ストライクウィッチーズ 君の明日は   作:桜子道 晴幸

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全編4話の最終話といったな・・・ありゃあ嘘だ!

すみません、ウソではありません。言ってみたかっただけです・・・最終話の改となる話です。最終話と思っていただいた方には申し訳ありませんが、もう少しだけお付き合いいただけると幸いです!
では、どうぞ!


最終話改 祈りが届くなら

大型ネウロイのビームが勇のシールドを突き破り、かつてない衝撃を勇を襲う。手元が弾け、意識はぷっつりと暗闇に吸い込まれる。勇は身を焦がしながら暗闇の中で考える。

 

(もう…ダメなのか?…しまったな、トゥルーデに写真あげそびれちゃったな…怒るかな?いや、きっとむくれるんだろうな…でも、きっと喜んでもらえると思うから渡したいな…はあ、幸せな時間だった。)

 

 

勇は重力に引かれながら海へ向かう。勇が心配していたより高度には余裕があったようで、なかなか身を包むような冷たさがやってこない。もはや感覚まで失ったのかと錯覚したが、意識を持っている今、まだ生きてはいるのだろうと分析してみる。

 

 

(俺は死んだ・・・いや、死ぬのか。どっちなんだろう。どちらでもいいか、幸せな時間をもらえて幸せだったんだ。あっちの世界では姉さんたちもいるのかな?いや、さすがに俺は地獄行きだな。俺は許してはもらえないほど酷いことをしてきたんだから。罪なんていくつあるか数えきれないだろ?そうだ、当然じゃないか・・・)

 

 

過去の行いを振り返れば勇の贖罪がなんなのかは自ずと答えが出る。しかし、勇はどうしても胸のざわめきを感じずにはいられない。そのざわめきとは勇の心を、死を迎え入れる自分の心を揺るがす。揺るがすその何かに、勇は固く蓋をする。それは幾重にも重なるように厳重に。今度こそネウロイのビームなんかじゃヒビも入らないほど固く。

 

 

(俺は!何人も見捨ててきたじゃないか!周りのみんなは俺をどう見た?「ネウロイの仲間だ!」「ネウロイ以下のケダモノ!」「人間の屑!」「化け物!」「扶桑男児の恥め!」「家族まで殺した最低な男!」「ウィッチの面汚し!」「人殺しっ!」・・・そう、人殺し、なんだよな・・・俺はいつだってそうだ。この世には不変の理がある。それは、死だ。死は誰にでも平等に訪れる。ただ、俺は一人で逝く。誰も看取ってはくれない。)

 

 

今までに言われた言葉を心で繰り返す。心に刺さり、冷たく凍てつかせる。決して癒すことのできない汚点。だが、その汚点さえも勇の心を揺らし続ける。きつく締めた蓋にぽたりぽたりと沁みついて、滲むように。それはいつかは心に届いてしまうだろう。それだけは受け付けてはいけない。汚れ切った勇の心には受け付けていない何かだ。

 

 

(もうやめてくれ!何なんだ!俺はもう死ぬんだ!やっと一人になれる!罪を贖えるんだ!時間に縛られないあの世という地獄が俺にはお似合いなんだ!地獄こそが俺にとっての天国であり、解放された、生きる場所なんだ・・・)

 

 

固く閉ざした蓋から漏れてくる何かから必死に落ち行く心を守る。深く、どこまでも暗い自分だけの心の中に染みてくる異質な存在を勇は拒絶する。それは触れただけで勇を立ち上がらせてしまう。生から解放された勇の弱さを隠すこの暗闇の繭からまた引き戻させてしまう強い力を秘めているのだと、直感で分かってしまっている自分がいる。それを感じてから揺れる心は留まることを知らない。今の自分の心は寒天のように揺れ続ければいつかは崩れてしまう、そんな脆い心だ。この闇にまみれた心こそ罪を数え、贖う使命を果たすだけの機械となる自分の役目は揺るがないはずだ。そんな心の牙城は今や危機にさらされている。勇は今にも滴りそうな雫を防ぐ傘を編む。

 

 

(俺は、もう戻れやしないんだ。神が俺を許そうと、俺が俺を許せない。この罪は俺だけのものなんだ。誰が邪魔できるものか!この名前も言うのを憚られる人殺し、心を失った怪物、名無しの怪物を許せるものか・・・俺は、俺の名前は、何だったか・・・俺は、誰なんだ・・・)

 

 

名前も忘れかけ、自分という存在を打ち消す引き金にそっと指をかけたその時、蓋から漏れ出た雫は、勇の編んだ傘に静かに音を奏でて滴った。

 

 

ポローン

(なんだ・・・この光は?俺は確か視覚を失ったはず・・・)

 

 

一粒の雫は、一滴落ちるともう一雫、もう一雫と滴る。

 

 

ポローン

ポローン

(なんだ、なんなんだ!この、どうしようもない名もない存在に俺という意義を見出させる雫は!?)

 

 

もはや一滴などでは表現できないほど流れ出る雫は、固く閉ざしたはずの蓋のヒビを大きくしていく。そのうちシャワーのように流れ、勇の編んだ傘には音ではなく声となって勇の失われた聴覚を突き抜けてる。

 

 

・・U!

 

(音?いや、音にしては変だ。聞いたことがあるような?)

 

 

シャワーからもはや滝のように流れ出る雫たちは傘を歪ませる。そこから傘に響く声は明確な言の葉になって響き渡る。

 

 

 

・YOU!

 

(YOU?否)

 

 

勇の中で否定の言葉が選択される。

 

 

yう!

 

(なんだって?聞こえないよ!)

 

 

勇は聞きたくなってしまった。その先を呼ばれる気がして必死で辺りを見渡す。そして、初めて聞いたときのあの温かい風が肌を撫でるように直接勇の心に届く。

 

 

・・・ゆう!

 

 

それまで流れを防いでいた傘を突き破り届いた雫は勇にぶつかる前に爆ぜて溶け込む。そして、その音、声、言葉は勇の一番嬉しく、優しく、愛おしく、慈愛に満ちた、どうしようもなく呼ばれたい名前だった。

 

 

(そうか・・・俺の名前は、ゆう、赤松勇!でも、誰なんだ?誰が俺の名前を呼ぶ?)

 

 

その時、未だ暗闇の坩堝の中で一筋の光が差し込む。先ほどまで流れ込んでいた幾多の雫が、今は虹を作り、その虹を集めた先で一枚の紙が舞い踊る。それに誘われる様に勇はゆっくりと手をかざしながら近づく。

 

 

(この紙切れは一体?眩しくて見えない・・・なんだ?知っている気がするのに!誰が写っているんだ!)

 

 

勇は自然とその紙になにかが映り込んでいると感じた。いや、思い出したのだ。

 

 

(俺が写ってるぞ!でも、その隣には何が、誰が・・・駄目だ!思い出せない!俺の名前を呼んでくれるのは!)

 

 

その瞬間、一筋の光は蓋の隙間を一挙に押し広げ、辺り一面を曝け出す。そして、ようやく勇は思い出す。それは、思い出せなかったのが恥ずかしくなるほど愛しく思っていた希望の光。もはや、姿形を見るまでもなく、声だけで勇を救ってくれた恩人。勇はその写真を握り、しかし、くしゃくしゃにならないように加減しながらも胸に押し付ける。声にならない声を出して泣く。

 

 

(ああ・・・あなただ。あなたがいてくれた。一人で逝くはずの俺が、一人ではなかったんだ!あなたの名前は!)

 

 

その名を呼ぼうと試みる勇だったが、上手く声にならない。必死に叫ぶ。声にならない掠れた空気が押し出される。どうしてもその名を叫びたくて全てを出し切る。体内にある空気はもはやどこにもなく、力を尽きかけるまで力む。勇の名前を呼ぶ者、その人にもう一度言いたくて魔法力までもを込めて叫び続ける。汗も唾液も無様に滴るが構わない。どんなに無様を曝そうと届きさえすればそれでいい。しかし、声は一向に出る気配はなく、力も魔法力も尽きかけ膝を折る。その時、一粒の涙が衝撃で滴る。いつの間にか表情筋によって押し出された涙だったのだろう。燃え尽きかけた勇が持つ写真にその涙は落ちた。

 

 

ポターン

 

 

落ちた瞬間、手に包む写真から漏れ出る光をみるため、そっと手を広げる。すると、光は流れ星のように噴出する。その流れ星の光る先には灯が煌めく。無数の煌めきに勇は目を見開く。いくつもの灯には勇の姉のような存在である人物や、501の仲間たち、そして、昔の記憶。そこには本当の姉さんの笑った顔。原隊である扶桑の戦友たちとの一時が映し出されていた。

 

 

(そうか、そうか・・・みんないるのか。俺はまだ生きていいのかな?)

 

 

その疑問を拾うように、もう一つの流れ星が目の前で揺らめく。

 

 

「ゆう、お前には明日が来ないじゃないか・・・」

 

 

その映像には手をついて俯き、絶望した表情のあの人の姿があった。その姿を見た勇はようやく気が付いた。

 

 

(どうしてあなたが泣いているのですか・・・そうか、俺の、俺のために泣いてくれてるのか。いや、いや!泣かせてはいけない!だって手紙に書いたじゃんないか!笑っていてほしいと!)

 

 

思い出すと勇の心の牙城は内側から崩れ始める。固く閉ざしたはずの蓋を蹴り上げ、破壊する。もはや止まることは許されない。勇はもう一度生に執着する。そして、願う。

 

 

「お願いです!もし、もしこの愚かで矮小な私の一つの願いを聞き届けてくださるのなら叶えてほしい!どうか、どうかもう一度、姉さんに、トゥルーデに、バルクホルンに合わせてほしい!もしこの祈りが届くなら他に何もいらない!手も足もお金も名誉もいらない。ただ、バルクホルンに会いたい!」

 

 

億千万の彼方に願いを込めて祈る。神に祈るようなことはしてこなかった勇が、全ての八百万の神、万物の神に願いを捧げる。もはや声が出たことも些細な変化だった。殻を破り、過去を受け入れた勇は強く願う。ただ一点の望みは目の前で応え始める。目の前で写真が輝き始めたため、強く閉じた瞼を開く。すると、目の前には写真が光の塊となって、一粒の流星の玉となって勇の胸に吸い込まれていった。その瞬間、勇の胸に灯った明かりはもう一度力強く前へと誘う力の鼓動となって動き出す。その力は勇を突き動かす。

 

 

「トゥルーデ、今行くね。」

 

 

その声は、世界の理を超えて顕現する。猛烈な重力に押しつぶされそうになりながら、その空間から這い出ることに成功した勇を酷い頭痛が襲う。

 

 

「うう・・・なんだ、どうなって・・・」

 

 

『3』

 

 

頭痛の最中、勇の頭の中に映し出される数字。そんな変な現象の中、あることに気づく。

 

 

(ん?これは!?潮の香り?ここはこの世なのか!まさかっ!)

 

 

慌てて勇は自分の胸ポケットに手を当てる。そこには、バルクホルンに渡すのとは別に勇のお気に入りとして取っておいた、バルクホルンとのツーショット写真があるのを感じた。

 

 

(トゥルーデ、やっぱりいてくれたんだね・・・ありがとう・・・)

 

 

そんな感傷に浸っている勇のすぐそばを物凄い熱量が通り過ぎる。これは勇が何度も体験した忌まわしい攻撃。ネウロイの、それも大型ネウロイのビームである。そこで勇は気づく。

 

 

(俺は、あの時に戻ったのか!?目も耳も聞こえないが、この空を飛ぶ感覚、魔法力を込める感触・・・俺は、戻ったんだ!)

 

 

感慨に浸る間もなく戦闘状態に引き戻される。勇はまたもや前後不覚の状態で放り出されたわけだが、何かしらの活路を見出さなければまた深淵のまた深淵に飲み込まれてしまう。だったらと、前回とは違う行動を試してみる。

 

 

(これで前回とは違う結末になるはず!さっきのビームの方向からして、逆側に全力で飛べばあるいは活路が見出せる・・・はず!)

 

 

唯一の希望に賭けて全速力で飛行に集中する。

 

 

「これで変える!トゥルーデッ・・・・・・・・・」

 

 

先ほどの飛行感はなく、無人の地に立ち尽くす勇。そこで意識がもう一度自身の置かれた現状に立ち直る。

 

 

「俺は、失敗したのか・・・もう終わりなのか、せっかくもう一度の機会を得たのに・・・」

 

 

失敗を悔やんだことは幾度とあったが、今回の失敗は絶望などでは語れない自分への怒りに置き換えられた。あっさりと、あまりにも浅はかな終わりに狂いそうになる。

 

 

「くそっ!どうして!?今度こそやり遂げると決めたのに!もう戻れないのか・・・あれ?」

 

 

激しい怒りを覚えたと思ったら不意に意識が混濁する。目の前が歪み意識が飛ぶ。

意識が飛び、朦朧としていると、またもや激しい頭痛に襲われる。それは先ほど感じた頭痛より酷く感じた。さらに、先ほどの無人の地などは見えなく、何も見えず、聞こえない世界だった。

 

 

(なんだ?この感覚、この感触は?もしかしてまた戻れ・・・うう・・・!)

 

『2』

 

 

またもや脳内に直接現れる数字。激しい頭痛に耐えながら先ほどの数字を思い出す。

 

 

「もしかして、この数字は残りの生き返れる回数?!」

 

 

疑問は確信に近づき、新たに考えを急速に巡らせる。チャンスが全部で3回与えられていたこの幸運に感謝こそすれ、もう死ぬのは御免である。打開策を急速に思考する。何としても生き残るためにはどんな可能性でも賭ける必要がある。

 

 

(考えろ!絶対に生き残るんだ!投げやりな思考は止めろ!諦めるな!)

 

 

一回目の生き返りの時と同じタイミングでやはりネウロイからの攻撃が来る。その方向は一回目の時と同じであることを確認し、生き返りを確信する。そこで、勇は全てを思考に専念するように蛇行飛行を始める。

 

 

(最初に死んだときは海に落ちるまでにかなりの時間があった!高度には余裕があるはずだから、臆さず下方にも回避行動を取るんだ!そして!)

 

 

勇は持てる全ての力を飛行に注ぎ込んだ。意識はもはや高度に囚われず、攻撃されないように闇雲に飛行し、生き残ることに努める。しかし、ここで勇の身体が異変を訴える。

 

 

「ぜえ、ぜえ・・・(なんだ、さっきより体がだるくなってる・・・それに頭痛が引かない。)」

 

 

勇の身体は一回目の時からだいぶ疲労が溜まっていることに気づく。生き返りもタダではないことを認識したのだった。

 

 

(なるほど、そりゃあ一種の不利は被らないと理から逸脱してしまうものなあ・・・でも!そんなことに構ってられるか!しくじれば、そん時は死ぬだけだ!)

 

 

覚悟を決め、次の思考を実行に移す。インカムに手を当て、通信を試みる。

 

 

「こちら赤松機、先ほどの通信通り、敵の攻撃により視覚、聴覚をやられた。現在、敵の攻撃を回避中。この通信が聞こえている者は何らかの反応をしてくれ。」

 

 

通信はするが、実際勇は返信を聞くことができない。では、どうするか。その方法とは、返信による通信ノイズの強弱をインカムから直接耳小骨で感じることによる仲間の位置を探索することだった。現在、勇は高度を上下させる回避行動から、高度を維持したまま旋回を繰り返していた。

 

 

(この方法を思い出せてよかった。何事も経験しておくものだな!)

 

 

このノイズの強弱で探知する方法は、リバウで活躍したとされる、扶桑海軍最強と目される撃墜王、岩本徹子が実践したと言われる手法を坂本から聞いたことを思い出したのだった。実際は、リバウの電探施設が貧弱で敵の探知ができない状況で岩本が考案した、敵の位置を敵自体が出す妨害電波の強弱で位置を割り出すものだったが、今の勇にはどうでもよいことだった。

 

 

ジッジジッ・・・ジジジ!

「こっちか!」

 

 

おそらく自分のインカムには声が届いているのだろうが、勇の聴覚は失われているため耳小骨に伝わる振動のみが頼りだった。それでも凡その検討をつけ、その進路に向かって回避行動を取りながら進む。徐々に強くなる振動に確信を着ける。

 

 

(よし!これでいける!今度こそ!運命に抗うんだ!)ブチっ!

 

 

しかし、勇に慢心は劇薬だった。一筋の望みは勇の回避行動を緩慢にさせた。それでネウロイの大規模攻撃が勇の頭部に直撃してしまったていた。またもや無人の地に立ち尽くす勇、今度も失敗したことにもはや自分の怠慢に怒りを禁じえない。手は信じられない力で握りしめ、唇からは血が滲むほど歯を食いしばっていた。

 

 

「あと少しだったのに!!限りあるチャンスなんだぞ!しっかりしろ!!」

 

 

自分を叱り、緩んでしまった希望の心を戒める。次はどんな些細な希望だろうと掴んで離さないと固く誓う。そのためには手段を選ばない。すべてに強欲にかつ慎重に事を進める必要があることを再認識する勇は、強く願う。

 

 

「この運命に抗うには俺一人の力では足りない。お願いです。残りの一回、全ての力を私に貸してください!代償は取ってもらって構わない!」

 

 

そう声に出すと、今度は目が回り、頭が鉛のように重く吐き気までが猛烈に襲いながら最後の生き返りに放り出される。

 

 

「おぐえ・・・はあはあ、代償がだいぶ高くついたみたいだけど、何ができるのか・・・うっ!」

 

 

『1』

 

 

最後の数字が脳内に焼き付くように映し出される。本当にこれっきりなのは明確である。しかし、勇に諦めるという文字はない。最後の最後まで生きて生きて生き抜くのみである。

 

 

「これが正真正銘の最後の機会・・・必ず、必ず生き抜いて、会うんだ!」

 

 

心に秘めた思いを口に出すことで気だるい身体に鞭を打つ。そうしなければ、今にも倒れてしまいそうなほどの倦怠感と吐き気や頭痛に加えて、身体、特に内臓を刺すような痛みが勇を襲っていた。

 

 

同方向、同タイミングで襲うネウロイのビームを避け、迷いのない回避行動を取る。夜間戦闘の経験から割り出される敵の方向に加えて、勇は新たな恩恵を受けとったことに気が付く。

 

 

「これはいい!ミーナ中佐の空間把握のような感覚が脳内に直接!あくまで視覚情報に頼らない情報源として活用しよう。」

 

 

新たに貸し与えられた能力は、いつか願ったミーナの空間把握だった。これは敵の位置が三次元で把握できる能力で目視と併用すれば、射撃などの精密射撃が可能となる魔法力だった。しかし、現在の勇は視覚がなく、能力が代替でしかないため、ミーナの純粋な魔法力の劣化版でしかなかった。そのため安易に信頼せず、己の感覚と思考を試すことを優先する。

 

 

「こちら赤松機、先ほどの通信通り、敵の攻撃により視覚、聴覚をやられた。現在、敵の攻撃を回避中。この通信が聞こえている者は何らかの反応をしてくれ。」

 

 

そして、先ほどと同様の通信を試みるが、工夫を凝らすことを忘れない。

 

 

「ついでに坂本少佐、もし私の姿が目視できたらそれ以降の通信をモールス信号の要領で符号で送ってください。」

 

 

坂本は魔眼の持ち主で、かなり離れた距離でも捉えることができる。それを利用して案内などをしてもらう手はずだ。先ほどの電波の強弱に加え、万全の体制を敷く必要がある。妥協などできないのだ。回避行動から旋回を始め、さっそく電波をキャッチする。位置を割り出したのはいいが、二回目の時はここでやられたのだ。気は抜けない。その時、ついにモールスらしき符号が振動として伝わる。その符号とは実に坂本らしく、単調だが分かりやすいものだった。

 

 

「R13 E to B」

 

 

この符号は坂本と長くいるものでないと分からない符号であるが、要約するとこのようになる。

 

 

「(Right)右13度方向修正 (Enemy)敵、(Behind)背後」

 

 

この通信に心から感謝し、位置を修正する。敵は勇の背後にいるため回避行動を忘れない。本来なら危険な位置取りをされている状況だが、この時に限っては相手の攻撃の範囲が指定される方が都合が良かった。最低限のシールドを展開して直撃を避けるように斜めに展開する。大型ネウロイの攻撃は直撃してはいけないと常識的に誰もが知っている。そのため、対処行動でしかないため、次なる行動に移る。

 

 

「頼む!南無八幡大菩薩!この私に力を授けたまへ!」

 

 

扶桑に伝わる神でもなんでもよかったがとにかく新たな奇跡が必要の今、宗教に構ってる必要はない。そして、勇に次なる恩恵が齎される。

 

 

「ブハッ!・・・肺を持っていきやがった!でも、この力なら!」

 

 

力の代償に身体機能を著しく損傷させる、まさに命と引き換えの諸刃の剣であった。今回新たに貸し与えられた力はエイラの未来予知能力だった。とはいうものの、空間把握と同様能力は劣化版であり、その能力は限定的だった。

 

 

「ぜえ、ぜえ・・・来るっ!動けええ!」

 

 

ボロボロの身体に鞭打ち、無理やり回避する。本当に直近の未来しか感知することができず、それにいち早く反応できなければ避けきれないほどだった。さらに勇の身体は限界が近づいていた。肺機能が著しく低下し、まともに思考することすら憚られていた。そのモヤがかかった脳内で必死に考え続ける。

 

 

(まだだ!まだ終わらない!例え、死にかけたとしても生き残れればそれでいい!だから、それまで意識を保てくれよ!)

 

 

自分を咤激励するが、既に意識は半分ほど飛びかけ、手足が痺れ始め、魔法力も尽きかけていた。しかし、そんな限界状態の勇にモールス符号が届く。それは、あの人らしい文言だった。

 

 

「援護の必要ありと考える」

 

 

こんな時にあの人は、昔の仕返しをするようになるほどユーモアを持ち合わせることができるようになったのだと笑みが零れた。もしかしたらハルトマンかシャーリーの入れ知恵かもしれないが、それでも不思議と力が湧いてきた。そして、掠れた声で返答する。今度は素直になるのだ。だれも自分のこの言葉を我儘とは言うまい。だから、思いっきり叫んだ。

 

 

「助けてくれー!!!!」

 

 

通信は電波に乗って仲間たちに伝わる。その声は待ち望んだものだった。全員が放たれた狂犬のように攻撃を開始する。

 

 

「敵は大型ネウロイただ一機よ!フォーメーションユリウス!攻撃開始っ!」

 

「コアは敵正面から見て右側にある!集中的に攻撃しろ!」

 

 

ミーナの指示で陣形を整え、坂本の魔眼でコアの位置を共有する。あとは、目標である勇の援護であるがその担当はもちろんあの人物だった。

 

 

「エイラとサーニャは距離を保って攻撃だ。シャーリー、ルッキーニは速さでもって攪乱、ペリーヌは隙を見て広範囲攻撃、ハルトマンは私についてこい!」

 

「えー!私だけ扱い雑なんじゃない?!トゥルーデの横暴だ!」

 

「うるさい!カールスラント軍人たるもの・・・ええい!もういい!待ってろ!ゆう!!」

 

 

愚痴を垂れつつもしっかりと増速したバルクホルンに追随するハルトマン。ここに501の連携が炸裂することになる。

 

 

勇は聞こえはしないが、機関銃の炸裂する振動やロケット弾が着弾する衝撃を肌で感じていた。その心地はまさに夢心地と言え、こんなにも嬉しい銃火の響きは体験したことはなかった。だからこそ、最後の最後で気が緩んでしまった。そうでなくとも、身体が限界を迎えていたため空間把握で察知した真後ろの敵からくる最大火力の攻撃に避ける術はなかった。

 

 

「しまっ・・・」

 

 

未来予知で察せられた極直近の未来に反応が遅れた勇の後悔の念が、死という現実を振りかざして訪れる。ぬかった、と見えない目を閉じ、最後の瞬間が訪れるのをわずかな回避行動で微々たる生存に賭けて動く。しかし、その最悪な瞬間は勇に刃を振りかざさずに終わる。

 

 

「シュトゥルム!」

 

 

なんと最大火力のビームをハルトマンの固有魔法である「疾風」で打ち消したのだ。これにより最悪の事態は免れたが、未だ脅威は脱しておらず非常に危険な位置に敵がいるため、状況は逼迫していた。しかし、満身創痍の上、無理な回避行動で体が限界を迎え、僅かながら飛行できる程度の魔法力しか勇には残されていなかった。

 

 

(俺に必要なのは、あと幸運だけか・・・)

 

 

そう過っただけで意思が飛びかける勇にもう一つの奇跡が起こる。なんとネウロイが射撃により体勢を崩したのだ。その攻撃はとある対戦車ライフルの徹甲弾だった。

 

 

「こちら、ラビット1!英雄を支援する!」

 

「こちらリネット・ビショップ軍曹・・・微力ながらお手伝いさせてください!」

 

 

輸送の護衛をしたはずの機体とリーネが再び舞い戻り、勇に手を貸してくれたのだった。これで大型ネウロイは瀕死となり、あとはコアを破壊するだけだった。大型ネウロイの外殻は固く、そう簡単には破れないのだが、なにせウィッチは対ネウロイ用決戦兵士とも言える人類の切り札であり、その中でも勇の所属する第501統合戦闘航空団は選りすぐり中のエリート部隊なのである。

 

 

「見切った!」

 

 

坂本が一番分厚い装甲部分を切り裂き、コアが露出する。残るはコアの破壊のみであるが、勇はもはや意識を保つだけで精一杯だった。しかし、誰が決めるかはもう分かり切っていた。

 

 

「やっちゃえ・・・ねえさん・・・」

 

 

愛する弟分の仇を取るべくコアの前に立ち塞がるのは、素手のバルクホルンだった。

 

 

「ああ、任せておけ!」

 

 

魔法力を両手の拳に乗せ、バルクホルンは全力でコアを破壊する。

 

 

「うおりゃあああああああああああ!!!」

 

 

バルクホルンの一撃でコアは砕け散り、ネウロイは光の粒となって大空に散った。それを感じ、勇は最後の願いを蒙昧とした限界ぎりぎりの意識下で呟く。

 

 

「・・・生きたい・・・」

 

 

その願いは全て完璧に受諾された。

 

 

 

この日、第501統合戦闘航空団はブリタニア本土上空で大型ネウロイを迎撃、隊員一名の戦線離脱の痛手を負いながらもこれを撃退。これを見た全ての人間に第501統合戦闘航空団の名声は轟いた。そして、その戦線を離脱するに至った英雄は・・・

 

 

「トゥルーデ、分かった!分かったからもう包帯でグルグルにするのは止めて!衛生ウィッチに診てもらって傷も癒えたし、聴覚も戻ったし、視力も人並みだけど見えるようになったんだから!」

 

「いいや!お前はきっと無茶をする!動かないくらいが健康だ!」

 

 

病室でバルクホルンと戦場の様相を呈していた。あれからバルクホルンは過保護になり、今もいらない医療器具を満載にして看護していた。その度に包帯でグルグル巻きにされるため、もはやダルマ状態だった。その様子を生温かい目で見守る仲間たち。

 

 

「やーいお姉ちゃん」

 

「あらら立派な姉弟ねえ、うふふ」

 

「うじゅう~私も包帯グルグル仮面したい~」

 

 

一向に勇を助けようとはしないミーナたちを横目で睨みつつ、この現状を幸せに感じていた。戦闘が終わり、勇は限界を超えた境地に居た。最後の願いは聞き入れられたかなど、意識が吹っ飛んでいた勇には確かな記憶はなかったが、今こうして生きているのだから願いは聞き届けられたのだ。あの日、最後に授かった恩恵はおそらく生命力だったのだろうと勇は考えている。帰還した後の医者にはこう告げられた。

 

 

「失明、鼓膜損傷、肺の化膿による窒息、肺臓破裂、脳出血・・・どう考えても生き残れたのは奇跡としか言いようがない。それにこの回復力、前例がないことだ。」

 

 

医者はよく生き残れたと言うが、最後の願いは勇に命を与える代わりに勇の魔法力を全て吸い取っていった。勇は本当の過去の自分はあの空で死んだのだと考えている。過去に囚われた赤松勇は死んだ。今の赤松勇は心を手に入れた、本当の意味での生きた人間になったのだ。では、魔法力とは一体何なのだろうか。勇は少し分かった気がしていた。純粋な気持ち、子どもながらの無邪気な想いが魔法力の源なのではないだろうかと。結果として、魔法力を失ったが、勇の心に一片の後悔はなく、心は晴れ渡っていた。

そして、数日の入院を経て退院を迎える勇は、501基地に赴き転属の手続きをしに門を跨ぐ。もはや魔法力を失い、ウィッチでなくなった勇がここに居ることはできないのだ。懐かしい基地の間取りを眺めていると、隊員の食堂の前にバルクホルンが立っていた。

 

 

「トゥルーデ・・・ただいま。こんなところでどうしたの?」

 

 

仁王立ちで立ち尽くすバルクホルンは、ゆっくりと勇に向かい、そのまま勇を優しく抱きしめる。そして、勇の耳元でこう囁くのだった。

 

 

「おかえり。ゆう。」

 

 

目を見開き、抱きしめられたままその言葉を聞くことができて、生きていて良かったと、その一言で勇は救われた気持ちになれた。互いに涙を浮かべて暫し時が流れる。何度も心の中でその言葉を反芻し、声を掛けようとすると、ムードを台無しにする大声が突き抜ける。

 

 

「ハッピバースデイ、トゥーゆう!おめでとう!いえーい!」

 

「あなたたち!まだ勇中尉が来ていなでしょう!これではせっかくのサプライズが台無しですわ!」

 

 

何やらハルトマンとシャーリーとルッキーニの大合唱が始まったと思えば、キンキンと耳に響く怒鳴り声が聞こえてくる。バルクホルンは、わなわなと肩を震わせ、とても笑顔には見えない笑顔で勇を案内する。

 

 

「ト、トゥルーデ?あ、あれは一体・・・」

 

「は、ハハハハハ。き、気にするな!あれは・・・あれだ!歌の練習だ!」

 

 

誤魔化しきれてないその言い訳に苦笑が堪えられないが、促されるまま食堂に入ると、そこには隊員が勢ぞろいしていて、一斉に祝福される。

 

 

「「「誕生日おめでとう!」」」

 

 

正確には誕生日は過ぎていたが、負傷により病院にいたため、祝うことができなかったのでこの日に勇を祝うことになったのだった。祝福の雨に勇は、今度こそ素直に笑う。

 

 

「みんな、ありがとう!」

 

 

一頻り祝われ、いつの間にか日が暮れていた。一応、戦時下であるため解散したが、勇はその足で司令室に出向く。ミーナと坂本が机を挟んでこちらを見ている。勇はしっかりと入室の挨拶と敬礼を忘れない。そして、本題を切り出す。

 

 

「ミーナ隊長、本日を持ちまして第501統合戦闘航空団においての私の役目を全て終了いたします。これまで、大変・・・お世話になりました!」

 

 

軍帽を脱ぎ、90度にお辞儀を繰り出すと、坂本が脇に立ち、勇の手を握る。それは握手であり、別れと感謝の握手だった。そして、ミーナが立ち上がり告げる。

 

 

「確認しました。これにて、第501統合戦闘航空団赤松勇中尉のこの基地での全ての任を解きます。ご苦労様でした・・・よく帰って来たわね。おかえりなさい。」

 

 

ミーナが優しくそう呟く。こんなにも温かな指揮官はいないだろう。勇は満足し、ミーナとも固く握手を交わす。坂本も微笑み背中を押すように話しかける。

 

 

「ゆう、本当によくやった。今まで見てきた中でも真の軍人であり、武士(もののふ)だった!見事だ!」

 

 

互いに頷き合い、友情を確かめ合う。そして、もう一度ドアの前まで歩くと振り返り、敬礼を繰り出す。それをもって二人の有能な指揮官と別れを告げた。司令室を出ると待ち構えていたのはシャーリーとルッキーニだった。

 

 

「ねえねえ、本当に辞めちゃうの?」

 

「ルッキーニ、それは言わない約束だろ?」

 

 

潤んだ瞳はまだ幼く、純粋な感情の発露からの言葉だった。そしてその言葉を優しく慰める保護者たるシャーリー。二人とも陽気な性格からは思いもよらない行動で驚いたが、きちんと別れを告げる。

 

 

「ああ、名残惜しいけど、もうウィッチじゃないからね。でも、二人ともこれからも世界の希望でいてください。変なことして新聞に載らないでくださいよ?」

 

「ううう・・・むぎゅう!」

 

 

それを聞いてルッキーニは勇の胸に飛び込んできた。それを受け止め、頭を撫でてやる。思えば、ルッキーニとはよく遊んだ。子供の戯言と放っておくには勿体ないほど、探検はいろんな景色や発見を齎してくれた。ルッキーニにはいろんなものを見せてもらった本当の意味で感謝したかった。そして、シャリーからはコーラを受け取った。最初は慣れない黒色の水に戸惑ったが、今ではこの色こそが美味しさと思えるほどに馴染んだ味だ。そんな陽気な二人にも別れを告げると、今度はエイラとサーニャが出迎えてくれた。

 

 

「あの、初めて夜の空を飛んでくれた日のこと、忘れません。お元気で。」

 

 

照れたように恥ずかしいようなその素直な言葉で伝えてくれるサーニャにつられて、バツの悪そうにエイラも別れを惜しんでくれる。

 

 

「まあ、友達として、悪くはなかったんだナ・・・」

 

 

スオムス人にしては顔を赤くして伝えてくれる。そんなエイラにはお礼を言わねばなるまいと勇も返す。

 

 

「いえ、こちらこそ助けてくださってありがとう、エイラ。エイラの未来予知のおかげで命拾いしたよ。」

 

 

そう言って歩き出すと、気づいたようにエイラが今度は青筋を立てる。

 

 

「・・・未来予知だって?!私の能力をパクるなー!」

 

 

そんな声を聴き流しながら出口に向かうと、そこに青いお嬢様がもじもじと立っていた。だが、意を決するとしっかりと目を見据えて宣言する。

 

 

「わたくし、必ずガリアを取り戻して、復興させてみせますわ!あなたがそうしてくれたように、花を植えて待ちます!わたくしの故郷は華の都ですのよ!」

 

 

そう高らかに宣言する様は、気高い貴族のそれに勇は脱帽して答える。

 

 

「花一面のガリアを見せてください。あなたの国を必ずこの目で。」

 

「もう見ていらっしゃるではありませんの?」

 

 

勇は一度ガリアへと赴き、ネウロイを撃退したことがあった。坂本と共同での出撃だったが、面と向かってお礼を言われたのは初めてだった。加えて、このことをペリーヌに知られていたことに驚いてしまった。感謝という花束をもらい、次へと向かうと最後の出向える少女がいた。

 

 

「あ、あの!」

 

 

その少女は先日着任したばかりの新人。あどけない新兵のウィッチは怯え、縮こまっている。それを解すように優しく語り掛ける。

 

 

「リネット軍曹、助けてくれてありがとう。」

 

 

そう言って軍帽を被り直すと、格納庫へと繋がるドアへと手をかける。夜なのに眩しいその明かりの下に待ちわびたその人はいた。振り向く仕草、威風堂々たる佇まい、その全てがよく見知った一連の動作で流れていく。そう、この人こそ、勇の一番会いたかった人物との本当の再開である。

 

 

「ゆう、お疲れ様。扶桑に帰るんだな。よかったな。」

 

 

あまりにも心からの言葉じゃないと、この人を良く知る者じゃないと気づかない台詞。本音は「帰らないでほしい」のはずなのに。相変わらず頑固だなと微笑むと、そのことを察したのか、ムスッとした表情になり、勇に接近する。しかし、勇もそんなバルクホルンを安心させるべく話し始める。

 

 

「トゥルーデ、俺、もう一度パイロットとして軍人になるよ。海軍の所属は変わらないから、坂本さんが推薦してくれたんだ。必ず、一流のパイロットになって戻ってくるよ。だから・・・」

 

 

勇も本当に言いたいことはこんなことではないのは重々承知だった。しかし、勇も頑固者には変わらない。似た者同士である。そんな変な雰囲気に呆れたように「疾風」は訪れる。

 

 

「ああもう!二人とも何してんのさ!早く言っちゃいなよ!『ありがとう』って!」

 

 

頭の後ろで腕を組んで、まるで早く寝させろと言わんばかりの傲慢さで二人を後押しする。それによってさらに距離の縮まる二人。顔を真っ赤にして言いかけた言葉は同時だった。

 

 

「生きていてくれて、        」

          『ありがとう!』

「助けてくれて、          」

 

 

 

 

 

その後、第501統合戦闘航空団のバルクホルンの寝室には扶桑から送られてきた桜と勇が写った写真が窓辺で風を受けてさんざめいていた。

 

 

 

 

 

 

                        完




これにて本編の最終話改を完結させていただきます。もともとこの話の構想はあったのですが、どうにも自信がなく世に出すべきではないと考え、前話で終了するつもりでした。投げやりな話しに放棄することも考えました。しかし、ご覧いただいた方からの感想も相まって、存続することと、最後まで完成させることにしました。これも感想をいただいた方たちと読んでいただいた皆様のおかげです。ありがとうございます!
さて、この話のコンセプトは「生きる」という希望を持ち続けることと「伝える」ことを信条に、戦争という過酷な時代と原作ストライクウィッチーズを素地にさせていただきました。暗い話が多くて大変申し訳なく思いますが、戦争を知らない世代として、少しでもこの時代に生きた人の心を考えることができたのかなと思います。それでは、話の後書きとして、話の設定(元ネタ)の一端をご紹介いたします。
 生き返りでの電波の強弱から敵の位置を割り出す手法は、ラバウルの撃墜王である岩本徹三氏が実践したとされるものです。本作では、耳小骨に直接振動を伝えるというイヤホンの要領を組み合わせて再現させていただきました。セリフの仏教用語は、「平家物語」の那須与一のセリフを一部引用させていただきました。南無・・・

 そして、なぜ、生き返りを3回にしたかというと、赤松勇がネーデルランド反抗作戦(第三話)にて、命に代えて救ったウィッチ4人を救ったことによるギフトであるという設定です。え?数が合わないですって?そうです、残り一つは暗闇の中の勇を救う雫です。例え、生き返る力を与えても絶望している人間に力を与えたところで無意味な現実でしかないですから。では、能力の付与とは、これは完全なオリジナルですが、三途の川の駄賃として6つの制限を掛けました。4つは生き返りの代わりに奪われる体力などもろもろです。残り二つが、力(空間把握、未来予知)を与える代わりに生命力とウィッチとしての寿命を消費しての代償能力として発現させました。著者の私からしても鬼畜&行き当たり設定だなあと反省しています。でも、最後に二人が本音で言い合えたのはよかったと思うので許してください!

 おまけとして、ペリーヌからは本当は花を受け取る設定にしようとしたのですが、植物検疫がないこの世界においてそれはいろいろどうかなと思い、濁してしまいました笑それにしてもハルトマン・・・いい仕事するなあ。バルクホルンはRtoBでお姉さんっぷり全開だったのでその時に勇と会うことができたらまた反応が違ってくるかもしれませんね!


それではここまでお付き合いいただきありがとうございました!感想も良ければお願い致します。では!
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