今回も一色の話ですね。あんまり話さないけどちゃんとヒロインも出します。
「ぅん……。ふぁぁ」
目覚めて私は今の状況を整理する。まずパソコンや本棚、机に置かれたチェス台のある知らない部屋に嗅ぎなれない匂いのする知らないベッド、そして知らない天井。
「ここどこ!」
服は制服のままで特に変わったことは無い。良かった、何もされてない!昨日は私、何してたんだろう。確かいじめられるのが辛くて、いじめっ子がいない東京まで逃げてきたんだっけ。その後に知らないイケメンの先輩に会って……
「〜〜っ!」
なにやってんの私なにやってんの私!知らない人にいじめの話なんかして!しかも泣きながら頭撫でてもらって挙句の果てには泣き疲れて寝ちゃうとか無防備もいいとこでしょ!
でも、あの先輩は私の話を聞いてくれて全部スッキリするくらいに溜まったものを吐き出させてくれた。それに言っていた。「いじめられる辛さは分かる。俺もいじめられてたからな」って。同じ体験をしていたから、何となく私がいじめられていることを察して話を聞いてくれたのかもしれない。
―コンコン
「あ、は、はい!」
「起きてるな。朝飯作ってあるからリビングに来い。このドアを出てすぐ左な」
「わ、わかりました〜!」
先輩は扉越しに話して戻っていく。うぅ〜、なんていい人なんだろ。知らない私の話を聞いてくれて、さらに泣き疲れて寝てしまった私を自分の部屋を使わせてまで寝かせてくれる。その上朝ごはんまで用意してくれるとか顔だけじゃなくて性格までイケメンじゃないですか!
私はベッドから降りてまず制服を正しく直してリビングに向かった。言われた通りに左に行けばリビングがあり先輩が配膳をしていた。その姿はまさに専業主夫を思い浮かばせる。こんな男性が夫になる女性は恵まれるだろうなぁ。
机の上には二人分の朝食が並んでいる。鮭の塩焼きに味噌汁、白米に漬物と食欲をそそる匂いが私の空腹を加速させる。
ーぐぅぅ〜
「……き、聞こえました?」
「な、なにがだ?べ、別にお腹の音なんて聞こえてないぞ?」
「やっぱり聞こえてるじゃないですか!」
「いや不可抗力だろ!?」
恥ずかしい!でもこんな美味しそうなご飯を作る先輩が悪いです!
「ほら、さっさと席つけ。飯が冷めるぞ」
言われた通りに席につく。やばいです、ご飯が輝いてみえるじゃないですかこれ。ご飯の粒ひとつひとつが輝いているし鮭の塩焼きなんて見た目からしてふっくらして柔らかいことが分かる。そして極めつけは味噌汁。具材は豆腐にワカメと普通だけど味噌の香りが鼻腔をくすぐり食欲が湧き出てくる。
「ずっと座ってないで早く食っちまえよ」
「いただきます。……っ!!」
お、美味しい!こんな美味しいご飯は久しぶりです!どうしよう、言ったら申し訳ない気持ちがあるけどお母さんのご飯より美味しい気がする。で、でもお母さんのご飯は愛情がこもってて私の一番好きなご飯なんだから!
「美味しいです!」
「口にあってよかったよ」
それから緩やかな時間が流れた。お互いにあまり話さず食事をしていく。会話がないと言っても別に不快な訳ではなく私にとってはそれは心地よかった。
「さて、昨日の話なんだが」
「っ!……はい」
朝食が終わりイケメンさんが片付けを済ませるのを手伝ってからまた席に着くと、イケメンさんが口を開いた。
「お前はいじめられてる。それでもう、いじめられたくないだろ?」
「……そう、ですね」
「俺もいじめられてて転校したからな。いじめられたくないなら転校が一番だ」
「でも、それだと……」
「一色、いじめの事親には話してないよな?」
話せるわけが無い。そんなことを言えばいらない心配をかけて負担になってしまう。
「まぁ軽々と親に言えるもんじゃないよな。俺も言わなかったし」
「先輩も言わなかったんですか?」
「言えるわけないだろ。俺の場合は妹にいじめがバレてそこから親がカンカン。学校に乗り込んでこんな学校に通わせられるか!っていって転校したんだよ」
「そう、なんですね」
先輩も同じ考えだったことに私はいじめられる人は同じ考えを持つのかな?と思った。私はこのとき先輩の嬉しそうな表情をしているのが見えた。なんで嬉しそうな顔をしているの?
「先輩、嬉しそうですね」
「ん?そうか。まぁ、嬉しいわな。親に愛されてなかったって思ってたらちゃんと愛されてたんだからな」
「愛されてなかった?」
「まぁ、色々あんだよ。それよりもお前のいじめ問題だ」
なんかはぐらかされたような気がするけど、まずは私のいじめの事が先。先輩の話を聞くことにした。
「まず言うと、お前はもういじめられない」
「……え?」
そう言って先輩は悪い笑顔でそう言った。
〜〜〜
「お前はもういじめられない」
「……え?」
今の俺は一色からみれば悪い笑顔をしているだろう。いやわざとしてるんだけどね?
「もうそろそろアイツらが来ると思うが……」
ーピンポーン
「お、来たな」
『八幡来たよ〜』
『ちゃんと例のものも持ってきていますよ』
ちょうど今、到着したみたいでモニターで確認してドアを開けて招き入れる。
「先輩、その方たちは?」
「そうだな、自己紹介しとくか」
「私は坂柳有栖と申します。以後お見知りおきを」
「僕は東雲那音。八幡の友達で情報収集が趣味な中学三年さ!」
「は、はぁ。一色いろはです……。ところで先輩、八幡で言うんですね」
「あ、そういえば俺名前教えてなかったな」
一色の話を聞くことばっか考えてて、すっかり忘れてたな。いけないいけない。
「八幡、お前まさか名前教えてなかったのかよ……」
「仕方ねぇだろ、忘れてたんだから」
有り得ねぇわこいつ、みたいな顔しながら俺を見る那音。いやそんな顔でみんなよ。
「俺は比企谷八幡だ」
「比企谷……?」
なぜか、一色は考え込むように顔を伏せるが直ぐに顔を上げる。いったいなんだったのだろか。
「それで、さっき言っていた『もういじめられない』ってどういうことですか?」
「ここは僕が説明するよ」
ここで那音が前に出て一色に説明を始める。
「一色さんをいじめてる人達の名前って……」
那音は一色をいじめていた女子生徒の名前を言っていく。言われた名前は10以上。名前を聞く度に一色は驚いていく。
那音は自己紹介でも言った通り情報収集が趣味だ。いったいどうやって集めているのかは分からない。この前聞いてみたら企業秘密と言われた。数時間前に起こった事でも直ぐに那音は見つけてきて早く正確な情報を得ることが出来るのだ。
実は昨日の夜、一色が寝たあとに那音に電話して総武中学で起きている一色のいじめについて調べてもらった。さっき言った名前は那音が全部一人で調べたものだ。
「ど、どうして知ってるんですか!あ、あれですかストーカーですか可愛いからって私の事を調べたんですねちょっとじゃなくてかなりキモイですストーカーとかやめてください!」
「「ぶふっ!」」
思わず吹き出してしまった、てか有栖も笑っている。よく一息であんな長文を言えたな。感心するわ。
「……あの、僕この子のために色々頑張ったのにストーカー扱いとか酷くない?」
「き、きにするな。ふ、ふふっ」
「ふふっ、す、すいません。あ、扱いが面白かったものですから」
「お前ら笑うなぁー!」
だ、だめだ。これは笑っちまう。
「ふ、ふふっ、あはははもうダメだ。無理笑うなとか無理だろ!」
「ふふ、ふふふっ。だ、ためですよ八幡君。わ、笑ってしまっては那音君がか、可哀想です。ふふっ」
「そ、そう言う有栖こそ、わ、笑ってんじゃないかよ。あはははっ!」
那音は不満そうに俺と有栖を睨んでいて、一色はポカンといていた。ひとしきり笑い終えてからもう一度深呼吸してから一色に説明をする。
「一色、別に那音はお前のストーカーじゃないからな。調べたのはお前をいじめている奴らだけだ。あと、ちゃんとお前のいじめの証拠もある」
那音に目配せすると、スマホを取り出して一色に見せる。見せているのは一色がクラスメイトに暴力を振るわれる瞬間の動画だ。その動画はあと幾つかあり、全てにさっき名前を上げた生徒が映っている。
「こ、この動画……」
「どうやってこの動画を手に入れたかは企業秘密だぜ?で、この動画だけど、実はさっき名前を上げた奴らの携帯に送ってある。とある文章と送り相手の個人情報も添えてね」
スマホを操作して今度はある画面を俺らにも見えるように見せた。
『さて、この動画を見て焦っているだろう君。この動画を君の個人情報と一緒にネットにばら撒かれたくなかったら彼女に関わるな。もし、まだいじめているのを確認したら……どうなるかは分かるよね?
あぁそうそう。隠れていじめても無駄だよ?この動画みたいに直ぐに見つけられるから。
彼女に嫉妬していじめるくらいなら、まずは自分を磨きなよ。
それじゃバイバイ!』
書いてあるのは一色をいじめた彼女達への脅しメール。このメールを見ればいじめは無くなるだろう。もしこのメールを誰かに言えば確実に一色へのいじめがバレてしまうため誰にも言えない。今頃、彼女達は怖がっているだろうな。
「ほ、本当に、もういじめられないんですか?」
「それは僕が保証するよ」
「……ぁ」
安心したのか一色の目からは涙が溢れてくる。
「一色さん、辛かったことでしょう。もう、大丈夫ですよ」
「はぃ……はい……。ありがとう、ございます!」
嬉し泣きをする一色の顔は涙で可愛い顔が台無しになっていたが、それでも晴れ晴れとしていた。
これ、一色落ちたかも……
ヒロイン増やした方が良い?
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増やす
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増やさない
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どっちでもいい