憑依物語   作:そりゃないわ

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#前回のあらすじ



村長のブリッジにおっちゃんのリンチ現場と言うパワーワード


22話『大成、街に帰り···』

「手掛かり、ですか?」

 

 村から馬車に揺られて、1日ぶりに帰って来たストルの街、たった約一日離れていただけなのに何故か久しぶりと言う感慨にふけるレイグとダリア。

 

 特にレイグは数時間の長時間戦闘から、あんまし休んでいない為、荷台の上では爆睡だった。

 

 そして、門番のアレスに挨拶をして中に入った。

 

 御者は、馬車を戻してから自分の宿屋に戻ってこれからの事についてゆっくり考えたらしい。

 

 元々は出稼ぎも兼ねた仕事だったらしく。リデア村の事情が変わった事で、手助けしたいと思っていたらしい。

 

 そう言って「本当にありがとーなぁ!」と別れ際に叫んでいた御者にノッたレイグが「感謝しろよぉ!」と叫んだ、ダリアはギョッとして慌てながらレイグの腕を掴んで引き摺った。

 

 取り敢えずは依頼達成の報告をするため、大通りを歩く途中で、レイグがブラッディウルフとそれを操っていた男の事を話していた。

 

「あぁ、その男に会いに行きたくても、場所もなんも分からなくてな」

 

「「大成の器」を知っているかのような口振りだったんですよね?」

 

「あぁ」

 

 聞き直してくるダリアに頷くレイグ

 

「うーん、教会本部、とかですかね?」

 

「あぁ、それは俺も考えた、でも仮にも女神を崇拝する信者の大元が魔物を操って怪物行進起こそうとしてたなら。偉い問題だよな···」

 

「むぅ····」

 

 元はと言えばレイグが容赦無しにブラッディウルフを殺してしまったから大した情報も得られず終いなのだが、本人はそんなこと当に忘れているらしい。

 

「案外魔王が知ってたりして······」

 

「·······有り得るな」

 

「え?」

 

 むしろそっちの方が可能性高そうだな。とこれからの方向性を内心固めていくレイグ。

 

 ダリアはそんな大事な事に関わることなのに、そんな適当な方向性の決め方で良いのかと不安になる。

 

「良いんだよこんなもんで、どちにしろ長丁場になる覚悟はしているんでな。でも当分は此処を拠点にするつもりだ」

 

 不安そうなダリアを安心させるように頭を撫でて言うレイグ。

 

「な、何か気になることでも?」

 

 自然と撫でられて、赤面しながらも質問するダリアにレイグは今自分がしていることに気付いて慌てて「悪い!」と謝って頭から手を離した。

 

「あ······」

 

「あー、気になるって言うか、ほらさ魔王とかさ、もしも関わることも視野にいれるならさ。多分色んな所回るだろ?だから二人分の旅費とかさ、後は少しでも、レベルとか上げないとな」

 

 名残惜し気に頭を撫でたダリアだったが、レイグの口から自然と出た「二人分の旅費」と言う言葉に口元を緩めた。

 

 「(っしかし、前の視線は論外だがこの視線も何かやだなぁ)」

 

 レイグは談笑しながらも、周りからヒシヒシと感じる視線に内心溜め息を吐いた。

 

 先日のギルド裏での騒動が原因だろうが、恐らく目撃者が多数居たのもあるのだろう。悪感情しか感じなかった視線が関心や挑戦的、疑心を含んだ視線にシフトチェンジしているのである。

 

 ダリアに関しては素直に凄いとレイグは思った。今だダリアに向けられる視線の多くは劣情、欲望が殆んどだが、全く気にしている様子が見受けられなかった。

 

 ───俺と一緒に居る為なんだよな──

 

 自惚れじゃなければ、ダリアはそのようなことを言っていた、とレイグは思い出す。それに昨日のあの森での事も。

 

 レイグは色恋に疎くはないが別段鋭くもない、それでもこれまでの態度、又は露骨なまでの肌のふれ合い。それで察する事が出来ないほど鈍くも無い。

 

 それに対して満更じゃない自身の事も分かってるつもりである。じゃなければ何時かくるダリアとの別れに胸を軋ませなんかしないだろう。

 

 つまりこの男、大切な幼馴染みがいながらにしてダリアの健気さに意思がぐらんぐらんなのである。

 

「(参ったな····)───ん?」

 

 割と本気で困っていると(自業自得)周りから刺さる視線の中に覚えのある視線を感じた。

 

「(あいつか)」

 

 昨日、ギルドの前や中で騒動を起こした時に感じていた此方を探るような視線

 

 その主へと目を向けると、大体同い年であろうか、背中にパルチザンを差した女の子が居た、反対側をレイグ達と同じ方向、同じ歩幅で歩いている。

 

 どこか上品な佇まいをしており、軽合金を含む鉱石で作ったのか華奢な印象を受けるプレートアーマーを装備している、背中の真ん中まで伸びてる白みがかかった青い髪をポニーテールに纏めている。

 

 微動だにしないその少女はパッチリとした紫の瞳を瞬きもせず此方をじー、と見ている。

 

「!!」

 

 レイグと目が合ったことに気付いた少女は一瞬びくっと反応したあと、また「むぅ」と言う感じで再びじー、と見てきた。

 

「(あーもー、何で目合わせちゃうかな俺は、どうしよう、何かクール装ってるけど何か関わりたくないなぁ、)」

 

 そんなレイグの様子に気付き、流れで件の少女に気付くダリア、じー、と睨むようにレイグを見る少女とどこか困ってるレイグを見比べる。

 

 ピコンと火の玉を浮かべたダリアは

 

「オウオウそこのめんこい嬢ちゃんよぉ!旦那に何か用があんのかごらぁ!?」

 

「コラコラコラコラコラ」

 

 取り敢えず絡んだ。

 

 レイグは必死に止めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

「すみません·····」

 

 場所は代わって、近場の喫茶店、ギルド内の飲食スペースでも良かったのだが、少女曰く「落ち着いて話せないし、邪魔されたら嫌だから」らしい。

 

 その場の勢いで絡んでしまったダリアは顔を真っ赤にして謝っていた。

 

「まぁ、許してやってくれ、悪気は無いんだ」

 

「大丈夫、何となく分かるから」

 

「ありがとうございます····」

 

 取り敢えず、ダリアも落ち着いた事で場も整ってレイグが本題に入る。

 

「あー、いきなり聞くが何で俺達を見てたんだ?昨日から見てたよな?」

 

「え!?」

 

 ダリアが驚いて、少女はコクリと頷き口を開いた。

 

「不快だったなら謝る」

 

「いや、それは別に構わないさ、で、何で?」

 

「······見定める為に見ていた」

 

「見定める?」

 

「·····自己紹介、遅れた」

 

 ハッとなった顔で呟いてから少女は低頭した。

 

「私は、カーラ、カーラ·ヴァネスティラ·····一応領主の娘で次女」

 

 どこか言いづらそうな顔でそう言ったカーラ、レイグは「次女」と聞いて大体の予想がついた。

 

 レイグ達も挨拶を済ますと。

 

「単刀直入に言う、私を一定期間で良い

 

 

 

 

パーティーに居れて欲しい」

 

 淡々とした口調でそう言ったのだった。




めんこい

·北海道でかわいいと言う意味、異世界属性は全くの0である。
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