それでは本編をどうぞ
本社ビルから基地司令室に戻り素子は戦闘服に着替えて早速作戦内容の説明をするため人形達を呼び出した。
3分もしないうちに全員が集合し素子が口を開く。今回の作戦にあたって招集した人形は
MDR・ZasM21・スコーピオン・G36・9A91…以下5名だ
「全員集まったな、ではこれから作戦会議をする…といっても今回の作戦は単純だ。頼まれた地点にある場所へ行きそこにある資料を回収する。たったこれだけだ」
「それでその地点は何処?」
「S09地区のHVVQJって場所」
「でもご主人様、そこは完全に廃墟になってて資料が保管されるような場所は…」
「でもペルシカは確かにそこにあるって言ったからな。なかったら彼女の記憶違いのせいにすればいい」
「少佐ぁ、なんだかせこい考えだねぇ。」
「廃墟かぁ、亡霊かなんか出るのかな?」
「亡霊は知らないが鉄血兵なら出てくるぞMDR」
「あ、やっぱり?」
「じゃなきゃお前らを呼ぶ必要がないだろ、単なる資料集めだけなら私一人でも出来るからな」
「それでご主人様、敵の戦力は如何ほど…?」
「鉄血兵がいるとはいえ監視程度だからな、この間みたいな大掛かりな戦いにはならないだろう….と言いたいところだが依頼主はお前らの生みの親が残したデータだ、向こうがそのことを知っていて厳重に兵を置いている可能性がある。前回の戦闘よりはマシかもしれないがあっという間に出来る、と言うふうにはいかないだろうな」
「それはそうよね…今まで楽な任務だなんて一つもなかったもの」
「それはしょうがないさZas、ヘリアンっていう女と知り合いになった指揮官の下に就いてしまったのが運の付きだな」
「私は少佐の元に就けてよかったと思いますよ」
「ありがとうね9A91、そんじゃそろそろいきますか」
腰を上げて自身の愛銃であろセブロC-25を持ち、セブロm5をホルスターに納め。さらにジュラルミンケースを持って人形達と共にヘリポートへと向かった。
ヘリに乗り込み地上から離れる、ペルシカが指定した場所はここからそこまでは離れていないが徒歩で行くとなると苦になる微妙な距離であった。そのため離陸してから数分したうちに目的地が見えてきた、建物が所々崩れていて瓦礫になってる箇所はあるが大部分は原型をただめており人が今にも住めそうな場所だ
「うわぁ、文字通りの廃墟だね。写真とっとこっと」
「ねぇねぇ少佐、ここはどうして朽ちたのさ?」
「元々は16labを筆頭とした人形や衛星といった兵器のデータを集めたりそれをもとに製造をするちょっとした工場がある場所だったの。だけど鉄血の反乱を受けて安全な場所へ退避するためにここを放棄、襲撃されてデータが盗まれたら大損害だからな。そして1年ほど前に鉄血兵らが攻め込んだがすでにもぬけの殻。以来こうなってるわけだ」
「そろそろ着陸しますよ、少佐」
「そ、じゃあお先に失礼」
9A91にそう言われて素子はヘリから飛び降りた、2~3mの高さから飛び降りても問題ないのは彼女みたいな全身義体化した人間だけだ。
「はぇ~おっかね、私達もできないことはないけど足がお釈迦になる可能性が高いよ」
MDRがベレー帽を直しながら言う
「私達は民生用の人形ですからね、戦闘用に特化されたご主人様だから出来る技ですわ」
その頃、素子は銃を構え周囲を確認する、敵影は見えずほっと胸をなでおろしヘリが着陸するのを眺める。その内人形達が紐を使いスルリスルリと降りてきて整列した
「喜べ、どうやら今回の任務は早いこと終わりそうだぞ」
「おぉ、てことは全然敵がいないんだね」
「となれば、このまま目的地まで直診するわけですねご主人様」
「そゆこと、どうやらこいつの出番はなさそうだな」
そう言って素子はジュラルミンケースの方を見た、この中にはスケアクロウが使用した武器が入っている。電脳とリンクさせることでスケアクロウの様なオールレンジ攻撃を行うことができるのだ、ただしこの武器を使うには相応の電脳負荷がかかるので単なる電脳化した人間では厳しく素子クラスまで電脳化しないと使用できないのだ
「そんなの使って大丈夫なのか?」
「心配ない、コイツ自体にウイルスとか攻勢防壁とかは仕掛てなかったからな。
…さて、前進するか」
一応周囲は警戒しつつ銃を構え前進する、しばらく進んでいると何やら光るものが大量に見えた
「…これは薬莢?鉄血兵のか?この近辺で戦闘があったということなのか…?」
「少佐、この薬莢つい最近のじゃない?ここ砂が多いのに全然汚れない」
「っ…!各員警戒しろ!近くに奴らがいるかもしれん」
素子は付近にあった廃ビルを指差しそこに人形達を入らせた
「薬莢の種類から見てVspid辺りかな」
「薬莢の数からみて小隊クラスでしょうか、だとすれば一体何と戦闘を…?」
「この辺に人形が踏み込むのは私達が初めてなはず、なら本当に誰と…?」
「少佐、どうする?アタシが偵察に行こうか?」
「いや、その必要はない」
ジュラルミンケースを開け、素子は中にあった衛星を取り出し同期を開始した。瞬間、彼女の視界が床に置いてある衛星に吸い込まれて自分を見上げる様な視点になる
(意識を集中させて…浮かべることを考えて…)
そして衛星が浮かび素子と同じ高さになる、そして次に頭の中で動くイメージを浮かばせ衛星を移動させる、その内視点がビルの外に移り視点の高さをどんどん上げる。
(この一帯に鉄血兵は…ん!?あれは!?)
素子の視覚野には確かに鉄血兵の小隊がいた、廃ビルから400m進んだ先を左に曲がった場所に存在していた。だが素子が驚愕したのは存在を認知したからではない、その鉄血兵達全員の一部分に赤色の“何か”がついてたからだこの“何か”を理解するのにそう時間はかからなかった。
素子は衛星を待機状態に移行させて視覚野を彼女自身に戻した
「少佐、どうだった!?」
「あぁ、確かに存在してたVspid5体、Ripper5体がな…だが」
「だが?」
「どうも返り血を浴びてるようなんだ」
「ということは…この辺に人間がいるということですか?」
「こんな場所に人間が?ご主人様ここは…?」
「あぁ、立ち入り禁止だ。」
「じゃあ仮にここで死んだとしても自業自得じゃないの?」
「スコーピオンの言う通りかもしれないけどそういうわけにもいかないでしょ。私達はあくまでも人間の為に戦うことをモットーにしてる会社なんだから」
「そういうことだ、作戦を一旦回収任務から救出任務に変更する」
「で?肝心の人間の居場所は?」
「あの薬莢がが落ちてた周辺にいるかもしれない、近くにある建物は…廃ビル1棟と平屋型の小工場が一棟…ってところだな。私とZasは小工場をあたるから後の奴らはビルを頼む」
「「「「「了解」」」」」
人形達がビルから退出するなか素子は自身の衛星の高度を下げ、ビルの角にくっつくような形で待機させ監視カメラとして働かせた。
他の人形達が工場に入るのを見届け素子らもビルへと入った。
「…!?」
入った瞬間何とも言えない鉄の匂いが鼻腔センサーをくすぐった。
「Zas、これは…」
「えぇ、鉄分、ヘモグロビンを構成する匂い…“血液”ね」
「ちっ、やはり遅かったか!」
素子らは急いで上へと駆け上る、2階、3階、4階…階が上がるにつれて血の匂いはどんどん濃くなってきて嫌悪感を覚えるほどだった。そして15階、いよいよ匂いは最高潮になった。
「ここね、この匂いの発生源は」
「IOP社技術開発部らしいわよ、このドアの向こうは」
「よし、行くぞ!」
素子がドアを蹴破りローリングながら突入する、起き上がった直後に左右を確認するが何も見えない。Zasも後に続き部屋を舐めまわすように銃口を向けるが何も見えない
…いや、正確に言えば見えないのは「敵影」だ
「少佐、これ」
「えぇ、見えるわ。2人の“死体”がね」
素子の下にいたのは血塗れになっていた男性二人組だった、防弾チョッキはズタボロになっておりヘルメットも穴だらけでそこから血が滴っている。瞬時で死体と分かる状態だ
首に触れるとまだ温かった。死後1時間と立っていないだろう
「一応備えはしてたみたいだけど鉄血兵に打ち殺されたって感じね」
「それは分かるけど何でこんなところに人間がいるのよ」
「そいつはちょっと探れば分かるだろうさ」
そう言いながら素子は死体の制服を漁り一つ物体を手にし、Zasに見せた
「それはトランシーバー?」
「あぁ、もう壊れて使い物にならないけどな」
「つまりこれで連絡を取り合ってたわけ?」
「おまけにこんなものも出て来た」
素子はUSBメモリを取出しひらひらさせた
「なるほど、産業スパイってわけ」
「恐らくね、戦術人形はIOPの独占状態だからな、少しでも情報を盗んで有利にしたいからこういうのを使うんだろうさ」
「その結果がこれじゃあねぇ…」
『ビルからは死体が出たぞ、そっちはどうだ?』
『こっちも同じく死体が出たよ~ケースにUSBメモリ、完全に産業スパイだね』
『よし、救出作戦はお終い。当初の任務に戻るぞ』
素子は通信を切りビルを降りる
(しかし産業スパイがいるとはな…ひょっとして奴らも私達と同じブツを集めてる、ってことはないだろうな…まさか鉄血もそれを知っていて小隊を…?こんな人がいないところの監視なんざ1体か2体いれば十分なはずだ。そうであるならば小隊を送り込んだのにも頷ける。やれやれここは3つ巴ってわけか、急がないと…!)