Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も恵美押勝です。大学生活始まったものの思ってたより暇です、ですので小説の更新スピードが異常なことになりました、しっかし皆さん履修登録ってバリ面倒くさくないですか?システムが分った今でこそどうにかなりましたが分からない最初の時はもう死にかけましたよ。
長い自分語りもアレなんで、本編をどうぞ


Mission.ハイエンドモデル~一杯のコーヒー~

Mission02~ハイエンドモデル~

AD2062 5月8日

いつものように素子が指令室で書類作業をしていた所にカリーナがやってきた

「おっはようございます!少佐!」

「おはようカリン」

「ん~?見るからに不機嫌ですわね。ペンがミシミシ言ってますわよ、新しいのを買うときは是非うちで。しかし何かあったんです?昨日のミッションは成功したんですよね?」

「…結果的に言えば成功したわ。だけどねぇ…」

「だけど?」

「最後の最後でいきなり本社が介入してきたのよ。廃村を爆撃で地図から消し去るってね」

ほれ、と言って素子が渡した航空写真を見てみるとそこにはがれきの山しか見えなかった

「まぁ確かにチェックメイト寸前で邪魔されたら多少は苛立ちますけど…そこまで不機嫌になるものですの?」

「介入された事に苛立ってるのもあるんだが私が一番腹立たしいのはきな臭いことよ」

「と言うと?」

「あぁそれは…」

言いかけた直後ノック音が聞こえた

「誰?」

「アタシだよアタシ、スコーピオンだよ」

「入って」

「失礼しますよっと…」

「あれ、スコーピオンさんどうしたんです?」

「ちょいと報告がね」

「で?例の結果は?」

「えぇと、少佐の推測通りこの弾薬は5.56x45mm NATO弾だったよ」

そう言ってスコーピオンが弾薬が入ったポリ袋を机に置いた

「それでこの足跡だね、本社のデータベースと照らし合わせてみたんだけどどの人形とも一致しなかった」

「じゃあ人形じゃなく単身鉄血のテリトリーに侵入できる少佐みたいな人間だったんじゃ?」

「アタシもね、最初はそう思ったんだよ。ただね」

スコーピオンが足跡の写真を拡大した写真を見せた

「ここにね、赤色が見えるんだよ」

「血…ですかね?それならやはり人間ですよ。人形の血はオイルみたいな茶色ですもの」

「でもね、そうすると不自然でさぁ…この足跡は今からおよそ4日前についたものだと推測できるんだけど…」

「もし人間の血液ならこんな真っ赤になってるのは不自然ね。そんだけ経ったらどす黒くなってないと不自然だわ」

「そうなんだよ!少佐の言う通りでこれは人間の血ではないと思うんだ!でもそうするとこの血は何なのかって話になるんだよね…」

「我々の知らない人形が生産されている…と言う可能性があるな。赤い血を流す人形がな」

部屋の中が重い空気で満たされる

「つまりだ、本社、いや…iop社は新しい人形を作った。それも見られては困るような物をな。私達がその痕跡を見つけ察する前に隠滅したかったと」

「考えすぎじゃない?本社だって爆撃機用の爆弾を遊ばすわけにはいかないからさ、使いたかっただけなんじゃ」

「お前の電脳の演算処理、一度見てもらったほうがいいんじゃないか?明らかにおかしいだろ。基本的に本社が戦線の基地の作戦に介入することはない、任務の概要だけ説明して後は放任なんだからな」

「あ、そっか…そうするとやっぱりおかしいなぁ」

「あの~少佐、難しいこと考えるのはその辺でよろしいのでは?おかしな点があろうと少佐が不利益を覆ったわけじゃないんですし…所詮我々は駒ですから…」

「若いのに淡白ねぇ…私はね、そういうのが嫌いなのよ。これじゃ私が公安で働いてた頃と変わりないじゃない….思い返せば30年前」

素子が長くなりそうな愚痴を話そうとした時、卓上にある電話が鳴った

「…はいこちらS09地区戦線基地」

「少佐か」

「ヘリアン?何の用だ?」

「相変わらず不機嫌だな、まぁ無理もない。昨日の任務がアレだったからな」

「ヘリアン、お前なんか隠し事してないか?昨日の爆撃、お前は分からないと言ったが無理があるだろう。お前の地位はそう低くはないはずだ、完全に分からないと言うことはないだろう?」

「…友人として一つ忠告しておこう、君は昔こそ少佐だが今はグリフィン&クルーガーの平社員だ。深く踏み込もうとするな、消されるぞ。」

「…やはり隠してることがあるんだな」

「解釈は君に任せる」

「…それじゃ、今は深く踏み込まないようにするわ。今はね」

「それでいい、君とはいい友人関係でいたいからな。では本題に入ろうか」

「….」

「昨日、別の基地でとある人形の救出作戦が行われてな。救出された人形の名前はPPSh-41というんだが…」

「その人形が何か?」

「あぁ奴は2週間近くの間鉄血によって捕縛されていたんだ、だがその捕縛された相手が問題でな…少佐なら知っているだろうが鉄血にはハイエンドモデルというのがいる」

ハイエンドモデルとは名前の通り普通の製品とは別格な性能を持つ製品のことでありハイエンドモデル一体を破壊するためにはグレード3(一般的な性能を持つ人形のこと)が最低でも5体必要とされいる

「奴はそのハイエンドモデル…型式番号『SP65』通商“スケアクロウ”に捕縛されていたんだ」

「それで、私にその“スケアクロウ”を破壊しろと?」

「話が早くて助かる、作戦の日時は今日から2日後の5月10日だ、幸運を祈る」

そう短く告げると電話が切れた。受話器を置きカリーナ達を見る

「少佐、私達めちゃくちゃ強い奴と戦うの?」

「そうね。ハイエンドモデルと戦うなんての基地に着任してから初めてのことよ」

「開始日までは2日もあるし…今から準備しとかないと!」

「少佐、戦力強化の際は是非とも私に一報を…少佐?」

「ん?」

「ボーっとしてまた何か考え事ですか?」

「少しね…ごめん、二人ともちょっとカフェに行ってくるわ」

「え!?こんな時にですか!?」

「こんな時だからこそよ、美味しいコーヒーでも飲まないと電脳がうまく働いてくれないのよ」

 

カフェ

おおよそ無骨な基地には似合わないお洒落な雰囲気を醸し出すそこは素子の功績がある程度認められ本社が建ててくれた場所だ。店員などはいないが店主としてスプリングフィールドが在中している。彼女はそう言った事が得意な人形なのだ(本来なら彼女はそういう事の為に作られた人形だ)

「邪魔するわよ」

「いらっしゃいませ…あら少佐。ここに来るのはずいぶん久しぶりですね」

「2日後に難易度が高い作戦が入ってね、ちょっと考え事をしたいのよ。春さんが淹れたコーヒーは電脳が活性化するからな」

「あら、嬉しいことを仰ってくれるのですね。それじゃ少佐のためにもいつもより腕をかけてコーヒーを淹れましょう」

「頼んだわ」

そう言うとスプリングフィールドはコーヒーを淹れる作業に入った、素子はそれを見ながら考え事をする

(本社が人形を救出するのは機密漏洩を防ぐためと理解できるけどハイエンドモデルがただのグレード3人形を殺さずに捕縛する理由はなんだ?わざわざ捕縛するということは何らかの情報を聞き出したかったから…?でも何の情報を?…ただの作戦内容を聞くために2週間も捕縛するとは考えにくい、聞き出すのは何も作戦のことだけじゃない…例えば人物についての情報とか…もしかしてあの人形は赤い血を流す人形と接触したのでは?あの人形は偶然にも新型人形と接触し別れた。敵としても新型兵器の情報は知っておきたいだろうから接触した彼女にそいつのことを根掘り葉掘り聞きたかった…恐らくはそういう事なんじゃ…)

「少佐、コーヒー入りましたよ」

「…」

「少佐?」

「…あっすまない。どうも考えが上手くまとまらなくてね、ちょっと休憩しようかしら。春さんのコーヒー、冷めないうちに飲みたいしね」

「そんなに難しい任務なんですか?」

「ハイエンドモデルって知ってる?」

「ええ、あの鉄血兵で強力な力を持つ人形…でしたよね」

「それとな、我々は対峙しなくちゃいけなくなったのよ」

「本当ですか?」

「いつかは来るとは思ってたけどいざ来ると悩ましいわね…今の戦力じゃトントンって言ったところだし戦力増強しないとね」

「装備の要請やダミー人形の製作…あの子が喜びそうですね」

「まぁ…今回も誰も死なせずに頑張ってみるわよ。だから安心して私に身を任せて頂戴。

コーヒーご馳走様、お金はテーブルに置いとくわ」

そう言って素子はドアを開けて立ち去ろうとする。だが出る直前に僅かにスプリングフィールドの方を向いて立ち止まった

「春さん、貴方もし“赤い血を流す人形”がいたらどう思う?」

「赤い血ですか….もしそういうのがいたら私たちとは別格な人形なのでしょうね」

「私はな、まともにそいつに会える自信がないわ」

「どうしてですか?」

「会ったら答えのない課題を延々と考えさせれる羽目になるからよ」

「課題…?」

「私の血は赤けどこの体に生身の要素は頭以外ないわ。いや、その頭も生身かどうかの保証もないわ。赤い血を流す人形も生身の要素はないけど赤い血が流れている。そして人形というけれどその頭が生身ではない保証もどこにもないわ…」

「…」

「となると、一つの疑問が浮かぶ。『機械と人間の境目はどこか』ということよ。これはね答えが出ないのよ、いや明確な答えなんて初めからないの。でも考えなくてはいけないのよ、その考えを放棄した瞬間、私達はツケを払わなくちゃいけなくなるのよ」

「ツケ…ですか、今こうして鉄血兵と戦っているのはツケではないのですか?」

「それもまた一種ね…でも一番のツケは『人類種』という種族の一種の崩壊よ、誰も死にはしない形式上の崩壊ね…」

「….」

「ごめんね、春さんにこんな話しちゃって。…じゃ、私指令室に戻るから」

今度こそ素子が出ていきカフェは再び静寂になる。一人残されたスプリングフィールドは何度も何度も素子が言った『課題』をCPU限界まで考えるがやはり答えは出なかった

「少佐、答えのない問題の答えを出そうとする、その矛盾を抱えたまま生きていく程、人間は器用ではないと思いますよ…」

 

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