Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も恵美押勝です。いやはや6月も終わりかけて皆様いかがお過ごしでしょうか。あたくしゃ7月の学期末テストに向けて焦っています(勉強しているとは言ってない)
長話もアレなんで、本編をどうぞ


Mission05.救出先まで何マイル?~帰還~

鉄血兵らの強襲を退けた素子は他の人形らに後処理を命令し救出部隊のメンバーを電脳通信で呼び出しヘリポートに集合させた。ヘリポートにはM4A1、Vector、イングラム、トカレフが集まっていた。

『全員集合したな?これから簡単に作戦説明をする』

素子電脳内に地図を表示させそれぞれの人形の電脳へと送信する

『M4A1の情報によれば要救助者はここT7地区にて待機している模様だ。我々はそこへ侵入し要救助者を回収、撤退する。尚この任務は機密のため、表向きにはT7地区の鉄血兵ら掃討作戦になっている』

『質問!』

『どうしたVector?』

『表向きとはいえど掃討しなきゃマズイんじゃないの?部隊派遣して“何の成果もなかったです”とはいかないし』

『そりゃそうよ、だから20分前に手は打っておいた』

『“手”って?』

『第二部隊を既に派遣済みよ』

『おっ、手回しが早い』

『我々が到着するころには恐らく戦闘中だろう』

『だから私達はその最中にこっそり忍び込むと』

『そういうことだM4、さて?ほかに質問は?…ないようだな。では全員搭乗!』

ダミー人形を連れて合計11人がヘリへ乗り込む、離陸して暫くして下を見下ろすと先ほどの鉄血兵の残骸が目に映る。

素子はいつの間にかRipperの生首を手に取り電脳に侵入していた。20秒ほどして終わりプラグを外すのを確認しM4が声をかける

「少佐」

「どうした?」

「この地区の鉄血勢力はどれくらいでしょうか?」

「通信施設が3つ確認できたから100体ほどだろうな」

「…そんなにいて第二部隊の人形達は大丈夫でしょうか?」

「大丈夫よ。あの地区じゃもう数えるほどしかいないだろうし、こいつの電脳調べてみたところ、こいつらあの地区から来たみたいだからさ」

「ならいいんですけど…」

『少佐、ちょっといいかの?』

『M1895?何かトラブルでも起きたのか?』

『トラブルは起きてないのじゃが…ちと妙なことが起きていてな。』

『妙なこと?』

『侵入したとき、ワシたち以外の足跡…それに空薬莢も見つけたんじゃ。どちらもデータにないものじゃ』

『我々よりも先に戦闘を目的に侵入した者がいるということか…?』

『おまけにさっき激しい銃撃戦の音が聞こえたんじゃ、あの音はアサルトライフルかサブマシンガン、それにショットガンも混じっていたかのう?』

『音がした方向は分かるか?』

『残念じゃが…』

「分かった、作戦変更を伝える。これより第二部隊は音がした場所を捜索、発見した際には連絡を入れろ。こちらはあと十分で到着する」

『了解!』

(アサルトライフルかサブマシンガン…まさか既に連中はSOPMODⅡと接触し戦闘状態に…?だとするならばショットガンはどういうことだ?)

「M4」

「はい?」

「SOPMODⅡという人形は2丁拳銃か?」

「いいえ、軍用とは言え根本的なシステムは他の戦術人形と同じなので彼女はSOPMODしか上手に使えないはずです」

「ならショットガンを使えるわけないよな…」

(そもそも、ショットガンとアサルトライフルを同時で撃つメリットなんてないしな…)

疑問を抱えたままヘリは順調に目的地へと進んでいく。5分もしないうちにヘリは目的地1km手前で着陸する、ここからは徒歩で森林を通っていき目的地まで向かう

『第二部隊からの報告だが、T7地区に我々以外の何者かが戦闘を行っているようだ。何が目的かは知らないが途中に何者かが仕掛けた罠もあるかもしれん。各自十分警戒して作戦に当たれ』

『少佐、仮に先行者が要救助者に接触した場合はどうするんですか?確かまだ公表されていない人形なんでしょう?』

『どうするってイングラム、もしそうなら基地へ連行して取り調べする。報告によれば一体だけに見受けられるから軍の活動、他所の基地からの活動とも思えん。だとするならばこの立ち入り禁止の地区に何故いるのか聞いておかなくはならないだろう』

『なるほど』

『それでは少佐、先頭は私で出発してもよろしいでしょうか?』

『頼んだぞトカレフ』

トカレフに限った話ではないがハンドガンタイプの戦術人形は夜間において視野を確保するために強力な照明、及び強力なセンサーが搭載されている。これはIOP社が売れ行きに困ったハンドガンタイプを売り込むために搭載されたのである。

ダミー人形も引き連れて一行は森林の中を進んでいく、センサーを発動させながらいくと数十歩歩くたびに地雷が見つかる、取り除く時間も惜しいのでその都度回り道をしていく。どうしても回り道が不可能な場所に置かれていたら、その時は静かに掘り起こし無力化させる。そんなことを繰り返し十分後。ようやく目的地に辿り着いた

『M1895、目的地へ到着したそちらの状況は?』

『うむ…発砲音がした大まかな箇所は確認できたのじゃが。音の位置、こもり具合からみて室内からの発砲には間違いないじゃろう』

『つまりビルの中と?』

『とすると要救助者が危ないかもしれん、少佐』

『分かった、掃討作戦は一時中断、これより第二小隊はポイントT7-43-21へ行け。万が一先行者と遭遇した際に要救助者を攻撃中、もしくはこちらへ応戦してくるようなら遠慮はいらん。構わずこちらも応戦しろ、プロテクトはこちらで外しておく。』

『うむ、了解じゃ』

通信を切り素子はM4へ質問する

『M4、SOPMODの戦力はどれくらいだ?』

『Ripper5体程度なら難なく戦えます、体のスぺックならAR小隊の中でも上位に入りますから』

『そうか…』

(ビル内部に鉄血が突入していないといいのだが…そうもいかないだろうな。)

『少佐、この付近にセンサーかけてみたんだけどどうやら私達以外いないようだね。もうこの地区にいる鉄血はほぼ全滅したと考えるべきだよ。第二部隊にいるMDRも“誰もいないwww”ってアップしてるし…』

『アイツめ…だがいないからといって全滅した訳じゃない気を抜くなよ』

だが進めど進めど敵の気配はしない、トカレフのセンサーを最大にさせて捜索させるもやはり反応はない。途中通信ステーションに立ち寄るもすでにズタボロにされていた、こうなってしまえば30体ぐらいの鉄血人形は外部との接触が断たれ以降は直前に命令された指令にしか従わなくなる。おまけに演算処理能力は極端に下がり最低限の戦闘力しか持てなくなる(つまり素人のような戦闘しか出来なくなる)

立ち去り、ビルへ向かいながら素子は考える

(あの施設の壊し方…弾痕が散らばっていた、ショットガンでも使ったかのようだ。ひょっとしてあれは先行者の仕業か?だとするならば奴の目的もまた鉄血の排除だというのか?)

そんなことを考えるといよいよビルの前へ到着した、ビルの中にも外にも人影は見当たらない。どうやら素子たちの方が一足早かったようである

だが、無数の足跡が素子の眼に入った。

『鉄血共が既に来ていたというのか…!』

『やはり銃声の発生箇所はここで間違いないようですね』

『数は約10数体…』

『SOPでも危ない数です…!早く突入を!』

『待て。先ずは入り口のチェックからだ、ブービートラップの可能性がある』

彼女は入り口付近に近づき地面に落ちていた小石を入り口に向かって放り投げた、小石は落ちていき入口へと入っていったが…何も起こらなかった

『どうやらトラップはなさそうだな…』

『それじゃ突入を!』

『よし全員私に続け!Vectorは殿で後方の警戒を頼んだ!M4は私の後ろについてろ!』

『了解!』

いよいよ突入し階段を駆け上っていく1階…2階…そして3階の踊り場に差し掛かった時、再び妙なものが目に入った。

『Ripperの残骸だ…!』

『バラバラに引き裂かれたようになってます、それに壁に無数の穴が』

『SOPの薬莢が落ちていますけどこれは彼女の攻撃じゃないです…高威力かつこの弾痕。間違いなくショットガンでしょう』

『…間違いない、M1895達が聞いたのはここで間違いない。更に上に行くぞ、ここに要救助者がいるのは間違いないんだからな』

『了解』

上へと向かい4階の踊り場についたころ再びRipper達の残骸が目に入った。ここまで来たらもう屋上しか彼女がいる可能性がある場所はない

閉められているドアを蹴破り一斉に突入する。真っ先に目に入るのは地面に座り込んでいるSOPの姿…そして頭に手をかけている男の姿だった。男の姿を見るなり素子はハッとした表情になりその場に立ち尽くす。一方M4はそんなことには気にせず男へ向かって銃を突きつける

「彼女から離れなさい!!」

「あ、M4!!」

「SOP!怪我は!?」

「ないけど…どうして銃を向けているの?」

「…あなた今襲われているんじゃ」

「ちょっと待て」

「待てって…少佐!」

「この男は違う…」

「違う…?」

「…バトー」

「…精霊は現れたまへり。久しぶりだな少佐、生きていたとはな…」

「あなたこそね…そう簡単にくたばる男ではないと思っていたけど」

「…少佐。この男を知っているんですか?」

M4はまだ警戒しているのか銃口をバトーに向けている

「ええ、早い話昔の部下と言うべきかしら…」

「お前、何でこんな場所にいるんだ?それに戦術人形も引き連れて。」

「色々あるのよ…それよりもあなたが今触っている人形、私の今の仕事に必要なんだけど返してくれる?」

「…成程な、お前今軍で働いているのか」

「返すか返さないかどっち?早いこと答えて頂戴」

「落ち着けって、こいつは俺と偶然会っただけだ。少佐が必要なら返すぜ」

「ちょっと!返すとか返さないとか人を物みたいに扱わないでよ!!」

「だそうだ、早いこと引きっとってくれ少佐」

バトーはそう言うとSOPを背中を掴みぬいぐるみを投げるかのようにポイっと投げた

「SOP!」

M4は駆け出し彼女を抱きしめてキャッチする

「よかった無事で…」

「M4もピンピンしていてよかったよ!私ちょっと心配だったんだから」

「…SOP、AR15は?」

そう言った途端、明るかった彼女の雰囲気が一気に変わった。重々しく彼女の鉄の腕が急に冷たく感じる

「…もう一度聞くわ、AR15はどうしたの?」

「よく聞いてM4、AR15は…AR15は時間稼ぎするために一人出て行って…」

「時間稼ぎ?ひょっとして…」

「AR15はM4との通信が盗聴されていたことを知っていて私を置いて出て行ったんだ…少しでも基地に襲撃しに行く鉄血の気をそらさすために」

「だが実際にはこちらに来た…」

「そんな!ということはAR15は…!M4!」

「少佐!今すぐ!」

「無理よ、連続出撃でこちらの戦力は出し切ってしまった。基地へ帰投してから弾を込めて、メンテして、修理して…とあれこれあるんだから。それにこのことは上層部に話しておく必要がある、だから早くても出撃できるのは明日の昼間だろう」

「そんなぁ…」

「少佐、何とかなりませんか?」

「私だって今すぐ行きたいのはやまやまよ。AR小隊を全員救出しなきゃ私の首が飛ぶんだから」

「少佐、随分と慎重になったな。9課の時とは大違いだ」

「うるさいわね…昔みたいに自由ではやれないのよ、色々と」

と、そこにヘリが降りてくる音が聞こえてきた。どうやらイングラムが既に帰りの便を手配していたようだ、そのタイミングでゾロゾロと第二部隊の人形達も集まってきた

「…全員揃ったみたいだしこれより帰還するわ。バトー、せっかく会えたんだ一緒に来い」

「言われなくてもついていくつもりだったぜ」

そう明るく答えるバトーと対照的にSOPとM4は暗い表情をしていた。そこからヘリが来て基地へ到着するまで彼女らは一言もしゃべらなかった。空気は重くほかの人形達も話せず沈黙のまま基地へとたどり着く。

これにて第二回救出作戦は終わった…

 

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