#前回のあらすじ
レイグ「お前ら、中々やるじゃねえか」
カーラ「おめぇもな」
ダリア「おめぇもな」
レイグ「!?」
大体あってると思うm(_ _)m今回は少し長めです。
「はっ!」
カーラがモンスター軍団、第二派最後の一体に止めを刺して、スケルトンソルジャーから力が抜けるのを確認してから槍を引き抜いた。
ガシャンと音を立てて崩れ落ちる様を見届けているカーラにレイグとダリアが歩み寄った。カーラ、ダリア共に初めての乱戦だったのか、どこか憔悴した様子はありつつ二人とも何処か気が昂っている様子だった。
レイグはそれを見て、仕方ないと思った、ああいったダンジョン内での乱戦等はまず無い。というのもまずダンジョン内で遭遇するモンスターパーティーなぞ、精々多くて5~8体ぐらいだ。
たが、今回みたいな大量出現と言うのは全く無いわけではない、カーラがやらかしたみたいに大声で叫ぶ、若しくは大きな音を出すことで確証は無いが多分ダンジョンに「危険視」される事で異分子を排除しようと「駆除命令」が出ているんだとレイグは経験上思ってる。
「どうだ?暴れまわった気分は」
「凄かった、本当に自分なのか疑った」
目をキラキラさせながら、鼻息荒くカーラはそう口にすると、ダリアの方を凝視した。
あまりの目力に、びくってなるダリアは「な、何ですか?」と言ってレイグに隠れるように後ろに回った。
どうやらカーラの目が血走っていて、怖かったらしい。只事じゃない感じを匂わせる目力といい迫力は凄まじかったのかレイグも頬が轢き吊るのを感じた。
「ダリア、貴女上級魔法使えたの?」
「え?は、はい····何発もは撃てないですけど、他にも何個かは」
「見せて!」
「アホか」
レイグはそう突っ込んで、デコピンをかました、ベチィッ!と凄まじい音を立てて顔を仰け反らせるカーラは「おごぉ」と年頃の女の子が出してはいけない声を発した。
溜め息を吐いたレイグ、カーラを見る限りさっきの事は反省してはいる様子を見せてはいるが······
額を押さえて此方を涙目で睨みつけるカーラ「冗談なのに」と呟いているが、彼女は一度その冗談を言ったときの顔を鏡か何かで確認した方が良いだろう。
気付けば戦闘後の緊張感が程好く解れたのかな、3人は壁に寄り掛かる。
「でも確かにダリア凄かったよ、俺も驚いた」
「え?あ、あの、ありがとうございます」
顔を赤くしてしどろもどろになるダリア、レイグに褒められた事が嬉しいのか、口元を緩めている。
レイグがそういった嘘を吐かない性格と把握しているからこそ余計だ、レイグは勿論カーラだってそう思った。ダリアはLv18にも関わらず中級、上級を一発にずつ、その後は第二派の時に初級魔法の詠唱破棄しての連発での大立ち回り。
確かにダリア自身のスキルの恩恵がでかいのは頷けるがカーラの槍の技術と同じく、中級魔法を使った後、数分後に上級魔法を使うというのは、中々難しい、当然脳への負担も違う。詠唱と言う「省略してくれるプロセス」があるから、魔法の構成もスムーズに出来ているが、それでも脳に負担はかかるのだ。
初級魔法の連発に関してはスキルに助けられたが、それでも十数発をインターバルほぼ無しで撃ち続けるのは、Lv18のダリアでは負担がでかいはず
「ダリア」
「?どうしましたレイグしゃま!?」
レイグは此方に振り向いたダリアの額にそっと手を添えた、ダリアは額に感じるレイグの感触にパニックを起こしかけるが、添えられている掌が青白く光ると、倦怠感に苛まれていた感じが消えて、すぅ····と冴えていくような感覚を覚えた。
ダリアの反対側にいるカーラはその様子を見て「綺麗···」と呟く。薄暗いダンジョンの中、青白く光り、周囲には青白い魔力の粒子が漂っていて、カーラの言う通り幻想的な空間を作っていた。
「魔力までは流石に回復は出来ないが、少しは楽になったか?」
「·········ふぁい」
どこか呆けるような声音で返すダリアはやはりぽー、とした顔でレイグを見つめていた。よしっと言ってレイグはダリアから手を離して立ち上がる。
「·········」
「·········その手は?」
立ち上がったレイグに続いて、名残惜しそうな顔をしたダリアが立ち上がって腰回りを手で払う。が、カーラは立ち上がらずレイグを見上げたまま掌を掲げている。
レイグはそれを見て察したのか、「困った奴だなぁ」と苦笑いして、頭に手を置いた。
「体力までは回復出来ないからな?、精神力で我慢しろ」
「うむ、仕方ない─あ、嘘ですごめんなさい」
どこか偉ぶったような態度を取ったので、半分本気でやめてやろうと手を引いたら素早く謝って来たので、仕方なく回復してやるレイグ。
「───私は冒険者としてやってけるかな」
ぼそりと呟かれた言葉は、普段の感情の起伏が分かりづらい何時もの声音ではなく、不安が籠った声音だった。
カーラ自身、今日の戦闘自体かなりの手応えを感じていた。Cランクダンジョンとは言え大分奮闘したという自信はある。だから不安なのだ。
この自信が「自惚れ」にしか過ぎないということになったら。その様子を見てダリアとレイグは顔を見合わせて、やがてにっと笑った。
「「当然!!」」
ーーーーーーーー
「じゃあ上がるか」
ドロップしたアイテムをある程度拾って、今日は切り上げると言ったレイグに二人は頷きレイグの元に集まる。
集まったアイテムはどれも骨系統の物ではあるが、やはり質は良さげなものが多かった、加工に使えたり出来るだろう。後はギルドに買い取ってもらえれば中々の値段になりそうだとレイグは満足気だ。
「───おおい!大丈夫かぁ!?」
その時、レイグ達が入り込んできた道とは反対側から、4人組の冒険者パーティーがやって来た。見た感じ剣士二人男に魔法使いらしき女、弓使いらしき女が一人と言う中々バランスが取れたチームだ。
カーラが目をキラキラさせている、今にも何かを叫───びそうだったけど、ダリアが首筋トンして眠らせたので問題は無かった、レイグは何も見ていない。
うん!今日も晴天である(ダンジョン内)
「俺達が戦ってた、骨供が一斉に逃げ出したから、しかも叫び声まで聞こえたから「もしかして」って·········」
うちのポンコツランサーがすいません、とレイグは本気で頭を下げようと思った。しかし男達は口をポカンと開けて俺達──というよりは広間を見ていた。
「心配をかけて悪い!この通り何とか対処したから問題はないよ」
「え?あ、あぁ、無事なら良いん····え?」
「もしかしてこの落ちてるの」
「全部ドロップした奴····!?」
ーーーーー
「わ、悪い呆然としてた·····」
「君達凄いね!これだけの数、」
彼等はストルの街で活動している冒険者では無く、王都からやって来た冒険者らしい、何でもリーダーのバズがストルの街出身らしく帰省ついでに、新参者のダンジョンを調べに来たらしい。
「心配かけた御詫びだ、ここにあるドロップ品持っててくれて良いよ」
そう軽々と言ってのけたレイグにバズ達は目を剥いた。
「い、いやいや流石にお前さ」
「良いの!?ありがとう!」
「丁度頑丈な矢筒が欲しかったんだよね!」
「ありがたや!!」
「おめぇらぁ!!」
仲良いな、と微笑ましく見るレイグとダリア、どこか荒くれ者の印象を受けるバズだが、かなりの気苦労をしているみたいでレイグは思わず苦笑いした。
謝ってくるバズに「いいって」と返すレイグ、元々このドロップ品目当てではないし、ドロップ品だって持てる数は持った。
「ありがとうなレイグ、全然足りねぇがこれだけは受け取ってくれ!じゃなきゃ流石に収まりつかねぇ!」
そう言って硬貨が入ったような音を鈍く響かせる巾着袋をレイグに渡してきた。
「·····まぁ、じゃあ有り難く頂くよ」
そこまで言われてしまえば、レイグも素直に受け取るしかなく、礼を言って受け取った。
再び礼を言ってくるバズ達冒険者に手を振ってその場を離れようと足を動かそうとして
「?·······」
「木の枝、外から持ってきちゃったみたいですね」
「········みたいだな」
胸当てにくっついていた木の枝を見つけた、しかも生木、ダリアが言うように外から持ち込んだんだろうと当たりをつけて·····
「············」
だが何故か気になってしまったレイグはそれをポーチの中にしまいこんだ。
ーーーーーーーーーー
「はああああああああああ!!!」
洞窟内に少年の声が響き渡る、顔立ちが整った金髪の少年は叫びながらその手に眩い金色の光を放つ剣を振りかぶった。
『人間が舐めるなよ!』
その凶刃が振るわれる相手は、人間と同じ体躯を持ちながらも肌は浅黒く、目の球結膜は黒で瞳は金色と言う、一般的な人間の容姿とは離れていた、更には頭部に生えた二本の捻り曲がった角。
『はあっ』
魔人、と呼ばれる男はその斬撃を障壁で防ぐ、魔力と障壁がぶつかりスパーク音が鳴り響く。
「リサ!」
「分かってるわ!」
一瞬歯を食い縛った少年は直ぐ様、味方である同い年ぐらいの剣を構えた少女に指示を飛ばす。
燃えるような赤いロングヘアの髪の凛々しい顔をした彼女は待ってましたとばかりに魔人の後ろから現れた。しかし魔人はこの襲撃にも気付いていたのか。再び障壁で防いだ。
リサの整った顔が悔しげに歪む。
『フハハ!惜しかったな?だがそうも殺気を迸らせていたら嫌でも気付いてしまうさ!』
愉快、と嗜虐的な顔をする魔人、そして新たに二人に向けて魔法を放とうと魔力を高めて。
「───凍てつけ」
その体躯を瞬時に凍らせた。抵抗も無く、一瞬で、人を構成する全ての要素を凍らせ、その勝ち誇った愉快を顔に孕みながら呆気なく魔人はその生を閉じた。
金髪の少年はそれを見て死んだと確信してから反対側のリサとハイタッチをした。
「あぁもぅ、私の出番が少ししか無かったですっ!」
一番後方に控えていた、法衣を見にまとった少女がその綺麗な銀髪を靡かせて不満そうに叫んだ。
「ふふ、リリアンが周囲のモンスター達を惹き付けてくれたから楽に倒せたよ」
リリアンと呼ばれた少女はその可愛らしい顔を膨らませて怒っているが、愛嬌があって大して怖くないのでその場が和やかになるのが分かる。
そんな彼女に文句を言われた彼女は金髪のポニーテールを揺らしながらカラカラと笑った。
リリアンは「むぅ」と唸って、やがてジト目でそばにやって来た剣士二人を睨んだ。
「そもそも、最初からリサさんとアレックス君が、「剣聖解放」と「勇者解放」を使ってれば終わってたんじゃないですか?」
「まぁ、なにはともあれ俺はお前達を信じてたさ」
そう言ってアレックスはリサとリリアンの頭に手を置いてニカッと笑った。
「······お前は調子が良いな」
「むぅ······もっと撫でなさい」
思いっきり話題を反らしたアレックスに呆れながらも顔を真っ赤にして嬉しそうにしているリサとリリアン。
アレックスはそれを満足気に見やって、気付けば自然にその輪から外れていた魔法使いの彼女に笑顔を向けた。
「ナイスフォローだぜ
アリス」
「本当よ」
呆れたように「勇者」「剣聖」「聖女」を見ながら、やれやれと「賢者」アリスは笑った。
首トンで気絶させるっ実際には無理らしいんだが········俺は信じるよ、ご都合主義、って奴をさ