憑依物語   作:そりゃないわ

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#前回のあらすじ


?「待たせたなぁ!」


12話『大成、覚悟を聞く』

静止の言葉を投げかけた男

 

レイグの前に立つ冒険者の男が震えている。

 

「ぎ·····ギルマス····」

 

「おめぇら一体どこで問題を起こそうとしてやがる」

 

淡々とした口調でそう語るギルドマスター改め、ギルマス。

 

「へ、へへ!これは違うんですよギルマス、レイグが無事帰還したとはいえ記憶喪失だったって言うじゃないですか、ここは先輩として冒険者のいろはを再び」

 

「ほう?堂々とお前の女寄越せ発言をしていたらしいが?」

 

「そ、それは····」

 

言い訳する暇もない冒険者の男は顔をひきつらせる、ギルマスは更に畳み掛けた。

 

「証拠云々は言わせんぞ?あの現場は他の冒険者やギルドの職員だってバッチリ見てる

 

 

 

───不当な脅迫行為は、冒険者資格剥奪、までは到底及ばないが監視付きで、3週間の謹慎」

 

「そんな!」と悲痛を訴える男だが無機質なまでに淡々としたギルマスに何も言うことが出来ず項垂れた。

 

すぐさま駆けつけた憲兵に気絶した男と俯いた男を引き渡すとギルマスはレイグに声をかけようとして

 

「っ·······(これが「あの」レイグ·アーバスか?確かに記憶喪失と報告は受けたが·····性格改変どころじゃない

 

まるで抜き身の刃)」

 

レイグはダリアを背に庇うように立っているだけだ、警戒するどころか殺気を放ってすらいない。

 

それでもギルマスは知らずのうちに息を呑んだ。

 

思わず鑑定スキルを発動させてしまった

 

「(レベルは5、ステータスだってそんな秀でた物があるわけではない、確かに高いが······)」

 

引退した身ではあるが元はSSランクとして名を馳せていたギルマス、腕は落ちたかもしれないがそれでも──

 

「対面して早々、覗き見した成果はあったかい?ギルドマスターさん」

 

「!?」

 

はっとなってレイグに意識を戻す。

 

レイグは相変わらずの直立不動、しかしギルマスは自分の首に剣の切っ先を突き付けられているような感覚に襲われた。

 

ステータスや経験も目の前のレイグより遥かに上の筈なのに何故、動揺していたギルマスは何かを言うことが直ぐに出来ず黙ってしまった。

 

「······話が出来そうな人で良かったよ」

 

そう言ってレイグは軽く脱力した、解放されたギルマスは軽く息を整えて改めて口を開いた

 

「いきなり鑑定を使って悪かったな、大丈夫····わ聞くまでも無いな。」

 

「気にしないでくれ、アンタの判断は正しい」

 

助かる、と言ってギルマスはレイグの後ろにいるダリアに目を向け、軽くではあるが低頭した

 

「うちの冒険者が迷惑をかけた、すまない」

 

「····いえ、これは私の問題でもあるので気にしないでください、本来なら私一人で対応出来る場面だったので」

 

「··········」

 

訳ありなのだろう、顔色はまだ幾らか悪いその少女を見てギルマスはまた低頭した。

 

「······ギルドマスターさん、俺達は少し遅れてから向かう」

 

ダリアの背中をさすっているレイグを見て察したギルドマスターは「俺の部屋は2階の一番奥だ」とだけ言って去っていった。

 

少しすると「見せ物じゃないぞお前ら!」と怒声が響いてきた、軽く人払いをしてくれたのだろう。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

「レイグ様」

 

その場に2人きりになった俺とダリア、するとダリアが目に涙を浮かべて謝ろうとしてきた。

 

「ごめん、ダリア」

 

だから俺は謝罪を被せた。

 

「俺があまりにも身勝手で考えたらずだった」

 

今回ダリアは俺の都合に巻き込まれただけだ、二日程前までダリアは奴隷だったのだ

 

少し考えればわかるはずだった、ああいった視線がダリアにとってどれだけの傷を与えるかを。

 

ダリアの明るさ、優しさに俺は甘えていた。

 

「違います、違うんですレイグ様···レイグ様が謝る必要なんてどこにも無いんです!」

 

ダリアは首を振りながら否定した。

 

「私がレイグ様に助けて貰って、奴隷紋からも解放して貰って、仲間にして貰えて、幸せで····だから私忘れてたんです!私こそ貴方に甘えていただけなんです!

 

 

私はあの目から逃げていただけなんです!もう奴隷にならないからって!あの目で見られる事は無いんだって簡単に決めつけてただけなんです!」

 

「それは!───それはそうかもしれないが、それこそ俺が気付くべきだった、お前は美少女だ、雑魚冒険者なんて評価をつけられている俺と一緒にいればダリアがそういう目で見られるのは分かっていた筈だった、それなのに何もしなかったんだぞ

 

俺は大切な仲間であるダリアより確実性もない曖昧な目的を優先したんだ」

 

ダリアはその言葉にやはり静かに首を振った。

 

嬉しそうにそして申し訳なさそうに笑って「やっぱりレイグ様は優し過ぎるんですよ」と呟いた。

 

「私はレイグ様の目的を知ってます、それでも私は貴方と旅をしたいと思ったんです。

 

元を正せば私の覚悟が足りなかったんです。

 

私はあの時怯えて縮こまってる場合では無かったんです」

 

「─────」

 

ガツンと頭を殴られたような気分とはこの事だろう

 

 

俺はあの時、欲望やら悪意の視線に去らされていたコイツに何て言おうとしていた?

 

 

───お前今日は休んでろ?

 

こんなの「お前邪魔だからどっか言ってろ」って言ってるようなものじゃないか。

 

······ダリアは笑っているが、その顔は自責の念に染まっていた。

 

何かをいいかけているのか、そしてその何かはとても辛いことなのか目尻に涙が溜まっていた

 

ダリア、何を考えている

 

嫌な予感を覚えると共に、一つの事に気付いた。

 

 

 

 

俺達は仲間になって日が浅い、浅いなんてもんじゃない、まだ1日しかたってない。

 

言い訳する訳じゃないがこれって····

 

「ダリア」

 

「······?」

 

「俺達、お互いに知らなさすぎたんだな」

 

「あ·············」

 

 

たったそれだけの話、そもそもダリアと出会ってからゆっくりする時間なんてほとんど無かった。

 

「それは·····駄目ですね·······」

 

「俺達、謝ってる場合じゃないよな、でもやっぱりごめん俺ダリアの覚悟を踏みにじりかけてた」

 

「····私の方こそごめんなさい、レイグ様だって責任を感じてらっしゃったのに」

 

何か謝ってばっかりだな俺達、向こうも同じことを考えていたのかお互いにクスッと笑った。

 

 

「·····ダリア」

 

「はい」

 

「······これからだな」

 

「はい♪」

 

本当にこれからだ

 

ーーーーーー

 

 

 

ッバアアァァン!!!!

 

 

「!?!?!?!?!?」

 

閉まっていたギルドの入口の観音式の大きい扉を思いっきり開け放つも

 

中にいたかなりの数の冒険者やギルド職員達は体をビクゥとさせて一斉に此方を向いた。

 

 

「オラオラァ!ギルマスはどこだおらぁ!?去り際に何か言ってたけどボソボソ言っててきっこえねえぇぇんだよ!!」

 

「~~~~~~」

 

ヤンキーが入ってきた

 

 

失礼、レイグが入ってきた。

 

大分離れた所でダリアが恥ずかしそうに俯いてその後を着いてくる。

 

「れ、レイグ君!?」

 

「ぁあん?誰だアンタァ?」

 

キチガイみたいに周囲にメンチを切りながら歩いてると受付カウンターにいた一人の受付嬢が慌てて飛んできた

 

「だ、誰って、そっそっか····記憶喪失なんだよね···私は───」

 

「んなこたぁどうでもいい!とっととギルマスだせやぁ!」

 

「ひゃあ!?な、何ですか貴女ぁ!?」

 

今度はレディースの総長が受付嬢を超至近距離でメンチ切った

 

 

失礼、ダリアが受付嬢にメンチを切った。

 

「何やってんだおめぇらは······」

 

そしてその様子を見ていたギルマスは顔をひきつらせながら2人をギルド長室に呼んだのだった。

 

 




~ギルド前~

ダリア「き、緊張してきました!」

レイグ「こういう時はな、見てろよ?」

ダリア「はい!レイグ様!」


バアアアアアァァン!!

ダリア「···············」
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