Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も恵美押勝です、最近地球防衛軍にはまっちゃって休日の大半はプレイして過ごしています。まぁ6じゃなくて2なんですけどね
身の上話もアレなんで、本編をどうぞ!


Mission11.ウィークエンド~マスターキー~

修羅と化した道具屋に足音が響く。襲撃したグループの一人、要求を行った青年が店の中に入ってきたのだ。その横には中肉中背の男性らが銃口を客にチラつかせ青年を守っている必然的に客は下を向くしかなく、その光景はさながら大名行列のようであった

(あの口ぶりから見て、反人形団体…それも過激派の団体なのには間違いない)

彼女の力ならば鉄血兵でもないただの人間5人を戦うのに苦戦することはない

(だが、今回は人質が取られている状況だ。おまけに武器はアンブッシュに使える武器入り義肢だけ…それも一発だけだ)

恐らくこの状況ではパニックになって民間人には電脳通信は出来ないだろう、そう思い素子は電脳通信の回線を開いた。だが開いた途端にノイズが頭を埋め尽くす

(通信妨害だと…!?軍用の回線まで妨害するとはどんな強力な装置を使っているんだ…!?)

軍用の強力な電波は民間用の小型ジャミング装置などでは妨害できない、それを妨害できるということは大型の軍用ジャミング装置を持っていること他ならない

(誰かが、誰かがどこかに設置しているんだ…!)

素子は視覚端子を電波を可視化できるモードに移行させて敵にばれないよに辺り一面を見渡す

そんな中、青年はレジに赴き店員に声を掛けた

「おい兄ちゃん、ここの店長呼んでくれや」

「て、店長ですか」

「そうだ、この店潰しましょって相談に店長抜きじゃ何も出来んだろ。俺はヒーローでチャールズホイットマンじゃない。誰の血も流したくはないんだ」

「わ、分かりました。電話を使ってもよろしいでしょうか?」

「いや悪ぃな、今電話は使えねぇんだ。直接呼んできてもらおうか。勿論俺たちと一緒にな」

「分かりました…」

「それと兄ちゃん、こんな店なんだ解体用の道具ぐらい売ってんだろ。それを集めてあの男に渡せ」

店員はいそいそと商品棚へと向かいカゴに同じ道具を詰め込み中肉中背の男に渡す

「よし、お前らこいつは俺のおごりだ。ありがたく受け取れよ」

いや、もう直ぐ潰れる店に金を払う必要はねぇかと青年はゲラゲラと笑いながら店員と共に店を出た

「おい、ノイン待てよ!」

どうやらあの青年は“ノイン”と呼ばれるらしい、ひげ面の男がノインの後に続いて店を出た。残ったのは中肉中背の男3人だけだ

「よし、最初の要求は聞いていたな?お前らはこの道具を使って手術した場所を解体しろ。なに人間が自分の手足を切断するなら地獄だが機械人形のお前らなら問題ないだろ?痛覚なんてないんだからよ」

(ちょっと待てよ、解体するにはアレが必要なはず…少し質問してみるか)

「…少しいいかしら」

素子は民間人と認識されるために若干の演技をして手を挙げた

「どうした、女。怖気就いたか?」

「いえ、質問があるの。解体を自主性に任せるならいくらでも誤魔化すことは出来るわよね?この状況でそういうことする人はいないでしょうけど…何か手術箇所を見極める手段とかあるの?」

「…妙なところを気にする女だな。だがお前の疑問に答えるのはこいつらにプレッシャーを与えるいい機会になる。いいかお前ら!」

男はリュックからレンズが着いた箱を取り出した

「これはX線カメラだ。解体し終えた人間は俺のところに来い。これで丸裸にしてやる」

(思った通りこいつら義体に関しての知識がほとんどないぞ、義体の技術と人形の技術は共通するところもあるがまるで違う)

X線の場合、確かに内部を見ることは出来るが見えるものは生身の人間と変わらない。何故ならば義体はあくまでも人間の構造を元に作られており筋肉や神経の“代用品”を賄っているだけだからだ

(無論、強力なX線を使えば手術箇所は判別できる。代用品はあくまで代用品だからな。だが、あのサイズでは無理だ…)

素子は知識のない彼らは上手いこと利用できるのではないか、そう睨んだ

そう考えると、店に青年らが戻ってきた

「ようノイン、店長は連れてきたか?」

「いや、ダメだった。どうも店長は今日はいないようだ」

「何?それじゃあどうするんだ」

「店員によれば、店長の行き先は分かっているらしい。グレッグと一緒に店長を迎えに行ってもらってる」

「じゃあ少し時間はかかりそうだな」

「まぁな、この間に解体作業を進ませちまおう。おい、ツヴァイどうなっている?」

「今から始めさせるところだ。おい!さっさとしねぇか!?」

ツヴァイと呼ばれた男が客の一人に銃を向ける

「む、無理です」

「無理だとぉ?舐めてんのかテメー!」

逆上したツヴァイが引き金に手をかけそうになるがそれを素子が制止する

「待った!」

「なんだ女、…さっきの奴か。もう質問コーナーは終わったぜ」

「いや無理というのも仕方がない、何故ならば一般人に解体はどうしても不可能だからだ」

「どういうこと?」

ノインが素子に近づいてきた

「一般人でもメンテは出来る…破損や傷がついた場所の修復や接続ユニットのクリーニング、そういったレベルのだけだ。解体するには行政の許可が必要なんだ」

「行政の?」

「許可された後に行政指定の病院に行きようやく解体や武装系の義手や義足を接続する手術を受けることができる。許可なく出来たら世界中の義体化した人間が武器人間になったり犯罪を犯した場合別人のようになり済ます事が可能になり治安が一気に低下するからな。それを防ぐための手段だ」

「…じゃあ何故、ここには解体用のキットを売ってある」

「解体、手術時には電脳を介してその義体・義肢ごとに設定されたコードを入力する必要がある。このコードを入力すれば誰でも手術が可能になるがそのコードを知っているのは・・・」

「行政だけか」

「いや、自分の電脳内にコードの記憶はある。問題はそれは鍵付きのフォルダの様な物で封印されていてそのカギを開けるパスワードを知っているのが行政なんだ」

「つまり、パスワードさえ知ることが出来れば許可なしで手術が可能になる。だがそれは素人には難しすぎる…そうか、パスワードを解析してくれる人間、もしくはソフトがあるんだな」

「恐らくな。困難だが義手の交換ぐらいなら自分で出来る」

「…理屈は分かった。だがよ、それじゃあ俺達はこいつらを救えないってことか?」

「…正直に言えば?」

「何をだ?」

「機械人間から人間に戻したいんじゃなくて解体して入手したパーツを売りさばいて小遣い稼ぎにしたいって」

「て、てめぇ!」

ツヴァイが素子の額に銃を突きつける

「女、面白いことを言うじゃないか。まぁお前らに俺の崇高な思想は分からないだろうさ、いいぜ?そういうことにしておいても」

「いいのか?ノイン」

「もとより共感は求めていないからな」

「…何れにせよ貴方達は解体したパーツを手に入れたい。じゃあこうしない?」

「…聞かせてもらおうか」

「私がパスワードを開けるソフト、マスターキーを作ってあげる」

「マスターキー?お前に作ってもらわずとも買えば…」

「ダメよ、ソフトはブラックマーケットで高額、しかもめったに出回らないんだから。私が作ればタダで手に入るのよ。貴方達はいくらでも救済し放題」

「…悪くはないな」

「もし出来たら、私を解放して?」

素子は妖艶に微笑んでノインの胸を人差し指でなぞった

「…いいだろう、女。名前は?」

「…セレッサ」

「セレッサ、よし分かった。じゃあ今すぐ作ってもらうか。…どれだけ時間がかかる?」

「…早くて6時間ってところかしら」

「遅い、5時間だ」

「分かった、5時間半」

「いいだろう、おいドライ」

中肉中背の男のうちの一人、ドライが素子に近づく

「彼女にパソコンをあげてやれ、お前持っていただろう?」

「えぇ持っていますよ。」

「じゃあ、このビルのコンピューターと繋げたいから地下に行きましょうか」

「地下?何故だ」

「今時ビルはコンピューター制御でね、そういうのは大抵に地下にあるんだ」

「オーケー、ドライ。お送りしてやれ」

「分かりました」

素子らは店を出てエレベーターへと向った

「待ちな、セレッサ!」

ノインが素子らを引き留める

「お前、義体やプログラムに詳しそうだが…何者だ?」

「ただの工業大学の大学院を卒業した人間よ、こんな時代だしコンピューターに詳しくて損はしないと思って」

「…どこの大学院だ?」

「…デジタルフロリダ大学。もう卒業したのは随分と昔だし、もう存在しないわ。」

「そうか、頑張って作れよ」

デジタルフロリダという大学は元から存在しない、ただの噓だ。だが彼らには調べる手段はない。

(マスターキーがあれば、俺だって、俺だって…)

ノインはセレッサと言う女を信じるしかなかった。胡散臭い女だろうとそれほどまでにマスターキーは魅力的なのだから。出来なければドライに彼女を始末するように頼めばいい、そう考え彼は店の中に入りレジに置いてある椅子に座り込んだ

 

乗り込んだエレベーターは問題なく地下へと着いた。全体的に薄暗くあまり長居したくない場所である

「おい、ここは駐車場じゃねぇか。こんな所に本当にビルのコンピューターがあるのか?」

「ないわ」

「はぁ!?」

「よく考えてみなさいよ、車が出入りするこんな場所にコンピューターなんて精密機械設置できると思う?」

「テメェ騙しやがったな!」

ドライが銃を抜き素子に向かって発砲する、だが目の前に素子はいなかった

「どこだ、どこに行った!?」

きょろきょろ向き探すが誰もいない。いたずらに銃を発砲するも当然壁に当たるだけだ

「テメェ、どこへ隠れやが…」

再度探そうと体を振り向けた瞬間にゴウ、と音が聞こえて彼の意識はなくなった

「もっと後ろにも気を配らなきゃダメじゃない、それじゃ何処の軍も雇ってくれないわよ」

開いた関節が結合され、再び見慣れた腕の形になる彼女は義肢にひそめた隠し武器を使ったのだ。彼女が内蔵しているのはエアピストル、圧縮空気を利用した武器だ。威力が強ければ鉄血兵をバラバラにすることも可能だが勿論今回は気絶する程度に威力を弱めてある

(通信妨害装置はあのフロアには見られなかった。恐らくビルの近くに車を停めてその中にある…それを無力化して基地に連絡を取ってグリフィンとして奴らを捕まえる。タイムリミットには余裕がある…)

「さあ、反撃開始だ」

 

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