください!


第一話 出会い

バルクホルン中尉はブリタニアで哨戒任務に就いていた。祖国は今やネウロイの巣と化し、帰るべき国と愛すべき妹は寝たきりの状態で憎悪と己の不甲斐なさを嘆いていた。そんなある日、警戒空域で何やら戦闘が行われていた。

 

 

 

 「ん?戦闘か?!」

 

 

 

 よく見ると同じくウィッチが一人で奮戦していた。助太刀すべく、通信を試みる。

 

 

 

 「こちらバルクホルン中尉、援護する!」

 

 

 

 勢いよくそう言うと、返ってきた言葉は意外な声音と短い単語だけだった。

 

 

 

 「援護不要」

 

 

 

 そう言われると無線は切れてしまった。この特徴的な低さと少しの甲高さは男性特有の声だった。いわゆるウィザードと呼ばれる存在である。初めて見たが、そのことより援護の必要はあるはずなのにそのウィザードは頑なに近寄らせなかった。

 

 

 

 「援護の必要がありと考える!加勢する!」

 

 「邪魔するな」

 

 

 

 邪魔はしないと考え、自らも戦闘に加わる。ネウロイの未来位置に照準を合わせ、射撃すると同時にウィザードも射撃して一気にネウロイは消滅した。加勢した甲斐があったと満足しウィザードに通信をする。

 

 

 

 「援護の甲斐はあったようだな?」

 

 「中尉、階級はあなたの方が上だからあまり言いませんが、要らないと言ったら要りません。では、失礼します。」

 

 「なっ!?」

 

 

 

 ウィザードはそれだけ言うとすぐに離脱してしまった。バルクホルンは助けてあげたはずなのに文句を言われたことに腹が立った。加勢したから早く倒せたのであって、それにこしたことはないはずなのだ。しかし、男性であることと階級は下であること以外何も分からないウィザードに興味がわかないでもなかった。

 基地に帰ると報告を済ませ、食事を摂る。同僚で部下のハルトマン少尉は怠け者でいまだに起きてこない。上司のミーナ大尉がいたため、そのウィザードの情報を聞くことにした。

 

 

 

 「ミーナ大尉はここらへんの部隊にいるウィザードを知らないか?」

 

 「あら、近隣の部隊にウィザードがいるなんて聞いたことないわね。部隊章は確認したかしら?」

 

 「それが、無線で少し話したくらいで確認はしていないんだ。だから、今回は協同撃墜と報告したのだが、相手がわからないので困ったんだ。」

 

 

 

 それと嫌なやつだと言うのは胸に留めて、ミーナ大尉でも知らない存在に関心は深まるばかりだった。

 

 翌日はハルトマン少尉とペアで哨戒任務に就いたが、今度も戦闘が行われていた。

 

 

 

 「ハルトマン!戦闘準備だ!」

 

 「はーい」

 

 

 腑抜けた声だが、これでも才能は抜群でガランド少将からの覚えもいいエース候補である。このペアでバルクホルンは加勢する姿勢を見せると、またあの声がした。

 

 

 

 「カールスラント機へ告ぐ、直ちに現空域を離脱せよ。」

 

 

 

 ハルトマンが男の声に驚きつつも、支援を必要としないことにバルクホルンの指示を待っていた。バルクホルンは今度こそ正体を掴むために強引に割り込むことにした。

 

 

 「邪魔はしない、撃墜記録もそちらで持って行ってもらって構わない!」

 

 「え、いいの?!」

 

 

 

 おそらく撃墜記録を奪われるのを嫌っているのだろうという予測のもとバルクホルンは支援を決める。すると、声の主から鋭い声が飛んできた。

 

 

 

 「警告する、直ちに離脱せよ。従わない場合、攻撃も辞さない。」

 

 

 

 緊張が走る。バルクホルンはなぜ支援を固辞し、あまつさえ味方の我々を攻撃対象にしようとするのか理解できなかった。ハルトマンは動揺を隠せず、バルクホルンに指示を仰いだ。

 

 

 「ど、どうするの?!」

 

 「い、いや!はったりだ!私の方が階級も上な以上、強権でもって収める!行くぞハルトマン!」

 

 「う、うん!」

 

 

 

 上空から逆落としになり、ネウロイを攻撃する。ネウロイは不意を突かれたのかコアを確認するまで外壁が壊される。すると、声の主が鋭い機動で横合いから一気に斬った。バルクホルンとハルトマンは刀という全時代的な道具で戦闘する行為を初めて目撃した。

 

 

 

 「か、刀だ!?斬っちゃったよ!?」

 

 「ま、まさか…ネウロイを一刀両断だと…つまり、やつは扶桑のウィザードか!」

 

 

 

 ネウロイの破片から声の主が出てくると、ぶっきらぼうに話しかけて来た。

 

 

 

 「警告はしたはずだ」

 

 

 

 怒気を孕んだ声にバルクホルンは身構える。しかし、ハルトマンが陽気に返し始めた。

 

 

 

 「やっほー!無事に前線に離脱したよ!」

 

 「なっ?!」

 

 

 

 ハルトマンの言葉はよく考えると、離脱せよとしか言われてないためどこに離脱しようが勝手なのだ。そこを突いているわけだが、果たしてこんな無茶苦茶な理論を受け入れるのかと緊張は続いた。すると、声の主は諦めたように溜息交じりにこう告げてきた。

 

 

 

 「…了解した。貴官の意見は尊重する。無事に帰還されたし。」

 

 「うん!じゃあね!」

 

 

 

 バルクホルンはまさかの展開に開いた口が塞がらなかった。しかし、相手の正体を明かすため質問する。

 

 

 

 「ち、ちょっと待ってほしい!今回の貴官の功績を報告するため所属を問いたい!」

 

 

そういうと声の主は、嫌そうな、気だるげに呟く。

 

 

 

 

 「…扶桑海軍、少尉。赤松勇(あかまついさみ)欧州派遣艦隊、267空所属。」

 

 

 

 やはり扶桑のウィザードで、航空母艦所属ということから北海から来ている単独部隊だと推測できた。そして、ようやく聞けた声の主の名前は扶桑特有の響きを持つものだった。

 

 

 

 「あかまつ…いさみ少尉…了解した。貴官の奮闘を高く評価する。」

 

 「もう行ってもよろしいか?」

 

 「引き留めてすまない、行ってくれ。」

 

 

 

 

 バルクホルンがそう言うとすぐに赤松は遠くの空に消えていった。バルクホルンたちは帰投し、報告を終えるとバルクホルンは赤松のいる部隊について調べようとする。しかし、その手間は近いうちに無駄足になることとなる。

 

 

 「なぜ…なぜ、こうなった…」

 

 

 

 目の前にいる少年は、まごうことなき赤松勇少尉だった。バルクホルンは苦笑いを堪えきれなかった。

 

 

 

 「本日より配属されることとなりました。扶桑海軍少尉、赤松勇です。以後、よろしくお願いします。」

 

 

 

 こんなにも早く、しかも同じ部隊になるなんてだれが想像しただろうか。皆、一様に男性ウィッチに驚きはしたものの、戦力の強化はありがたかったことから歓迎ムードだった。さしものハルトマンとミーナもそうだった。

 

 

 

 「これから私たちと行動を共にする扶桑海軍の赤松少尉です。みなさん、よろしくね。」

 

 「やっほー!前に会ったよね?よろしくぅ!」

 

 

 

 ハルトマンのあいさつに軽く会釈するに留める赤松は、バルクホルンを見つけると目を細めてじっと見つめ始めた。たじろいでしまうバルクホルンは少しでも威勢を張る。

 

 

 

 「な、なんだ?!よろしく頼む…」

 

 「バルクホルン中尉…ですね。以前は失礼しました。本日より仲間です。よろしくお願いします。」

 

 

 

 青天の霹靂のごとく律儀に頭を下げ、あのぶっきらぼうの話し方を止め、上司を敬う姿に普段なら当たり前のことだが慌ててしまった。

 

 

 

 「あ、ああ…よろしく頼む…」

 

 「トゥルーデ緊張してる?」

 

 「し、し、してない!」

 

 

 

 ハルトマンには揶揄われる始末で本当に災難な始まりだった。バルクホルンはこの不思議な出会いを忘れることはできないと思った。

 さらに、運命のいたずらはバルクホルンをさらにかき回す。赤松の基地の案内を任されてしまった。黙々とついてくる赤松にバルクホルンは緊張を隠せなかった。

 

 

 

 「こ、ここが共同の食事場だ。」

「こ、ここは格納庫…」

「そして…」

 

 

 

 普段よりどっと疲れた感じがしたが、案内は終わった。なんと赤松は案内している間一言も喋らなかった。終始、バルクホルンが紹介するだけだった。そして、いたずらは続く。ミーナに赤松の技量を確認するようにと言われてしまった。

 

 

 

 「飛行訓練でどの程度できるか見てあげて?」

 

 

 

 バルクホルンはユニットを履き、隣でエンジンを回す男性ウィッチである赤松を見やる。整備員からの説明を受け、機器をチェックしている。バルクホルンは頭を振り、一切の思考を飛行のみに切り替える。ここは最前線で、必要なのは戦力のみだからだった。

 

 

 

 「では、行くぞ!赤松少尉!」

 

 

 

 勢いよく飛び出て、訓練飛行場の障害物を避けて飛び、射撃訓練として遠くの的を飛行しながら撃つなど高等技術訓練までをしてきて思ったことは一つだった。

 

 

 

(こいつ、うまい!)

 

 

 

 なんとバルクホルンの飛行に追随し、射撃も悪くない成績を誇った。さらに言うと、長年付き添ったペアのように意気はピッタリだった。ユニットの違いはあれど二番機としての役割を弁え、決して邪魔をしない徹底ぶりは感心できた。

 

 

 

 「これはなかなか…どうしてここまで知られていなかったんだ?」

 

 

 

 赤松の質の高さを報告し、今度はハルトマンと模擬戦をするに至った。

 

 

 

 「では、監督を私がする。二人は弾が切れるか被弾したところで終了する。いいな?」

 

 「はーい…寝てたかったなぁ…」

 

 

ハルトマンのいつもの態度は捨て置き、バルクホルンは赤松を注視する。やはり緊張などの色は見当たらず、訓練に真剣な様子が伺えた。少しはハルトマンも見習ってほしいものである。しかし、模擬戦ともなるとハルトマンもわずかに力が入る。バルクホルンは両者ともの成長が気になった。

 

 

 「では、始め!」

 

 

 

 互いに一気に高度を取り、距離を縮めていくと先に射撃を開始したのはハルトマンだった。飛行、射撃、勘が冴えるハルトマンの弾は赤松の周囲を横切り、すべて当たりはしなかった。これにバルクホルンは感心した。

 

 

 (射撃を怖がらない度胸はあるな)

 

 

 

 続いて、巴戦になるとさすがの扶桑海軍の名機である零戦は、ぐんぐんと旋回半径の短さを生かして間合いを詰めていく。これには堪らずハルトマンは下方に逃げる。カールスラントの機体であるメッサーシャルフは上昇力と下降に優れた一撃離脱を得意とする機体で、ハルトマンの戦術はそれによるものだった。

 

 

 

 (ハルトマンも成長しているな…それにしても二人ともいい動きだ。)

 

 

 

 ハルトマンが引き起こし一気に上昇すると、赤松もそれに追随する。機体性能の差で、ハルトマンが先に上りきると反転し、攻撃をしかける。太陽を背にして、さらに反転を最小に抑えた技量はまさにハルトマンの成せる技だった。これは勝負ありかと思ったバルクホルンは目を見張ることとなる。すれ違い様の僅かな間にお互いペイント弾が当たっていた。バルクホルンは急いで終了すると、現場を確認する。

 

 

 

 「当たったのは同時か!」

 

 

 

 確認すると、ハルトマンはユニットに二発、赤松にはユニットと胴体に二発ずつ命中していたが、当たったのはほぼ同時であった。バルクホルンは引き分けにしようと考えていると赤松が口を開いた。

 

 

 

 「ハルトマン少尉、負けました。」

 

 「へっ?!」

 

 

 

 あっさり敗けを認められてしまい、慌てて理由を聞く。

 

 

 

「いや、この試合はドローだ!命中は同時だったからな!」

 

 

 

 そういうと、赤松は非常に困った顔をしながらこう答えた。

 

 

 

 「失礼ですが、命中箇所では私は死亡です。ハルトマン少尉はよくても重症でしょう。戦場では私は死んでいます。」

 

 

 

 命中箇所に目をやりながら赤松は引き分けをよしとしなかった。バルクホルンは戦場と模擬戦をどこか乖離して考えていたのでないかと己を恥じると同時に、赤松のその姿勢に感心していた。

 数日後、格納庫に行くと赤松がぼんやりと一人外を見ていた。バルクホルンは赤松の経歴を知りたくなり、声をかけることにした。

 

 

 

 「赤松少尉、ちょっといいだろうか?」

 

 

 

 不意に話しかけられたが、驚くことはせずきちんと敬礼して返す姿はまさに軍人であり、どこかのハルトマンに見せてやりたい光景だった。

 

 

 

 「そんなに畏まらないでいい。少し世間話をしに来たんだ。」

 

 「そうですか…」

 

 

 

 バルクホルンは恐る恐る聞いてみることにした。もちろん、バルクホルン自身にも触れてほしくない過去はあり、そのことを抉るようであれば話を改める覚悟だった。

 

 

 

 「少尉は、ここに来る前は何をしていたんだ?」

 

 「ずっと戦場にいました。」

 

 

 

淡々と語る赤松の言葉は、どこで?という疑問を生じさせる。また、バルクホルンはそれ以上にウィザードという存在自体に興味を持っていた。

 

 

 

 

 「ということはウィッチの資質を見込まれてということか?」

 

 「はい。周りに同性のウィッチはいませんでしたが、男でウィッチということもあり、周囲からは半人前扱いばかりでした。」

 

 「そ、そうか!(触れない方がいい話題だったか?!)」

 

 

 

 

 話の選択を間違えたと思ったバルクホルンは話題を変えようとすると、赤松は懐かしそうな顔をしていたことに気づいた。

 

 

 

 「戦争にはいつから参加した?」

 

 「扶桑海事変の終盤です。」

 

 

 

扶桑海事変は、ネウロイと世界が戦争を初めて間もない頃の戦いである。そのころからの参加者ともなるとベテランの域を超え、古豪の域に達するため、赤松の技量の裏付けとなった。

 

 

 「なるほど古強者というわけか。それならあの強さは納得できる。」

 

 「あの頃が懐かしいです。」

 

 

 

 ふと呟いた言葉は故郷を思う一人の少年のような面持ちだった。この戦争は長く続いているため、バルクホルンは赤松が長い期間扶桑に帰れてないのだと考えた。

 

 

 

 「扶桑はどんなとこだ?」

 

 「はっきりとした春夏秋冬と長い歴史があり、侍とウィッチの文化が融合した慎ましい文化を持つ美しい国です。」

 

 

 

 バルクホルンは初めて見る赤松の柔らかな表情に、仲間としての感情が芽生え始めていた。よくわからない人だったが、こんな人間味のあるとは思わなかった。

 

 

 

 「確かに扶桑は我々欧州の者からすれば不思議なところだな。でも私は祖国がないからな…その気持ち分からないでもないがな…」

 

 「はい、カールスラントは奪還すべき場所です。」

 

 

 

 今度は熱意に燃える目をする少年のコロコロ変わる表情に、バルクホルンは物珍しさに質問を続ける。

 

 

 

 「そういえば、少尉はいくつなんだ?」

 

 「数えで17、満16歳です。」

 

 「私の1つ下か!」

 

 

 

 年齢の近さに親近感を覚え、会話が弾んでいることにバルクホルンは気づかなかった。

 

 

 

 「扶桑ではなんと呼ばれていたんだ?」

 

 「そう…ですね、名前が勇(いさみ)だったので音読みで(ゆう)と呼ばれてました。」

 

 

 

 バルクホルンは短く発音しやすい呼び名を気に入った。扶桑の発音は欧州では発音しにくいため、あだ名のようなものの方がありがたかった。

 

 

 

 「もしよければでいいんだが、私もそれで呼んでもいいだろうか?」

 

 「…構いません。でも、久しく呼ばれていなかったのでむず痒いですね。」

 

 

 

 バルクホルンはおそらく扶桑での仲間とのあだ名だろうと思い、自分も友人として「ゆう」と呼ぶことにした。しかし、仲間はどこか遠くに行ってしまったのだろうかと思い、なぜ一人で戦っていたのかを問うことにした。

 

 

 

 「どうして一人で戦っていたんだ?」

 

 「…一人ではありませんでした。」

 

 

 

 バルクホルンは言葉を間違えたかと思い、言葉を変えてもう一度聞く。

 

 

 

 「他の仲間はどこに行ったんだ?」

 

 

 

 バルクホルンは聞いた瞬間の赤松の顔を見逃さなかった。顔から笑顔がすっと引き、悲しみとも怒りとも取れる表情は触れてはいけない核心をついてしまったのだとバルクホルンを焦らせた。

 

 

 

 「す、すまない!辛いことなら言わなくていい!」

 

 

 

 しかし、赤松は首を横に振るとポツリポツリと話し始めた。その姿は今も存在するなにかを見やるようだった。

 

 

 

 「カールスラント撤退戦で部隊は全滅しました…文字通り全滅でした…」

 

 「どこにいたんだ?」

 

 「・・・ゼーロウ高地」

 

 

 

 バルクホルンは一瞬で理解した。ゼーロウ高地とはカールスラント軍が国民避難作戦であるビフレスト作戦で、撤退し損ねた10万人の大部隊で、その撤退を支援するために皇帝が全力を注いだほどだった。しかし、ゼーロウ高地ではその戦力の3割を消失、事実上カールスラント軍は壊滅した。その撤退戦は過酷以外の何物でもなかった。そこに赤松はいたのだ。

 

 

 

 「それは…」

 

 「撤退に失敗して、取り残された我々は武器弾薬、医薬品などが尽き、隊員たちは次々と消息を絶ちました。」

 

 

 

 それは死んだかどうかも見ていないが、確実に生きてはいないことの裏返しであった。しかし、赤松はそこにいた。生き残ってしまった。

 

 

 

 「最後に残ったのが、隊長と二人のウィッチでした。」

 

 「隊長…」

 

 「隊長は私の姉でした。」

 

 「姉?!」

 

 

 

 驚きの事実である。姉がいて、その姉は死んだ。バルクホルンはどこか他人事ではないと感じていた。

 

 

 

 「残された私と負傷したウィッチを守るため、姉は片足しかないユニットで武器を探しに行きました。しかし、帰って来ることはありませんでした。」

 

 

 

 今も探しているかのような遠くを見る眼差しは、過酷な戦場を目にした兵士の目だった。

 

 

 

 「その後のことは思い出したくもありません。一人は敗血症により死亡、見殺しにするしかできませんでした。もう一人の負傷したウィッチが痛みから叫び始め、ネウロイに見つかる可能性がある以上、声を止める必要がありました。」

 

 「なっ!?」

 

 

 

 バルクホルンは決して言わなかったが、声を止める必要というのは息の根を止めることと同義であり、赤松は人を殺めていることになる。そんな境遇を辿っていたとは知らず、無神経なことを聞いてしまったと考えたが、もう遅かった。

 

 

 

 「何時間か歩いていると幸運なことに扶桑のユニットがありました。なんとか飛べると思い、自分のユニット対で拝借して事なきを得ましたが、帰ってからが地獄でした…」

 

 

 

 バルクホルンはもう後戻りできなかった。聞く以外に身動きができなかったからだ。しかし、赤松だけは目の焦点が定まっているがバルクホルンがいないかのような虚空を掴む瞳だったのをバルクホルンは恐怖として感じてしまった。

 

 

 

 「帰還を喜ばれはしたものの、ユニットを見た整備員が言ったんです…」

 

 「…」

 

 「「これ、隊長のだ」…ってね。私は得てして姉と最後に会うことが出来ていたのですが、周りからは姉を殺して奪ったユニットと見られてしまいました…まあ、一人も二人も変わらないから反論の仕様がありませんよね…」

 

 

 

 そう言うと、肩を落としてバルクホルンを見た。その目は「どうせお前も軽蔑したんだろ」と言わんばかりの諦めの目だった。しかし、バルクホルンも愛しい妹を失いかけ、祖国を失った。同胞を失う苦しみを知らないはずがない。その苦しみを盾に赤松の話を理解しようとした。戦場とは綺麗事だけでは済まないのだ。

 

 

 

 「少尉は…ゆうは…悲しいか?」

 

 

 

 絞り出したと言っていいほど、緊張していた。手が白くなるほど握りしめられていた手に気付き、開閉させる。赤松は表情を変えずに口を開いた。

 

 

 

 「それが…涙も出なかったのです。」

 

 

 

 自分でも驚いたと言わんばかりの感情の喪失は、赤松の感情が振り切っているのだと示していたのだろう。しかし、バルクホルンは言葉として自分でさえ分からないことを他人に言えるのかと自問自答するしかできなかった。上官として、年上としてなにかをしてあげたかったが、言葉は詰まり、手足は鉛のように重かった。何か、何かできないかと考えていたが、それを見て赤松は立ち上がり、出て行ってしまった。声にできない言葉はバルクホルンの胸の底深くに渦巻いていた。

数日後、ネウロイが出現し、基地に警告音が鳴り響く。

 

 

 

 「ネウロイ出現!待機中のウィッチは全員出撃せよ!」

 

 

ミーナとハルトマンが走り出し格納庫に向かう。バルクホルンもそれに続くが先日のことが未だにしこりを残している。

 

 

 

 「赤松少尉は私の二番機に!バルクホルン中尉はハルトマン少尉と!行くわよ!」

 

 「トゥルーデ!行くよ!」

 

 

 

 赤松はバルクホルンを見た気がしたが今度は何も言わずに走り去り、出撃してしまった。バルクホルンも後を追いかけたが、空が重く感じるのだった。

ネウロイはブリタニアへとやって来ていて、今回は安定の配置である4人で出撃となった。最近では、赤松はミーナの二番機につき、ミーナから高い評価を得ていた。単機でも手堅く戦うスタイルだったため二番機としての役割を十全に果たす存在というのは、一番機としては背中を任せるに厚い信頼を置くことができる。その点、赤松はまさにといった存在になっていた。ミーナとの模擬戦では、先に弾切れとなったためミーナに軍配が上がったが、ミーナの弾も一発も当たっていなかった。唯一、欠点を伸べるとしたら射撃が秀でているわけではないことだが、これは訓練でよくなるというよりは天性の勘もあるため才能の差であった。そして、今回の戦闘では相性が悪かった。今回のネウロイはなんと分裂型だった。多数に別れたネウロイは分散して進撃する。それを追うのに二手に別れたが、コアを持つネウロイが赤松・ミーナサイドに存在していたのが不運だった。

 

 

 

 「あなたに背中を任せるわ!お願いね!」

 

 「了解!」

 

 

 

 

 幾重になる波状攻撃を耐え忍び、乗りきったところでミーナは反撃に出る。きちんと追随する赤松に不運は訪れる。

 

 ズシャッ!

 

 二番機として前面の視界を限られた状況で、ミーナの補助射撃を行っていた赤松は、位置の関係で見ることができなかった重なった敵機に気付くことができなかった。赤松の攻撃で手前のネウロイを撃墜したところで、ミーナが後ろのネウロイに気付き、回避行動を取る。それを方向転換と捉えた赤松は攻撃に気付けず、攻撃を左腕に受けてしまった。

 

 

 

 「んぐっ!!」

 

 「赤松少尉?!大丈夫!?」

 

 「左腕に被弾…すみません。」

 

 

 

 確実に左腕は動かすことができそうになく、今すぐに止血するべき負傷だった。しかし、敵がたくさんいる後退させるという判断は現状、難しいことだった。ミーナの固有魔法である空間把握でもまだ10機近くのネウロイがブリタニア本土を目指して進んでいた。ミーナは赤松を後退させるわけにもいかず、バルクホルンを応援に頼んだ。

 

 

 

 「さすがに敵が多いわね…」

 

 「左腕に応急措置を施しました。やれるだけやります。」

 

 「それに頼る他ないわね…ごめんなさい。」

 

 

 

 ミーナは勇を連れたって、ネウロイ集団を追った。勇は左腕を支えとして、射撃を開始した。元より射撃が秀でているわけではなく、怪我をしているため精度を欠いていた。それでも、ミーナとしては敵の動きを制限しているためミーナがそのすべてを撃破すべく動いていた。

 

 

 

 「今のあなたに当てることは難しいわ!敵の動きを制限させて!もう少しでバルクホルン中尉も合流します!」

 

 

 

 敵が基地まで目前に迫り、さすがのミーナでも基地に警告をし、対空射撃を勧告した。さらに、勇の腕に巻いた服も血で濡れてきており、限界が近かった。さらに不運は続き、残り3機のところでミーナのMG42が弾詰まりを起こしてしまう。

 

 

 ガチャン!

 「弾詰まり?!そんな!」

 

 

 基地への爆撃進路についたネウロイは対空射撃をもろともせず突っ込んで行く。ミーナはただ見ているしかできなかった。しかし、予想外のことが起きる。勇が突っ込んで行ったのだ。

 

 

 

 「赤松少尉!何をしているの?!戻りなさい!」

 

 「基地を防衛します。」

 

 

赤松はさも当然のように、血の滴る状態で追撃の手を緩めなかった。

 

 

 

 「少尉?!無茶よ!」

 

 

 

 勇は猛然とネウロイを追随し、至近距離で射撃、2機を撃破した。しかし、残り1機が残り爆撃を行う直前にバルクホルンとハルトマンが間に合った。

 

 

 

 「攻撃する!ゆう!退くんだ!」

 

 「撃って下さい!」

 

 

敵を追う姿勢は頑として変わらず、自分もろとも撃つように煽る。

 

 

 

 「ダメだ!巻き込まれるぞ!」

 

 「いいから!早く!!」

 

 

 

 バルクホルンとミーナ、ハルトマンは迷った。このまま撃てばネウロイだけを当てられる可能性もあるが、赤松に被害が出ないとも限らない。しかし、その思考の時間が決定的だった。ネウロイが爆弾を投下してしまったのだ。基地には轟音と爆炎が立ち上った。

 

 その後、幸いにも爆弾は逸れ、滑走路の端に落ちたため事なきを得たが、ミーナやバルクホルンはそれどころではなかった。

 

 

 「少尉、なぜ私の命令に従わなかったの?!」

 

 

ミーナが真剣な顔で赤松の命令違反を叱責するが、赤松は一向に退かない。

 

 

 

 「少なくとも敵の攻撃目標を逸らすことができました。残念ながら爆撃こそ許しましたが、なんら批判されることをした覚えはありません。」

 

 「そういうことじゃない!もしかしたら対空射撃や私の射撃が当たっていたかもしれないじゃないか!」

 

 

 

 ミーナとバルクホルンはあんな無茶をしたことに驚き、命令違反を叱責したつもりだった。しかし、勇の反応は淡白なものだった。

 

 

 

 「それこそ言われている意味が分かりません。むしろ、なぜ撃たなかったのですか?」

 

 

 

 勇の言葉には二人とも絶句してしまった。ただでさえ負傷し、継戦困難な状況にも関わらず命を投げ出すことを前提とした行動に一種の凶器を感じたからだった。

 

 

 

 「あなたを撃ってしまえば、貴重なウィッチとしての戦力が失われてしまいます。物は直せば元に戻ります。だから、命を無駄にすることを良しとしないのです。」

 

 「無駄ではありません。負傷して使い物にならない、いわく付きのウィッチなんて…!?」

 

 

 

 バルクホルンは我慢ができずに、勇の言葉を遮ってバルクホルンが平手打ちをした。バルクホルンには許せなかった。バルクホルンと同様に辛い過去を背負ったウィッチが、なんの憂いもなく死ににいくことを同じ境遇のバルクホルンがさせたくなかった。

 

 

 

 「お願いだから、そんな悩まずに死のうとしないでくれ…私も悩んでいる。私も私を許せていない。」

 

 

 

 自分ももしかしたら同じ事をしたかもしれないからこそ悩んでほしかった。だから、一つ一つ絞り出した言葉は勇の心を捉え始めていた。

 

 

 「ネウロイと戦って死ぬなら私も本望だと考えている…でも、人の手で、戦友の手を借りてまで互いが不幸になることはないじゃないか!」

 

 「私は…この手で命を潰し、我が命のために生け贄にしたのです。そんな命、誰にとっても潰えて気に病むものではないではないですか…」

 

 

 

 勇は自分の手を見て当時の自分を見つめていた。酷く冷たく自分の血ではないが、それまでは命として流れていた仲間の血。それを啜って生き長らえたところでそれは生きていると言えるのだろうか。自分という生き物はかつてのもので、なにか恐ろしい化け物になってしまったのではないかという自己嫌悪に怯える毎日だった。

 

 

 

 「だから、バルクホルン中尉…あなたが嫌いだった。」

 

 「なにおう!」

 

 

バルクホルンに向けられた非難にハルトマンが腹を立てる。そして、それをミーナが止める。もしかしたらミーナも赤松の闇に気づいていたのかもしれない。

 

 

 

 「待ちなさい!ハルトマン少尉!」

 

 「なんでだよう!」

 

 「待ってあげて…」

 

 

 

 勇はバルクホルンと会った最初の戦闘を思い出した。

 

 

 

 「あなたは私の戦闘に介入した。あのとき私はネウロイと心中しようとしていたのに、あなたが邪魔をしたんです。」

 

 「そういうことだったか…」

 

 

 

 あのとき言った邪魔するなとは戦闘の邪魔ではなかったことを今知った。そして、バルクホルンは勇の次の言葉を待った。

 

 

 

 「二回も邪魔されたときは神様が試練を与えているのだと呪いましたよ。そして、極めつけがここです。最前線を希望したらまさかあなたがいる基地になるとは…そして、あなたに過去を話した。だから、いつ今日のような日が来てもあなたなら必ず撃ってくれるよう仕向けたのに、撃ってくれると信じていたのに…」

 

 

 

 普段口数の少ない勇が話す内容は、とても多くの意味を含んでいた。これがバルクホルンより年下の少年が抱く闇だった。次第に増える口数は、少なからず勇の現実を歪めた過去の自分に語りかけているようで、バルクホルンは固唾を飲んで聞いていた。

 

 

 

 「私はバルクホルン中尉やミーナ大尉も故郷や大切な人を失ったと聞いて、嬉しくなりました。この人たちなら私を撃っても大丈夫だろうと。でも、同時に怖くなりました…」

 

 

 

 あの柔らかな笑顔の下に、このような思惑が渦巻いていたことをバルクホルンは信じられなかった。扶桑の話をしていたときの顔は紛れもなく本物だと感じていたからだ。それが怖くなったとはどういうことなのか。

 

 

 

 「ミーナ大尉は、私の経歴を知ってなお、私を評価しました。私は経歴を詐称して撃墜数を少なくし、無能の肩書きを忍ばせておいたはずなのに…」

 

 「私はあなたの経歴で判断するのではなく、あなたを見て判断したのよ。それは指揮官として当然のことよ。」

 

 

 

 ミーナは公平な判断ができる人物である。この年で大尉となった才覚は伊達ではない。

 

 

 

 「そして、バルクホルン中尉、あなたですよ。あなたは私の姉に似ていた…姉を裏切った私からすれば、あなたから向けられる好意が一番恐ろしかった。あなたにこそ私を撃ってほしかったのに…」

 

 

 

 バルクホルンは興味本意で近づいたわけだが、意図せず赤松を苦しめてしまっていた。姉の話をしていたときの赤松の心情はどうだったのだろう。想像に難くなかった。

 

 

 

「あなたに「ゆう」と呼ばれる度に、姉に呼ばれているようで心が張り裂けそうでした。それでなお、話をすると不思議と懐かしく思う自分が許せなかった!私にはもう、幸せなんて浸ってはいけない劇薬だというのに!!」

 

 

 

 バルクホルンは赤松の叫びを聞いて決心した。一歩、また一歩と歩み寄り、俯く少年を抱き締めた。

 

 

 

 「は…あ…」

 

 「ゆう…いいんだ。もういいんだよ。」

 

 

 

 バルクホルンの声は姉の声のように温かく、柔らかく優しさを包んだ言葉は、勇の感情の堰を押し流させた。

 

 

 

 「ああ…あああああああ!!」

 

 「ゆう、お前はよくやった。頑張ったな。」

 

 「姉さん…姉さん!ごめん…僕…姉さんを…誰も守れなかった!」

 

 

 

 今まで詰まっていた感情が滂沱の如く押し流れ、堰を切った涙は冷たい少年の心の氷を溶かすようにゆっくりと流れた。それは赤松のフィヨルドのような氷河に削られた大地の傷を撫でるように溶かしていた。

 

 

 

 「ゆう、もう一人なんかじゃない。仲間と協力して今度は守ってあげればいいじゃないか。お姉ちゃんはゆうならできると信じてる。」

 

 「姉さん…わかったよ…今度は、きっと・・・」

 

 

 

 そう言うと、バルクホルンはより強く抱き締めて、無言で寄り添った。

 

 しばらくして、ミーナは赤松勇を傷病兵として扱い、基地の危機を救ったとして表彰の申請をしてくれた。ハルトマンはそれからちょくちょく遊びに来るようになり、病室でなにやら話している姿を目にした。それは見る人しかわからないが、端から見ると酷くつまらなそうに聞いているが、知る人はあれで笑っているのだ気づいていた。そして、バルクホルンはというと。

 

 

 

 「ゆう、入るぞ。」

 

 「どうぞ。」

 

 

今までのような感情をなくした表情とは打って変わって、人間味のある表情で出迎える勇がいた。

 

 

 

 「調子はどうだ?」

 

 「まあまあかな。傷は塞がったからあとは銃を持てるようになるまでリハビリだね。」

 

 「治ったら射撃について教えないといけないことがたくさんあるからな。」

 

 

まさしく上官、もとい姉のように自慢げに話すバルクホルンの姿に苦笑いしつつ、そんな会話も楽しんでいることに勇は気づけた。

 

 

 「トゥルーデみたく二丁も持てないよ。」

 

 「なに、日頃の訓練と強い精神を持てばだな…」

 

 

いちいち小言を垂れてしまうお節介な姉を横目に微笑みを携えたミーナが入室する。

 

 

 

 「あらあら、すっかり赤松少尉のお姉さんね!」

 

 「な、ミーナ!茶化さないでくれ!」

 

 

指摘されたことで顔を真っ赤にするバルクホルンを、やれやれと思いながらもありがたい存在として認識し始めた勇は助け船を出す。

 

 

 

 「そうですよ、ミーナ大尉。本当の姉さんじゃない人に泣きつくなんて年頃の男子には堪えるものがあるんですよ!」

 

 「表情豊かになってくれて嬉しいわ。そして、話があるのだけどいいかしら?」

 

 

 

 会話から仕事のモードに入ったとバルクホルンはわかった。勇も分かったのか真剣な面持ちになる。ミーナはにっこりと笑顔のまま話始める。

 

 

 

 「あなたの先日の証言から公式の撃墜数や戦闘回数を調査したわ。撃墜数は少なく見積もって80機、立派なエースウィッチよ。」

 

 

 

 バルクホルンは目を見張った。自分やミーナ、ハルトマンならいざ知らず、単機で出撃を繰り返していた勇は100機近くを撃墜し、これは単機ならではの不透明さを加味して少なく見積もられている。つまり本当に100機撃墜を果たしてい可能性が高いエースなのだと解釈できた。

 

 

 

 「ゆう、凄いことじゃないか!」

 

 「数えたこともありませんでした…でも扶桑では個人の撃墜数はカウントしないので…」

 

 

最初に報告した数は明らかに少ない数だとは勇も理解していたが、まさかここまでの功績が残っていることに素直に驚いていた。

 

 

 

 「欧州では大事なことよ。そして、ここから本題なのだけど私はこの調査した数ではなく、あなたの報告の数を本部に提出しようと思うのだけど大丈夫かしら?」

 

 

 

 勇の報告ではおよそ30機近くの撃墜数を報告していた。これを不思議に思ったバルクホルンは尋ねる。

 

 

 

 「それはなにか思惑があるのか?」

 

 「ええ、真実を報告すれば必ず少尉は引き抜かれる。ならば、少ないまま報告すれば残ってもらえると考えたの。あなたには不義理になるけれど、少尉さえよければどうかしら?」

 

 

 

 赤松は間もなく返事をした。

 

 

 

 「撃墜数に拘ることはしていません。むしろ、ここに居させてもらえるならその方がありがたいです。」

 

 

 

 勇は真実を語り受け入れられた日から、この基地でこの仲間と共に戦いたいと思っていた。この提案はむしろ好都合だった。そして、ミーナはさらに提案する。

 

 

 

 「それともう1つ…あなた統合戦闘航空団の一員になってみない?」

 

 「なんですか、それは?」

 

 

 

 統合戦闘航空団とは多国籍のエースたちで構成されるエリート部隊のことである。勇もエースとして認識され、素の力量から是非とも欲しい人材であった。ミーナは戦略的観点から早めに人員を確保したい目論見もあったのだった。

 

 

 

 「私に務まるのであれば喜んでと申しておきます。いらないとわかれば切り捨てて貰っても構いません。」

 

 「そんな馬鹿なこと言うんじゃない!ゆうの凄さは誰だって疑い用のない事実じゃないか!」

 

 

 

 本気で怒ってもらえる存在に驚きつつも、勇は笑顔で頷く。

 

 

 

 「ごめん…なかなか素直になるのが難しくて。」

 

 

 

 素直な気持ちを吐露することがいまだ不馴れな勇を温かく見守ると、正式に統合戦闘航空団の申請がなされていく。勇は、人によって失われた己を、人によって取り戻しつつある現実を歯がゆく、そして眩しく受け入れていた。

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?稚拙な文章でお目汚しでしたら申し訳ありません。
感想も受け付けますのでよろしくお願いいたします。
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