Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も恵美押勝です。大学生も2年になり5限が週3もあって死にそうですが何とか生きています。最近はレイヴンになったりと忙しいですがどうにか各時間を設けてこうして皆様に作品をお届けしている次第です
長話もアレなんで、本編をどうぞ


Mission09.闇夜に踊る影~新兵器~

「来たか、新兵器」

新兵器...AF01、通称“フラカン”が素子の頭上に来たのはそう言い終わってからすぐのことであった。両腕が正常に動作しない現在においてこれが素子の最後の武器である、

(使い方はいつもと同じだ、こいつは確か変形ギミックが搭載されていたはずだ)

素子は自身の盾になるように目の前に来たフラカンに電脳内で指示を出す、間もなくフラカンは変形し鉄血の兵器の一つであるスカウトのような形状になった、異なるのは細長い体から腕のように砲門を装着したマニュピレーターが左右に展開されそれぞれの肘にあたる部分から盾が展開された。これがフラカンの本来の姿と言うべき形状である

(砲門はショットガンになっている…だがあくまでもこいつらは鉄血兵を倒すために呼んだんじゃない…狙うはこいつらのバックに存在している奴らの通信施設…!こいつを破壊することでしか勝機はない)

素子は一機を通信施設へと飛ばした、幸いにもその姿が鉄血兵たちに捉えられることはなく奴らの頭上を通過した。そしてもう一機のシールドを前面に展開させ素子の眼前に配置させる。そして彼女自身はしゃがみ込んだ

(下手に動き回るよりもここで防御しつつ落ち着いて一機ずつ対処していくのが有効だ…)

フラカンに装着されているシールドはRipperやVspidのような鉄血兵の攻撃に対しては絶対的な防御力を保有している。故に現段階においては素子がこれ以上負傷する心配はない、しかしそれはこの付近すべての鉄血兵らが彼女の前に存在しているからであって背後に回られたりマウントポジションを取られれば話は別である

(とてつもない猛攻撃だ、盾に命中した弾が弾けて五月蠅い…当然だな、すべての攻撃がこの新兵器に向けているのだから)

素子はそう思いながらもフラカンから送られてくる映像を頼りに確実に鉄血兵達の頭部に自身の攻撃を命中させて一機ずつ減らしていく。

(現時点での残敵は10と言ったところか…)

彼女はそう思考しながら自身の武器であるC25Aのセレクターをセミオートに切り替える

(マガジンはあるが右腕が使えない状態でのリロードは不可能ではないが時間がかかる…弾が切れたら新兵器の武器を使えばいいんだがそれをするにはシールドをどかしてから行う必要がある…そうなったら私は良い的だ、防御態勢を解除した後素早く移動出来れば可能ではあるがリスクが高い…)

彼女は通信施設へと向かったフラカンの映像を電脳内で確認する、するとフラカンはもう間もなく目的地へと到着するところであった。これが到着して破壊するまで約2分と言ったところであると彼女は推察した。だがその間にも敵は距離を縮めており彼女との距離はおよそ7mほどになった。この前にも攻撃に晒され続け、近距離になってきて流石の盾、否、盾を接続するジョイントがその衝撃に持たないときが訪れようとしていた

(…くっ、新兵器とはいえジョイントがこれではな…)

生きて帰ったら開発部にクレームをつけてやろうか、といったことを考えながら素子は一発一発を撃ち続ける、しかし肩を撃ちぬかれているので鉄血兵の頭に照準を定め発砲するのに5~10秒かかる。それでようやく1体を倒せるぐらいだそれでも残敵は8機だ。そしていよいよ自身の銃の弾がなくなった。こうなれば頼れるのはフラカンの武装のみだがそれがリスクあるのは先述した通りだ

(だが….一か八か、やるしかないか…!)

いよいよ敵との距離が3mとなった。距離が0になるまでに数秒ともかからない。そして敵との距離が2m…1mになり素子がしゃがんでいた腰を上げて右に重心を傾けてローリングをしようとしたその瞬間。突如として敵の動きが止まり保持していた銃が手から離れて落下した音が彼女の周囲にこだまする。

(ギリギリで間に合ったか…!)

彼女の電脳内にはフラカンが通信施設のコンピューターを穴だらけにした様子が映っていた。すぐさまフラカンに帰還指示を出し、第一部隊に通信を入れる

『第一部隊へ連絡、敵鉄血部隊の無力化を確認…これでこの付近の鉄血兵は全滅した。あとは機密部隊の作戦完了の通信を待つだけだ…』

『少佐、無事ですか?』

『AR15か、どうにかな。しかし片腕ともう片方の肩が機能停止してしまった…今からそっちに向かうからそこで待機していてくれ。』

『…!少佐、本当に大丈夫なんですか?私がそっちへ迎えに行きましょうか?』

『心配するな、足はぴんぴんしてるし胴体や頭部といった箇所には一つも被弾していない、ただ恐ろしくリロードがしづらい、そっちへ着いたら手伝ってくれるか』

『…分かりました、少佐お気を付けて』

通信を終えて歩き始め、暫くして通信施設を破壊したフラカンが彼女の元へと戻ってきた。

どうやら破壊作戦中に少なからず鉄血兵の攻撃を受けたらしくシールドに傷がついていた。

しかし飛行機能に問題はなくしっかりと彼女の前に浮いている

(シールドのジョイントが弱いという欠点はあるがかなり強い戦力を持っているなこの新兵器…こういうのを全員の人形が装備できれば言うことはないんだがやはり電脳の容量を多く使ってしまうのがネックだな…最低でもグレード4ぐらいの人形でないとまともに扱えないぞ)

そんなことを考えながら彼女は第一部隊の隊員が待つ補給ポイントへ到着した。

「…少佐!大丈夫ですか!?」

真っ先にAR15が寄ってきて素子から銃を受け取る

「言っただろう?大丈夫だ、…外骨格を利用して応急処置でもするさ」

そういいながら彼女はAR15からリロードされたC25Aを受け取る

「G36、すまないが外骨格を私に装着させてくれないか。」

「承りました」

G36は補給コンテナから外骨格を取り出した素子の首のカバーを外し接続端子を露出させ、外骨格からコードを引き出し接続させた。外骨格はコの字状の鉄骨からなる部品であり、“コ”の横直線に当たるところが稼働するようになっておりそれを上着を着るように装着すると稼働部位が腕に装着されるそして電脳内でイメージすると稼働部位がその通り動き人工神経が切れて動かなくなった腕を強制的に動かすことが可能になる。これが外骨格である

「…お言葉ですがもともと動かなくなった部位を強制的に動かすのだからあまりよろしくはないかと」

「しかしこのまま動かなくなるのもよろしくはないからな、まぁバトーの方はやって来た敵をすべて倒しこちらは通信施設を破壊し無力化に成功したんだ。後は機密部隊が終わらすのを待つのみだ。…それより最終的な被害状況はどうなったんだ?」

「私は本体、ダミー共に損害なしですが…他の皆様方はそれぞれダミー人形一体が大破。グリズリーさんは本体が小破、その他の皆様の本体は被弾こそしましたが損害らしい損害はありません」

「…そうか、ありがとう」

腕を動かしながら指も動かし外骨格が正常に作動するのを確認しながら。少しため息を吐き。電脳通信を全体に入れる

『全員に通達、その場にて機密部隊の報告が来るまで待機。リロードは済ませておけよ』

『…大丈夫か、声が少し疲れているように感じるが』

『大丈夫よ、・・・ただ一つ気になることがあって』

『気になること?』

『…破壊された人形らしき物体を覚えているか?』

『…ハイエンドモデルによって破壊されたかもしれないっていうあれか?』

『最初こそガトリング砲を持っているタイプの鉄血人形の仕業の可能性もあると思ったんだが遭遇した敵の中じゃそういう敵はいなかった…ということはハイエンドモデルによって破壊されたのは確定だがここにハイエンドモデルは来なかった…』

『しかし、だとすれば…まさか、俺たちが相手にしていたのが全員囮で機密部隊をハイエンド一人で撃破しようってんじゃ…!』

『いかにハイエンドだろうが4対1だなんてそんなことはしないさ、囮を使うような奴がそんな自意識過剰のような事を』

若干の楽観視を混ぜたこの言葉の直後、2人の電脳通信に割り込みが入った。カリーナからだ

『お取込み中すいません、ヘリアンさんから緊急の連絡が入っています。かなりの緊急性を伴う任務らしいので今すぐ出てほしいとのことですが…』

『分かった、いつも通り携帯に繋げるように頼んでくれ』

『了解しましたわ』

数秒後コール音が鳴り、聞きなれた声がスピーカーから聞えてくる

『少佐、先の機密部隊は無事任務を終えた。これから帰還するところなのだが一つ問題がある』

『問題?』

『部隊が今回の任務で入手した情報の中にこの近辺にハイエンドモデルがいることが判明した』

『それは私も気づいていた、それでそのハイエンドモデルとは?』

『不明だ、ただ分かっているのはその名前だけだ。』

『…名前は?』

『イントゥルーダーだ』

『…イントゥルーダー、“侵入者”か』

『最後の鉄血のカタログに載っていなかった代物だ、そこで少佐にはこれの破壊を頼みたい。無論、部隊の護衛が最優先だが破壊すれば臨時ボーナスが出されることになると思う。そっちにとって悪い話ではないと思うが』

『…それは“命令”か?』

『…そうだ』

『了解した、だがこちらは負傷者が出ている状況なんだ。いざとなったら撤退の許可は出してくれよ』

『…分かった、それではよろしく頼む』

通信を切り、素子は全部隊に電脳通信を行う

『各員へ、補給ポイントへ合流した後。我々は鉄血のハイエンドモデル“イントゥルーダー”の撃破に当たる。おおよその検討は付いている…敵が機密部隊と接触する前に叩くぞ』

夜はさら更け丑三つ時となった戦場にいくつもの足音がかすかに聞こえてくる。

面倒なことになった、と素子は外骨格の状況を確かめながら呟くのであった。

 

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