憑依物語   作:そりゃないわ

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#前回のあらすじ


定期的に口が悪くなるレイグ君


33話的な話

 

『クエストで勝負·······?』

 

『どういうこと?』

 

 目の前のギルマスが放った言葉が、混乱や動揺を産み一度は収まった筈のざわめきやら騒々しさがまた甦った。

 

 流石に訳が分からなく、視線で問うと、ギルマスはニヤリと不敵な笑みを浮かべながら続けた。

 

『何、簡単だ、おい小娘、その依頼用紙に付いている至急印はレッドリザードの討伐、そして希望要件ではあるが「クイーンリザード」の調査、又は撃退っつう内容だろ?』

 

 至急印と言うのは文字通り緊急性が強いクエストだ、例題を挙げると、依頼主が「金は積む、だからこの内容を3日以内に完遂してくれ」などといった此方の事情を一切無視したクエストの証である。

 

 難易度に応じての依頼報酬に加えこの至急印を付けるのに掛かった金額がプラスとして加算されるのだ。

 

 「なぜ分かった」と驚くカーラにギルマスは意味ありげにフッと笑った。カーラ、分かった理由は多分至急印付きのクエストがそれしか無いからだよ。

 

『俺はな、別にギルド内や表で問題さえ起こさなければ、引き抜き活動だって何だってしていいと思ってる

、だがさっきみたいに相手を馬鹿にして、半ば強引に引き抜き活動をするってのが見ててウザかったからこうして提案したわけだ』

 

 どこか説得するような口調で語りかけるギルマスに男達が幾らかたじろいだ。

 

『だからこうして公平になるよう提案してるわけさ、「このクエストの討伐数やクイーンの調査、又は撃退の報告」で勝ち負けを決める、勿論勝者はクエスト報酬を貰えるし、相手の可能な範囲で敗者への命令件をやる』

 

 さらっと息を吐くように職権乱用発言をしたギルマスに頭痛を覚えた、俺達のステータスを見せた時の仕返しだろうか。

 

 まぁ、丸く収めるにはこれしか無かったのか?これだったら勝者は美味しいだけだし、ギルドだって「至急印付き」何て厄介なクエストを処理できる。

 

 暫く呆けていたが、ギルマスが言った事を理解したのか喜色を浮かべる男達、あからさまに俺に嗜虐的な笑みを向け、ダリアやカーラには無遠慮な視線を向け始めた。

 

『ギルマスも話が分かってらぁ!おい落ちこぼれ、分かってるよなぁ?』

 

 ニタニタ気色悪い笑みでこっちを見てきたので「あーハイハイ」と手で、しっしっと振ってやったら見事に顔を真っ赤にした。

 

 ダリアやカーラも問題ないと言わんとばかりに頷いた。その間にカーラから預かった依頼用紙を確認していたギルマスが口を開いた。

 

『期限が今日含めて4日か····よし、明日出発にして二パーティーは別々なルートで山に入る、2日後の昼頃までがタイムリミットだ、後言っとくが不正なんて出来ると思うなよ?俺が現地で監視してるからな』

 

 ギルマスはそう言って「俺が受注処理しといてやっから」と言ってカウンターの方に歩いていった。

 

 不正は出来ないと聞いてなのかは分からないが、面白くなさそうに舌打ちをした男達は話しかけようとしてきたが、用も無かった俺達は揃って出口に向かった。

 

 「おいてめぇ!」など罵声が飛んで来るが全て無視して、出口に向かってると、カーラが申し訳なさそうに俺とダリアを見ていた。俺はカーラが何か言う前に口を開いた。

 

『よく言ってくれたな』

 

『え?』

 

『私達2人をパーティーメンバーって言ってくれた事ですよ、カーラさん』

 

 カーラは自分の言った事を思い出したのか顔を真っ赤にして、両手で顔を覆ってプルプル震え始めた。

 

 その後は「沈む太陽」で事の顛末を話したら大変だった、ミランダさんは「ギルドにカチコミすっか」っと言って無表情で包丁片手に店を出ていこうとしたので、皆で全力で止めた。

 

ーーーーーーーー

 

「···············」

 

「·······レイグさん、ちょっと良い?」

 

「ん?」

 

 

 山に入って今の時刻は大体午後4時ぐらいか?と予想を付けながら討伐部位の爪を数えた。大体37匹って所か····。

 

 その爪を見ながら考えていると、カーラが話しかけてきた。カーラもレッドリザードの事について考えていたのか俺が持ってきた肩に担ぐ用の布袋の中身を覗き込みながら話しかけてきた。

 

「·······レッドリザードの数が異常」

 

「······だよなやっぱり」

 

 確かに多い、レッドリザード自体、ゴブリンリーダーと同じくらいの強さを持ち合わせている。

 

 しかもだ、大した知能もない筈のレッドリザードが俺達を集団で襲い、真っ先に狙ったのはダリアだった。ここで魔法で対応したダリアが「やりたい事があるから」と言って戦線離脱した。

 

 普通、レッドリザードがここまで群れて現れる何てのはまず無い、精々が3~4体程度である。一度の襲撃で10体以上で襲ってくるってのは考えられない。

 

 一瞬、前の世界とは生態系が違うのか、と思ったが、たった今カーラの発言でその線は覆された。

 

 今も山全体の気配を読もうとしてるが、数が多すぎるのだ、明らかに前のフォレストウルフの軍団よりもだ。

 

 しかも全部レッドリザード。

 

 山の生態系どころの話じゃない、レッドリザードに支配されている、そう言えばリデア村でのフォレストウルフの時も·······一体···

 

「レイグさん」

 

「んぶぅ?」

 

 「うん?」って返そうとしたら、両の頬を柔らかい手で挟まれて変な声が出た。ホントに柔らかい···じゃなくて

 

「ぃきゅなりゅらりすりゅ?(いきなり何する?)」

 

「怖い顔してた」

 

「········」

 

「大丈夫、レイグさんには私とダリアさんが、私にはダリアさんとレイグさんが、ダリアさんには、私とレイグさんがいる、これで怖いもの無し、死角何て存在しないし、誰も失わない」

 

「─────」

 

 

 本当はそこまで難しい事なんて何も考えていない、只目の前にいてジットリとした目で睨んでくるカーラと、今も俺の力になろうとしてくれているダリアが、こんな訳も分からないが状況のせいで何かあったらって恐れていただけだ。

 

 頭に籠っていたであろう熱が冷めていくのが分かる。

 

 俺の目を見ていたダリアが和らぎ、俺の顔を解放してくれる。

 

「·····悪かった」

 

「ん」

 

 気にすんな、とばかりに薄く笑ったカーラは俺が立ち上がったのを見て「そろそろ行く?」と言ってきた、勿論ダリアを探しにだ。

 

 勿論心配はしているが信頼もしているのだが、もう少しで薄暗くなり始める。

 

 幸いにもレッドリザードは夜も活動をしないことは無いが、それでも昼行性寄りのモンスターだ。だが山や自然は違う、四六時中その猛威を奮うだろう。

 

 今日の休む場所を探しながら、少し平坦な道を歩いていく。

 

「休む場所はここで決まりだな」

 

「ん、遮蔽物も無いし襲撃に対応しやすい」

 

 正解、と言ってやると鼻息が少し荒くなり「当然」と言った。

 

 取り敢えず、カーラに荷物等を見ていて貰い。気配を探るともう少し進んだ辺りに少し広い場所があり、そこにダリアの気配を感じたのでホッと息を吐いて足を運ぼうとして、ダリアを囲むような気配で8体程、レッドリザードがいるのが分かった。

 

 直ぐ駆け出す俺、大きな岩を避けて、広場へと出ていった。

 

「ダリア!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「シャラアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「」

 

 あちこちで、死んではいないが瀕死になって気絶しているレッドリザードと、襲い掛かってきたレッドリザードの突進を慣れた動作で横に回避して、直後にその横っ腹に山全体に響き渡りそうな裂帛の声が上がり、魔力が籠った拳を突き刺した。

 

 めり込んだ横っ腹から聞こえる鈍い音、レッドリザードのけたたましい悲鳴、それなりの量の魔力を注ぎ込んだのかダリアの魔力が可視化しているのか、白いオーラみたいな物を纏っていた。

 

 ダリアに殴り飛ばされたレッドリザードは口から血を吐き出しながら錐揉み回転をして周りを囲んでいる内の一体にぶち当たり纏めて後ろの岩に叩きつけた。

 

「うん!うん!いい感じです!レイグ様に教えて頂いたブースト、思ったより魔力の消費も少ないですし!」

 

「」

 

 嬉しそうに笑うダリア、俺もダリアが喜んでいるのを見て心がぽわぽわするんだ、いやすんません嘘です!普通に怖かったです。

 

 レッドリザードの血が飛び散ったのか、ダリアの頬に少量付いていて、勿論右腕の拳部分はベッタリと赤い血でコーティングされていた。

 

 俺はこれ以上血で汚れるダリアを見たくない思いの一心で、残存魔力も考えないでダンジョンの時「ワイトマージ」を一掃した時に使った多重魔法《デュアルマジック》を使った。

 

 魔力を生きているレッドリザード全てに均等になるように飛ばす、それぞれの位置に飛ばした魔力を固定させながらその場に魔方陣を構築する、イメージとしては頭にくくりつけた長い棒の先端から垂らした物を右手と左手同時にスケッチをするような感じ。

 

「雷よ」

 

 言葉による引き金を引いて、構築された全ての魔方陣から同時に雷が落ちてレッドリザード達の体に止めを刺していく。

 

 俺に気付いたダリアが笑顔で駆け寄ってくる、良かったよダリア、そしてレッドリザードよ、安らかに眠ってくれ·····

 

 モンスター達の冥福を祈った俺は、魔力が空っぽになった時に起きる、倦怠感や脱力感に襲われ倒れた。

 

 

 

 

ーーーーその日の晩

 

「······脳筋」

 

「はう!?」

 

「チャンピオンダリア」

 

「れ、レイグ様ぁぁ····」

 

 火を囲む俺達、カーラがダリアを弄り倒していたが、俺は顔を逸らすしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ダリア虐って需要ある?


ダリア「は?おい」

え?あ、ちょ─────
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