Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も恵美押勝です。7月もそろそろ終わりでいよいよ8月ですね、皆様は夏休みはいかがお過ごしになられるでしょうか。私は暇すぎて死にそうです
さて、自分語りはそこそこに本編をどうぞ!


Mission06.救出作戦は就寝の後で~出撃~

薄気味悪い冷えた部屋で一つの人影が立ちすくんでいる、人影は張り付けの刑にあったように体をY字で固定されていた。

(ここは…奴らの牢獄かそれに準ずる部屋か)

己の体の状態を間隔で理解し、この人影“AR15”はそう結論付けた。彼女はM4が居る基地へ鉄血兵が攻めてくることを知り自らを囮として時間稼ぎに出たのだ

(その結果がこれ、か…まぁ予想していたことだけど)

そう自身を自虐したがすぐさまこの部屋からの脱出方法を探る、

だが彼女の腕や足は鋼鉄製のバンドで拘束されており仮にそれらを外せたとしても目の前にある鉄製の扉には鍵穴がない、どうやら蹴破ることをしない限りドアを開けることは不可能なようだ。他に抜け穴のようなものはないか、通風孔や排水口、部屋にある穴という穴を探すがどれもこれも彼女が入るには狭すぎた。そうこうしているうちにガチャリ、と音がして扉が開く。中に入ってきたのは見慣れない人形だった、誰かは分からないがこれが味方ではないことは確かであろう。現にそれはハンドガンタイプの武器をこちらに向けながら近づいてくる。

 

「起きたか、AR15。どうだ気分は?」

「…最悪よ、変な体勢のせいで肩がこってしょうがないわ」

「冗談を言う余裕はあるようだな…しかし予想外だな。貴様はあのAR小隊のメンバーだ、少しはグリフィンの人形と比べて頭がいいと思ったが、貴様は大馬鹿だ何の策もなしに一人で大群と対峙するとは…」

「ガッカリしたかしら?」

「少しはな、資料によれば理知的だというから私とはウマが合うかと思ったんだが…」

「そっちの資料はどうも古いようね、データベースの更新ぐらいしておきなさい。人形でしょ、貴方」

「口を慎め、小娘が」

鉄血人形が武器をAR15の額に押し付ける。根性焼きをするかのように銃口をグリグリさせると気が済んだのだが額から離した

「まぁいい、獲物を捕らえた後ゆっくりしてやるさ」

「獲物…M4A1のことかしら?」

「無論そうだ」

「あの子、確かに指揮モジュールを搭載していて他の人形とは一味も二味も違うけど鹵獲して解析にかけた所で貴方たちにメリットはないと思うけど?化け物みたいなスぺックをもった子じゃないもの」

「そんなことはどうだっていい、お前が知る必要なんかないんだからな。重要なのはお前という罠にAR15がかかってくれるかどうかだ。罠は罠らしく大人しくしてろ」

一流の狩人というものは黙って獲物を待つものさ、そう言い残して狩人は部屋から出て行った。

(“一流の狩人は黙って獲物を待つ”ねぇ、それじゃ私もそうさせてもらうかしら)

 

『…というわけで解偵察班からの報告がつい先ほど来た』

ホログラム越しにそうヘリアンがS09地区にいる人形に向かって語りだす、ようやく救出作戦に行けるということでSOPは特に目を輝かしてホログラムを見つめていた。

『この場所…ポイント09-319は元正規軍駐屯地というわけで規模が大きい、自前の工場があり更には輸送用の列車、および線路まで完備している。通信施設は観測できた限り5つある。これは約400体の鉄血人形が稼働するほどだ、出来ることならばこの基地から鉄血勢力の完全排除なわけだがここにもまたハイエンドモデルがいることが分かった。』

そう言ってヘリアンは一枚の写真をホログラムに貼り付ける、白髪のショートで手にはハンドガンタイプの銃を持っている

『こいつの名前は型式番号SP721、通称“ハンター”だ。まぁこいつがS09地区のラスボスといっても過言ではない。それ故に勢力範囲は幅広くとてもじゃないがお前たちの戦力だけでは勝てん。そこで今回の作戦にあたって貴殿ら以外の部隊が協力する。彼らと協力をしてハンターを倒し鉄血共を完全にS09地区から追い出せ。作戦概要は以上だ、詳しいことは少佐から聞くといい。それでは諸君らの健闘を祈る』

ホログラムが消えて、室内に明かりがともされる。それと共に素子が合図し人形全員を電脳空間へとダイブさせる

『さて、ヘリアンからあったように大まかな作戦はハイエンドモデルをぶっ潰す、ただそれだけのことだが…いかんせん数が多い。となればこちらも数の暴力で攻め立てたい所だがそうもいかないんでな、精鋭部隊で行かせてもらう。そういうわけで今から発表するメンバーはこの話が終わり次第15分以内にヘリポートに行くこと…』

第一小隊

・M4A1

・M4SOPMODⅡ

・Vector

・スコーピオン

・MDR

・スプリングフィールド

第二小隊

・G36

・ZasM21

・ステンmkⅡ

・イングラム

・9A-91

・WA2000

以上このメンバーが読み上げられた。素子は話を続ける

『既に気づいていると思うが、紹介しよう。第一小隊にいる二人…M4A1とSOPMODはここに加わる新たなメンバーだ、共に16LAB製でその強さは折り紙付きだ。指揮権限をペルシカからこちらに譲渡してもらったので今回加わってもらった。まぁ一つよろしく頼んだ。それでは解散』

電脳空間を閉鎖し、次々と人形達が作戦室を後にしていく中バトーがずかずかと入室してくる

「少佐よぉ、これから作戦に出るんだろう?俺も連れて行ってくれよ」

「お前を?」

「そうだ、俺は全身義体だぜ?そこにいる人形かそれ以上の働きが出来ると思うが」

「確かに…今回の作戦は一人で多い方がいいな…よし装備は」

「心配するな、自前のがある。メンテもしてあるしいつでも出れるぜ」

「よし…それじゃあ久しぶりのお前の活躍、期待しているぞ」

「へーへー。期待してください少佐殿」

そういってバトーは駆け足で退出していった。それに続いて素子もロッカーに向かい装備を整える。いつも通りセブロC-26aとセブロC-30と小型衛星を取出し防弾ジャケットを身につけてヘリポートへと向かった。待つこと10分、集合が終わり整列する、急遽バトーの参戦が決定し声にこそ出さないが他の人形はチラチラとバトーの方を見ている。ツーマンセルで組んだSOPだけは破顔して見ていたが…

「あぁ、そこの男はバトー、私の公安時代の同僚だ。」

「少佐の…?全身義体みたいだけど役に立つの?」

とWA2000が言う

「嬢ちゃん、言ってくれるじゃねぇか。俺はあの少佐の部下で一番頼りにされていた男だぜ?役に立たないわけないだろ」

「一番頼りにしてたかどうかは別として戦闘に関してはピカイチよ、荒仕事の多い9課の切り込み隊長的存在だったからな。安心したかWA?」

「えぇ、とても。」

「ならよし」

今度こそヘリに乗り込み2機が飛び立つ、ランディングゾーンまではおよそ20分だ。その間に共同部隊との連絡を取る

「こちら、S09地区指揮官。草薙素子、共同部隊である両指揮官、応答せよ」

「…っ!こちらS10地区指揮官、ギゾーニです」

「S08地区指揮官、李誠光。感度良好だ」

「両指揮官はこれより私の指揮のもとに指示に従ってほしい…SIFの設定を」

「「了解」」

「それとお二人方は電脳化手術を受けているか?」

「はい、一応は」

「無論です」

「了解、ではこれ以降の通信は電脳を介してのものとする。入室鍵は…」

20桁の番号を告げ、両名の電脳通信が可能になった。

『現在、基地周辺には哨戒している人形…ripperやvspid等が10体、そして砲台が設置してある塀に囲まれている厳重っぷりだ。砲台は各部隊に所属しているライフル人形に任せるとして、だ』

『哨戒している鉄血兵はライフル以外の人形で壊す、というわけですね』

『そうだ、ギゾーニ指揮官。だが問題はそのタイミングだ、砲台を壊すタイミング、そして鉄血兵共を殺すタイミング、それらが重要なんだ…』

『砲台を先に壊すと襲撃に気づかれてアウト、先に人形を壊すと射程圏内に入る前に砲台でおじゃん…つまりほぼ同タイミングでやる必要があるわけか。しかしそんなことは可能なのか?』

『それを可能にするのが私の仕事だ、うちの部隊から工作兵を出す。その工作兵が内部で動乱を起こし混乱状態を引き起こす、その隙に基地へ入る。と言う作戦でいく』

『なるほど』

『それで工作兵はどのような手段を用いて混乱を引き起こすんだ?』

『基地内に輸送用の列車がある、そして今から30分後にこの基地へ到着するようだ。その状況を生かして工作活動をする』

『鉄血の輸送用列車のダイヤなんてどこで把握したんだ?』

『ネットの世界は広大よ、電車好きの子が命がけでダイヤを作ってそれをネットに公表したのよ』

『流石鉄道オタク、いつの時代でも恐ろしい行動力があるもんですね』

『そういうわけだ、両指揮官は次の指示があるまで部隊を所定の位置へ展開して待機』

『『了解』』

と、通信を終えたころにはヘリはランディングゾーンに着陸しようとしていた。

第一、第二部隊共に着陸に成功しヘリを降り、集合していく。ランディングゾーンから基地までは約1kmの距離がある。出来るだけ早く、待機ポイントにたどり着くように走り出す。その間に素子はバトーから電脳通信を受けていた

『少佐、さっき言った工作兵ってなんだ?この中にはそんなことが出来る人形が居るのか?』

『何を言ってるんだ、工作兵というのはお前のことだぞ』

『お、俺かよ!?』

『そうだ、あんな場所に人形一人で忍び込ませることが出来るか』

『ひでぇ、俺の命は人形以下かよ?』

『あら、あなたなら出来ると思っているんだけれど?』

『ったく、調子いいぜ…わーったよ、で?俺は何をすればいいんだ?』

『基地内に侵入して線路に岩を置く、それだけでいい』

『それだけって…確かにそうすれば脱線して滅茶苦茶になるが…どうやって忍び込む』

そうバトーが尋ねると素子は頭に巻いているバンドを彼に渡す

『これは京レの隠れ蓑か…』

『それと貴方の“眼”があれば正面ゲートから突っ込めるでしょ?』

『簡単にいってくれるなぁ、まぁいい。久しぶりの荒仕事だやってやるぜ』

『ありがとう。それじゃあ頼んだ、報酬は弾んでやるからな』

『ビール3杯で頼む』

 

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