憑依物語   作:そりゃないわ

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#前回のあらすじ


貴方の事がしゅきだからぁぁぁぁあ!

byeダリア


10話『大成、冒険者ギルドへ』

「フッ!フッ!」

 

「沈む太陽」での一夜が明けて、まだ太陽が差し掛かり始めた時間帯。

 

俺は部屋の中であの奴隷商人の手下から頂いたサーベルを剣に見立てて振っていた。

 

これから冒険者として、活動していくなかで馴れてきてるとはいえこの身体じゃ、いつか意識と体で足を引っ張り合う事態が発生するかもしれない。

 

やらないよりはましだと思ってる。

 

「·····しっかし直剣と湾曲剣だと大分違うなぁ」

 

幾ら直剣に見立てて振っても、5回に一回は風の抵抗かずれてしまう。

 

「まだ奴隷商人からぶんどった金があるから、ギルドに行く前に何か見繕うか」

 

取り敢えずサーベルを鞘にしまってベットの上に放り投げる。

 

続いて体術の練習、正拳突き、手刀、徒手空拳から始まって足技も組み込んでく。

 

どれほど時間がたったのだろうか、この世界に来てから初めての明朝特訓で気が高ぶっていたのかもしれない。

 

窓から見える小道は相変わらずの日陰オンリーだが、大通りの方から僅かではあるが軽い喧騒が聞こえてくる。

 

「······熱中しすぎたな「トントン」はい?」

 

『ダリアです、レイグ様、ミランダさんが朝飯の準備が出来たって言ってたので呼びに来ました』

 

「あぁ、わざわざすまないな」

 

ガチャっと扉が空いてダリアが入ってくる。

 

「レイグ様、今日は冒険──」

 

何かを言いながら中に入ったダリアはドアを閉めて俺に向き直るとカチンと固まった。

 

「ん?」

 

どうしたんだと思い、ダリアを改めて見るとその視線は俺·····というよりは俺の胴体に定められていた。

 

「あ·····っとそうだ、俺上裸だった悪いな」

 

「··········」

 

ダリアは顔を赤くして黙っていたが

 

 

 

「·······どうぞ」

 

目を細め若干顔を反らして流し目で俺を見てきた、手は後ろに組んで胸を突き出すポーズである。

 

「何が!?」

 

宿屋から響いた俺の叫び声に近くを歩いていた人はビクゥっと肩を揺らしたらしい。

 

 

ーーーーーー

 

「ギルドに行ってくるのかい?」

 

「はい、まず顔を出さないと行けないみたいなんで、それにせっかくだし余裕あればクエストも受けてみようかなって」

 

朝飯を食べ終えて冒険者用の服に着替えた俺とダリア、ダリアはどうやらローブとかはあんまり好きじゃないらしく、動き安い近接戦闘向きの装備を拵えていた。

 

そっかそもそも、ダリアは魔防が高めなんだよな。

 

「まぁ、ダリアもいるみたいだし心配は要らないみたいだけど、気を付けて行ってくるんだよ」

 

「まぁまぁ、ダリアちゃんの話によるとレイグもそこそこ出来るんだろ?」

 

「そうですね、正直私が驚いてるぐらいです」

 

昨日ミランダ達夫婦の夕飯にお呼ばれした時、2人ともダリアにあれこれ聞いていた。

 

だからかそこそこの力を持っているであろうダリアなら俺を任せられると信用したらしい。

 

ただ、その際·······いや、これは後で

 

「じゃあ、行ってきます!」

 

「行ってきます!」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

気持ちの良い笑顔で俺達は見送られたのだった。

 

ーーーーーー

 

どうやら冒険者ギルドの建物は大通りの一番奥にあるらしく、俺達は朝早くから開いてる露店を見ながら奥へと進んだ。

 

「すまない店主、このサーベルをやるから少しまけてくれないか?」

 

道中寄った露店は武器を扱ってるみたいで、直剣も置いてあったので値段を聞くと、金貨1枚ぽっきりと返ってきた。

 

払えなくも無いが、もしギルドでの話が長引いたりしたら結局収入はゼロなので少しでも安く買えないかと持っていたサーベルを渡す。

 

「へぇ、大分綺麗に研いであるなぁ、状態もかなり良い」

 

店主が割りと本気で感心したような声音で、続ける

 

昨日、時間かけて整備したのが吉となったようだ。

 

「良いぜ、このぐらいなら此方が喜んで買い取りたいくらいだよ」

 

そう気前良く言ってくれたので、物々交換にして貰った。

 

「凄いですレイグ様!」

 

「いや、逆にカッコ悪い所見せちゃったな、物々交換なんて」

 

そう言うとダリアはとんでもない!と身を乗り出してきた。

 

「経済的に余裕が無い状況で変に見栄を張るより、どれだけ良いものをどれだけ好条件で手に入れると言うのは。それだけで計画性を感じ取らせて、男女とわず安心出来ます」

 

ダリアは頬を紅潮させて続ける。

 

「寧ろレイグ様の場合先程みたいな謙虚より、俺に着いてこいぐらいの強きだと私がぬr───安心出来ます」

 

「分かった!分かったから落ち着け!」

 

人の視線が集まって来たので逃げるようにその場を離れる、つかこいつ何か言い直そうとしてなかったか?

 

そうしていると目先にでかい建物が見えてきた、やっぱりでかいなギルドは

 

 

「─────」

 

「?レイグ様どうし」

 

 

一瞬立ち止まり再び歩きだした俺にダリアは歩調を合わせつつ、尋ねようとした

 

 

 

『おい、レイグだぜ?生きてたってマジだったのかよ』

 

『だから言ったろう、しかも記憶喪失だってよ』

 

『記憶を失っても、ギルドにくるって····他に仕事無かったのかしら』

 

 

俺達の近くを歩いている他の冒険者らしき集団が此方をチラチラ見ながらそう言った。

 

これは········

 

「っこいつら」

 

「ストップだ、ダリア」

 

「何でっ·······」

 

ダリアが目に殺気を走らせながら掌を構えるまえにその手を握り締めて止まらせる。

 

「あいつらが言ってるのは俺じゃないこの世界の俺だ、だから俺は気にしない、だからお前も気にするな」

 

「だからって····」

 

それでも納得のいってないダリアの手を強く握り締める

 

ビクッと反応したダリアにだけ聞こえるようにいう

 

「俺もムカつくが、それでもお前が俺のために怒ってくれることの方が嬉しかったぞ?」

 

本心を伝えるとダリアは顔を真っ赤にして俯いた、可愛い。

 

「レイグ様は優しすぎます」

 

「それほどでも」

 

どこか膨れたようなダリアにそう返すと「もうっ」と拗ねたように言って破顔した。

 

周りを瞬時に見回すと、ギルドが近いのもあって冒険者の数が急に増えてきた。

 

 

 

 

────7割

 

今周りにいる冒険者達から感じる悪意ある視線の割合だ、残りは無関心、安堵の視線も感じるが·····

 

「(これだったのか、お前の帰りを待つ人達がいるにも関わらずお前が諦めた理由は)」

 

 

分からなくもない、荷物持ちしかさせて貰えない毎日、きっと嫌がらせの毎日だったろう。毎日が悪意に晒される日々だったのだろう。

 

でも、やっぱり

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は馬鹿だ、レイグ·アーバス

 

 

アリスもそう思うだろ?

 

そう心の中のアリスに言うと、アリスは得意気に頷いて「アンタより馬鹿ね」と笑顔で言った

 

悪意を感じるぜ······

 




ダリア「節約は基本です!」

レイグ「たまには豪遊もしたいけどな」

ダリア「良いですね!豪遊!」

レイグ「··········」
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