私の名はセリー   作:続きません

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初 出:書き下ろし


セリーが変態皇帝から酒を下賜された時の話

 私の名はセリー。ドワーフ族の16歳で職業は鍛冶師。自分で言うのもなんだがカード融合と装備品作製のスペシャリストである(エヘン)。

 今回はご主人様にとって一つの転機とも言える、帝国解放会に入会したときの話をしようと思う。

 個人的にも初めて解放会の資料室に行ったときのことは強く印象に残っている(ちょっと、いやかなり恥ずかしいが)。

 

***

 

「セリー、帝国解放会というのを知っているか」

「解放会?」

 

 パーティーメンバーの全員でハルツ公のお城の晩餐会に招待されたときのことなのだが(出された料理はどれも大変おいしかった)、家に帰ってからご主人様に突然こう訊かれた。

 

「名前だけは聞いたことがあります。迷宮で戦う人たちの中でも実力者だけが加入できる団体だそうです。ただし、ある種の秘密結社で、誰が会員なのかも明らかにされません。会員が狙われるのを防ぐためと言われています」

 そういうと、ご主人様は困ったような顔をして、

 

「そ、そうなのか。まあ今日はもう遅い。体だけ拭いて、寝よう」

 と言うなり黙りこんでしまった。

 

 あれ? そういえば、食事の後、ご主人様だけハルツ公に部屋に呼ばれていた。もしかしてそのときハルツ公から解放会に誘われたのかな。そこで私に解放会の事を相談しようとしていたのだろうか。

 自分の言い方が良くなかったか。ご主人様に要らぬ気づかいをさせてしまった。かといって事が事だけにこちらから無理に訊きだすわけにもいかない。

 しかしその話が本当だとしたら、大変名誉なことではある。とりあえずご主人様の方から具体的な話が出るまで待つとしよう。まだこの段階では、ロクサーヌさんにも言うわけにはいかないだろうし。

 

***

 

 その後私は、ご主人様の指図に従って、ミリアが使うエストックや、ロクサーヌさんの身に付けているダマスカス鋼の額金に、それぞれモンスターカードを融合したりしたのだが、どちらもすでにスキルがついているものだった。融合に失敗する可能性(失敗すればスキル付の装備品が失われてしまう)を考えるとこれは精神的にツライ。毎回成功はしているのだが本当にツライ。ご主人様はその都度、

 

「絶対に成功するから大丈夫。仮に失敗したとしても、それは自分の責任であってセリーのせいではないから」

 と言ってはくれたが、それでも失敗するようなことがあれば、自分はどうしても責任を感じてしまうことだろう。我々鍛冶師は常にこのプレッシャーと戦いながらも、モンスターカードの融合に果敢に挑戦しているのだ(と言うとエラそうだけど)。

 

 ただモンスターカードの融合を別にすれば、迷宮探索は順調そのもので、そのほかにもあいすくりーむというお菓子(甘くて、冷たくて、口の中で溶けていく。これは本当にスゴイ)を食べたりして、私たちはまったりのんびりと平穏に過ごしていたのだが、ある日ハルツ公のところへ行っていたご主人様が、家に帰ってくるなりこう言った。

 

「帝国解放会なるものにハルツ公爵が推薦してくれるそうだ。迷宮で戦う人の相互扶助を目的とした団体らしい」

 

 やっぱりこの前のアレはそういうことだったのか。

 

「帝国解放会?」

 

 ロクサーヌさんは解放会のことを知らなかったようだ。

 

「実力者のみが入会を許される団体ですよね。すごいことです」

 と私が言うと、

 

「そうなのですか」

 と彼女が訊き返してきた。

 

「そうらしいな」

「さすがご主人様です」

 

 どうやらロクサーヌさんだけでなく、ご主人様もよくは分かっていなかったようだが、帝国解放会と言えば、迷宮攻略(単に迷宮に入るだけでは決してない。あくまでその目的は最終ボスの討伐である)を目指す者の相互扶助を目的とした団体で、その権威は非常に高く、実力主義のまさにエリート集団である。組織の性格上、その構成員は貴族が多く(今の皇帝はどうか知らないが、歴代皇帝もほぼ全員が所属していたそうな)、ご主人様のような自由民が(貴族の従者としてならともかく)単独で参加するというのは、非常に珍しいことらしい。

 そんな解放会への入会をご主人様が誘われたという。これは大変名誉なことだ。ハルツ公の口利きとのことだが、ご主人様もよほど公爵に気に入られたものである。

 もっともご主人様は、これまでパーティーメンバーも含め自分の手の内を知られることを極度に恐れており、そのため解放会への入会も相当ためらっていたようだが、相手が公爵だということでさすがに断りきれなかったそうな。でもこれはやはり名誉なことであり、非常に喜ばしいことであるのは間違いない。

 それに実利的にもメリットはある。解放会では、店に並ばないものはもちろん、オークションでも手に入りにくい装備品の売買ができたり、迷宮に関する貴重な情報なども得られるという。多少のリスクはあるにせよ、どう考えてもメリットの方が大きいように思う。

 

 ただし、ご主人様が言われるには、

 

「帝国解放会では守秘義務が課せられるそうだ。会内部で知りえたこと、誰が会員か、また俺が会員となることなども一切秘密となる。無用な情報を出して狙われることを避ける意味合いがあるらしいが」

 とのこと。狙われるというのがいったい誰からなのかは(「迷宮側」だと言われたそうだが)、正直よく分からない。

 

 ロクサーヌさんは「用意周到ですばらしいことです」と言っていたが、私はといえば、

 

「いまさら内密にすることが一つや二つ増えたところで問題ありません」

 と言っておいた。実際その通りだし。でもご主人様はちょっとヘンな顔をしていた。

 

 入会試験はクーラタルの23階層で、この後すぐに行われるらしい。ご主人様はハルツ公の紹介による特例入会だそうで、正規の会員であれば迷宮の45階層以上で戦えることが入会条件とのこと。特例会員も、入会後20年以内に45階層を突破することが必要で、それができない場合は退会処分となるそうだ。

 ご主人様に連れられて全員で23階層に向かうと(いつものように直接迷宮内に跳ぶのではなく、入り口から入場料を払って入った。考えてみればこちらの方が普通なのだが、こうやって入るのは、実は私は初めての経験だった)、すでに別のパーティーが待っていた。

 先頭の狼人族の大柄な男性がリーダーのようだ(後から教えてもらったのだが、エステル男爵という方で、なんと解放会の会長なのだそうだ)。男女三人ずつのパーティーだが、皆私たちよりも経験豊富なように見えた。

 試験をどのように進めるかその場で少し話し合った結果、彼らにはボス部屋に一番近い小部屋で待っていてもらって、まずは私たちだけでそこまで向かうことになった。

 

「では俺たちも行くか。魔法なしで戦ってみよう。ロクサーヌ、案内してくれ」

「分かりました」

「ベスタはこれを」

「はい」

 

 ベスタにご主人様の剣が渡される。どのように戦うのかというかどこまでこちらの手の内を見せるのか疑問に思っていたが、どうやらご主人様の魔法を使わずに行くらしい。まあこの階層なら、それでも私たちが苦戦することはまず無いだろう。

 実際、魔物のほとんどをベスタがあっさりと倒し、待っていたエステルパーティーと合流を果たす。

 その後ボス部屋に向かう途中も、また私たちだけで魔物を倒し、ボス戦も難なくこなしてあっさりと24階層に上がる。もうこの辺りでの戦闘は、全く危なげなく行える。思えば私たちのパーティーも強くなったものだ。私が加入したばかりのころは、結構苦戦していたものだけれど。確かに大変ではあったが今となっては懐かしい思い出である(というほど昔の話ではないのだが)。

 

 そうして24階層に入ったところでエステルパーティーと再度合流する。

 どれだけ控えめに見てもおそらく文句なしの合格だとは思うが(正規入会の試験の方も前倒しでいつでも受けられるとのことだが、この分なら割とすぐに正規会員になれるだろう)、ひとまず迷宮の外へ出て、どこかへ行くらしい。帝都にあるロッジというところだそうだ。

 エステルパーティーのメンバーで冒険者だという人が私たちのパーティーに加わり、その人のフィールドウォークで移動する。

 

***

 

 移動した先は、どこかの建物の中だった。かなり広いだけでなく、内装も落ち着いた様子の大変立派なものである。

 すぐに人間族らしい男性が一人やってきた。素敵なおじ様という感じの人だ(別に私にはそういう趣味は無いが)。

 セバスチャンさんである。名前は後で聞かされたのだが、解放会の総書記なのだそうだ(ご主人様によると彼のジョブは冒険者だとか。ということは迷宮探索にもかなりの経験があるのだろう。結構なお年のはずだけれど、動作がキビキビしていて年齢を全く感じさせない)。

 

 そのセバスチャンさんに促され、私たちは一人ずつ名乗っていく。彼が奴隷である私たちも敬称をつけて呼んでくれたのにも驚いたが、それよりも初対面のはずなのに、なぜかパーティー内の序列が完璧に分かっていたことにびっくりした。順番通りに並んでいたわけでもないのに。どうしてだろう?

 

 その後、エステルパーティーもやってきて、リーダーのエステル男爵から、ご主人様が入会試験に合格した旨が伝えられた。入会式は五日後にあるらしい。

 その時の話のなかで、ロクサーヌさんが褒められるついでに男爵から重大なことを知らされた。

 

「会員以外にはあまり知られていないことだが、迷宮の最後のボスはこちらの装備品を破壊する能力を持っている。攻撃を盾で受けたり剣で弾いたりしただけでも、盾や剣が壊れてしまうことがある。魔物の攻撃を回避する利は極めて大きい」

 

 でもそれって……ご主人様を差し置いてどうかとも考えたが、疑問に思ったことをエステル男爵に訊いてみる。

 

「剣で弾いても剣が壊れるくらいなのに、攻撃しても大丈夫なのですか」

「攻撃がきっちりと胴体にヒットすれば問題はない。注意深く背後から狙うなどする必要はあるが。もしくは魔法で攻撃するかだ。安い剣や盾を大量に持ち込んで使い捨てにするパーティーも多い」

 

 なるほど。これは重要な情報だ。ただ私たちのパーティーでは、メインの火力がご主人様の魔法なので、物理攻撃が占める割合はさほど大きくない。もっともミリアの状態異常付与もかなりの割合を占めているので、こちらの方は十分に注意する必要があるが(にもかかわらず本人は全く分かってないっぽい。まだまだ先の話ではあるけれど、後でロクサーヌさんと二人で彼女に良く言い聞かせておこう)。

 

 その後建物内の広く豪華な会議室でハーブティーをごちそうになる。エステル男爵のおごりだそうだ。これは本当に美味しい。

 

「これは美味しいですね」

「ありがとうございます」

 

 私がセバスチャンさんにそういうと頭を下げられた。この人はとても腰が低くて、物腰も柔らかだ。

 

***

 

 男爵たちと別れた後、私たちはセバスチャンさんにロッジの中を案内してもらうが、三階に資料室があると聞き、思わずまた問い返してしまった。

 

「資料室ですか」

「はい、セリー様。会員様方の活動報告やメモ、迷宮を攻略した会員様が遺した攻略方法なども収集されております」

「それを見ることができるのは正規会員だけでしょうか」

 

 見たい。ぜひ見たい。とにかく見たい。帝都の図書館のように一般には開放されておらず、しかも迷宮探索に特化した資料庫。さぞや重要かつ貴重な資料の宝庫であるに違いない。許されるならずっと籠りたい(パーティーを抜けるわけにいかないので、とてもそんなことは出来ないけれど)。

 

「会員のパーティーメンバーの方も会員に準じた扱いを受けます。会員であるミチオ様の委任があれば、セリー様も資料室に入ることが可能でございます」

「分かりました」

 

 やった!

 

 ご主人様も同じことを考えていたようだ。今度私を行かせてくれるとのこと。今から期待で胸がいっぱいである(小さいですけれどもね!)。

 ただ先ほども言ったが、解放会の内部情報は、外に漏らしてはいけない決まりだそうなので、資料室で読んだ内容の扱いにも、十分に注意しなければならないだろう。

 

 その後装備品が売られているコーナーも見せてもらった。並べられている点数はさほど多くはないが、オリハルコンなどで作られた強力な武器や、スキルのついた装備品などが売られているようだ。クーラタルの武器屋や防具屋では決して見ることのできない品揃えである。

 ここで購入するというのももちろんいいのだけれど、自分は鍛冶師としてまだまだ駆け出しだが、いずれはオリハルコンの槍など作ってみたいし、竜騎士であるベスタのためにダマスカス鋼の大盾を作ってあげるのもいいかもしれない。ただそのためには、もっともっと修行をしないといけないだろう。

 装備品の作製だけでなく、資料室でいろいろと調べ物もしたいし、かといって迷宮探索をサボるわけにもいかない。あーもうやりたいことが多すぎる(できればご主人様と二人きりで帝都を歩きたいというのもあるし……コホン)。贅沢な悩みではある。

 

***

 

 帝国解放会の入会式の日は、早朝だけ迷宮に潜り、その後はお休みとなった。

 私は当然、解放会の資料室に行かせてもらうことにした。

 ミリアも当然のことながら釣り(ご主人様によると彼女は相当な腕前なのだそうだ)、ロクサーヌさんは、ご主人様とボス狩りをするそうだが、獲物がブラックダイヤツナと聞いたミリアが、さんざん悩んだ末にそちらにも参加すると言い出した。

 ベスタは加入したばかりで、休日は初めてだったのだが、お休みの前日に行きたいところはないかと訊かれて口ごもっていた。以下はそのときのやり取りである。

 

「ベスタはどっか行ってみたいところとか、ないか」

「行ってみたいところですか」

「もしくは、昔行けなかったところとか、もう一度行ってもいいと思ったところとか」

「昔行きたかったところなら……。いや。なんでもないです」

「あー。なんかやなこと思い出させちゃったか」

「いえ。そんなことはありません」

「それなら昔行きたかったところでも」

「あの。本当に大丈夫です。今は行きたいとも思っていませんので」

 

 む、ピンときた。

 

「ひょっとして、ステーラですか?」

 とズバリ訊いてみる。

 

「い、今はまったく行きたいとは思ってもいません」

 

 ベスタは慌てて否定するが……なるほどそういうことか。

 

「ステーラ?」

「ステーラにある神殿は奴隷を買い取ってくれます。お金を持っている人なら自分で自分を買い取ることもできます。そうすれば解放奴隷になれます。お金を持っていない人でも、神殿に逃げ込めば他の人が自分を売るために支払ったお金や寄付金浄財を使い神殿が奴隷として購入してくれることがあるそうです」

 

 どうやらご主人様は、ステーラの神殿の存在を知らなかったらしい。

 

「逃げるとは考えていないので、気にするな」

 

 きまり悪そうにしているベスタに、ご主人様が優しく言う。

 

「はい。とてもよい主人に購入していただいたと感謝しています。いつまでもこのまま働かせていただきたいです」

 

 ベスタのこの言葉にどうやら嘘はなさそうだ。

 

「頼むな」

 

 結局ベスタは午前中は自由行動、午後はロクサーヌさんと二人で帝都をぶらつくことになった。

 今回もご主人様からお小遣いをもらったのだが、前回は一人(全員ではない)銀貨五枚だったのが、今回はなんと銀貨10枚になっていた。大金だ。私も含めみんな驚いていた。ご主人様のこういうところも、私違が奴隷であることをときに忘れさせる要因である。

 

 私は解放会の資料室に行くので、ご主人様に帝都のロッジまで送ってもらう。以前いただいたお小遣いで買いそろえた、パピルスと筆記具を忘れずに持っていく。

 そうしてロッジに跳ぶと、すぐにセバスチャンさんが秒速でやってくる。非常に素早い動きだが彼にとってはこれが普通らしい。

 

「これは、ミチオ様、セリー様。ようこそおいでくださいました」

「セリーに資料室を閲覧させたいが、大丈夫か」

「かしこまりました。係りの者を呼びますので、少々お待ちいただけますか」

「何か必要なものはあるか?」

「いいえ。特にはございません。羊皮紙や筆記具、軽食なども、ご用命いただければこちらでご準備いたします」

「筆記具は持ってきているのですが」

「もちろん、それをお使いいただいて結構でございます」

 

 係りの人だろうか、女性がやって来た。この人も動作がキビキビとしている。ここの人たちはみなそうなのだろうか。

 

「こちらのセリー様が資料室をお使いになられる。ご案内を」

「かしこまりました。それではセリー様、こちらへお越しください」

「もしなんかあったら呼べ」

「はい」

 

 女性に連れられ階段で3階まで上がると、その階全体が書庫になっていた。さすがに広さでは帝都の図書館に及ばないが、迷宮攻略関連の資料だけでこれだけの数の文献が揃っているのはすごい。

 さっそく書庫で何点か資料を選ぶと、併設されている閲覧室に行き、メモを取りつつ記録を読み漁る。そうしていると先ほどの女性に、ついでに筆写の仕事をしてみないかと言われたので、せっかくだからとやってみることにした。貴重な資料をタダで読めて、しかもお金までもらえるなんて非常にありがたい話である。自分で言うのもなんだが、仕事の正確さ、字の綺麗さには自信がある。さっそく筆写を始めるとハーブティーも出してくれた。おいしい。

 

 ハーブティーを飲みつつふと考える。ご主人様は今頃解放会の入会式だろうか。あの若さで解放会の会員になるというのは、とてもスゴイことだ。私も誇らしく思う。

(けれども後でご主人様から、解放会の入会の儀式がどんなものだったか教えてもらったのだが、正直そんなしょうもないことをしていたとは思わなかった。というのも、新たに入会する会員は、自分の性的な恥ずかしい秘密を暴露しなければならないというものなのだが、呆れるほかない。おそらくないのだろうとは思うが、女性が入会するときは一体どうするんだろう。ご主人様がいったい何を話したのか気になり、これもいろいろせっついてようやく教えてもらったのだが、その内容にも心底呆れた。おまけにその内容はご主人様だけでなく、私たちにとっても大変恥ずかしい話である。できれば他人には言わないで欲しかった。あとやはりご主人様はカシアさんに未練を持っていたのか……無理だと思うが。)

 

 そんなことを考えながらも、筆写の作業に没頭していると、セバスチャンさんがやって来た。自分では気づかなかったが、かなりの時間が経過していたようだ。ご主人様が私を呼んでいるという。なんだろうと思ってセバスチャンさんについて行くと(呼んでもらえるのは単純に嬉しいことなのだが)、行った先の会議室には結構な人数の人がいた。

 一見してみな貴族風の恰好をしていたが、その中にご主人様に変な口のきき方をしている人間族のおじさんがいた。

 この人はいったい誰なんだろうと不思議に思っていると、ご主人様が私に訊いてきた。手にお酒らしき壺を持っている。

 

「あー。セリー、ドワーフ殺しという酒を知っているか?」

「はい。ドワーフの間では有名ですから。祖父なども、昔一緒に飲んだときにこれくらいガツンとくる酒でなければと言っていました。喉が焼けるように美味しいお酒です」

「ここにドワーフ殺しが一本ある。これを飲み干せそうか?」

「その量なら影響はないと思います」

「で、ではいってみるか」

「よろしいのですか。高いお酒ですが」

「一気にいけ」

「ではいただきます」

 

 実は漂ってくる香りからして、言われる前からそれがドワーフ殺しだというのは分かっていたので、正直飲みたい気持ちを抑えるのが大変だった。コレはドワーフ殺しの中でもかなりの逸品に違いない。

 みなが見ている前だが、気にせずにゴクゴクと一気に飲み干す。ちょっとはしたないような気もするが、ちょうど喉も乾いていたところだったし、何よりとても美味しいお酒だったので、すぐに壺が空になった。

 

「大丈夫か?」

「はい。たいした量でもありませんし」

「たいしたものだな」

「はい、たいしたお酒ですね。ルッソの三十年物か、同等の品でなければここまでのまろやかさは出ないと思います」

 

 実際飲んでみるとこれは本当に素晴らしい。このまろやかさと芳醇な香りは、確かにルッソの三十年物かそれ以上の逸品だろう。

 最初にここに来た時や先ほど出されたハーブティーも、とてもおいしかった。ここで出されるものはどれもみな素晴らしい。

 

「さすがはセリー様でございます。当ロッジではルッソのブライテスト、三十年物を用意させていただいております」

 

 やっぱりだ。

 

 セバスチャンさんとそういうやり取りをしていると、さっきのなんか言葉遣いのおかしいおじさんがもう一本くれた。

 

「さすがに量を飲むと少し酔うかもしれません」

「少しくらいなら酔っても大丈夫だろう。いっとけ」

「……はい」

 

 ご主人様にはこう言われたものの、筆写の仕事に差し支えるかもしれないので、どうしようかとセバスチャンさんの方を見るが、彼にもうなずかれたので遠慮なく飲むことにする。

 

 そしてこれも簡単に飲み干すと、ヘンなおじさんがとても驚いた様子でさらにもう一本くれた。なんだか良く分からないのだが、本当においしいお酒なので、素直にもらっておく(この時点ですでに私は、かなりおかしくなって来ていたようだ)。

 三本めの壷もアッサリ飲み干すと、ヘンなおじさんに「それだけ飲んでも大丈夫なのか?」と、とても信じられないといった感じで訊かれた。

 

「少し気分がよくなってきました。いささか酔ってきたようです」

 

 まずい。本当に酔って来たようだ。これでは筆写に差し支えてしまう。

 

「さすがに三本も飲めば酔うか。見事である。何か困ったことがあったら朕を訪ねて来るがよい」

「はい。ありがとうございます?」

 

 朕?

 

 ヘンなおじさんは、いつでも自分のところを訪ねてきていいようなことを言っていたけれど、別に用もないのに行きたくないし、第一ご主人様と離れるなんて考えられない。ご主人様が愛おしくて堪らない。周りの有象無象などもはや目に入らない。

 ご主人様といつまでも一緒にいたい。二人きりでもいいし、むしろ二人きりがいい。ああ、ご主人様……マズイ。さすがに言葉には出さないものの、本音が駄々漏れだ。クールビューティーを標榜する私ともあろう者が、抑えが効かなくなってきている。どこかで酔いを醒まさなければならないかもしれない。

 

***

 

 そうこうしているうちに、入会式も無事?終了したようで、そのまま解散となった。

 建物になぜか外に向けて開く扉があったりとか、解放会はいろいろとヘンなことだらけだとは感じたが、その時の私はご主人様がいれば別にいいやと思っていた。どうやら本当に酔っておかしくなっていたようだ。

 

「呼び出して悪かったな」

「いいえ。ご主人様に呼んでいただけて嬉しかったです」

「そうか」

「あ。すみません。ちょっといいですか」

「なんだ?」

 

 さすがにドワーフ殺しの壺を3本も空けてしまったので、筆写の仕事は難しいだろうと思い、係りの女性にそう言って謝る。

 

 その女性には、

 

「そうですか。それなら仕方がないですね。残念です」

 と言われたが、

 

「いえいえ、セリー様。恩賜のお酒でございますので」

 とセバスチャンさんがフォローしてくれた。恩賜?

 

「仕事っていうのは何のことだ?」

 

 ご主人様がなぜか慌てた様子で訊いてきた。何かまずいことでもあったのかな?

 

「はい。資料室には迷宮の討伐を成し遂げた会員から送られてきた報告書が大量にあるのです。ただパピルスで書かれた報告書も多いため、それらは羊皮紙へ筆写する必要があります。どうせ読むのですから、同時に筆写する仕事もさせてもらっていました」

「そんなことをやってたのか」

「勝手なことをしてすみません」

「別にそれはいいが」

「ただ、酔ってしまったので」

「セリーに酒を飲ませたのは俺だ。そういうことなので、悪いな」

 

 ご主人様も私をフォローしようと間に入ってくれた。うれしい……。

 思わずご主人様の後ろに隠れるようにピッタリとくっつく。

 さりげなくご主人様の腕に自分の手を添える。

 

「もちろん何の問題もないことでございます。それでは、セリー様の荷物を持って来させましょう」

 

 少しして、係の女性が私の荷物を袋に入れて持ってきてくれた。

 

「荷物は中に入れてあります。それから、こちらが筆写の報酬です。少し拝見させていただきましたが、丁寧な仕事ぶりです。今日はありがとうございました」

「こちらこそありがとうございます」

 

 仕事ぶりを褒められたのもうれしくはあったのだが、何よりご主人様とくっついていられることの方がたまらなくうれしくて、正直そちらの方はどうでもよかった。

 もらったお金をご主人様に渡そうとすると、私が持っていてよいと言われる。

 

「ありがとうございます、ご主人様」

 

 自分でもびっくりするくらい、自然に微笑むことができたように思う。ご主人様はヘンな顔をしていた。ちょっと赤くなった?

 

「じゃあいったん家に帰るか」

「はい」

 

***

 

 そうして二人でクーラタルの家に戻ったが、まだ誰も帰ってきていなかった(ご主人様が迎えに行かなければいけないので当然なのだが)。

 ご主人様と二人きりだ……嬉しい気持ちが溢れ出して来て止まらない。我慢するのが辛い。

 ご主人様に抱き着くと精一杯背伸びしてその首に腕を回す。自分からご主人様の唇に吸い付いて、積極的に舌を絡めていく。

 とても恥ずかしいのだが、こうして舌を絡め合うキスが私は大好きである(他のみんなも好きらしいが)。何時までもこうしていたいと本気で思うほどだ。

 他人の舌がこんなに甘いとは……ご主人様のだからかな? いいや何を言ってるんだ私は(今思い返しても顔から火が出そうだ)。

 ボーっとしてしまってもう何も考えられない。まるで意識がどこかに持って行かれるような感じ(注:トリップしちゃったんですね)。けれども一秒たりともご主人様と離れたくない。

 ご主人様も同じ気持ちだったのか、私を横抱きに抱え、そのままベッドまで連れて行ってくれた。

 他のみんな、特にロクサーヌさんには悪いけどもう我慢できない。

 

 …。

 ……。

 ………。

 

 そういえば、ご主人様と二人きりで、その、そういうことをするのは初めてだった。

 ご主人さまを独り占め……ああ幸せ……ずっとこのままでいられたらいいのに。

 詳しいことは書けないが、とても濃密で素敵な時間を過ごすことができたのだ。

 ロクサーヌさんも私が来る前はご主人様とこんな感じだったのか……なんて素晴らしいのだろう、彼女のことをずるいと少し思ってしまった。

 

 ………。

 ……どうやら自分はすぐに寝入ってしまったようで、目覚めるとベッドには私一人きりだった。

 ちょっと寂しくも感じたが、それ以上に充実感を得ることができた。

 

 酔っ払っていたのもあって全く覚えていないのだが、行為の最中、「ミチオさま……だいしゅき……」などとご主人様のことをずっと名前で呼んでいたらしい。

 そんな事を口走っていたとは……なんて恥ずかしい。顔から火が出そうだ。

 

 さらにもっとまずいことに、あとでロクサーヌさんから、

 

「良かったですね。ちょっと羨ましいです」

 といわれてしまった。完全にバレてる。あちゃぁ。

 

 でもロクサーヌさんだって、私が来るまではご主人様を独り占めしていたのだから、これぐらいは許されるだろう。うん、そういうことにしておこう。

 他のみんなも、たまにはこうしてご主人様と二人きりにさせてあげるのもいいかもしれない。この多幸感をぜひみんなと分かち合いたい。

 ロクサーヌさんにそういうと、彼女も喜んで、

 

「それは大変すばらしいことです。ぜひその機会を作りましょう」

 と言ってくれた。こういうところにも彼女の性格の良さがよく表れていると思う。

 

***

 

 後になってご主人様が苦笑しつつ教えてくれたのだが、あの時会議室にいたヘンなオジサンが、実はこの国の皇帝なのだそうだ。……なんということだ。

 皇帝から直接お酒を下賜されるなど、普通なら大変な栄誉だけれど、当時の私にはもちろんそんな認識はなく、なんかヘンなオジサンだなぐらいにしか思っていなかった。そんなに失礼な態度はとっていなかったとは思うが、下手をすれば不敬だということで、その場でお手打ちになっていたかもしれない。おそらくそんなときはご主人様が助けてくれたとは思うが、後から考えるとゾッとする。

 扉の開き方とか解放会の建物がいろいろと不思議だったというのも、あとから考えるとそのからくりが分かった。あれはあの建物が帝宮と直接つながっているからのようだ。

 確かに迷宮討伐は、皇帝を始めとする貴族階級の重要な責務とされているし、解放会自体は国家組織ではないものの(皇帝に直属する帝国騎士団の母体ではあるそうだが)、この国の支配階級と密接につながっているということなのだろう。

 

 その後その皇帝からご主人様がハイヒールブーツを下賜され、そしてそれにモンスターカードを融合してまた献上するということがあった(これについて詳しくは、別の機会に話そうと思う)。

 なぜハイヒールブーツがご主人様に下賜されたのか。どうもご主人様と皇帝はたいそう気が合ったらしく(身分が違いすぎるので、具体的な話を聞くまでいったいどこにそんな素地があるのか全く分からなかったけれども)、ご主人様は帝都で購入したストッキングを、セバスチャンさん経由で皇帝に献上したりもしていた(なおこの辺りの話も別のところでしているのでそちらを見て欲しい)。皇帝相手にそんなに簡単に品物を送るだなんて、本来であればとてもできないことのはずなのだが。

 

 そして、ストッキングの返礼?として、どう考えても女性用の装備だというのにエナメルのハイヒールブーツがなぜ下賜されたのかにも理由がある(ご主人様自身が履くというわけでは当然ない)。ハイヒールブーツは素材にもよるが、魔法使いの女性用の高級装備品で、そのままでも魔法の威力を高める効果がある。とりわけエナメル製のものが一番効果が高く、値段も高価である(ダジャレではない)。

 ご主人様はこれは誰にも言ってはいけないと言いながらも面白そうに私に教えてくれた。どうやらこれも解放会に入会したこのときに、ハイヒールの話が出ていたらしい。それで皇帝の変なおじさんが、ハイヒールブーツ(正確にはハイヒールブーツを履いた女性に踏まれること)をいたく気に入ったんだそうな。なんでもあのオジサンは、帝宮の侍女に靴で自分を踏んでもらうことに以前から非常な悦びを感じていたのだそうだ。さらにそこでご主人様が、踏んでもらうなら靴にもこだわって、侍女にハイヒールブーツでも履かせたらどうかと言ったらしい。余計なことをいう。だが皇帝のおじさんはご主人様のアドバイス?にいたく感心したそうだ(ただ実際にどうやってハイヒールブーツを履いて自分を踏んでもらうか悩んでいたそうだ)。うむ、紛うことなき変態である。これを聞いて私の中の変なオジサンの「変」度がさらにランクアップしたことは言うまでもない。

 

 実際に会って話してみる分には気さくでとても面白いおじさんなのだが(威厳とか全然無かった……それもどうかと思うけど)、帝国の頂点であるという皇帝のイメージが私の中でガラガラと音を立てて崩れていったものである。これは流石にちょっと特殊すぎて私も理解できない。ご主人様も「そうだろう?」と言う。確かにそれでは変態呼ばわりされても仕方ないだろうか。

 それでも一応「私たちもご主人様に同じことをしてさしあげましょうか?」と訊いてみたが、ご主人様はかぶりを振って、「とんでもない! 俺はあんなドMじゃないぞ」と言われた。どえむ?というのが何なのかよく分からなかったのだが、ご主人様の嗜好がごく普通でホッとした(まあこれまで見ている限りそうだとは思っていたが)。

 

 それにこのご主人様は、逆に私たちの方を虐めて楽しむ気なども全く無いようである。中には加虐的な主人もたまにいるらしく、ロクサーヌさんや私の居た商館でも、そういう主人には特に注意するよう言われていた(いくら奴隷でも我慢する必要はない。もしそうなったときは逃げても良い。この商館を頼っても良いし、ステーラの神殿に駆け込んでも良いと)。もっとも商館のアラン氏の人物眼はそう簡単には誤魔化せないので、そういう性癖を持つ客に奴隷を売ることは決して無いそうだが。

 

 話がさらにそれるが、入会式にはさらにその変態おじさんのお付きだという近衛騎士の男性もいたそうだ。しかもその彼はもっとすごい性癖をお持ちだったとのこと。さすがにこちらの方はご主人様も具体的なことは何も私に教えてくれなかった(思い出したくもないらしい)。皇帝のおじさんの性癖も相当だと思ったが、その比ではないそうだ。人の趣味・嗜好はそれぞれだが、中には本当に特殊な人もいるのだなと思った。それに比べたら私たちのそれなどはごくごく平凡なものなのだろう。もちろんそれでいい(それがいい)のだが。

 

 性癖といえば、なんでもあの皇帝のおじさんは、胸の大きな女性があまり好きでもないらしい(いろいろと性癖の多い人だ)。女性の胸は小さいほうがお好みらしく、おじさんのお父さん、先の皇帝が胸の大きな女性ばかりを侍女として帝宮で雇っていたこと(相当好きだったらしい……滅びてしまえばいいのに)に大層不満を持っていたらしい。先帝が崩御し、自分が皇帝となったとき、そうした侍女たち全員を相当苦労したあげく、何とか自分の好みの女性に入れ替えたとのこと。そんな理由で暇を出される侍女たちに同情したが、もちろんただクビにしたのではなく、その後の面倒もきちんと見てあげたらしい。

 ただ今の皇帝が胸が小さい女性が好きだといっても、私に対してはとくにそういった関心を示さなかったようだ(ご主人様は皇帝には私を会わせられないのではと、ひそかに危惧していたそうだ。……余計なお世話である)。どうやらあのおじさんの分類だと、私は胸が小さいわけではないらしい。この事実を素直に喜べばよいのかは、ちょっと判断に困るところである。ご主人様は相当警戒していたとのことだが、さすがに他人の奴隷にまで手を出すような人ではないようだし、それにそもそも皇帝ともなれば、私よりもキレイな女性もよりどりみどりだろうと思う。

 ついでと言ってはなんだが、その話を聞いたとき、「ご主人様はロクサーヌさんとかベスタみたいに胸の大きな女性が好きですよね? ミリアやルティナも割とある方ですし」と胸の大きさについても訊いてみたのだが(この話題になるとどうしても私の口調は棘のあるものとなってしまう)、「胸の大きさは関係ない、どれも素晴らしいし大好きだ」と、妙に早口で力説された。そのうえ、「セリーも決して小さいというわけではないぞ」と、取って付けたように言われたりもした(これはご主人様と初めてお風呂に入ったときにも言われたのだが)。そのように言われるとこちらとしてもどう反応してよいのか正直困るのだけれど、ご主人様が私の胸も嫌いでないというならまあいいだろう(許してあげよう)。

 

 そもそもご主人様がこうして身分の高い人と仲良くなったのは、何も皇帝が初めてのことではない。解放会に推薦してくれたことからしても分かる通り、ご主人様は大貴族であるハルツ公にも大変気に入られているようだ。私たちと一緒に晩餐会にも何度も招待されているし。

 その後ルティナのことを任された件を見ても、おそらくハルツ公は、将来的にご主人様を貴族にしたうえで、自身の陣営に組み込もうという方針を持っているのだろう。同じエルフ族でもないご主人様に、公爵がそのような態度をとるのは、通常であれば到底考えられるものではない。

 私が見るに、ご主人様には種族や身分に関係なく、人を惹きつける何か不思議な魅力があるように思う。これがロクサーヌさんがよく言う人徳というものなのかもしれない。

 

 ともあれ今はまだ仮の入会ではあるが、解放会への正式入会を果たせば(クーラタルの迷宮の45階層を突破することがその条件なのだが、私たちにはもうすでにそれぐらいの実力はあるはずだ)、いよいよ迷宮討伐が見えてくる。

 解放会のメンバーは、そのほぼ全員が貴族階級だと聞く。貴族であれば幼い頃から迷宮攻略に参加させてもらうことができ(実際になるかどうかは別として、自爆玉を使って魔法使いのジョブも取得しているはず)、その成長速度は自由民や奴隷と比べて格段に速い。だが、成長速度では私たちのパーティーも決して負けていない。むしろ貴族階級の人たちに対しても大きく勝っているのではとも思う。迷宮討伐も決して夢というわけではない。

 しかしそうなると当然のことだが、討伐対象となる迷宮の選定を、本格的に始めなければならない。ただこれは単に討伐のしやすさだけで決めるわけにもいかない。

 というのも討伐の対象は必然的に現在領主不在の地にある迷宮であって、しかも討伐後の領地経営のできるだけやりやすいところとなるからだ。後者の方も重要な要素となる。迷宮を討伐してそれで終わりというわけではない。

 もっとも現在領主がおらず、迷宮が放置されているということは、その迷宮が強力すぎて討伐自体が困難であるか、あるいはもともとその領地がとても豊かとはいえない僻地であるかなど、諸々の条件が悪いためだろうから(つまりはリソースを割いてまでして、その迷宮を討伐するだけの旨味がないということである)、そうそう好条件の場所が残されているとは思えない。

 ハルツ公などからは、ある程度の支援は受けられるとは思うが(それともしかしたら皇帝のおじさんからも)、条件があまり良くないと、たとえ迷宮討伐に何とか成功してその領地を与えられたとしても、そこからさらに領地経営を軌道に乗せるまでには、かなりの労苦を伴うことだろう。

 ただたとえそうであったとしてもやるだけの意味はある。ご主人様にはそれだけの価値があるはずだ。何としてもご主人様を貴族に押し上げようと、ロクサーヌさんと二人で決意した。

 何やら話が大きくなってきたが、この件については貴族出身のルティナに詳しく話を聞いておく必要があるだろうし、ミリアやベスタにもきちんと説明しておかなければなるまい。




とりあえず投稿。
例によって加筆・修正が大いにあり得ますのでご注意を。

この話が一番書きたかったのですが、まだまだこなれていない感じがします。
内密さんはこの先どうしていくつもりなんでしょうね。
原作での今後の展開が気になるところです(更新自体されない方が気になりますが…)。

できるだけ良いものにしていきたいので、ツッコミ大歓迎です。
評価などももらえると嬉しいです。
ではでは。
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