比企谷君と坂柳さん   作:東雲 那音

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1話目始まるよー
設定で総武高校は総武中学になって私立という設定です


天才との遭遇

「ふぅ、これで荷物は全部片付いたな」

 

高層ビルが建ち並ぶ東京。その中の高層マンションの一室にて、俺、比企谷八幡は引っ越しで持ってきた荷物を整理し終わって一息着いていた。一人暮らしにはちょっと大きい1LDKで、今日からここで一人暮らしを始める。親が社畜だけどその分稼いでいるので、ちょっと高い部屋を借りれているのだ。まじ両親に感謝だな。

 

俺はとある理由で総武中学から今居るマンションの近くの中学に転校することになったのだ。今は11月の終わり頃で来年の4月、三年生になると同時に通い出すことになっている。

 

転校することになった理由は、俺に対する虐めだ。

 

なぜ虐められるようになったかと言うと、俺が所属していた部活の事を話さなければならない。

 

総武中学では奉仕部という部活に所属していて、その部活はいわば『飢えている人に魚をあげるのではなく、魚の獲り方を教える』という依頼人の自立を促すボランティアのような部活だった。

 

奉仕部には俺を除いて二人部員がおり、一人は部長の雪ノ下雪乃、もう一人は由比ヶ浜結衣。

 

俺はずっとぼっちで人と関わるのを避けていたし、お互いに信じ合える壊れない関係『本物』などないと思っていたのだ。だが、俺は奉仕部に入部して依頼をこなしていくうちに、雪ノ下と由比ヶ浜は俺にとっての本物かもしれない。と、思うようになってきた。

 

文化祭のとき、自分にヘイトを集めるようにして『誰も傷つかない世界』を作り上げた。そのせいで俺は学校の嫌われ者になったが、持ち前のぼっち力と影の薄さで虐めもなく、名前だけでいじられていた。それでもヒキタニと名前を間違われていたが。なんで読めねーんだよ、総武中学って進学校だったよね?

 

その時は二人は俺を信じてくれたのだ。俺が嫌われ者になっても二人は普通に接してくれた。だからだったのだろうか、この頃から俺は二人が『本物』なんだと思い始めたのだ。

 

だけど、本物なんてなかった。

 

修学旅行前に依頼が舞い込んできた。それは『告白を失敗させなくない』という戸部の依頼だった。俺は反対したが、由比ヶ浜に押し切られる形で受けることになった。

 

そのすぐ後に戸部の告白する相手、海老名姫奈がやってきて『男子同士仲良く』と意味のわからない言葉を残して退室。この意味が『戸部の告白を辞めさせて欲しい』という依頼だと気づいたのは、修学旅行が始まって二日目の事だった。

 

そして、戸部、海老名さんともにいるカーストトップのグループのリーダーである葉山隼人から、俺個人に『今の関係を壊したくない』と依頼された。

 

前までの俺なら、その程度で壊れる関係ならその程度だ。と、断っていた。しかし、本物かもしれない存在を見てしまった俺は同情したのだ。だからその依頼を受けた。

 

葉山からの依頼を受けてすぐに告白が始まる事になり、二人に説明する時間もなく俺が動くことを雪ノ下と由比ヶ浜に伝えると『俺に任せる』と言われた。

 

その言葉を聞いて、俺は信頼されているんだな。と、嬉しくなり、二人なら俺の行動を分かってくれると信じて『嘘告白』をした。

 

異なる三つの依頼。

 

告白を失敗させたくない

 

告白を辞めさせて欲しい

 

今の関係を壊したくない

 

戸部は告白させれば振られるし、戸部の告白は奉仕部が依頼を受けさせているので本人がやめない限り放棄は出来ない、二つの依頼のどちらかをとっても葉山グループの関係は崩れる。

 

俺らにはこの三つの依頼を解決することはできない。でも、俺はこの三つの依頼を『解消』することは出来る。その方法が『嘘告白』だったのだ。

 

俺が告白することで海老名さんが間接的に誰とも付き合わないことを戸部に伝えることができ、戸部も告白をしていないので振られない。二つの依頼が消えたことにより、葉山グループは壊れることも無くなった。

 

きっと、俺は修学旅行が終わってから戸部の告白を邪魔した最低なヤツと言われるはず。でも二人さえ分かってくれるならそんなことはどうでもいいと思っていた。二人から『お疲れ様』と言われたかった。

 

けど現実は違った。

 

『貴方のやり方、嫌いだわ』

 

『もっと人の気持ち考えてよ!』

 

待っていたのは否定だった。

 

俺はショックだった。二人から否定されたのだ、本物かもしれないと思っていたのにと。

 

修学旅行が終わり、週明けの登校日。俺は二人にあの時なんで『嘘告白』をしたのか説明した。あの時の俺の行動の理由を理解してもらえばまた受け入れて貰えるのではないかとおもったのだ。

 

でも、

 

『依頼を台無しにしておいて、そんな嘘をつくなんて貴方は最低ね』

 

『ヒッキー嘘つくとかまじキモイ!サイテー!』

 

俺を嘘つき呼ばわりした。

 

どうやら休日に葉山に俺がリア充に嫉妬して、告白を邪魔したみたいだと言われたようである。俺はこの時にすべて葉山の企みで、騙されたのだと理解した。

 

葉山を問い詰めれば、雪ノ下が前から好きだったらしく近くにいた俺が忌々しかくて雪ノ下から引き離したかったからだと汚い笑い声を上げながら言われた。

 

この出来事で俺は心に深い傷とトラウマを抱えた。

 

その日からいじめが始まったのだ。初めのうちはものを隠されたりと幼稚なものだったが、日に日にエスカレートしていき暴力を受けるようになった。暴力は小学生の頃も虐められていて、やり返すためにか独学で覚えた武術でやり返した。

 

その分、物を隠されたり捨てられたりから破かれたり壊されたりするようになった。小町には虐められていることをバレないようにしていたが、ある日体育の授業の後に制服をボロボロに破かれており、家でその制服を小町に見られたのだ。

 

小町は激怒して両親と一緒に学校に乗り込んだ。そこで校長と担任と話し合いをして『こんな学校に息子を通わせることはできないし、娘も入学させることは出来ない!』と俺の転校の手続きまでして帰ってきた。

 

その後になんで虐められるようになったのか説明を強制され、理由を教えると小町はさっき以上に怒髪天を行く勢いで怒り雪ノ下と由比ヶ浜の連絡先を消して、二人とは一生関わらないことを決意した。

 

これが俺が転校することになった経緯だ。

 

小町もついてきて一緒に暮らす、といっていたが千葉に友達がいるので別れるのは寂しいだろうと断った。でも、月に数回は会いに来るといっていた。

 

「腹減ったし、コンビニに行くか」

 

時計を見れば昼の1時、空腹を感じた俺は近くのコンビニにご飯を買いに行くことにした。俺の部屋は4階なのでエレベーターで1階まで降りてマンションをでた。

 

コンビニは歩いて10分ほどの場所にある。人通りの多い道を硬いアスファルトの感触を靴底に感じながら歩いていく。多くの人が行き交い、千葉とは空気も雰囲気も違う。

 

コンビニが見えてきて、中に入れば人が数人いて店員のやる気のない挨拶が飛んでくる。そんなのを聞けばこっちまでなんかやる気がなくなって来るわ……。

 

適当に棚にあったおにぎりを三つ取って飲み物を選ぶ。いつものマイソウルドリンクであるマッ缶ことマックスコーヒーを探すも見つからず諦めてお茶を2本手に取り会計してコンビニをでた。

 

はぁ、そういえばここは千葉ではなく東京だ。マッ缶なんて売ってないか。ネットで注文すればいいだろうけど送料かかるし、小町に頼むか?

 

「きゃっ!」

 

考えごとをしながら自宅に向かっていると、目の前で俺よりも背の低い杖をついた少女がスーツを姿の男性に弾き飛ばされて転ぶ光景を目の当たりにする。男性は急いでいたのか少女を気にとめず走り去っていった。少女は身体が不自由なのか、立ちにくそうにしていた。

 

「大丈夫か?」

 

まったく、誰か少女が立ち上がるのを手助けしてくれてもいいだろうに誰も助けないとは……。仕方ない、と俺は手を貸してあげる。

 

「ありがとうございます」

 

「気にするな。ただ立ちにくそうにしてるお前を見てるのが嫌なだけで俺のためにやったんだ」

 

「ふふっ、捻くれていますね」

 

「うっせ」

 

少女はコロコロを笑い手をとり立ち上がる。手を引いて思ってけど、けっこう軽いな。ちゃんと飯食ってるのか?

 

「じゃ、俺いくから。早く家に帰りたいし」

 

「あ、まっ……」

 

少女が何か言う前に立ち去る。お礼なんていらない。俺は自分のためにやったんだから。少し歩いて後ろを振り返ると、少女は杖をついてゆっくりと歩いている。何かしらの障害を持っているのか、フラフラと危うげだ。こんな人通りの多い道だとぶつかりやすい。

 

「はぁ……」

 

見ていて危なくてこっちがハラハラしてくる。

 

「おや?先程の……。家にむかったのでは?」

 

「俺、引っ越して来たばっかだから。家までの道間違えたんだよ」

 

「そうですか」

 

「お前はどこに行くんだ?」

 

「お前ではありません」

 

「いやだって名前知らないし」

 

名前知らないからお前とか言っても仕方ないよな?少女は綺麗な銀髪を輝かせながら名乗った。

 

「私は坂柳有栖です。……貴方のお名前は?」

 

「俺、知らない人に名前を教えるなって言われてるから」

 

「言わないなら痴漢されたと叫びます」

 

「比企谷八幡です。どうかそれだけはやめてください!」

 

「よろしい」

 

やべぇはこいつ。初対面のやつ脅すとかどんな頭してんだよ。

 

「それで、どこに向かっているかと言う質問でしたね。図書館に行こうかと思っていまして」

 

「へぇ、近くに図書館があるのか。いいこと聞いたな」

 

「良ければ案内しましょうか?」

 

「いいのか?そうして貰えると嬉しい」

 

坂柳と歩くこと数分。大きな図書館に着いた。想像していたのより大きいな。色んな本がありそうでワクワクしてくる。坂柳とはここでお別れだ。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

「色んな本があったな……」

 

図書館をどんな本があるのかなど見て回って、借りるのは今度にしようと帰ろうとすると、出口で坂柳とまたあった。

 

「おや?また会いましたね」

 

「そうだな、じゃ」

 

「待ってください」

 

「なんだよ」

 

「比企谷君、連絡先を交換しましょう」

 

「は?普通に嫌なんだけど」

 

「交換してくれなければここで泣きます」

 

「ぜひ私と連絡先を交換してください!」

 

こいつまた脅してきやがった!こんなところで泣かれては俺が悪者になってしまう。年下を泣かしたとなれば周りの目が痛い。

 

「ふふっ、素直でいいですね」

 

「くそ、こんなところで女の子に泣かれたら周りの目がいたいんだよ。……ほれ」

 

「人にスマホごと渡しますか普通……。はい、終わりました。夜にメールするので見てくださいね」

 

テキパキとスマホを操作する坂柳。言葉遣いから分かるがこいつはお嬢様みたいだ。スマホを操作する姿すら絵になりそうである。

 

「へいへい。てか、なんで出会って間もない男の連絡先を欲しがるんだよ」

 

「それは、貴方がおもち……お友達になりそうだと思ったので」

 

「お前一体何言い直したの?」

 

今、おもちゃっていいかけなかったか?やべぇやつに目を付けられたかもしれない。こうなるんだったら図書館なんて案内してもらわなければ良かった……。




ん〜、続くかな?

今後の流れはどれがいい?

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