Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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お久しぶりです、恵美押勝です。とうとうガルパン最終章三話が公開されましたね。ドルフロもアニメを放映するみたいだし今年はいい年になりそうですわ(遅い)
長話もアレなんで、本編をどうぞ!


Mission01.チップ~解析~

~解析~

AD2062  5月6日

指令室

素子は机に座り自分ともに出撃したメンバー達の方へ顔を向けた

「それじゃ、改めて聞くわよ。WA、春さんあの時の状況を説明してくれる?」

「わかりました」

「と言っても話すことはさっき話したけどね」

「あの時、私達は少佐の指示に従い発砲許可の後すぐに撃とうとしたんです」

「スコープにはしっかりとJaegerの姿が入ってたわ、引き金を引けば確実に奴の頭が胴体とお別れするはずだった」

「だけど撃てなかった」

「えぇ、引き金を引こうとした瞬間人差し指が硬直したんです」

「それでも撃とうとした瞬間私の電脳が告げたのよ『あれは守るべき人間だ』ってね…」

「あぁそれなら私も同じ現象がおきたよ、双眼鏡でやつを見たらそうなった」

「MDR以外にこの現象が起きたのは?」

そう聞くとZasもⅯ1895も頷いた

「これで決まりね、くだんの現象はWAと春さんの故障なんかじゃない。敵が仕組んだ何らかの電脳干渉によって起きたのよ。」

「何かってなんじゃ?」

「現象からしてバトーのように目を盗まれたと考えられるわね…でもあいつみたいにリアルタイムでハッキングができるほどの高等技術が可能な脳やツールはJaggerにはないはず…」

「バトーって誰よ?」

「昔の同僚よ、私と同じでほぼ全身義体なんだけど義眼レンズを着用していてね。リアルタイムで多数の機械やサイボーグの視界をハッキングする事が出来たのよ」

「それが『目を盗む』ということなんだね」

「そう、でも目を盗むのはさっき言った通り高等テクで素人には不可能だわ」

「でもJaegerには他の鉄血兵とは違う装備をしてるよ。ほら、あのゴーグルのような…」

「馬鹿ねMDR、あれは暗視ゴーグルよ」

「ともかくだ、この現象が改善しない限り私達、いやグリフィン自体の業務が滞るわね…」

せめて鉄血兵の死体を解析できれば糸口が----

そう考えたころ卓上に設置してある電話がなった。

こんな時に、そう思いながら受話器を取る

「もしもし」

「その不機嫌そうな声じゃどうやら失敗したようだな、少佐」

「ヘリアンか、ええそうよ。で、失敗したダメ指揮官に何の用?」

「そうふくれるな。実は少佐に頼みたいことがあるんだ。」

「頼み?」

「そうだ。まぁ電話越しで話せる要件じゃないんだ。枝がついてるかもしないからな」

「分かった、本社までくれば良いのね?」

「そういうことだ、では少佐後ほど」

電話を切り素子は椅子から立ち上がった

「これから私はグリフィン本社ビルまで行ってくる。その間なんかあったときはスプリングフィールドの指示に従うこと。いいわね?」

了解、と短い返事が返ってくる

「それじゃ、確実解散!」

そう言って素子は指令室を後にした。

部屋から出るとカリーナが車のカギを持って素子を待っていた

「少佐、お出かけですか?」

鍵を渡しながら彼女が聞いてくる

「ええ、ヘリアンに頼まれてね」

「そうでしたか、ところで…」

「どうした?」

鍵を受け取り駐車場へと向かう、カリーナもそれについていく

「どうして少佐はヘリアンさんと連絡するときは電脳を使用せず電話を使うんですか?枝がついて盗聴されるリスクが高いじゃないですか」

「ヘリアンはね電脳処理をしてないのよ」

「え!電脳普及率が90%越えの現代で生の脳ミソなんですかあの人!」

「そうよ、おまけに体のどこも義体化させてないのよ」

「へぇ~ヘリアンさんああ見えて貧乏なんですかね?私ですらしてるのに」

「さぁね。でもカリン、電脳処理をしてないのは悪いことではないのよ」

「何でですか?」

「管理職という重役において一番怖いのは電脳をハッキングされることとゴーストハックよ。一瞬にして機密情報が奪われるだけでなく内部分裂を引き起こしかねないからね」

「なるほど、でも電脳処理をしてないヘリアンさんはその心配がないと」

「えぇ、と言っても旧時代のゴーストハック…つまり自白剤を打たれたらおしまいだけどね」

話しながら彼女は車のカギをシリンダーへ入れ込み回す。ブルン、という音とともに腹に響くエンジン音が聞こえる

「じゃ、留守番よろしくね」

「お土産よろしくお願いしますね~」

「覚えてたらね」

グリフィン本社ビル 

本社ビルへ入るとすぐそこにヘリアンがいた

「やぁ少佐、直接顔を合わせるのは久しぶりだな」

「そうね。2か月ぶりってところかしら」

「そんなところだろうな」

「で、電話越しで話せない頼みってなによ?」

「まぁ待て、場所を移そう」

そう言われると素子は怪訝な顔になりヘリアンの横につき小声で話す

「そんなにヤバい頼みなわけ?」

「ついてくれば分かるさ」

「…分かったわ」

5分こと歩き素子らは分厚い鉄の扉の前に立たされた

「ここは…敵性人形保管庫ね」

「そうだ、鉄血兵や人類に仇名す機械が保管される俗に言う“ゾーン”って場所だ」

「こんな場所でしか頼めない任務って碌なもんじゃないわね…まぁいいわ。入りましょう」

扉の前にいる警備兵(人間だ)に身体検査され分厚い扉が轟音を立てながら開けられる。中に入り見渡すと辺り一面に鉄血兵の残骸が特殊ガラスの中に保管されている。そして前方の十字架のような作業台に一台の鉄血兵が置かれていた

「これは…ripperね?」

「あぁ、こいつは一昨日保管された代物だ」

「こいつが何か?」

「こいつは他の兵とは違ってな、うちの人形が倒せなかったんだ。3人の人間の軍人ががりでようやく倒せたんだ」

「倒せなかった?もしかして…?」

「察しの通りトリガーが引けなくなる故障が発生したんだ。出撃した人形全員がな」

「まるっきり私の地区で起きたことと同じだわ」

「本当か、やはり故障ではないのか」

「同じ症例が2件、何体のも人形に出ているのよ?偶然の一致にしてはできすぎてるわ」

「ということは」

「えぇ、この鉄屑に何かが仕掛けてあるのは間違いないわ」

「なら…私が頼もうとしてることが分るよな?」

「ダイブすればいいんでしょ?」

ダイブとは有線や無線を用いて電脳同士をつなぎ合わせ相手の電脳の中身に接触し解析することである

「そうだ、少佐にはそのことでここまで来てもらったんだ…分かってると思うがこれは危険な作業だ。得体の知れないウイルスに感染するリスクや攻性防壁で脳を焼かれて廃人になるリスクもある」

「ヘリアン、私を誰だと思ってるの?私は“超ウィザード級ハッカー”よ」

誇ったような顔で素子が言うとヘリアンは笑い出した

「そうだな。何十年も前とはいえ“超ウィザード級ハッカー”だものな」

「えぇ、あれから腕は衰えてないつもりよ」

それに、一応これもあるしね。と言いながら彼女は腰につけてある小さな四角い箱を指さした

「身代わり防壁…しかもこれは日本製じゃないか随分高級なものを持ってるんだな。流石は元公安出身ということか」

「まぁね、これがあれば一回は焼かれるのを回避できるわ。でも…」

「でも?」

「万が一私が乗っ取られてあなた達に攻撃するようなことがあれば遠慮なく殺して。そんなことはあり得ないけど念のためにね」

「分かってる。言われなくともな」

「流石ヘリアン、それじゃ始めるわ…」

呼吸を整え首から線を出しRipperの首の付け根に差し込む。これでダイブの準備が完了した。

ダイブとは文字通り情報の海に飛び込む行為だ。故に飛び込む際には水中へダイブするような感覚で行う。

(ここがRipperの中か。目の前に見えるあの大きなノイズみたいなのが記憶野、ゴーストがないからチリチリとした気持ち悪い感覚がしないのはありがたいわね)

そして、記憶野の中に侵入することに成功した。現段階で防壁が働く気配はしない、落ち着いて覗いてみると素子の電脳内にRipperが起動してから破壊されるまでの映像が一瞬で流れ込んでくる。とてつもなく膨大な情報量ではあるが電脳処理をしてる彼女にとっては何の問題もない

(破壊されるまでは特に変わった瞬間はないわね…ということは記録をする前、つまり製造されてる時に“何か”を仕込まれたということかしら)

そこで一旦素子は記憶野から出て周りを見渡すことにする、視覚、感覚、聴覚の概念を示すノイズが見えるがこれはどの鉄血兵にもある物だ。この深度じゃ見つかりそうもない、そう思った彼女はダイブする深度を高める

(…あの青い光は今まで見たことがないわ!まさかゴースト…いや、ゴーストならあの感覚がするはずよ。ということはこれは未知の分野ということかしら)

そこで彼女は一旦自身の言語野へと意識をもっていく

「ヘリアン、聞こえてる?」

「あぁ、どうした」

「この鉄屑に未知の分野を見つけたわ。ダイブしてみる、どうやらここに答えがありそうな気配がする。そう囁くのよ、私のゴーストが」

そう告げると再び先ほどの場所へと戻りダイブする。青い光が彼女を包み込む。温かなそれは直ぐに熱い感触へと変わる

(攻性防壁!だけどこれはチンケなものね。鉄血工房のだからどんなものかと思ったけど十年も前の防壁じゃない、なんか損した気分…)

難なく防壁を破り侵入に成功した。中に入り全てのプログラムを読み取り彼女はニヤつく

(ビンゴ、ここに答えがあったのね)

彼女の意識は彼女自身の電脳へと戻りダイブが終わった

「戻ってきたか少佐」

「えぇ、無事に帰ってきたわよ」

「それで答えは見つかったのか」

「勿論」

そう言うと彼女は作業台に置かれているRipperの頭を指さした

「この辺に特殊なマイクロチップが埋め込められてたのよ」

「マイクロチップ?それが人形たちが撃てないのと関係してるのか?」

「そうよ、簡単に言えばこのチップは戦術人形に認識阻害をさせる代物よ。正確に言えばこのチップに存在してるウイルスがね」

「と言うとこのチップの効力によって人形の電脳がおかしくなって鉄血兵を人間と認識させてしまうのか」

「そういうこと、これは相当な代物よ。最高機密である戦術人形の電脳にリアルタイムでしかも大多数にハッキングが可能だなんて相当ヤバいわ…恐らく既に大量生産されているはずよ」

「となると三原則プログラムを外してチップの意味を消失させるべきか?しかし三原則を消すのは上層部が易々許可は出さないだろう」

「でしょうね、三原則プログラムは戦術人形の根本だもの」

「ではどうしようか?」

「簡単なことよ、チップの効力を無力化させるためにワクチンを作ってそれをダウンロードさせればいいわ」

「簡単なことって言うが可能なのか?」

「種は分かってるのよ?種が分かってるならワクチンを作るのはお茶の子さいさいよ」

「本当なのか、それで時間は?」

「10分もあれば余裕よ」

「流石は少佐だよ…ここのコンピューターは自由に使ってくれ。私にできることはそれしかないのだろう?」

「上出来よ、あとヘリアン」

「?」

「社長によろしくって言っておいて」

「分かった」

そう言ってヘリアンは保管庫を後にした。残された素子はコンピューター(オフライン)と接続しダイブを行う

…宣言通り十分もしないうちにワクチンは完成した

ダイブから戻り視覚を現実に戻すとヘリアンがいた

「もう終わったのか、本当に恐ろしいよ少佐は」

「約束は守る主義なのよ、はいこれ」

素子は笑いながら手に持ったUSBメモリをヘリアンに渡した

「この中にワクチンが入ってるわ」

「分かった。これをダウンロードさせればこの問題は解決するんだな」

「間違いなくね」

「了解した、今回の件協力に感謝する」

「いいのよ。私はこの会社の社員なんだから、社員が会社に尽くすのは当然でしょ?」

「そうだな。あと社長が言ってたぞ」

「なんて?」

「『君といると飽きない』だそうだ」

 

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