自分語りもアレなんで、本編をどうぞ
程なくして、バトーが率いる第二部隊が補給ポイントへ合流を果たした。素子が数十分前に見た姿とは全然違うことに驚きの声を漏らすが彼女は大丈夫、の一言で済まし全員に電脳通信を行うため彼女の電脳を鍵付きでオープンにした。パスを渡された全員が彼女の電脳に入り作戦会議を行う
『本社からの緊急の依頼だ、先ほども言ったが我々はこれより鉄血の新型ハイエンドモデル“イントゥルーダー”の排除を行う。』
『排除を行うって、そのイントゥルーダーとかいう奴の居場所、分かってんのかよ』
『鉄血兵らの電脳に侵入し、誰から、どこから指示を受けていたのかを解析する』
『…前のように死ぬまでの記録を見るというわけか』
『そういうことだ、こいつがハイエンドモデルの部隊に配属されて臨時の拠点に移動する指示を受けたとこまでを確認する…』
『…SOP、一旦抜けて適当に近くにある残骸を拾ってきてくれ』
『分かりました~!そのまま持ってきた方がいいですか?それとも頭だけ?』
『そのまま持って来てくれ、電脳は鮮度が大事だ。バラすと電脳の保存状態がすぐ悪くなる。頼んだぞ』
『了解!じゃあ一旦失礼しますね!』
『…電脳の中を閲覧し確認した後、敵拠点の場所を各自の電脳内の地図にマッピングする。その後直ぐに拠点を攻める、おそらく敵はガトリングを主武装とする敵だ。
…機密部隊の護衛にハイエンドモデルの処分、仕事が多すぎると思わないか?どうだろう、ちょっと“遊んで”みないか?』
『…遊ぶ?少佐、何を言ってんだ?』
『私だってちょっとぐらいの遊び心があるってことさ』
『少佐!少佐!適当な残骸拾ってきましたよ!!』
『ありがとう、SOP。というわけだ、一度こいつの中に潜るから通信を切るぞ。それまで各自待機していてくれ』
その一言で解散し、全員が彼女の電脳から退出した後彼女は足元にあった残骸…Ripperの首根っこをつかいいつも通りナイフで端子カバーを抉り取った。そして首元からケーブルを引っ張り出し接続し、彼女の意識はRipperの中へと吸い込まれていく…
「…M4、どうしたのそんな遠く見つめて」
「イントゥルーダーに対してどう対処するのか、少佐の考えが気になって…」
「敵はガトリングを持っているんだから正面から行くのは愚の骨頂よね」
「となれば、背後から襲うって感じなのかな?私としては正面から相手にした方が気持ちがいいんだけどなぁ」
「ミンチになりたいならいいんじゃない?」
「えー人形のミンチなんて食えたもんじゃないよ」
SOPがそう言いながら笑った瞬間、電子音が聞こえた。それはM4が素子の部隊に所属する前に使っていた通信機から発生された音だった。全員に緊張が走った、これにアクセス出来るのは“彼女”しかいないからだ。
『…M16姉さん』
『久しぶりだな、M4。元気にしていたか』
『…馬鹿、連絡の一つぐらいよこしてくださいよ…!』
『すまない、長いこと連絡できる状況に居なかったんだ。そっちは今…』
『…作戦中です』
『そうか、そいつは悪いタイミングで連絡を入れちまったな』
『今は小休止中なので』
『ならよかった、SOPやAR15は…』
『私と一緒にいます、全員無事です。あとは姉さんだけです!いつに…いつになったら会えるんですか!』
『なーにもう直ぐ会えるさ、いや案外お前たちの近くにいるかもな。そんなに時間はかからないつもりだ。…すまない、どうやらお客さんが来たようだ。・・・M4、頑張れよ』
『…姉さん!?姉さん!』
通信はそこで途切れた、ノイズ音だけが周囲に響き渡る。M4は通信機のスイッチを切ることを忘れていた、突然の連絡に驚き、様々な感情が入り混じり電脳に負荷がかかった為だ。しかしこのように様々な感情が抱くのはM4だけである。故にAR小隊の他のメンバーは驚きはしたものの彼女のようにはならなかった。とは言え、電脳の負荷はものの5秒で解消されM4はゆっくりと通信機のボタンを押し、切った。同時に彼女の電脳内にダウンロードされていた地図が更新された
「…ここから4km離れた場所、か…M4?」
「姉さんから通信が来たこと、少佐に報告するわ」
「…M4」
「分かっている、勿論今の任務が最優先。ただ少佐はAR小隊の保護も兼ねているから」
「…あともう一息よ。この任務をこなしてM16も助けましょう」
「ええ」
素子の場所に向かいながら、彼女は素子の電脳に通信を行う
『…少佐』
『どうした、M4。マッピングはちゃんと出来ているはずだが』
『ええ、それは大丈夫です。一つご報告したいことが』
『…AR小隊関係か?』
『そうです。M16から連絡が来ました』
『…!分かった、近くにいるのか?』
『それは分かりません、でも姉さんは“近くにいるかも”とは言っていました。』
『了解した、この任務を終わらせた後捜索任務に当たる』
『ありがとうございます!』
通信を切り、全員が集合する。再び素子の電脳内に集合し、彼女は全員に一枚の衛星写真を見せた。
『これからイントゥルーダーが拠点にしている基地への攻撃を開始する』
『…基地、というよりかは村のようだな。見ろよこれ、井戸なんて始めて見たぜ』
『廃村を利用した基地のようだ。さて、ここにフラカンを飛ばして入手した通信データの送受信を可視化したものをマップに重ねる』
そう言うと基地の写真の建物全般に赤い点々が刻まれる。
『…2か所だけ赤く塗りつぶされている箇所があります、これは…通信が過密している地点ということですね』
『その通りだM4、だが一つの基地、しかも小規模な基地に二箇所…一か所は教会、もう一か所は小劇場こんな場所があるのはおかしいとは思わないか?』
『…つまり一つはフェイクだと、そう言いたいのか少佐』
『あぁ、だがフェイクなら好都合だ。敵の罠を利用してやろう』
『だがそれはフェイクなのはどっちか分かっていて初めて成り立つことだろ』
『…間違いなく、ここだ』
彼女は地図の一か所を示した。
『教会…?何故そう言い切れる』
『井戸、教会の近くにあるんだ』
『それが?』
『いくら廃村を利用しているとはいえ、基地として運用していくのだから村で利用していた道路とかはきちんと整備されている。なのに何故井戸はそのままにして残している?』
『鉄血の人形が水分を欲している…なんてことはないよな。オイルをガブガブのんで動いている訳でもあるまい』
『日本において井戸は勿論水を汲む場所であった、だがそれと同時に脱出口でもあった』
『…脱出口?』
『敵に襲われた際に城の地下に潜り、井戸から脱出する。いわゆる“抜け穴伝説”は数多く存在しているんだ。代表としては大阪城だな』
『歴史のお勉強もいいが、この井戸が脱出口だとしてどう関係が…?・・・っ!なるほど、そういうことか』
『そうだ、このフェイクの場所と井戸は距離が近すぎるんだ。脱出口としての井戸は本拠地から離れていて初めて意味を成す』
『…しかしご主人様、フェイクだと分かっているなら何故わざわざ偽の場所に踏み込む必要が…』
『フェイクまでこしらえる奴は自分の思い通りになった展開しか思いつかないんだ。思い通りの展開になった瞬間、その警戒心は0になりこちらを弄んでやろうという加虐心が芽生える
つまりだ、こちらが反撃することなんて微塵も考えていない。自分が負けるだなんて微塵も考えていないんだ』
『…つまり、殺すのには絶好のチャンスだと』
『そういうことだ、では作戦を説明しよう…』