憑依物語   作:そりゃないわ

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ちょっと不安な投稿

後一話あれば終わりそうかな?戦闘シーン



一回でいいから甘々なの書いてみたい


『最高の仲間』

 

 

「カハッ」

 

 恩人が、レイグさんが凶爪にお腹を貫かれて、血を吐き、激痛に喘ぎ震える体で刺さったままの凶爪を掴んだ。

 

「あ·····あ···」

 

 明らかに致命傷だった。今も血が溢れてレイグさんの足下に赤い染みを作ってゆく、助けなければ、そう思っても恐怖に体が怯んでしまい動けなかった。

 

 足がガクガク震え、今にも叫んでしまいたくなる衝動に駆られる。

 

 ダリアが叫びながら、魔法を放っても、あの虹色の膜に吸収されてしまった、紅黒蜥蜴の視線がダリアを射ぬいたのが見て取れた。

 

 レイグさんが掠れる声で「逃げろ」って言ったのが聞こえた。

 

「あ·····」

 

 

 それでも私の中に渦巻く恐怖が私から言語を奪い取っていた。このまま行けば私も、レイグさんもダリアも殺されてしまう。

 

 そう思っても体に力が入らない、「大切」な存在が無くなってしまう恐怖心。

 

 必死に耐えているレイグさんを裂けた口角を上げ嗤う紅黒蜥蜴は無慈悲にもその体に突き刺さった爪を振るい地面に振り落とす。

 

「アガッ!?」

 

 地面に叩き付けられ、倒れたままのレイグさんはピクリとも動かず、小さい血溜まりを作っている。

 

 

 ──どうしよう!このままじゃ!

 

 なのに私は動けない、「あのレイグさん」が勝てない敵に勝てる筈が無い。震えて動けない自分を叱咤するも私は体を動かさない。

 

 

 

 

 ──貴女は何もしなくていいわ

 

「────」

 

 ふと、お姉様の声が聞こえた、まるで幻聴のようにお姉様の冷たい言葉が脳内に響く。

 

 ──貴女が不甲斐ないから、彼は負う必要も無かった大怪我を負った。

 

 ──何もせずに、大人しく屋敷で暮らしていれば良かったのよ。そうすればお父様も貴女に無茶を言うことも無かった、今貴女達がこうして危険に晒される事も無かった。

 

 ──貴女もこんな怖い目に会わずに済んだ筈だし、彼だって自分の目的の為に旅を続けられた、彼女だって彼に最後まで添い遂げられていたでしょうね。

 

「───」

 

 お姉様が言う言葉は、全部私の思い、心の中のどこかで思っていた事。

 

 ダリアがこっちを見て必死な形相て何かを叫んでいる。紅黒蜥蜴が此方にゆっくりと処刑人のように歩を進める。

 

 ──貴方、まさかたった一度「認めて貰えただけで」万能感を感じていたの?浅ましいわね、そんなの彼等の気遣いに決まっているじゃない。

 

 容赦ない言葉が心を抉る、そして同時に納得もしてしまった。

 

 あのダンジョンでのレイグさんとダリアの評価、「あの2人」から貰った高評価に私は図に乗った、しかしその日の晩、小さな不安が拭えていなかったのは事実だった。あの評価は私を哀れに思った、色眼鏡による評価だったのかと

 

 ──2人とも本当は迷惑だったんじゃないかしら?少なくとも貴女は自分で分かっていたでしょう?だって2人に少しでも縋り付かなければ貴女はあの家から逃げられないのだから。

 

優しい2人を利用しようとして、貴女が原因で死ななきゃ行けないなんて·····最悪ね

 

「─────」

 

 体に残った僅かな力が抜けていくのが自分で分かった、私は間違えたんだ。

 

 大人しく屋敷で過ごし、いずれ訪れる見合いの話を受けて「カーラ·ヴァネスティラ」として生きていけば良かったんだ。

 

 不相応な夢、所詮作り物の物語に夢を見いだしてしまった末路がこれだ。

 

 お父様もお母様もメイドや使用人、執事·····そしてお姉様は最初から分かっていたんだ。

 

 

「─────」

 

 目の前までやって来た紅黒蜥蜴が前足を振り上げる。

私はそれをぼんやりと見ていた、凶悪な爪は私を容易く冥界送りにしてくれるだろう。

 

 私が何を言うわけでもなく爪が振り下ろされ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何····で·····」

 

「は?そりゃこっちの台詞だよ」

 

 ギィン!と金属が弾き会うような音が響き、小さく地面に雫が落ちて弾けたような音が耳に入る。苦悶の唸り声が目の前で私に向かって背を向けている瀕死の筈のレイグさんがいた。

 

 片膝を着いていて、もう片方は変な方向に曲がっていた。僅かに見える顔は青褪めていて不機嫌そうな声も震えているのが分かった。

 

 その僅かな間にも貫かれた腹部からは止めどなく紅い液体が地面へと落ちている。

 

 それでもレイグさんが力をぬくことは、無かった。

 

 

「レイグさん!血が!」

 

 

『オマ──ぐア!?』

 

 嗜虐的な光を孕んだ目を血ばらせた紅黒蜥蜴は忌々しく言葉を出そうとして、次の瞬間ダリアが不意打ちで放った氷塊が顔に直撃して、かなりの距離を吹き飛んだ。

 

 ダリアは全身から汗を垂れ流し四つん這いになって荒い息を吐いていた、何で·····!

 

 レイグさんは紅黒蜥蜴が吹き飛ぶの同時に前に倒れ込んでしまう。目の焦点も合ってなくて。今にもその目を閉じてしまいそうだ。

 

 良く見ると、ほのかに蒼い光がレイグさんの腹部や足に灯っている。回復魔法の光だと分かるとホッとする私がいた。

 

 何で······何で私なんかを······私に助ける価値なんて

 

 今貴方が死にかけているのは私のせいなのよ?ダリアだって、あそこまで魔力を使わなくて疲労困憊にならずに、済んだ筈だし。私が貴方達に寄生しなければ2人は旅を続けていた筈だったんだよ!?

 

 

 

「ビビってんなよ」

 

「────」

 

 未だに苦しそうに目を細めながらもレイグの双眸はカーラを射抜いていた。

 

 紅黒蜥蜴が立て直す姿を背景に気軽に続ける。

 

 

 

「見返すんだろ?お前の家族を、凄い冒険者になってさ、だったらさ──

 

そこに手頃な竜擬きがいるぜ?奴さん倒して自慢してやろうぜ?」

 

 弱々しく笑ってレイグさんは殺意に唸っている紅黒蜥蜴を指差した。

 

 で、でも·····やっぱり

 

「怖いよ·····」

 

 一度刻まれた恐怖に、私自身への失望感のせいでどうしても尻込みしてしまう。

 

「おいおい、お前が俺達に教えてくれたんだぞ」

 

「全く、あれ程偉そうな口を叩いてその様ですか」

 

 呆れたように言うレイグさんに続いて、いつの間にか来ていたダリアまでもがよろけながらも憎まれ口を叩いてきた。

 

 冗談っぽくではなく、本気で呆れているような口調に俯いてしまう。

 

 レイグさんとダリアさんはそんな様子の私に怒りを浮かべるでも無く、呆れた顔を晒すわけでも無く、只優しく笑った。

 

 

 

 

 

「俺達が支え合ったら、最強だろうがよ」

 

「全く、自分で言った事忘れないで下さい、説教まで垂れたんですから」

 

 口調とは裏腹に優しく聞かせるような言葉に視界が滲んだ。

 

 

 

 回復魔法を施し終えたのか、血の流し過ぎで貧血気味ではあるが、しっかりと立ち上がり、手から落ちた直剣を拾い上げ、構えた。

 

 ダリアも、「体力は無いですけど、魔力とやる気ならありますよ」と言ってレイグさんの横に人一人分開けて並び立った。

 

「まだ、自信が付かねぇならしゃあない、先にやってるかんな?奴さんも待ちきれない感じだな。」

 

「何時でも入ってきて良いですからね!」

 

 

 そう言って、私の前から振り返らずに2人は紅黒蜥蜴のもとに走っていった。

 

「·········」

 

 これだけの醜態を晒した私に、勝手に恐怖して勝手に自分に失望して、勝手に崩れた私に···

 

 

 

 

 

「(──立たなきゃ)」

 

 なら戦うべきだ、ギリッと歯を食い縛る。力が抜けた筈の体には、何時も通りの力が入るように戻っていた。

 

 最高の仲間を、あんな竜擬きの手で失うわけには行かない、レイグさんを殺しかけた相手だと思うと、殺意が湧いてきた。

 

 ダリアもレイグさんも、あんな竜擬きなんかに殺させない、アイツは私が「殺す」

 

 今思えば、初めて生き物相手に明確な殺意を持ったかもしれない。

 

 「何故か」膨れ上がっていく殺意に便乗して、私の体に力がどこからともなく溢れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───必要な条件「純粋な殺意」を満たしました。

 

───「竜殺し」の心得を取得しました。

 

───「絆」の槍術士から「竜殺し」の槍術士《ゲオルギウス》へチェンジします。

 

 

 

 

 

 

「テメエ!!なりぞこない風情がぁ!イキッてんじゃねぇぞごらああああ!?」

 

 

 

 





あらお嬢さん、言葉が汚くってよ?オホホホ



ここはこう表現すると良いよ、等の指摘等があればよろしくです
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