Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も恵美押勝です。ようやく20歳になりお酒を美味しくいただいています。これで今までイメージだけでしか書けなかった飲酒描写がリアリティが出る…はずです
長話もアレなんで、本編をどうぞ!


Mission13.奇襲~お茶会~

鉄血が人類に対する敵…これはこの世界での紛れもない事実である。だが鉄血は人類共通の敵だと言われれば答えは否である。鉄血は人類を排除するにはあまりにも消極的な活動しか行っていない。鉄血の技術力をもってすれば核ミサイルの量産や自爆兵器を使い無差別テロを行うといった手段が取れるはずだがそのような手口は使わない。単に不可能なのかそれとも別の思惑があるのか。しかしそれ故に人類対ロボットというSF映画さながらの構図は一PMC対ロボットという非常にコンパクトなサイズで収まっている。大多数の人間にとって鉄血はフィクションのようなものなのだ。ともすればこのような考えが出てくる

「何故、フィクションのような存在に人間の血が流されなくてはいけない。この戦場に人間がいる価値とは何か」

 

「そりゃあお前、機械の暴走で起きた戦場を機械にすべて任せるというのはナンセンス極まりねぇからだろ」

ヘリの中で頬杖をつきながらバトーは素子に言った。彼らは今、ヘリアン2週間前にヘリアンに言われていた招集訓練に向かっているのだ。だがおかしなことにヘリは基地のヘリではなく彼女がよこした言うヘリが迎えに来た。何処へ行くのかとパイロットに質問しても機密ということで回答してもらえない。おかしな話だ、何故招集訓練如きで機密の2文字が出てくるのか。そんなことを思いながらも彼女は一小隊分の人形を引き連れて今見知らぬ空を飛んでいる

「確かにナンセンスだな、だがうちの会社はどうもナンセンスな方向に進みたいらしい。M4は戦術人形としては初の指揮モジュールを搭載している人形だ。そして彼女はAR小隊という小隊のリーダーを勤めている。…今のうちに再就職先を考えた方がいいかもな」

皮肉気味に素子が小さく笑いながら言う

「まぁ確かに鉄血もまた指揮モジュールを搭載した人形を開発して着実に進化している。進化のスピードが人間と段違いなのだからそこで勝負が出来る機械にすべてを任せるのも一つの手ではあるな…」

そうは言うもののバトーは完全に認めたわけではない。機械にすべてをゆだねるというのはいくら時代が進んでもそう心地の良いものではないからだ。機械の体は受け入れてもこれを受け入れることが出来ないのはゴキブリを見た時に何をされたわけでもなく嫌悪感を抱くのと同じの様なもので深い理由はないのだ。それは一種の遺伝子の様なもので人間が生まれた時にインプットされた機械に支配されず生存するための本能なのだろう。

 

少し意見を言ってもよろしいかとG36が手を挙げる

「恐らくですが完全に戦場から人間が排除される、ということにはならないと思います。例えば飛行機にはオートパイロットがありますが完全無人にはなっておらずコクピットには人がいるではありませんか。そしてこのヘリにもパイロットが存在している。ご主人様が思っているようにご主人様の立場が機械に置き換わり機械の立案した作戦・命令を人形が従うという風にはならないかと」

「どうかな…いずれにせよ従える立場としての人間か、機械が暴走したときの安全装置としての人間か、それとも人間はいよいよお役御免になるのか。戦争が長引けばこの3択から選ばなきゃいけなくなるのは間違ないわね」

もっともこの疑問にはこういう回答も存在する。ある経済学者は自身の著書で「鉄血の脅威を忘れないためにも人が見届け、人が死ぬ必要がある」と述べた

万の人形のスクラップよりも一人の人間の死体の方が鉄血の脅威は全人類に伝わるという理由とのことだが、グリフィンにとってこれは社員が一種の生贄であると言っているようなものであり屈辱的であった。そのため著者に対し反論した社員もいたほどである。

 

__そんなことを喋っているうちにいよいよヘリが着陸した、素子達が降りるとパイロットは特に挨拶もせず飛び去ってしまった。

無愛想なパイロットを寄越したものだ、そう彼女は思いながら周囲を見渡す。辺り一面は草地であり訓練するような環境には思えない

「…どこなんだここは、呼んだヘリアンはおろか他の基地の人間もいないじゃないか」

「どうもおかしいですね、GPS機能が使えません。ここ一体に強烈なジャミングがかけられているみたいです」

G36が電脳と端末のGPS両方を試してもダメだった、人形のGPS機能も妨害するほどなのでここはグリフィンにとって機密性の高い場所なのだろう

「どうりで頭にノイズが走るわけだ、モスキート音を延々と聞かされてる気分でこれじゃ訓練する前にぶっ倒れそうだわ」

「もしかして秘密の暗号みたいなのがあって、ここの地下で訓練をやるんじゃない?」

スコーピオンはここに地下世界があることを確信して開けゴマなんて言ったりしている

「まさか、入社した時にそんな話は聞かされなかったぞ」

「いえご主人様、スコーピオンが言っていることあながち間違いではないかもしれません。地下の方から何か音が…これは…何かがせりあがってくる音…リフトかエレベーターのような…」

G36の推察は当たっていた。次の瞬間地面が盛り上がり箱のような物が出てきたかと思えば扉が開いた

「まさか、こんな所にエレベーターがあるとは…」

一同はエレベーターに乗り込むとエレベーターは勝手に閉まり降りていく。

「おい、少佐このエレベーター窓なんかついてるぜ。見る景色なんてないだろうに」

「いや、そうでもないみたいだ・・・バトー、見てみろ」

バトーが窓を見るとだだっ広い地下空間が広がっていた、だが土だらけで何もないというわけではない。一部には緑が生い茂っており、また一部には氷の世界が出来ている。

「成程、地下にコンテナを設置し内部に地上の環境を再現しているのか」

「えらく気合の入った施設だな、見ろよ廃墟と化した都市も再現されてるぜ。」

これだけの環境を再現できる施設があればIOPとしても性能実験が行える。それだけにここは知られたくない情報もあり故にこの可変地形場は極秘扱いにされているのだ。素子は定期的にIOPのカタログを見ているのだがこれらの製品がここから生まれていると思うと帰りにでも少し見学したいと思った。

エレベーターが止まった、最下層に止まったのだろうか。それにしては時間が短いそう思っていると機械音声が応接フロアとアナウンスした。ドアが開かれ降りると先ほどの岩の空間とは打って変わってリラックスした雰囲気で満たされており照明やインテリアにこだわりを感じる場所だった。

「お久しぶりです、素子指揮官」

声をかけた男に素子は眼を見開いた。彼の名はギソーニ…しかしそれは偽名で本名をトグサという。彼は素子と同じ9課出身の人間でありAR15の救出作戦において協力し互いが生きていることをその時はじめて知ったのだ。

「ト…ギソーニ指揮官もここに来ていたのか」

「えぇ、李指揮官もいますよ。」

「李指揮官って、じゃあAR15の救出作戦に関わった指揮官が全員集まってるのか」

「というよりどうもそれだけみたいなんです、ヘリアンさんがこの訓練に参加するのは3組だと言っていたので…」

「なんだってそんな少人数で…お前何か聞いてないのか?」

「バトーも久しぶりだな、詳しいことは何も聞いていないんだ。俺も合同訓練としか聞いてないものでね」

「李指揮官も同じか?」

「あぁ、俺も一小隊分の人形引き連れて来いとしか言われてないよ。しかしこんな少人数で合同訓練する意味があるのかね?ひょっとしたら合同訓練ってのはフェイクで別の目的があるんじゃないか?」

「その通りだ、李指揮官」

突然女性の声が聞えた、声がした方向を向くとそこには3人の指揮官をここに呼んだヘリアンその人がいた

「グリフィンの極秘拠点へようこそ、そしてお察しの通りここに君たちを連れてきたのは合同訓練などではない」

「…それじゃあヘリアン何なのよ。ティーパーティーをするってわけじゃないでしょ」

「…お茶を飲んでやるから似たようなものだな」

「本当に?じゃあお茶菓子もってくるべきだったかしら」

「なに、そんな砕けた話でもないんだ。…諸君らにはここで“傘”計画について我が社の最高責任者、クルーガーさんと共に話し合ってもらいたい」

 

 

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