コミックス 第20章「ジンギスカン」
初 出:【異世界迷宮で奴隷ハーレムを】蘇我捨恥39【内密】(https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1567594462/)
私の名はセリー。
ドワーフ族で探索者の16歳。
自分のことを割と美少女な方ではないかと我ながら思っていたのだが(そこ、いんちきイタリア人とか言わない!……ってイタリア人て誰ですか?)、ご主人様のもう一人の奴隷、ロクサーヌさんを見てしまうとそんな自惚れもあっさり打ち砕かれてしまう。
……今のこの状況をどう説明したらいいのだろう。
ご主人様とロクサーヌさん、そして私の三人は同じベッドに入っていて、ご主人様とロクサーヌさんは激しく絡み合っている。二人とも一糸まとわぬ裸だ(私はネグリジェを着ている)。
他人がそういうことをしているところを見たことがないし、それどころか自分がそういうことをしたこともないので、これはかなりの衝撃だ。しかもこの後は当然のことながら、わ、私もこれと同じことをするのだ。
でもロクサーヌさんはとても幸せそうだ。相当悦んでいるように見える。やはり気持ちいいのだろうか。不安も大きいがちょっと期待してしまう自分が恥ずかしい。うぅ。
***
「ご主人様、おやすみになられたようですね」
ロクサーヌさんが話しかけてくる。ご主人様の髪の毛が汗でまとわりついているのを、手で優しく整えながら。本当にいとおしそうだ。ちょっといやかなり羨ましい。私もそれやってみたい。
あの後ご主人様は、私を可愛がってくれ(恥ずかしいので詳しいことは書かないけど)、さらにロクサーヌさんをもう一度可愛がっていた。それもかなり激しく。スゴイ。見てはいけないと思いながらも、私の眼は二人の行為にくぎ付けだった。
「そうみたいです」
私もご主人様の方に身を寄せて(重たくはないだろうか)、話す。
「激しかったですからね」
「いつも、あんなに凄いんですか」
「そうですね。今日はセリーがいるのでちょっと張り切ったみたいです。どんなことになるかと思いましたが、あれだけ可愛がってくれるのなら、セリーが来てくれたことは私にとってもよかったですね」
これまでずっとご主人様を独占していたところに、私のようなヨソ者が来たのだ。不安を感じるのも当然だろうし、不満を持ったとしてもおかしくはない。逆の立場だったらどうだろう。
「私、大丈夫でしょうか」
「大丈夫ですよ。さっきだって、ご主人様はセリーには無理をさせていないでしょう。優しいご主人様ですから」
私の疑問をロクサーヌさんは別の意味にとったようだ。私の体を案じてくれている。でも確かにその通りだ。奴隷を性的に虐待する主人もいると聞くが、このご主人様は私たちをとても大事にしてくれている。
この人に買っていただいて本当に良かった。それに同じ奴隷の人がロクサーヌさんで良かった(奴隷同士でも諍いなどは良くあることらしい)。
それから静かに寝息を立てているご主人様を挟んで、ロクサーヌさんといろいろお話しした。どこの生まれかとか、どうして奴隷になったかとか。ロクサーヌさんがご主人様に購入していただいたときの話も聞いた。そしてロクサーヌさんがどれほどご主人様のことを敬愛し、慕っているかということも。
彼女曰く、ご主人様自身はあまりその気ではないらしいが、この人はいずれ迷宮討伐に成功して、貴族に列せられることになるだろう。微力だけれど(そんなことは決してないと思うが)、是非ともその手助けをしたい。パーティーメンバーは最大で6名だから、奴隷は5名まで増えるだろうし、自分は一番奴隷として皆をまとめていくつもりだ。
(ただそれ以上増やすのは絶対に許さない、できれば独り占めしたいくらいなのだからとちょっと笑って言っていた。が、目は全く笑ってなかった。コワイ)
ご主人様はすごい人だが、ちょっと世間知らずなところもあるので(そこがまたカワイイのだけどとほほ笑んで)、自分がしっかりしないといけない。私にもいろいろと手伝って欲しいと。もちろん私にも異存はない。この人となら上手くやっていけるだろう。
「これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いしますね」
ともあれこれで私の役割が定まった。ロクサーヌさんをサポートしつつ、ご主人様をお助けするのだ。といっても私でも何かお役に立てることがあればいいのだがと当時は不安に思っていた。
このときはまさか自分が一度転職に失敗した鍛冶師になれるとは思っていなかったのだ。本当にこのご主人様には驚かされる……まったくもう(そこもイイんだけど)。
***
後になってご主人様から聞いたのだが、このときご主人様は色魔のジョブを取得したらしい。というのも人間族は、欲望が極端に肥大化することのある種族だと言われており(最初は必ずしもそうだとは思っていなかったが、今のご主人様を見ているとなるほどと思う)、その欲望が肥大すると色魔という人間族の種族固有ジョブに就くことがあるという。
他種族の固有ジョブであり、また当然だがあまり大っぴらにできるジョブでもないので、私は全く知らなかったのだが、色魔には精力増強というパッシブスキルと禁欲攻撃というアクティブスキルがあるのだそうだ(スキルにはこの二種類があることもご主人様に教えていただいた)。
精力増強か……。通りで私たちを相手に(今では五人にまで増えているにもかかわらず)毎日あれだけハッスルできるわけだ。まあ色魔になりたての頃は、まだロクサーヌさんと私の二人だけしかいなかったので、このスキルが無くても十分だったらしい(そのために精力増強の効果がどれほどかご主人様も掴みかねていたとのこと)。ただ私たち二人を相手に三回ずつやると、さすがに疲れて寝入ってしまっていたのだが、それが精力増強のおかげか、四回ずつこなせるようになり、逆に私たちの方がご主人様を受け止めきれなくなってしまった(先に寝入ってしまったご主人様を挟んでよく二人で話をしていたものだが、そんな余裕もなくなるほどである)。さすがのロクサーヌさんもメンバーを増やすことをしぶしぶながら承服せざるを得なかった(もちろんフルメンバーでパーティーを組むのに必要だというのが本来の理由である)。(他の種族がどうだか知らないけど)人間って……。
禁欲攻撃の方は最初少し試していたようだ(そう言われてみると確かに心当たりがある。普段のご主人様らしからぬギラギラとした目つきでロクサーヌさんや私を見ていたような気がしたのは気のせいではあるまい)。初めてご主人様が禁欲攻撃を使った時、私はその場には居合わせなかったのだが、ロクサーヌさんも通常攻撃との違いに気づかなかったらしい。ご主人様本人は一応威力の違いが分かったそうだが、そもそも半日禁欲した程度ではその威力もたかが知れているようだ。
そしてご主人様によれば、今では全く使っていないとのこと。自分にはとても無理だと笑って言っていた。この禁欲攻撃というスキルは、禁欲した期間によって威力の増大幅が大きくなっていく攻撃なので、禁欲期間を長く取れば取るほど、それだけ攻撃力が増すらしい(ただし物理攻撃限定のスキルで、魔法には乗らないようだ)。もう一つのスキル、精力増強で貯めた性欲を禁欲攻撃で一気に放出するという意味では、色魔の持つこの二つのスキルの組み合わせは非常に良く出来ていると言える……のだが、果たしてどこまで我慢できるだろうか(ご主人様も私たちも。自分は性欲などに惑わされないとご主人様は強がっていたが、迷宮探索中も常に性的な衝動に苛まれていたようだ。私たちに魅力を感じてくれているということでもあるのでそのことは純粋に嬉しいし、また禁欲攻撃を成功させるためにはどうしても必要なことではあるのだが、(いろいろな意味で)危険極まりないので正直止めてもらいたいところではある)。10日も禁欲すれば、物凄い威力が出せる(ボスも一撃らしい)とのことだが、えっと……そんなにもアレを我慢するというのは……わ、私もイヤだ。
それにそんなものに頼らなくたってご主人様はとても強いんだから!……おっといけない。ただ、ボス戦とりわけ迷宮の最終ボスを相手にした戦いでは、この禁欲攻撃が切り札にもなり得る、それだけの可能性を秘めているスキルであるのも確かだろう(ご主人様もそのことに思い至ったのか、あるときから色魔のジョブを積極的に育てていくことにしたという。それと禁欲攻撃はともかくとして精力増強の方はわりとお世話になっているとのこと。とくに私たちが五人になった今では基本的にこれがないとさすがのご主人様も大変らしい。また禁欲攻撃もそうだが精力増強もその効果が色魔のレベルに依存するらしく、その意味でもこのジョブを育てる意味は大きいそうな。私たちとしても恥ずかしくも有難いことは有り難いが、ここまでくるともはや執念である)。
なおルークと出会う前に、商人ギルドでご主人様が出会った仲買人の男もご主人様と同じ人間族だったのだが、なんとジョブが色魔だったそうだ(色魔についていろいろと教えてくれたのはこの人らしい)。何でご主人様にその人が色魔だと分かったのかも当時は不思議だったのだが、それよりも本当にそんなジョブの人がいることにとてもオドロいた。
しかも色魔のギルドも存在するらしい。もっとも大っぴらに看板を掲げるわけにもいかないので、○△□倶楽部といった無難な名前にしているそうな(もちろん正確な名称はご主人様も教えてもらえなかったとのこと)。その仲買人から、ご主人様はギルドにも誘われたという(断ったそうだが。ご主人様はどこのギルドにも所属するつもりはまったくないらしい)。それはともかくとして、色魔にもギルドがあるとは……やっぱり人間って。
***
そしてこれは私がめでたく鍛冶師になれた後の話である。
いつものようにご主人様が寝入ったあと、ロクサーヌさんと私は二人で話をしていた。今ではそういう機会はほぼないが、先にも書いたように、まだロクサーヌさんと私の二人のときは、眠っているご主人様を挟んでこうやってよく話をしたものである。
「ご主人様はやはりすぐ寝入ってしまいますね」
「そうですね。二人とも三回は大変なのかもしれません」
そう、この頃(まだ色魔のスキルを本格的に使いだす前だが)は私たち二人だけだったので、ご主人様は一人あたり三回は普通にこなしていた(今では五人に増えたのだが、それでも調子のいい時?には一人あたり二回はこなしている)。そしてこの日もご主人様はスゴかった。何がスゴイとか具体的には言えないがとにかく凄かった。
……でも、抱っこしてもらうのはとても好き(何を言っているんだ私は)。
「ロクサーヌさんは大丈夫なのですか?」
「私は全然。セリーは?」
そうか……大丈夫なのか……。
「……まだ体がフワフワしてます……すごい体験をしてしまったようです」
「セリーにはまだ少し大変だったかもしれませんね」
ロクサーヌさんが自分なら余裕ですよと言わんばかりに得意げな顔(こういうのを「ドヤ顔」というらしい)をしている。確かにそれはその通りなのだが……私だって。
「これからもっと慣れていけば大丈夫だと思います」
と思わず張り合ってしまった。ロクサーヌさんが楽しそうにこちらを見ている。あ!
「……いえこれは、もっとしたいとかそういう意味ではなくて……」
どうやら彼女に上手く乗せられてしまったようだ。自分でも顔が真っ赤になっているのが分かる。うぅ。
「そうですか」
ロクサーヌさんはニコニコしている。くそう。
「ふぅ……待遇の見直しでもそうでしたが、これではどちらが奉仕する側なのかわかりません。私が話に聞いていた奴隷像からどんどん離れていきます……」
思わず話を逸らそうとしてしまった。
「ね? 以前大丈夫だと言ったでしょう? とてもよくしていただいていますよ私たち」
確かにロクサーヌさんが言う通りだ。このご主人様に買っていただいて本当に夢のようである。
「それにしてもセリーも可愛がっていただく前に準備をしていたなんて、えらいです」
う゛……実はロクサーヌさんがご主人様と激しく絡み合っているのを見て、思わず自分で……その……してしまったのである。おかげで思わず粗相をしてしまうという……しかもそれをご主人様に見られてしまうという……なんたる失態。本当に恥ずかしい。それだけではない。今の彼女の発言は……もしかしたらロクサーヌさんにも肝心なところを見られてしまったのかもしれない。
「あっ……あの、そのことについてなんですが、ロクサーヌさん……」
「はい?」
「ロクサーヌさんがご主人様に可愛がっていただいているとき……その……どれくらい、私の……こと、見えてました?」
と思い切って私が尋ねると、ロクサーヌさんは人差し指を頬にあてて「ん~」と考えるそぶりを見せてから、
「私もご主人様のお情けをいただくことに集中していたので、ときおり視界に移った程度ですしずっとではありませんが、そうですね……ご主人様の上に私を乗せていただく少し前ぐらいでしょうか。なにかセリーがもぞもぞ動いてるなあと」
「それはほとんどなのですが……」
うぅ……恥ずかしい。
「でもセリーは仕方ないと思いますよ。ご主人様とはかなり体格に差がありますし、しっかり体を暖めておかないと、体を壊しては迷宮でお役に立てなくなりますからね」
体を暖める? いやそういう意味で訊いたわけではないのだけれど……。いったい彼女は私のその……行為をどうとったのだろうか。
「え?……そっそう……ですね」
聞きなおすのもちょっと憚られる。
「わ、私達もそろそろ寝ましょうか」
「そうですね」
「おやすみなさいロクサーヌさん」
「セリーもおやすみなさい」
「………ちなみにロクサーヌさんはいつも平気なんですか?」
もう寝てしまおうと思ったのだが、やはり気になるので思い切って彼女に訊いてみた。
「はい。お風呂で十分ほぐれているので」
「お風呂で!?」
え? え? あんなところでいつの間に??
後から考えてようやくどういうことなのか分かった。どうも彼女は私が柔軟体操でもしていたと思ったらしい。こういうところがロクサーヌさんらしいと言えばらしい天然ぶりである。本当は違うのだが、まあそういうことにしておこう。しかしご主人様にこのやりとりを聞かれなくて良かった(注:実はしっかり聞かれてました)。