今回は勇と藤野の話にも触れた話となっております。徐々に明るみになって行く勇の現状にご期待ください。
501統合戦闘航空団では物資、特に食糧事情がひっ迫していた。そんな中買い物役としてシャーリー、ルッキーニ、宮藤、勇が選ばれた。
「おっ買い物!おっ買い物!」
「行ってきまーす!」
(芳佳ちゃん無事に帰ってきて・・・)
各員の欲しい者リストを手に勇み足でトラックに乗り込む宮藤。基地手前まで普通に運転するシャーリーだったが、基地が見えなくなった瞬間そのスイッチが押された。
「ふっふっふ・・・今日こそタイム更新だぜ!」
「お、やるのか?」
「やっちゃえシャーリー!」
「え、なにを・・・」
若干一名なにをするか分かっていない人物を乗せたまま、そのトラックは暴走列車のごとくタイムトライアルを始めたのだった。でこぼこ道や急カーブもなんのそのと、ついには道から道へとジャンプする異常ぶりに宮藤は死屍累々の様相だったが、他三人は大いに盛り上がっていた。
「もう止め・・うぷ」
「いやっほー!」
「いっけぇシャーリー!」
「ワープしろそこだっ!」
宮藤の道中の微かな記憶では一番はしゃいでいたのはなんと勇だったが、それは見なかったことにした。そしてようやく街に到着し、買い物をこなしていく。中ではバルクホルンから頼まれた妹用のかわいい服を見繕っていたが、バルクホルンを姉と慕う勇は既にバルクホルン用にも買い物を済ませていたのだった。
「シャーリーさん、この服似合うと思いますか?」
「ああ?ん~宮藤なら似合うんじゃないか?」
「違いますよ。バルクホルンさんの妹さんにです。」
「バルクホルンのぉ~?!だっはっはっは!」
そんなやり取りが行われている中、退屈してしまったルッキーニが店の外で少女が黒づくめの男二人に襲われているのを発見してしまった。なにも言わずに飛び出していったことに宮藤もシャーリーも気づかない。しかし、自分の買い物をさっさと済ませた勇は外で待機していため外に飛び出たルッキーニのお守としてついていくのだった。
「あちょー!」
「え?!あの?!」
「行こっ!」
ルッキーニがあっという間に男二人をのしてしまうとその少女の手を取りどこかに去ってしまう。それを目撃した勇はその行為の愚かさに目を覆う。一般市民に扮装していてもその気品のある態度と真紅の赤い髪をもつ少女の正体を勇は知っていた。その人物とは、ここヴェネツィアの王女ともいえる位に在位する存在であった。倒れた男たちをそっと起こすとまず謝罪する。
「くそっ何者だ?!」
「この度は身内がとんだご無礼を。しかし、あの少女は決して公女殿下に害のある人物ではありません!この私、荒鷲隊隊長の赤松勇連合軍中佐が保証いたします。」
「あなたは様は?!分かりました。マリア公女殿下をよろしくお願いいたします。」
久しぶりに自分の役職を打ち明けたものだと遠い目をした勇だったが、ふとこんな素直な謝罪をしたのはいつぶりだろうかと懐かしい気持ちにもなった。
(ああ、そういえば前にきちんと謝ったのは赤松隊長だったか。それ以外だと藤野、お前だったな・・・)
ルッキーニとマリアの後をつける勇だったが、ルッキーニはミーナから渡された有り金をありったけ使いロマーニャを存分に楽しんでいた。あの交渉強かな公女が素の笑顔を振りまいているところを見るにしばらくは勇も放任していた。ルッキーニは様々なところを観光し、最後に塔の展望台にマリアを連れ立った。
「ねえマリア!ここが私の一番好きな場所だよ!」
「まあ、すごい!ここに民草が暮らしているのですね。私の目指すべき道が分かった気がします。」
「ん?マリアは難しいこと言うね。」
「ここにいたかルッキーニ。」
マリアとルッキーニの後ろから勇が現れる。マリアはその顔を見てすぐに勇の正体が分かったようだった。勇はそんなマリアの怪訝な表情に見向きもせずルッキーニに話を振る。
「勝手に行ったらみんな心配するだろ?」
「あっそうだった・・・あ、ゆう・・・お金全部なくなっちゃった。どうしよ・・・」
「お金ならある人にもらえばいいだろ?」
「それもそっか!」
そう言うと勇は公女をチラ見する。マリア公女はフンと顔をそむけたがこれは期待できそうだと勇は悪い顔をする。そんなことをしていると街中の警報が鳴り響く。ネウロイの来襲を告げる警報だった。その警報で塔の下では宮藤とシャーリーが追い付いたようだった。あらかじめ勇がここに来るように伝えていたためちょうどのタイミングで来たと言えた。
「マリア!私行かなくちゃ!」
「えっ?!どういうことですの?!」
「私ウィッチだから!行かなくちゃ!だって私の街だもん!」
ルッキーニの本当の正体を知り驚愕するマリアだったが、塔からあっという間に滑り落ち、ストライカーを履き空へ駆けのぼる少女を見て真実に変わる。そして、後ろでは勇がマリアに控えていた。マリアはゆっくり振り返ると勇はかしづいて公女であるマリアに上奏する。
「マリア公女殿下、彼女の非礼を私が代わりに詫びます。」
よくもまあいけしゃあしゃあとやるものだとマリアは思い、ため息を一つつくがルッキーニとの時間は正直楽しかった。それを思えば目の前にいるこの人物がだれであろうと今ばかりは許せる自分がいた。
「あなたのこれまでの行いを私個人は好きにはなれません。」
「ご尤もです。」
「・・・ですが、感謝もしているつもりです。」
「勿体なきお言葉です。」
「感謝を言われる覚えはありません・・・ただ、あのような清いウィッチがあなたを信頼していることを私は信用したいと思います。」
「ご期待に沿えるよう尽力いたします。」
「当然です。期待とは諦めから出る言葉なのです。この諦観が本物にならないことを切に願います。」
勇は一礼すると軍帽をかぶり直し、音もなくマリアのもとを離れた。マリアはもう一度ため息を吐くと、今行われている空中戦に思いを馳せるのだった。
間もなくして勇も空中戦に参加する。宮藤とシャーリーが今まで姿を見せなかったことを抗議する。
「ああ勇さん!?もうこっちは心配したんですよ!」
「そうだぞケーキうまかったんだぞ!」
「それは結構。だが今は戦闘に集中だ。」
突っ走るルッキーニを諫めつつ、四人での連携を繰り広げる。宮藤とシャーリーが牽制し、勇が市街に攻撃が行かないように攻撃を一心に引き受ける。シールドを斜めに張り、全てを街の外に逸らしていくといった名人芸を繰り広げていると最後の締めと言わんばかりにルッキーニが仕留めに係る。
「私のロマーニャから出ていけ!」
この日、ロマーニャ市街に侵入したネウロイは501統合戦闘航空団によって即座に撃退された。ルッキーニは持たされた全財産を使い果たし、ミーナに説教をされ泣かされていた。しかし、勇が持ってきた帳簿を目にしたミーナの目の色が変わったことでルッキーニは水の入ったバケツを持つという罰で許されていた。さらに、その裏のラジオ放送ではロマーニャ公女殿下であるマリア公女からお言葉があり、その言葉の中にはルッキーニの名があったことにより一同は騒然となる。それと同時に送られてきたイモで満載のコンテナが基地に降り注いだのだった。その中に二通の手紙が内包されているのをミーナが発見する。一つを開封するとミーナは疑問に満ちた顔で勇にその手紙を渡した。それを嫌な顔で受け取るとこう書いてあった。
『insomma,e' tonto,ma non e'stupidi(要領は悪いが馬鹿じゃない)』
それを見た勇は笑いながらその手紙を海にぶん投げたのだった。そして、もう一通が問題だった。ミーナはその夜自室で坂本とその内容について知恵を絞らせられることになる。そこにはこう書かれていた。
『幽霊に気を付けろ』
それから幾ばくかの日が経ち、部隊はネウロイの迎撃に対応していた。しかし、一向に小型ネウロイを攻撃しても撃退できないことを疑問視した坂本は本体が別にあると推察した。魔眼で探索するとコアに位置が超高空にあることを発見し、一時帰還を余儀なくされた。基地ではその対策会議が催され、成層圏にあるとされるコアの破壊を務めるのは攻撃力に特化した武器を持つサーニャが選ばれた。もう一人の防御をする人材の候補に宮藤と勇が選出された。
「サーニャの護衛だがまずは、お前だな。宮藤!」
「はい・・・え、私ですか?!」
「お前の防御力ならサーニャを守れるだろう。そして、ベテランから考えるとゆう、お前になるな。」
「だれもやらんと言うなら俺がやるしかなくなるか。」
「勇さんの方が適任だと思います。」
宮藤はそう言って勇の方が適任だと推挙するが、はっきり言って宮藤の方が防御能力が高いシールドを張れるのも事実だったが、如何せん経験値が足りないところが論点だった。しかし、そんな論争に待ったが入る。
「ちょ、ちょっと待つんだな!私!私がやるんだな!」
エイラがサーニャの護衛ならと出しゃばってきたのだった。しかし、エイラは今まで被弾したことがなく、その分シールドも張ったことがなかった。そのためきちんとシールドが機能するか不安視されていた。そんな不毛な論争をしているとエイラが勇に物申す。
「だったら!ゆうに模擬戦で勝ったら私に行かせてほしいんだな!」
勝手に蚊帳の外にされていた宮藤がほっとした表情をしていたが、そのエイラの提案により急遽勇とエイラの模擬戦が開始されることになった。やる気満々のエイラと気だるげな勇と対照的ではあるが、ミーナの裁量により決定してしまった。ハルトマンとの模擬戦と同様のルールで行われるが、エイラには勇に勝つ未来しか見えていなかった。また、実際の勇の力量を知る者もいなかった。全員がその模擬戦に注目していた。
「まったくこの基地は厄介な相手ばかりで困る・・・まあ、負けはしないだろうな。」
勇がぼそりと呟く中、模擬戦開始の合図が響く。その合図と同時に両者が一斉に動く。まず先に仕掛けたのは勇だった。エイラの後ろにつくと射撃を開始する。しかし、それを未来予知によりエイラは華麗に避けていく。
「さすがのエイラさんですね!やっぱりエイラさんが勝つんですかね?」
「いいや、勇の実力も未知数だ。この戦い、分からんぞ。」
「いやいや少佐、ゆうはハルトマンにも勝ったんだ。ゆうが優勢だろう。」
若干一名身内贔屓が入っていたが、誰しもがこの戦いの行く末を正確に予想できる者はいなかった。また、空ではエイラが全て勇の攻撃を回避し反撃していた。
「私がサーニャの護衛をやるんだー!」
しかし、エイラの攻撃もまた勇は全て回避していた。そのことに少し警戒するエイラだったが、自分のいる先に厚い雲があるのを発見する。勝負場はここだとエイラは雲の中に突入する。
(ふっふっふ~!私にはゆうがどこにいるか凡その予想ができてしまうんだな~これは勝ったんだな!)
エイラは自分の勝ち筋にほくそ笑んでいた。魔法力に集中し、勇の居場所を探る。
「いたんだな!これでサーニャの護衛は私のものなんだ・・・なっ!」ダダダダ!
エイラが自信をもって勝利を確信するペイトン弾を放つが一向に勇が撃墜判定を出さない。おかしいなと思っているエイラの未来予知に突如警笛が鳴り響く。急減速してその場に留まると、それまで行こうと考えていた空間にペイント弾が走っていた。エイラはその光景に困惑が隠せなかった。
「どうして私の居場所がわかったんだ?!」
困惑しているとまたしても未来予知に警笛が鳴る。またも急激に回避運動を取ると正確に先ほどまでいた場所にペイント弾が降り注いでいた。エイラはこのままでは自分が攻撃され続けしまうと不利を悟り、雲の中から出ることを決意する。雲から出ると勇をしっかりエイラの背後についてきた。それにまたも驚かされてしまう。
「どうしてなんだ!私には未来予知ができるのに?!」
「それに拘るからだ。」
馬鹿にしたような声が聞こえ、エイラは自分の驕りに気づいた。それではと未来予知に頼り切ることを止め、エイラ本人の空中戦のセンスをもって勇と対峙することを決めた。エイラも勇も一向に退かない戦いが繰り広げられ、眼下で見ている宮藤たちは大盛り上がりだった。
「すごい!すごいです!」
「さすがゆうだ!」
「大きな口を叩いていらっしゃるんだから勝ってみせなさい!」
「エイラ・・・頑張れ。」
サーニャの応援が聞こえたかどうかは分からないがエイラは勇に肉薄する。未来予知も今後の勇の行動パターンを全て網羅したビジョンを見せ、今度こそエイラは勝利を確信する。
「私の勝ちだぁ!!!」
勇の行動範囲すべてに満遍なく射撃し、エイラは勇のペイントまみれになった姿すら想像できた。だが、現実は違っていた。いつの間にか勇が視界から消えていたのだ。ハッとして後ろを振り返るとそこにはおぞましいほどの魔法力を身にまとわせた勇がニヤリとした笑みを浮かべて顕在していた。恐怖すら感じるその姿にエイラが一瞬動作が遅れるのを勇が逃さず、エイラの肩に手を乗せる。その瞬間こそ、エイラが一番の恐怖を増長させた瞬間だった。そして、耳元で勇がエイラに呟く。
「俺にはもう人の心が残っていないかもしれん。だからお前は勝てんのだ。俺に勝ちたくば人を止めてからだ。」
その言葉がどういう意味なのかは計り知れなかったが、エイラはきっと勇には勝てないんだということが分かった気がした。エイラが負けを確信すると勇が突如降参宣言をする。
「俺の負けだ。」
「えっ?!」
「弾詰まりだ。」
突然のことにエイラが混乱していると、それをもって模擬戦が終了してしまった。宮藤たちは一体どうなったのか分からずもやもやが残ったが、エイラの背後を取った勇の姿を見て興奮していた。
「うじゅ!?負けちゃった?!どゆこと?」
「エイラの背後を取ってたんだから事実上ゆうの勝ちなんじゃないか?」
「でもあの状況から全て回避したってことですよね?それもすごいです!」
「私なんか、最後の回避の瞬間も見えなかったよ!」
「ええ?そもそもどうやってあそこまで移動したんだよ?」
「エイラが頑張ってくれた・・・よかった。」
様々な感想が飛び交い、サーニャはエイラが一応勝ったという事実に喜んでいた。また、最後の一瞬を疑問視するのがミーナだった。
「エーリカに続きエイラさんも・・・美緒、あなたなら勇少佐に勝てるかしら?」
この質問に坂本はしっかりと、そしてはっきりと断言する。
「私どころか501総出でかかっても勝てるかどうか怪しいだろうな。」
その言葉にミーナはかつてない衝撃を受ける。まさか坂本だけでなくここにいる全員でも勝てないほどの人物がなぜここまで大人しくしているのか、またどうしてこの部隊に配属されたのかを考えるだけ恐ろしく思えた。しかし、今は目の前の作戦に集中すべきと現実逃避する。
その模擬戦の後、なんとエイラがサーニャの護衛を辞退した。それに驚いたのはサーニャ本人だった。
「エイラ!どうしてせっかく掴んだのに辞めてしまうの?」
「どうしてって・・・私はゆうに勝てなかったから・・・」
「結果はどうあれエイラは護衛になれるじゃない!どうして自分で諦めるの?!」
「サーニャには分からないよ!」
エイラはサーニャがどうして勇の底なしの強さに気づけないのか、また自分より遥かに上の存在がいながら自分がサーニャを守ることができるのか不安で大きな声を出してしまった。言い切ると同時に少しの罪悪感と枕が飛んでくる。エイラが唯一被弾した瞬間だった。そのあまりに理解できない出来事に唖然としていると、目の前のサーニャは悲しい目をして部屋を出て行ってしまった。部屋に残ったのはエイラとサーニャが去り際に残した言葉だった。
「諦めるからできないんじゃない・・・」
その後、エイラが辞退したことにより宮藤がサーニャの護衛を担当することになった。なお勇が辞退が許された理由は「寒いのは苦手だった」である。宮藤と共に発射される姿をエイラは下から眺めることしかできなかった。全員で上空まで運び第一陣、第二陣と離れていく。エイラは最後までサーニャの姿を目で追っていると、ふとサーニャがエイラを見た。その時の目の奥に映る自分の姿にエイラは居ても立っても居られなかった。気づいたときにはサーニャを追っているエイラがいた。
「サーニャは私が守るんだぁー!!」
周りは大慌てだったが、一人だけその姿を興味深く観察する人物がいた。
「それでもなお飛ぼうとするか・・・だからウィッチは嫌いなんだ。」
その言葉は周りの騒音によって誰の耳にも入ることはなかったが、ミーナのみその口元をはっきりと凝視していた。その後、無事に成層圏にコアのあるネウロイは撃退され、エイラはサーニャを守り切った。
その晩、ミーナは今日の戦闘詳報をまとめていた。多様化し迎撃を困難にさせるネウロイの続発は看過しがたい問題だった。しかし、それ以上にミーナには目の前に立ちはだかる幽霊に頭を抱えていた。
「これが報告書で、こちらがユニットの整備報告書になります。」
目の前で淡々と書類が提出されていくが、その人物は幽霊とあだ名され、ミーナにとって現状一番の悩みの種である人物だった。
「報告ご苦労様。もう戻って休んでちょうだい。」
「それができれば苦労しないんですがね。」
事実、この基地の戦闘隊長であり階級的に二番目の坂本はこの手の書類作業を苦手としていた。ミーナとしては勇と一緒に作業するのは心労的に避けたいところであったが、書類作業を手伝ってくれている点においては正直助かっていた。だが、ミーナとしても勇と長い間二人きりであるという危険を冒したくはなかったため作業の打ち切りを提案する。
「今日は本当にみんなも疲弊しているわ。あなたも休まないと明日に響くわよ。」
「それでは今日はこれまでといたします。ミーナ中佐もご自愛ください。」
ミーナはようやく人払いができたと一安心した。勇は退室するべく準備している。机に勇のペンが転がっているが失念しているだろうと、そう思うのと同時にミーナの心は今しがた退室しようとする背中にちょっとした好奇心が湧いてしまっていた。
「幽霊・・・ね。」
そう小声でつぶやき、いたずら心に机に忘れたペンを勇に向かって放る。もし勇が本物の幽霊ならすり抜けて行ってしまうだろうと、疲れた脳みそで考えてしまう。放物線を描いて勇にペンが当たる直前、ミーナは幽霊と言われる勇の姿を見失う。目を見開き先ほどまで勇が歩いていた空間を見つめる。見つめてもやはり勇はその場に存在しなかった。ミーナの瞳は驚愕の現実も把握するべく室内を駆け回る。しかし、ミーナは勇が幽霊であればどれほどよかっただろうと心底感じる羽目になる。勇は先ほど歩いていた場所から2メートルほど離れた位置に立ち、ミーナの視線と交差していた。互いに一瞬の驚愕の表情を浮かべ、まさに時間が停止したといってよかった。
「なっ!?どうして・・・」
ミーナは慌てて机に隠してある拳銃を取り出す。今の勇の位置ならおおよそ歩幅で5歩以上の距離があり、瞬時に飛びつくことは出来ない。そう瞬時に考えを巡らせ拳銃を勇のいた空間に構える。安全装置を外すほんの少しの合間に勇の存在を確認する。勇が今ミーナに飛びかかろうと行動している未来を想像していたが、それは目の前に広がる勇の冷たい表情によってぶち壊される。拳銃がぐしゃりと音を立てて握りつぶされるのが伝わる。一体どうやってあの距離を自分より早く動けたのかミーナの頭の中を駆け巡る間もなく、勇によってミーナは壁に押し付けられる。勢いよく背中を壁に押し付けられ、両手を勇の片手で抑え込まれていた。
「ぐっ!!」
鈍痛に顔をしかめるも勇に目を向け直す。目の前の勇は怒りを纏わせたような殺気を隠していなかった。ミーナの瞳を覗き込むように、またその瞳に引き込まれてしまいそうになるほど勇の瞳は勇の瞳を覗き込む自分の姿しか映っていなかった。
「どうしてこんなことをした?」
不意に勇から冷たい声が囁かれる。一瞬なんのことか分からなかったが、勇が瞬時に行動できたことはおそらく勇の魔法力に依るもので、それは勇の中で秘密にしていることなのであろうことが予想できた。その上でなぜペンを投げつけ、拳銃を手に取ったかという質問だと判断した。震える声を表に出さないようにするので精一杯だったが、必死に自分を律する。
「あなたがペンを忘れていたから・・」
「だからって銃を出すのか。」
冷たさが声に乗っかっているようだった。確かに拳銃を仲間に向けることは普通ではあり得ない。しかし、ミーナの心の中は勇が消え、自分を振り返る瞬間の瞳がこの世の者とは思えなかった。元々幽霊だとは噂されていたがそれ以上の怪物に自分は触れてしまったという恐怖が拳銃を取り出す結果となってしまった。勇は呆れたように話を続ける。
「見られた以上始末するか・・・だが惜しいな。」
勇はなんだかぶつぶつと呟いている。今の状況、勇のさじ加減でミーナの命は瞬時に消えてなくなってしまう。しかし、ミーナもこうなったら自分の今までの疑問をぶつけざるを得ない。
「あなた一体何者なの?!」
「俺か?俺は何物でもない。強いて言うなら昔ミーナが見た、赤松勇『だった』少年の成れの果てだ。」
だったという文言にミーナは納得してしまう。今の勇は昔仲間だったどの勇にも属さない。ただ、面影が揺らめいているようにしか見えなかった。
「なにがあなたをそうも変えてしまったというの?」
「なにが・・・なにが?だと?」
ミーナの質問に勇の表情に怒りが上乗せされるのが掴まれている手の強さに現れていた。痛みに耐えつつ勇を睨み返す。
「あなたが変わった理由・・・それは上層部のせい?それともそれに至るまでの戦闘のせい?」
「誰かに責任を転嫁できれば今の俺はもうとっくに欧州の空に散っているだろうよ。じゃあ、誰のせいか?もちろん俺だよ・・・俺のせいなんだよ。」
悲しさを感じさせない抑揚のない声はミーナの心に突き刺さる。勇自身の行いの結果、目の前にいるような勇が醸成されるだろうか。ミーナには決して勇単独でこうも変質してしまったとは思えなかった。
「あなたの履歴は調べさせてもらったわ。戦闘機隊に配属され、343空第一中隊の副長として林大尉亡き後その職務を引き継いだ。その後、リガ攻略戦に参加。少数の戦力でこれを達成したが作戦は失敗。その撤退の際にウィッチに再度覚醒したわ。僚機の藤野曹長とその後行動を共にするも作戦中に戦死。それにより第一中隊のパイロット全員が戦死したことに憤慨したあなたは、当時所属していた部隊の指揮官を殺害し逃亡。何らかの過程を経て少佐に昇進。ここ501に配属された・・・あなたが『幽霊』と呼ばれるに至る理由は十分に散りばめられていると思うのだけど?」
今までに調べた勇の過去をざっと口頭で伝えてみる。順風満帆な軍人過程とは言いがたかったが、それを慰める隙を勇は見せてこなかった。それ以上に不気味さを纏った勇をミーナは嫌ってさえいた。そんな勇は歪んだ笑みを携えて言い返す。
「くくく・・・ミーナ、お前に何が分かる?林隊長を失ったときに俺が何を感じたと思う?仲間を失くした時なにを考えたと思う?一番の戦友、藤野が死んだとき何を言われたと思う?俺は何をしたかったと思う?」
今の勇の瞳にその思い出が蘇るように揺らめいていた。勇は昔、自分の所属していた部隊がカールスラントで全滅し、自分一人が生き残ってしまった。その頃の勇は生きることがどうしようもなく苦しく、死に縋る毎日だった。それを新たに仲間と言う存在に生きる希望を見出し、生きるという人生の意義を見出したはずだった。しかし、今の勇は生きてみた結果に失望しているように思えてならなかった。
「あなたが何を感じ、考え、思い、悩んだかは私には分からない。でもあなたは生きてここに帰ってきた。なのになぜあなたはこの世に生きようとしないの?!」
ミーナは自分で言っていて勇が幽霊と言われている理由が分かった気がした。勇は自分たちが生きるこの世という存在に諦めているのかもしれない。もしくは自分の手ではどうしようもない存在に寄りかかっている自分が許せないのだろう。
「生きてみたさ。自分なりに必死に生きた。ただ、人間の、ウィッチじゃない自分には何の運命も覆す力は存在しなかった。付きまとうのは欲に塗れた人の思惑と仲間の無常な死だけだ。生きることの大切さを知っているだけに生き残ることに全力に、遮二無二になったさ。でも人の力には限界があった。どう足搔こうとも個人の力量は現実に変化をもたらす影響を与えない。たった少しの奇跡ですら人の手では作れないのさ。」
ウィッチと非ウィッチの両方の軍人生命を経て勇の思い描くウィッチの存在がいかに絶大で、また人から隔絶した存在であるかがよく理解できた。人間の理を越えた存在がウィッチだとすると、人間と言う存在があまりにもちっぽけに霞んでいた。だから勇はウィッチに憧れた。
「あれほど望んだウィッチは簡単に俺の目の前に奇跡を齎した。ウィッチを軍人は女神だと言うが、本当だと思ったね。ウィッチがいれば林隊長も仲間も死ぬことはなかっただろう。ウィッチさえいれば・・・だがウィッチはいつも遅れて現れる。現れた戦場が救われるんだ。こんな理不尽な女神が本当に女神だと?俺のとこはみんな死んでも来なかったのに!!」
ミーナは勇の絶叫を噛みしめて聞いていた。ウィッチにも管轄があり、その数にも限りがある。だがウィッチのいる戦場は大なり小なり戦況に影響を与える。なぜならウィッチがネウロイに対する人類唯一の存在であるからである。
「こんな茶番に俺は失望した。人が抗えない絶対的な力がありながらも人の理で生きているウィッチという存在は茶番そのものだろう?それでありながらウィッチは己の戦場を聖域のように、自分の生きる場所だと言わんばかりの顔で戦う・・・そんなバカげた存在に俺は、俺と藤野はなってしまった。あれほど待ち望んでも救ってくれなかった存在に、嫌いになり切れない存在になっちまったんだよ・・・」
勇は当時の悲観的でいて希望の象徴であるウィッチに最後の最期でなってしまったことを悔いているような嘆いているような当時の感情で呟いた。
「でもそのおかげであなたは今ここにいる。生きてここにいる。仲間を失った悲しみは痛いほどわかるわ。」
「分かっちゃいないな・・・俺はウィッチである俺が一番嫌いだ。痛みが分かる?ふざけんな、ウィッチになった藤野が死ぬとき俺になんて言ったと思う?」
勇は瞳に戦火の炎を灯しながらウィッチになった当時を語り始める。
リガ攻略戦が失敗に終わり、勇と藤野がウィッチに覚醒したことは即座にサーレマー島基地に広まった。最初は勇も藤野も自分がウィッチになったという事実を受け入れられなかった。だが、サーレマー島基地にはリガから避難してきた兵士が大挙として押し寄せてきており、そのほとんどが負傷兵か装備も持たない兵士だった。リガ攻略が失敗に終わったことで東部軍はサーレマー島基地も敵支配領域からの攻撃を受けると判断し、総員の撤退命令が発令された。その殿として勇と藤野が真っ先に指名されたのは言うまでもなかった。幸運なことに以前502の管野が来た際に残していった零戦のユニットを修理しており、ウィッチ経験のある勇がそれを履いて出撃することとなった。
「隊長、すまねえ・・・あんた達を残して俺らだけ本土に引き上げるなんて・・・」
整備のおやじが勇に詫びを入れるが、勇は仕方のないことだと割り切っていた。
「非戦闘員が残ったっていいことないですから。おやっさんはみんなをしっかり本土に連れ帰ってください。」
「それは当然だ。当然なんだが・・・」
おやじは涙を流して勇の肩を抱く。どうしても勇のことが不憫でならず、心残りがあったようだった。勇もつい謝罪の言葉が出そうになってしまった。守ってやれなくてごめんなさいと。しかし、そんなことを言ってはこの心優しいおやじに心残りができてしまう。それだけは隊長としてしたくなかった。当初の脂ぎった恰幅の良い面影はどこへやらと言わんばかりに頬が瘦せこけたおやじの姿を見るのはいたたまれなかった。
「おやっさん、もう行かなきゃ。」
「ああ、ああ・・・隊長どうか死なんでください。また、どんなに壊したって直してやりますから!」
そう言うと仲間の整備員がおやじを引っ張っていった。最後まで仲間たちは手を振ってくれたが、勇にはその姿を直視することは出来なかった。藤野は予備の零戦で出撃の準備を終えていた。藤野は誰とも別れを交わさなかった。
「隊長、出撃ですか。」
「ああ、お前は良かったのか?」
勇は藤野の心が読めなかった。昨日戦友の八島を失い、二人だけの荒鷲隊となってしまい、ウィッチとなったがまだまだ脳も体も受け入れているわけがなかった。
「隊長とならどこへでも。それにウィッチなら無敵ですよ。」
藤野はそう笑っていたが、ウィッチがどういうものなのかすら分かっていないだろうと勇は不憫に思った。なんとしても藤野だけでも生きて連れて帰ろうと固く誓った。
「そうだな。ウィッチに不可能はないからな・・・じゃあ、仕事の時間だ。」
こうして勇と藤野はサーレマー島基地からの撤退の時間稼ぎとして殿軍を務めることになった。部隊が撤退するまでの間、敵の陣地に強硬偵察や遅滞戦闘など様々な戦場を駆け巡った。勇は久しぶりのウィッチの戦いぶりに精を出したが、藤野は戦闘機での出撃のため従来の戦法を工夫して戦っていた。と言うのもウィッチ化した藤野は戦闘機に乗っているためストライカーユニットを自分の魔法力で動かしているわけではないため防御や攻撃に特化した魔法力配分を確立していた。しかし、依然として二人の間には問題が付きまとっていた。
「くそっ!従来の魔法力の半分も出せないじゃないか?!」
「敵、三時方向及び七時方向、十一時方向から接近中!隊長どうしますか?!」
二人の魔法力は勇が当時ウィッチだったころの半分程度のものだった。また、藤野はウィッチになってから日が浅く、魔法力のいろはすら知らない状態での戦闘だった。おそらく藤野も勇同様本来のウィッチの半分程度の魔法力しか使えていなかっただろう。四面楚歌の状態で勇は最後の指揮官として知恵を振り絞って考えた。ここでは即座の判断が命を救うと分かっていたが、分の悪い賭けに挑むことにした。
「基地に五号爆弾があったはずだ!それを奴らにお見舞いしてやる!」
「じゃあその間の支援は任せてください!」
「おう!任せたぞ!」
勇は基地に残された対地爆弾を用いて攻撃を仕掛けようと提案した。ウィッチであり、ユニットを駆使すれば離着陸は容易であるが、その間を狙われたらひとたまりもない。二人の連携をもって成功する作戦を実行に移してみることにした。
「たしかここら辺に・・・あった!五号爆弾!」
五号爆弾とは500キロ爆弾の通称であり、零戦が爆装した際の上限装備だった。もちろん機動性は悪くなるが自分の技量なら有効活用できると考えた。上空を見ると必死に藤野がネウロイと戦闘を繰り広げていた。
「藤野!今行くぞ!」
「お願いします!もう持ちません!」
腕にずしりと重みが加わり、魔導ユニットが苦しそうに咆哮を上げるの無視してぶん回す。一度空高く飛び上がるとこれまで藤野に集っていたネウロイが一斉に鈍重な勇に集り始める。サッチウィーブの要領で勇が行動を起こすまで藤野が勇の背後を守る。すると勇が急降下を始める。
「藤野!急降下の後爆弾を投下し、地上及び後続のネウロイをまとめて粉砕する!お前は残ったネウロイを片付けろ!」
「任せてください!」
勇は藤野の了承を受けると勢いよく急降下を始め、地面と寸でのところで低高度での飛行に移行する。都合のいいことに地上のネウロイの攻撃が勇の後続のネウロイに直撃する。しかしそれでもなお鈍重な飛行をする勇の後を追う。そこで勇は後続のネウロイを確認して爆弾を投下する。
「これでも喰らえ!」
投下した爆弾は地上のネウロイを吹き飛ばし、勇の後続のネウロイをも爆風によってかき乱す。その一瞬を逃さず勇は後ろを向いて攻撃する。勇の後ろに続くネウロイは一瞬にしてそのほとんどが消し飛んだ。残りを藤野が片付けると考えたその瞬間、勇の眼下で不穏な動きを察知する。急いで身をよじると先ほどまでの飛行コースに地上から猛烈な攻撃が雨あられと撃ち込まれた。これに勇はドキリとする。勇は地上に潜むネウロイが想像以上にいたことを認識する。急いで藤野にも報告するが時は既に遅きに徹していた。
「藤野!林の中にネウロイだっ!!!」
「えっ・・・」
戦闘機という特性上コックピットの下側は完全なる死角だった。よろよろと飛ぶネウロイを銃撃している藤野は勇の一言に青天の霹靂の如き衝撃を物理的に受ける。
「うがっ!!」
「藤野ぉ!!!!!」
藤野の真下から攻撃が撃ち込まれ、藤野の機体は炎上。そのまま林の端に墜ちて行った。勇は自分の心臓が張り裂けそうになりながらすぐに後を追う。今見た光景が信じられなかった。
「頼む頼む頼む!!」
誰にお願いしているかは分からなかったが縋らずにはいられなかった。零戦の残骸が広がり、無残にもその破片が辺りをチリチリと燃やしている現場を発見すると勇の喉元に何かが詰まった感じがした。近づくと零戦の風防は粉々に砕け半開きになっていた。急いで中にいる藤野を確認する。
「藤野!大丈夫・・・か」
勇が見た光景は見るも無残な藤野の上半身だった。下半身は血だまりの中に埋もれており、胴体からは腸が血を脈打たせながら下半身を繋ぎとめていた。勇はコックピットの中から藤野を出すことも、止血しても無駄であることを瞬時に理解した。それでも藤野に声を掛けずにはいられなかった。
「藤野!藤野!?返事をしろっ!!」
すると藤野はゆっくりと目を覚まし勇を探す。
「隊・・長?どこですか?」
「ここだ!」
「ああ隊長・・・僕、どうなっちゃいましたか?」
未だに自分の状態が分からず、その上ガラス片が目に刺さったのか血で濡れた目が勇を探していた。勇は藤野の手をしっかりと握り自分が傍にいることを証明する。
「お前は・・・俺の傍にいる。ほら、ここにいるのがわかるだろ?」
「はは、やっぱり隊長が傍にいると安心しますね。」
「そうだろ?お前はどこにもいかないだろ?な?」
勇は必死に声を掛け続ける。その間も藤野の出血は着実に藤野の体外に排出され続けていた。
「なに言ってるんですか。僕は・・・あれ?どうして八島がいるんだ?」
藤野は見えない目で既に死んだ八島を見ていた。ついにあちらの世界に繋がってしまったと勇は藤野を引き留める。
「おいっ!俺はここだぞ!藤野はまだこっちに必要なんだ!」
「隊長、八島はまだ死んでいなかったんですよ!ほら!西池も一緒ですよ!」
「駄目だ!連れて行かないでくれ!藤野だけは!」
勇が必死に懇願するも既に藤野に勇の声は届きそうになかった。勇は藤野の手を強く握って注意をこちらに向けさせる。
「命令だっ!藤野!こっちを向いてくれ!」
勇が血まみれの藤野の服に顔を埋めると、ふと優しい手つきで勇の手を握り返される。ばっと顔を上げると目の前には落ち着いた表情の藤野がいた。それはまるでこれまでの疲れが取れたような清々しささえ混在していた。
「隊長・・・僕は隊長と一緒ならどこへでも・・・行きますよ。約束・・・したじゃないですか。」
「藤野・・・」
藤野の顔からは血の気が失せ、唇は真っ青になり呂律も回らなくなっていた。
「隊長・・・あなたと一緒なら・・・どこへでも行ける気が・・・するんです。でも・・・少し、疲れました・・・」
「藤野ぉ・・・」
藤野は虫の息になりつつある意識を可能な限り言葉を紡ぐことに注ぐ。情けない声の勇に問いかけるように藤野は血のあぶくを吐き出す。
「隊長・・・ウィッチに・・・不可能はない・・・って・・・ウィッチは・・・どこ・・・ですか・・・」
藤野はそう問いかけると、もう喋ることもできないほど呼吸が浅くなってしまった。その質問に勇は答えてあげることもできずに、ただ自分の拳銃を取り出すのだった。それが勇にできる唯一の藤野への答えだった。藤野の胸に拳銃を押し当てると、勇は最期の別れを告げる。
「さらば、一番の戦友よ・・・すまない。」
ズドンと鈍い音が勇の手を静かに伝わった。その振動が勇の心の中の何かをずらしてしまった。今すぐに消えてなくなりたいと打ち震える思いは、藤野の命の炎の残り香を漂わせ、勇の胸に染み入る。勇の心に染み込む藤野の残り香は勇の心の灯に触れると再び炎を大きく灯すのだった。それはまるで蠟燭の煙に火を当てるとその煙を頼りにもう一度火が灯るのに似ていた。勇はそんな残り香に大きな火を灯すかのように叫ぶのだった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
この咆哮は勇の姿をより遠くに飛ばすのだった。それが勇と藤野の二人の魔法力の結晶である「瞬間移動」の誕生の瞬間だった。
いかがでしたでしょうか。ストパンのアニメ放送とお話を被せて考えると勇は大分異質な存在であるのが対比的に見えてきて、自分としてはアニメの中の彼女たちがどれだけ健気な存在だったか、また生きることに対して明るい未来を見出していたかよく考えさせられました。
さて、藤野はお気に入りだっただけにここで退場させるのは惜しい存在ですね。次回にもご期待ください。