#前回のあらすじ
ミランダ母ちゃんから感じる強かな母性、ばぶ~
作者がログアウトしました。
「────ふぅ」
今日も日課の明朝鍛練を終え、濡れたタオルで体を拭いて、いつもの装備を身に纏う。
直剣を研いで、ポーチの中身を確認し、足りないものをタンスから引っ張りだし補充する、と言っても回復は俺自身が補えるし、魔力の回復ポーションが入った試験管を数本入れるぐらいだ。
準備が終わり、まだ時間があることを確認して、ベッドに仰向けになり、息を少量吐いた。
「──魔人か」
昨日、
勇者パーティーがとうとう悪しき魔王の手先を倒したとの事。
吉報と言えば吉報と言える情報に中々に盛り上がっていたホール内、そして「至急印クエスト対決」後日、改めてギルマスに呼び出された時に聞いた「魔人」の話。
どうやら、ギルマスはあの
そしてその魔人が言っていたらしい、勇者達が倒したとされる魔人が魔王陣営での平均的な戦闘能力だとも。
少なくとも、ギルマスが対峙したと言っていた魔人の強さは底がまるで見えないと言っていた。
──可能性としての域を出ないが、前にお前さんが言っていた「リデル村」での一件に出てきた「傀儡召喚とやら」を使ったと言う奴も怪しくないか?
「(········傀儡召喚、か)」
こちらの世界ではどうゆう扱いなのかは分からないが、ダリアに話した時の反応や、ギルマスがこの単語を出した時に嫌悪感や忌避感などといった負の感情は感じなかった、一冒険者であるダリアはともかくギルマスまでもが知らないと言うのはおかしい。
あっちでは、まぁ確かに一般的に知られている訳でも無かった···が、全く知らされていない訳でもないし、扱えない訳では無かった。
強制的な奴隷契約と何ら変わりない人道を大きく外した技法、確証も何も無いが、傀儡召喚を使用した奴は神からも嫌われ、異端審問に掛けられ容赦なしに粛清される、と言うのが人間側に伝わっていた。
「まぁ、何か手がかりや証拠があるわけでもないしな」
思考を打ち切るように、俺は何気無しにテーブルの上に置かれた木の枝を手に取った、初めてC級ダンジョン「髑髏」に潜ったとき、いつの間にか俺に引っ付いていた。
別に、何も感じないしどっからどう見ても只の木の枝だ、何故か気付けばポーチに入れてたし、何故か捨てる気になれなかった。ギルマスに訳を話し鑑定を掛けて貰ったりしたが、やはり只の木の枝だった。
同じダンジョンに潜っていた知り合いのパーティーのリーダーであるバズさんに聞いてもやはり何も感じないとの事。
やはり只のゴミなのか?と思いつつも、やはり捨てることはせず。俺はそれを再びテーブルの上に置いた。
ーーーーーーー
「な、なぁ2人とも?」
「どうしました?レイグ様?」
「?」
いつも通り、沈む太陽の食堂で朝食を取り、どこかにやけているミランダさんと、どこかボロボロのダインさんに見送られつつ。今日もギルドに向けて沈む太陽から出発した俺達。
いつも通り、3人横に並ばずに妙な波線状に並び、雑談を交わしながら大通りの坂を登っていく筈だったんだが。
「近くないか?」
「え?そうですか?」
「え?もっと近く?」
近いのである、物理的にも、ダリアとカーラ両方とも俺の両脇ピッタリにくっついて歩いているのだ。しかも妙な気遣いか、足が絡まないような足運びをしていて全く気にせずに歩ける。
わあっ、お可愛い笑みですね?でもさっきからむさ苦しい野郎共の視線がバシバシ突き刺さっているんですよね?あ、気にするな?あ、はい分かりました。
でも、手を繋ぐのは勘弁してくださいね?そう言うのは、ちゃんと俺の方の清算が終わったらで·····
舌打ちしないでください。
顔を見合わせて笑い合うダリアとカーラ、いつの間にか更に仲良くなった2人を疲れたような目で見つつ、どこか微笑ましく思い、口元を緩めた。
「レイグさん」
「うん?」
カーラとダリアは2人揃って俺より一歩前に出て、俺に振り返りながら歩く、こら危ないからちゃんと前向いて歩きなさい。
カーラとダリアは挑戦染みた顔で笑みを作り「頑張りますから」と声を揃えて言い放つと、ササーと2人揃って先に行ってしまった。
僅かに見えた横顔はカーラの横顔は、赤く染まっていたように見えた。
·····こういう時、心底「そういった」事に対する機敏に疎い奴が羨ましい、2人に対する感謝や恥ずかしさ、罪悪感を感じながら、取り敢えず先に行ってしまった2人を追いかける為に駆け出そうと一歩踏み出した時。
「───」
何だあいつ?
あからさまに怪しい奴が建物の陰、俺が後ろから見えて、ダリア達は前を進んでいるから見えない位置取りで2人の後を視線で追っていた。
一瞬「馬鹿な事」を考えてる奴か?と頭に浮かぶが、そいつの纏う雰囲気を見て、違うと思った、思っただけで何を考えているのかは解らないが。
そいつのカーラ達····いや、正確にはカーラだけを、熱心に見ていた。
しかし、やけに身綺麗な格好をしてるな、こんな街中で、白いハット帽か、一見一般的な服に見えるそれも、良く見ると上質な服を着ている。
目元はサングラスをかけており、顔は確認出来ないようになっているし·····見た目だけなら超絶怪しい奴なんだがな······
「レイグ様ぁ!置いてっちゃいますよぉ!」
やめてぇ!?大通りで叫ばないでぇ!?
恥ずかしさが天元突破寸前まで登り上がり、周囲が一斉に俺を見てきた事に「今日も1日晴天でぇす!」等と意味不明な事を叫びながら誤魔化して、ダリア達の元に駆けていく。
「──っ」
ついでにチラっと先程の怪しい奴に視線を戻すと、奴もこちらを向いていたのか、視線がバッチリ合った。
途端に奴は身を翻して、小道の奥へとはしっていってしまった。
俺、今警戒されてた?
ーーーーーーーーー
ギルドに着いて、中に入ろうとすると、その前に先に玄関の扉が開き、中の喧騒と共に3人一組のパーティーが出てくるのが分かった。
そいつらは俺達に気付くと、笑みを浮かべて3人それって整列して、腰を90度綺麗に折って挨拶をしてきた。
「あ、ダリアの姐御にカーラの姐御!それにレイグも!おはようございます!」
「「おはようございます!」」
それは元気な挨拶だった。
反射的にダリアが「馬鹿じゃないですか!」と顔を真っ赤にして、頭をしばくも、どうやら3人にはご褒美みたいで、何処か恍惚とした笑みでお礼を言っていた。
何だろう、死ぬほど気持ち悪いのに、何処か清々しいと思えてしまうのは······!
「今からクエストか?」
「いや、最近はダンジョンに潜ってるんだ」
「ダンジョン?「髑髏」にか?」
俺の質問に短髪のガタイがいい男「イチ」が「あぁ」と頷く、どうやら最近はダンジョンの探索依頼を受ける冒険者が多いらしい。
そんな需要あったかな?と思っていると。長髪の男「ニィ」がイチの説明を繋いだ。
「ダンジョンが最近、様子がおかしいんだとさ」
「·······それはまた、穏やかじゃない情報だな」
「それって、ダンジョンがおかしいの?ダンジョンに出てくるモンスターがおかしいの?」
「どっちも、ですぜ?カーラの姐御」
俺と話している時とは135度微妙な角度で反対な態度で応じるニィ、急な態度の変化に思わず顔を轢き吊らすカーラ、気持ちは分からんでも無いが諦めろ。
「これはAAランク冒険者がいるパーティーが持ち帰った情報何ですが地下5階で
Aランクのモンスターだ、体長4m程の巨体を持ち、地下1階に居たような
ダンジョンコアを守るガーディアンじゃないのかそれ、と思ったら、違うらしい。
現在確認されている階層は地下9階、まだダンジョンコアもガーディアンも見つかっていない状態らしい。
かといって、地下5階からしたに高ランクモンスターが出てくるのか?と聞かれたら違うみたいだ。
一番厄介なモンスターでBランクモンスターの
それだけで、明らかに今までのダンジョンと違うし、様子がおかしいどころか、危険で不気味だ。
「後、何か「ダンジョン全体が生きている感じがする」って言ってましたね」
「········?それはどういう·····」
ダンジョンが生きているのは共通認識の筈だが、何故か俺にはその言葉に違うニュアンスを感じた。
「それが分からないんだってさ、本人らも何か気味悪そうな顔をしていたし」
「すまない、通して貰っていいか?」
いつの間にか、他の冒険者の通行を妨げていたようだ、詫びを入れて道を空ける、イチ達も「そういうこと何で姐御達も気を付けてくだせぇ」と言って去っていった。
「「「お勤め!御苦労様です!」」」
そう叫びを残していきながら。
俺の気持ち、分かった?ダリア
そう思いをこめてダリアの肩をポンとすると、ダリアは顔を赤く染めて俺の手に自分の手を重ねた。
うん伝わってないね!(照)
きょうもいちにちせいてんでぇす!!
\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/