初 出:【異世界迷宮で奴隷ハーレムを】蘇我捨恥37【内密】(https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1559948672/)
【奴隷商館にやってきたセリー】
私の名はセリー。
ドワーフ族で今年16歳になる。
訳あって奴隷としてベイルの町の商館に売られて一週間。
(私がこの商館に売られた経緯は、いずれまた話す機会があるだろう。)
アランというこの奴隷商館の主人は人間族の中年男性だが、かなりのやり手に見えた。初めて私がここにやってきたとき、彼は私にこう言った。
「お前は器量もいいし賢い。当商館で一番の器量よしは、ついこの前売れてしまったが、お前も決して負けてはいない。物覚えも良いし、ブラヒム語をしっかりマスターすれば、いいところに買ってもらえるだろう」
「でも私は、鍛冶師にも巫女にもなれませんでしたし……」
「気にすることはない。鍛冶師の奴隷はかえって苦労が多いことは知っているだろう。お前は性格的に荒事には向いていないかもしれないが、そんなことは言っていられない。戦闘奴隷として頑張るがいい。あと、奴隷としては主人の求めに応じるのも重要なことだ。分かるな?」
そう、鍛冶師にも巫女にもなれなかった自分は、探索者としてやっていくほかない。奴隷の身分ではあるが、解放される可能性もなくはない。そのためなら魔物との戦闘だってこなしてみせる。ただもう一つの方は……私みたいな小娘に魅力を感じる男性など、果たしているのだろうか。
それからさらに一週間がたつ。自分で言うのもなんだが、私は物覚えが良い方で、ブラヒム語も順調に習得できている。ご主人様に対する礼儀作法もバッチリだ。行動の自由はかなり制限されているが(奴隷なのだから当たり前だ)、この商館の待遇は決して悪くはなく、思ったよりも快適である。とは言っても大切な商品なのだから当然と言えば当然のことだが。
私がここに来てからも、売れていく女性が何人かいたのだが、やはり魅力的な者から売れていくようだ。魅力的な……やはり胸が大きい方が……みんな滅びてしまえばいいのに。
いいもん……自分は力もあるし、戦闘で頑張るんだから!……いけない口調が。キャラ作りは重要だ。私はツンデレでも甘えんぼでもなくクールキャラで売っていくつもりなのだから。……私を買ってくれるご主人様が早く現れないものだろうか。できれば優しい人がいいな……。
【セリーが初めて内密さんに会った時の話】
私の名はセリー。
ドワーフで、生まれつき細いこの耳のせいで老けて見えるけれども、まだ16歳のピチピチだ。
奴隷として売られてきたこの商館で、私を買ってくれるご主人様を、ひたすら待ち続ける毎日。
今日も奴隷を購入しに、客が来ているみたいだ。
戦闘奴隷(特に前衛の出来る者)を探しているらしく、今二階で男性の奴隷を見ているようだ。戦闘奴隷ということであれば、私を買ってくれないだろうかと思う。
でもこんなチンチクリンではだめかもしれない。「男はみんなロリコンだから大丈夫よ」と商館のおばさんは言ってくれたが(それもどうかと思うけど)、やっぱり胸の大きな女性の方が……みんな滅びればいいのに。
(注:ロリコンなのは半分です。残りの半分はおっぱい星人)
私がそんなネガティブな気持ちに沈んでいると、そのおばさんがやってきた。ドワーフの奴隷も見たいとのこと。今この商館にいるドワーフ奴隷は実は私だけである。これはチャンスだ。何としても自分を売り込まなければ。
鍛冶師になれなかったことは……やはり正直に言うべきだろう。嘘をついてまでして買ってもらおうとは思わない。
おばさんに身だしなみを整えてもらって、部屋に入る。
「よろしくお願いします」
「彼女、セリーが今うちにいるただ一人のドワーフです。セリー、こっちへ」
「はい」
部屋に入ると、男性が一人、アランさんの前に座っていた。かなり若い。人間族で、気弱そうな雰囲気だけど……どことなく兄さまに似ている(注:全然似てません)。
アランさんの隣に座る。私の目の前、男性の隣にもう一人座っているこちらも若い女性は狼人族のようだ。種族は違うが奥さんだろうか。それにしてもすごく綺麗な人だ。胸もスゴイ……滅びてしまえばいいのに。
男性の方、この人が私のご主人様になってくれるのだろうか、彼はさっそく私に質問してきた。
「迷宮に入ることに問題はないか」
「はい。できる限りのことはいたします」
「そうか」
このタイミングだ。ここで言うしかない。
「あ、あの……」
アランさんの方を見ると、うなずき返してくれた。彼も同じ気持ちのようだ。
「何?」
「私は探索者Lv10になりました」
「探索者なら迷宮に入るのに問題はないか」
この人はどうやら鍛冶師のことがわかっていないらしい。それでも言わなければ。嘘をついてまで自分を買ってもらおうとは思わない。
「えっと。そうではなく」
「何か問題が?」
「ドワーフは探索者Lv10になると鍛冶師へのジョブ変更が認められます。ただし、全員が鍛冶師になれるわけではありません。一般的に、迷宮で活躍できる才能のあるドワーフが鍛冶師にもなれるとされています」
「えーっと。つまり、なれなかったということ?」
「……はい」
泣きそうだ。まともに顔を上げていられない。
「訊いていいか」
「はい。どうぞ」
なんとか涙をこらえて顔を上げる。優しげな顔だ。やはり兄さまに似ている(注:全然似てません)。
「鍛冶師になるのに他に条件が、ああ、いや。探索者Lv10で鍛冶師になれないと、絶対に鍛冶師にはなれないのか?」
「鍛冶師ギルドでは探索者Lv10での転職しか受け付けていません。調べてみましたら、まったく前例がないわけではなかったのですが……そのあたりはよくわかりません」
エレーヌの神殿で鍛冶師への転職を果たしたドワーフの事例は複数報告されているが……下手なことを言って期待させてもいけない。
「そうか」
彼はそういって、思案するような顔をしている。いったい何を考えているのだろうか。
最後に気力を振り絞ってもう一度アピールする。あとはなるようになるだろう。
「私は村で一、二の力持ちでしたし、ドワーフの中では背も高く、力のある方だと思います。迷宮に入ってもやっていくつもりです。ご迷惑はかけませんのでよろしくお願いします」
部屋の外に出される。自分でも言い切った感がある。もう思い残すことはない。
一緒に出てきたアランさんは私にこう言った。
「今のお客様は、年は若いが、将来大変有望な冒険者だ。正直お前はまだここに来たばかりで十分な教育もしてやれていないが、いずれはあのお方に購入していただきたいと考えていたところだ。予定より少し早くなったが、あのお方なら大丈夫だろう。ロクサーヌの様子を見ても、奴隷を大事に扱ってくれているようでもあるしな」
どうやらアランさんは、もともとあの人に私を売り込もうと考えていたらしい。あと隣にいた狼人族の若い女性は、やはり以前ここにいた奴隷だったのか。確かに血色がよく、肌も綺麗で健康そうだし、綺麗な格好をしていた。胸も大きい……くそう。
……これが、私セリーと私のご主人様ミチオ・カガとの初めての出会いだった。
結局私はこの人に買っていただくことになるのだが、このときはこの人が実はとんでもない人だとは、欠片も思っていなかったのだ。
何がどうとんでもないかは、これからおいおい語っていきたいと思う。