Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も大変お久しぶりです、恵美押勝でございます。この一か月間免許を取るために教習所通いをしていまして、そのおかげで投稿が遅れてしまいました。どうにか落ち着いてきたんでこれからは通常通りのスパンで投稿出来そうです
さて、お知らせも済んだところで本編をどうぞ!


Mission07.救助遂行中脱獄進行中~ダイブ~

何だあれは、素子は突如として上がった黒煙を目に焼き付けながら思考する。やがてその正体が分かった所で彼女はバトーに待機させ突入と同時に合流するように命じた。

(AR15…彼女が脱獄し通信棟を占領したと言うのか、単身でこの短時間でこなすとは恐ろしい奴だな。流石はワンオフと言うべきか…)

そんなことを考えながら彼女は電脳通信を二人の指揮官に向けて開始した。

『こちら素子、これより突入を開始する。準備はいいか?』

『ちょっと待ってくれ』

『どうした李誠光指揮官?』

『敵が同士討ちをしている訳分からんタイミングで突入するのかよ?奴らの考えてることは分からんぜ?あれは捨て駒で俺たちをおびき寄せるためのトラップかもしれねぇ』

『…そいつは有り得ないですよ。もしあれがトラップなら俺たちの侵入がバレてるってことになる、仮にそうなら何故大軍を引き連れてこちらに来ないんです?』

『ギゾーニ指揮官と意見は同じだ、それに鉄血の思考回路は分からんが奴らはそんな非効率的な仕方はせんさ、それにこれが罠だとしても好機には変わりないんだ』

『…では突入で?』

『そうだ』

『『了解』』

素子は電脳通信をいったん切りチャンネルを自身の部隊に合わせる

『ご主人様!突入ですか!』

『そうだ、砲台は狙撃班がバトーが騒ぎを起こしてくれた間に全部ぶっ潰してくれた!遠慮せず正面から突っ込め!足を止めるなよ!』

素子がそう言い手を振りながら10体の人形は山道を滑るように下っていき正面ゲートに突っ立っている2体の鉄血兵に向かっていない鉛玉をぶち込んでいく。それに続く形で他部隊の人形も動き出す、真っ先にゲートに着いた素子は難なくゲートを蹴破り周囲を見渡す。周りには有象無象の鉄血兵が存在こそするが彼女には目もくれず仲間内で殺しあっている。警戒もへったくれもない状況であった

『各人形に通達、鉄血兵共は同士討ちをしているから警戒レベルは低くても構わないが流れ弾に当たらないように注意しろ、これ以降の指示は原則所属している指揮官に従え。』

そう言うと一度チャンネルを自身の部隊限定に合わせる

『バトーはゲート付近に集合、集合次第第一部隊は私と共にAR15の捜索に当たる。第二部隊は念のために通信棟の確認に迎え。ハンターに接触した場合は直ちに連絡を入れるように、以上だ。』

素子の部隊の人形が了解、とだけ返事をして動き出す、その間に素子は足元に転がっている

Ripperの残骸から電脳に侵入する。鉄血兵には攻勢防壁が仕掛けられているが素子レベル

には問題はない、素早く最深部に侵入し直前の命令プロトコルを確認する

(やはり書き換えられている…こんなことが可能なのはやはりAR15しかいないか…)

ダイブを終えて帰還するとバトーが彼女の後ろに立っていた

「今からそのAR15とか言う人形を捜索するんだろう?見当はついているのか?」

「おおよそはね。命令を書き換えられる状況にはいるんだから監獄みたいな場所にはもういないはず、しかしそれ程時間はたっていないのだからその近辺にいるかもしれない」

「先ずはそこを探すというわけか。そう簡単にいくといいんだが…」

バトーのぼやきを他所に素子らの部隊は進軍を始めた、しばらくし第二部隊と別れた時に

電脳に男の声が割り込んだ、ギゾーニ指揮官だ

『素子指揮官、敵基地内に多数のタロットが存在しています。この基地の防衛システムだと思われますがそちらでシステムを落とせないでしょうか?』

『それは構わないが何故我が部隊に?』

『えぇ、実はうちの人形が待機中に基地をスキャンした所そちらの近くに大量のデータ

フローが起きていることが分かったようなんです。現在、我が部隊は救助対象人形を

捜索中なのですが防衛システムで上手く進行出来ず…』

『了解した、ではこちらの部隊で対処させて頂く』

『よろしくお願いします』

ギゾーニとの通信を終えた素子は腕をLの字にし、停止を命じた

『M4A1とSOPMODⅡはポイント4-3に迎え。防衛システムのコンピューターがある

 恐らく地下だろうから入り口を見つけ出し制圧しろ』

『了解』

『了解です!!』

『その他は引き続きAR15の捜索に当たる』

二人と別れ、再び歩きながら素子はカリーナに連絡を入れる

『カリン、私だ』

『少佐、補給物資ドローンはあと数分後に到着いたしますわよ』

『ん、もう手配したのか』

『えぇ、そろそろ連絡が入るころだと思いましたから』

『気が利く後方幕僚だこと』

素子と別れたM4とSOPはポイントまで慎重に進んでいた。途中でタロットを発見したがSOPが所持している榴弾のおかげで彼女らに被害が及ぶことなく前進することが出来た

「ねぇM4、いくら同士討ちしてるからって敵基地のど真ん中をひたすら歩くのってつまらないよ。一発ぐらいどさくさに紛れて撃っても…」

「SOP…一応これから敵基地のコンピューターを制圧しに行くのよ?さっきのタロットはしょうがないけどなるべく発砲は避けなきゃ」

「分かったよ~」

「派手にぶっ放して『可能な限り避けた』なんて言うのはなしだからね」

「わ、分かってるってば…」

そう言いながらSOPは人差し指をトリガーからフレームに移した。思わずM4がため息をついた頃、目標ポイントに到着した

「ポイントにはついたけど何もないね、やっぱり少佐の言う通り地下にあるんだろうけど…」

「入り口…ここから下に行ける入り口は」

2人は電脳内で予め素子から転送された基地の地図を確認して入り口を探す。

『M4、ここから入れるんじゃない?』

そう言ってSOPはM4の電脳内に存在するマップに印をつける、そこはこの地点から数十m先にある非常用階段の出口であった

『成程、そこなら確かに地下とも通じているわね。それじゃあ行きましょう』

そこから直ぐに階段出口に到着しM4は念のため罠が仕掛けられてないか調べるが何もないことを確認し、階段を下りて行った

『SOP、確か貴方のそのヘッドギア、データの流れを感知してそれを視覚情報として貴方の視覚端子に伝えられるのよね?』

『うん、そうだよ』

『それじゃ、道案内は任せたわ』

『オッケー!それじゃ急いで下るよ!』

SOPとM4の階段を降りる音がズレたのが重なり合った頃、急にSOPが足の動きを止めた

『ここだ、ここから物凄いデータが見えるよ!このドアの向こう側で間違いない!』

『分かった、ここは慎重に開けるわ。私が先行する』

M4は重いドアを慎重に開け隙間から部屋を見渡す、何も見えないのを確認し今度は勢いよく開け銃口を左右に振る。

『どうやら、ここは誰もいないみたいね。SOP、入って来ていいわよ』

『凄いデータの量、ここは基地の指令室だったのかな。』

『にしては、コンピューターに埃がかぶっているわ、暫く使用されなかったのかしら』

と言いながらもM4はポートを見つけ出しコードを自身のうなじへと持っていき接続した

『ここから身体機能を物理的にカットするからSOPはカバーお願い』

『了解!遠慮なくダイブしちゃって!』

『…行くわ』

M4は眼を閉じて情報の海へと飛び込んだ。戦術人形には意識と呼べるマトリクスの塊はない、故に人間がアクセスするときに感じる意識がこの世ではない、暗闇に吸い込まれるよう感覚がしない、故にSOPは何故この行為を「ダイブ」と言うのか分からない。だがそんなことは気に掛けることもなくM4はダイブに成功し防衛システムと対面することが出来た。だが彼女の前に突如として粒子が舞い降りる、やがて粒子は一つの形を形成していく

(Ripper…ここの攻勢防壁ね)

意識というマトリクスを持たないが故にあらゆる情報を可視化出来る戦術人形にとって攻勢防壁も例外ではない。人間ならば単なる身を焼き尽くすような炎にしか感じない攻勢防壁も人形にかかればこのように実体を表すのだ

(この程度の攻勢防壁…舐められたものね)

数分後、最後のRipperが粒子に分解されM4は閉ざされた門の中に侵入する。これでこのコンピューターはM4の手に収められた

(あっけないものね、それとも私が少佐と同じくらい電子戦が得意なのかしら。なんて)

そんなことを思考しながらダイブを終えてM4は物理世界に帰還した

『お帰り、M4。その様子じゃ制圧できたみたいだね』

『うん、早く少佐に連絡しなくちゃ』

M4はチャンネルを素子に合わせる

『少佐、こちらM4。防衛システムのシャットダウンを確認』

『了解、M4とSOPは一度ポイント6-2に向かってくれ、そこを合流ポイントにする』

『了解』

一度通信を切りM4はSOPの方を見る

「SOP、ここを出ま,,,どうしたの?」

「あ、M4ここに変なのが書かれていてね」

「変なの?」

SOPは指令室の壁に書かれていた赤い文字を指を指した

「よく狩りをする者はよく獲物を見つける…」

「ハンターが書いたのかな?でもこんなの当たり前じゃない、何のために書く必要が」

「…私たちには関係ないわ。行きましょうSOP、少佐との合流に遅れちゃだめだわ」

「は~い」

SOPはM4に手を引かれる形で部屋を後にした。彼女の眼にはもうあの赤い言葉は映り込んでいなかった。

 

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