Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も恵美押勝です。最近またハガレンにハマってます、しかし見てていつも思うんですがアルフォンスってやっぱりイングラムの方から来てるんですかね?
まぁそんな話は置いておいて、本編をどうぞ!


Mission08.コーヒーブレイク~狩人の鎮魂歌~

迎えのヘリに乗りSOPは暇を持て余していた。というのもいつも話し相手になってくれているM4は疲労と安堵からか寝てしまいAR15も暫く黄昏たい、とのことで一人窓を見つめており素子も今回一緒に戦った指揮官への連絡などをして忙しそうだった。詰まる所彼女の暇、退屈さを癒してくれる手段が何もなかったのだ

(…私も寝よっかな~だけどそんなに疲れてないんだよね)

寧ろあまり暴れることが出来なかったので消化不良を感じていた

「しかし狩人が狩人の基本を忘れるとはねぇ…“よく狩りをする者はよく獲物を見つける”とはよく言ったもんだ」

と、隣にいたバトーが独り言を言っているのが耳に入った。普段なら他人の独り言など意に介さないが今回はこの発言に既視感を感じたからだ

「ねぇバトーさん」

「どうした嬢ちゃん」

「“よく狩りをするものは…なんとか”ってどういう意味?」

「ん?18世紀にフランスにいた画家の言葉さ。狩りをするものは獲物を見つける…当たり前のことだが狩りが上手い奴は獲物を見つけるのも得意なんだ。だが何故当たり前か分かるか?」

「…狩人だから?」

「そうだ、自分自身が狩人だと自覚しているからだ。スポーツ、ピアノ、争い…何に関してもそれが上手い奴は自覚をしている、能動的に動く。ひと昔の言い方をするなら『心技体が揃ってる』っていう奴だな」

「心技体かぁ、でも鉄血には心なんてないもんね。心って人間だけが持てるものなんでしょ?」

「…そうだな、だからこそ心がねぇ奴は揃わない、自覚できない、だからヘマをする。アイツはそうだったのさ。嬢ちゃん、嬢ちゃんに心があるかどうかなんて事は分からん。ないかもしれない、だが自分が何者なのか、そのことを自覚しろよ」

「何言ってんのバトーさん、私はグリフィンの人形で鉄血から人を守る存在、それ以上でも以下でもないでしょ」

「…嬢ちゃんは賢いな」

「えへへ、そうでしょ」

そう笑うとバトーは犬の頭を撫でるかのようにSOPの頭を撫でた。

ヘリはようやくS09地区戦線基地へと着陸しようとしていた。

S10地区戦線基地

『…私が得た情報は以上だ。私と案山子と処刑人が得た情報はすべてそちらにアップロードした』

『つまり第三セーフハウスで得た情報は未だM16が握っているというわけだ』

『えらくのんびりしているところ見ると、グリフィンはまだあのデータの価値が分からないようね』

『“傘”計画にせよ、“遺跡”に関する調査にせよ退屈な任務はもう終わりだ、私は狩りに戻らせてもらうぞ』

『また狩りだの野蛮なことを…私の部下はこんな奴しかいないのかしら』

『隠居生活を送る奴には分からんさ』

『だから貴方は捨て駒なままなのよ。…わたくしの部下になって後悔してるのかしら?』

『死んであんたとおさらば出来るなら本望さ』

『ほう、データを握っているわたくしがそう簡単に許すとも?“復活の呪文”ならいくらでも使えるのですよ?…それでも今回は使いませんわ。わたくしの役目は貴方方の最後の花道を飾ることですから…』

音声がここで途切れ、コンピューターの前で一人の男が呆然とする。S10地区指揮官、ギゾーニ指揮官だ。

「なんだこれ…?」

「7時間に渡って鉄血の強化防衛部隊と交戦した際に入手したお土産ですよ。…指揮官からは簡単な任務だと聞いてたんですがね」

「悪かったって…埋め合わせはするからさ。しかし何だって鉄血の人形はこう性格が俺がガキの頃に読んだ漫画みたいな感じなんだ…喋り方なんて特になぁ」

「AIだけは日本製なんじゃないんですか。知りませんけど」

「お前なぁ俺が日本出身だってことを知って言ってるのか?」

「えぇ」

「可愛げのない人形だよ、お前って奴は」

「誉め言葉として受け取っておきます。それで指揮官、このデータどうします?」

「こんな重大な情報、勝手に処分するわけにはいかないだろうし…」

ギゾーニは暫く目をつむり腕を組み考えて、再び目を見開いた

「なぁ、Thunder。もし退職させられた職場の上司に再就職先で再会するときって何が必要だと思う」

「それ、人形である私に聞きます?ややこしい関係なんてのは人間だけの特権ですよ。

…まぁ、手土産の一つでも持っていけばいいんじゃないですかね?」

「ま、そうだよな…とは言え、あの人が好きそうなものなんて思いつかないぞ」

「“気持ち”がこもってたら何でもいいんじゃないですか」

「お前絶対そんなこと思ってないだろ」

「“気持ち”って概念、私には分かりませんからね。それじゃ私はこの辺で失礼します。銃の整備をしたいので」

「分かった。ご苦労さん」

Thunderが指令室から出るのを確認してギゾーニは卓上に置いてある写真立てに手を伸ばして掴んだ。(言うまでもないがデータ化が進んだこの時代に写真立てというのは骨董品級の代物である)。写真には女性と子供が写っている

(なぁ、俺はどうしてもあそこから離れることが出来ないらしい。運命なんてのはあまり信じたくないがこうまでなると信じたくなっちまうな…)

そう考えているとノックの音が聞こえた。どうぞ、と呟き急いで写真を伏せる。

「ん、Thunderじゃないか。どうしたんだ?」

「データの他に渡すものがあったのを忘れていたわ」

上着のポケットからThunderは銃を取り出し机に置いた

「はい、指揮官の銃…M2007の修理が終わったわよ。ずっと昔に倒産したメーカーのだから部品集めるのから面倒だった、って整備班がぼやいていたわ」

「その分、あいつらの給料は増やしてやったさ」

「随分と変わった銃を使うのね、指揮官って」

「お前ほどじゃないさ…」

S09地区戦線基地指令室

作戦を終え、夜が明けた。傷ついた人形を修復し、作戦報告書などを書き終わり少し仮眠を取ったらもう朝だ。大掛かりな任務を終えたのだ、一日ぐらい休んだって罰は当たらない、そう思いたいが悲しいことに休みたくても休めない、無情にも卓上の電話が鳴る

「はいこちらS09地区戦線基地指令室…」

「少佐か」

「あらヘリアン、モーニングコールなら間に合ってるわよ」

「その様子じゃあまり寝れなかったようだな。それじゃ目を覚ましてやろう」

「…どんな素晴らしい仕事をくれるのかしら」

「明日、グリフィンからS09地区に向けて調査部隊を派遣することになった。部隊の進行ルートは鉄血の占領地域を通過する予定だ」

「つまり護衛しろと?」

「そういうことになる。少佐はS09地区なら我々以上に熟知しているからな…」

「それはいいけど何でウチのシマに来るわけ?」

「どうもS09地区は鉄血に関する機密ファイルが存在するらしくてな。それでだ」

「…成程、それで調査部隊の編成は?それが分らなきゃどうしようもないわよ」

「…伝えたいのはやまやまだがこの調査部隊は極秘中の極秘なんだ。下手をすればAR小隊よりも」

「それでどうやって仕事をしろってのよ」

「進行ルートはあらかじめ伝えておく、これで頑張ってもらうしかないな」

「機密機密と無茶な指示、職場は変われど変わらず。か」

「そうぼやくな、これが終わったら上に休暇を掛け合ってやるさ」

「期待しないで待っておくわ…それじゃ」

電話を切りため息をつくとノックの音が聞こえた。

「おっはようございます!!少佐!!」

返事をするまでもなくわれらが後方幕僚カリーナが入ってきた

「相変わらず元気ね」

「まぁそれが若さの取柄って奴ですから。あれ、バトーさんは?」

「知らない。まだ寝てるんじゃない?貴方、アイツに用があるの?」

「えぇ、まぁ。昨日一応ハンターを入手したじゃないですか」

「電脳が完全に焼けててデータ解析なんて夢のまた夢みたいな状態だけどね」

「でも一応、奴が持ってる武器は無傷じゃないですか?だから一丁くれないかって頼まれたんですよ」

「…アイツ」

「まぁ、使用している武器は38口径プラズマガンだから戦いが好きなあの人の気持ちも分かるんですが…なにせ鉄血が使用した武器なわけじゃないですか?一応色々確認する必要があるんですよ」

「私がスケアクロウの衛星を使うときもウイルスの有無を確認したもんな」

「それで、安全だということが分ってそれをお伝えしようと思ったんですけど…」

「分かった、伝えておくわ」

「ありがとうございます。それじゃ私は仕事に…」

その時、再び机の上にあった電話が鳴った

「はい、こちらS09地区戦線基地指令室。あ、ハイ…少々待ってください」

「どうした?」

「少佐にお客様です。S10地区のギゾーニ指揮官」

「ギゾーニ指揮官?何の用だ…分かった、通してくれ」

「了解です」

数分後、ノックの音が聞こえ扉が開かれた

「ギゾーニ指揮官、一日ぶりじゃないか。どうしたんだ…」

素子はギゾーニの顔を見ると表情を変えず凍り付いた

「どうも…お久しぶりです、少佐」

「お前、生きていたのか…“トグサ”…」

 

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