おつえら、ばいば~い!」
配信を終え、立ち上がる。声は震えていなかっただろうか。涙は、流れていなかっただろうか。いつも通りに、終われただろうか。
不安は尽きない。いつも通りに配信して、いつも通りに終わる。ただ、ボイスを買うように促しただけ。なんだ。いつも通りの私じゃないか。
終わった配信画面を見る。チャット欄では『ありがとう』『おつえら』『行かないで』など、様々な声で溢れていた。そして、スパチャも大量に来ていた。
「みんな、お金大丈夫なんか? いや私は嬉しいけどさ」
そう、一人呟いた。普段の配信のように。多分、癖で。
思えば、長いようで短い2年間だった。初配信でのぶりっ子から始まり、だんだんボロが出始めて、ネタキャラとして定着してしまっていた。
『ギバラ』と『江良ちゃん』で分けられているとか、「大学4年生で手芸サークルに所属している。料理、掃除なんでもこなす家庭的な女性。いつか素敵な王子様が自分を迎えに来てくれる」と夢を見ている。とか失礼なことも言われたけど、ファンサとか歌うと江良ちゃんだ! とか、めちゃくちゃ長文で気持ちを伝えてくれたりする。本当に、困ったリスナーたちだよ。
「マジで充実してたなぁ……。とこちゃんもTwitterで反応くれてたし」
楽しかった。同期がいきなり居なくなって困りはしたものの、色んな人とコラボ出来て、色んな感性の人と触れ合って、リスナー達とじゃれあった。
今までの配信、イベント、思い出が、走馬灯のように脳裏によぎる。全てが思い出。
「本当に、楽しかった……!」
声が震える。頬に涙が伝わる。ああダメだ。せっかく配信中は我慢していたのに、涙が溢れてくる。とめどなく溢れる涙。いくら手で拭っても止まらない。止められない。今まで、こんなに泣いたことなんてない。そのくらい、私の心の中はにじさんじでできていた。
もっと、配信をしたかった。でももう、私のシンデレラタイムはおしまい。
ガラスの靴を履いて、美しいドレスを着て、カボチャの馬車に乗って始まった
私の時間はこれで終了。
あとは誰にも縛られずに、ゆっくりとゲームでもしようかな! 声は震えて、視界はぼやけてる。それでも、私は笑おう。私らしい笑みを浮かべて、こう言おう。
それじゃあみんな、おつえら!
おつえら。