Ghost in the Doll   作:恵美押勝

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ど~も皆さんお久しぶりです、恵美押勝です。皆さん大変お待たせ致しました
プライベートが忙しく、また今後の話の展開をどうするのかを考えていたら気づけば3か月も経ってしまいました。本当にお待たせして申し訳ない


Mission16.Only up!~愉快な遠足の始まり~

何処かも分からぬ場所で白髪の人形がほほ笑んでいた、彼女の目の前にはモニターがありそこには同じく白髪の人形、デストロイヤーが映っていた

「本気でグリフィンと戦おうとしてまぁ可愛くて哀れな子ね。いくら貴方がハイエンドモデルといえど所詮は一体、戦いにおいては数が全てであり総数量でグリフィンがやっているこの戦い、貴方が負けるに決まっているでしょうに。まぁ私としてはこの涼しい部屋でボロ雑巾みたいになったあの子の反応が見れることだけが楽しみなんだけどさ」

『相変わらず、下品な趣味をお持ちですねドリーマー』

『げぇぇ、貴方いつ通信回線開いたの?』

『コールしてもなかなか出ないものですから侵入させていただきました』

『イントゥルーダーかよ・・・』

『貴方、この作戦の本来の意味を分かっているのでしょうね?AR小隊を・・・』

『“グリフィンからAR小隊を引きはがし小隊の回収”でしょ?それも貴方はM4A1とかいう人形にお熱だものね』

『私ではなくご主人様です』

『あっそう、ねぇもし回収したらAR15は私の方に回して頂戴ね。私、あの子とお茶会がしたいの。その時はお給仕よろしくね、メイドさん?』

『私のご主人様はあの方だけです、それ以外に跪くような足は生憎持ち合わせていません』

『・・・冗談よ、貴方のご主人様はお茶を嗜むような方じゃないものね。』

『回りくどい作戦を立てた挙句、ジュピターという下品な武器を使うのですから絶対に勝つように』

『下品下品うるさいわね~、私のモデルを作ったのは貴方のご主人様なのだからご主人様のセンスに文句を・・・』

その時、ドリーマーの電脳に一瞬激痛が走った

『・・・お前今私の脳を焼こうとしたな?』

『次は焼き切る』

そういうと回線が切られた

「とんだ暴力メイドだよ、クソエージェントが!」

乱暴にモニターの電源を落とすと、彼女は休眠状態に入った。

 

素子が基地に帰ったその日に一通のメールがグリフィンから送られてきた。内容はハイエンドモデル“デストロイヤー”の無力化、およびデータ回収するための作戦内容、そして日時であった。

「明日の昼から作戦を開始、今回の作戦は電脳ではなく無線機を用いて交信を行う。か…」

一読した素子は本作戦に出撃する人形を選定し彼女らを呼び出した。今回の編成は以下の通りだ

・Zas

・M4A1

・SOPMOD

・M16A1

・WA2000

・モシンナガン

素子が彼女らを出迎えるとまず無線機をそれぞれに手渡した

「少佐、どうしてこんな古い無線機なんて…私たちは電脳通信が出来るのよ?」

「WA2000、我々がイントゥルーダーを仲間にしたのは知っているな?」

「ええ、鉄血が仲間なんていけ好かないけど…そいつが何か?」

「奴が言うには今回の標的であるデストロイヤーには電脳通信を傍受するシステムが搭載されているらしい」

「…でも電脳通信の傍受は並大抵のことではないわ。ましてや軍用に改造を施されている私たちの電脳ならとても」

「それが可能なのがハイエンドモデル、というわけだ。それにこれはヘリアンからの命令だから我々に拒む権利はない。理解したか?」

「…了解」

実際、デストロイヤーにそのような機能があるのかは分からないのだが現在、ウイルスに関しては、かん口令が敷かれているのでこう嘘をつくしかないという現状に置かれている。早くウイルスの解析が終わって欲しい、そう思いながら作戦の説明をする。

「…以上が作戦の説明になる。何か質問したいことは?では、明日11:30分にヘリポートに集合。メンタルのバックアップを取り、今日はしっかり休め」

作戦の前日は騒がしいと想像するだろうが実際の所は恐ろしいほど静かなものである。何故ならば前日は休むことが仕事であり作戦に従事する人形は早く自室に入り休眠状態になる。人形には疲れという概念はなく、24時間動けるのだが作戦の前に休ませるのには理由がある。それは前日に少しでも活躍しようとインターネットで情報を漁りその情報を実戦で試そうとする人形が相次いだからだ。戦場において浅知恵を披露するほど命知らずな行動はない。そういうこともありこの日の基地はいつも以上に静かであった。

そしてヘリポート集合の時間…全員が登場したヘリは無事に曇天の中、基地を飛び立ち着陸地点に向けて移動を始めた。ふとM16は横を見ると窓から見える景色を虚ろげな目で見ている妹が目に入った。無線機を起動し、M4の周波数に合わせる。彼女の無線機から数回コールがなるとビクっと震えて彼女は無線機を触った

『どうしましたか姉さん』

『いやなに、妹がつまらなそうに景色を見ているから話し相手になろうと思ってな。…カウンセラーの続きでもやるか』

『姉さん…』

『まだAR15が気になるのか?』

『それもありますが…どうして私はAR小隊の隊長に任命されたのでしょうか』

『生真面目なお前のことだ、いつかはぶち当たりになりそうだと思っていたが・・・なんでそう思ったんだ?』

『私は姉さんみたいに部隊を引っ張れるような“箔”と呼ばれるものがありませんし、AR15のように冷静になって物事を判断出来るわけじゃない。SOPのように特別火力が高い人形でもない。私には何も取柄がないのに隊長になった、そのことが結成以来ずっとメンタルの端に突き刺さっていたんです。それがAR15が離れたことでより深く突き刺さったような感覚を覚えて・・・自分がもっと隊長らしくしっかりしていれば彼女が感染していたことに気が付けのかもしれないのに・・・そんなことを思っている弱気な自分にも憤りを感じて・・・』

『たらればの話はよそうぜ、M4。AR15が感染したのは誰のせいでもない、しいて言うならば鉄血だが…そして感染に気付けなかったのもお前のせいじゃない。ひょっとしてお前、部隊で起きた出来事のすべての責任は隊長が負うと考えていないか?なら思い上がりも甚だしいぜ』

『姉さん』

『部隊で起きた事はその起こした奴が責任を負う。そう思ったから奴は何も言わずに研究施設に移されることを受け入れたんだ。』

『だったら隊長のいる目的とは何なんですか!?』

『何だお前、そんな簡単なことも分からなくなったのか。みんなを守ることに決まってるだろ?』

『守る…』

『そうだ、隊長は部隊が壊滅しないように行動をする。部隊の“命”を預かる責任を持つ。つまり“生きて帰るように導く”それが隊長の役割さ。それを言ったのはM4、お前なんだぞ』

人形に求められているのは成功という結果だけで、生きて帰ってくることは求められていない。人形に命はなく、いくらでも替えが効く。人間であれば教育をせねば戦場には立てないが、人形にはその手間がほぼ不要だからだれも「生きて帰ってこい」などとは言わない。しかし人形はそのことに違和感を覚えることはないしバックアップの効かないM16さえもそうだった。

しかし小隊が分散し、M4と合流したときに泣かれたことや前の任務で「生きて帰る」と言われた時、常識が砕け「命」という概念をつかみかけたと彼女は思った。他の人形とは根本的なところが違う。それは製造歴の長い彼女だからこそ気付けた点であると言えよう

「お前は誰よりも優しいんだ。だからこそお前は隊長になったと私は思っている。」

「しかし優しさというのは何の戦術的優位性なんて…」

「本当にそうかな?確かに私は仲間がいなくなってここまでメンタルに負荷を負った人形を見たことはないが…」

「やっぱり優位性ではなく、欠点ではないですか」

「見方を変えれば欠点は利点になるってことさ。今のままじゃ欠点のままだが…仲間思いの優しい隊長さんはAR15がこのままくたばると思うのか?助けたいとは思わないのか?」

「まさか、彼女が死ぬなんて…そんなの考えたくもありません」

「考えるんだ。お前の電脳はなんのためにある?」

「彼女が死ぬわけありません…!いいえ死なせません!姉さん、私はAR15を助けたいです!」

「よし、であればどうすればいい隊長殿」

「ウイルスの解析…は私たちには出来ないからとにかく解析をしているIOPを守るために鉄血と戦う…そしてハイエンドモデルの情報を入手する…そのために、銃を握り眼前の敵を討つ。それが今の私たちに出来る最善な手段であると思います」

「なるほど、隊長殿はそうお考えか。ならば私はお前の部下としてこの銃を握り、共に戦おう。」

「姉さん、私はAR15だけでなく姉さんやSOPも…少佐もこの基地のみんなを守りたいし仲間を失いたくないんです!一度手から離れる怖さをもう知りたくないんです…!」

小さく叫んだ声は無線機越しで震えて聞こえた。彼女はそう言うと再び窓の方を向き姉は優しい妹のために自身がいつも背負っている長方形の物体のショルダーストラップに結ばれているバンダナをそっと渡した。黙って受け取った彼女はそっと顔に近づけて

「姉さん、これは思い上がりですか?」

と小さくつぶやいた

「それが“優しさ”の利点だ。その感情はお前だけに持てるものでそれはお前に戦う理由を、闘志を、リーダーとしての箔を与えてくれる。結局のところ何かを率いるというのは恐怖か優しさのどちらかを持っている存在しか出来ないことなんだ。私はその両方を持ち合わせていなかった…」

「そんな姉さんは…」

「よせよ、お前の想像している姉が適用されるのはこの部隊だけさ。

…私はお前のように視野が広くないんだ。」

M4はとっさに否定しようとしたがいつの間にかヘリは着陸していた。こうなれば私語を慎み降りる準備をしなくてはならない。軽く銃のチェックを済ませ通信機をオフにしてからM16が降りた、それに続いてM4も降りようとすると肩を叩かれた。

「…少佐」

「M4、お前が優しいのはM16よりも付き合いが短い私でもよく分かる。だが、悲しいかな。何かを奪うよりも守る方が遥かに難しいんだ…だからこそM4、お前は強くなれ。優しさと強さが両立できるような強い存在になるんだ。お前なら出来ると信じている」

そう言うと素子はM4の背中を軽く押してやった。

 

 

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