#前回のあらすじ
ネアは美少女(大事ry
空は未だ宵闇の名残を残してはいるが、確かに夜が明け始め、黎明なる空が支配し始める時間帯。レイグ一行は未だに目が覚めないネアを抱き抱え、カルム村の入り口まで来ていた。
入り口に近付けば近付く程に、どこか物々しい雰囲気の甲冑を見に包んだ集団が入り口に集まっているのが分かった。
雰囲気は重く、皆何処か焦燥を感じさせる様子で逸るような様子で、少し毛色が違う同じ甲冑を身に纏っている男性に集中している。
「っ!ネア!?」
「貴様、何者だ!?」
そこに空気を読まずに騎士団の部下をレイグが抱き抱えたまま近付けば、当たり前の様に顔を憤怒に染め上げ一斉に抜刀した。
流石に体が強張るダリアとカーラを尻目にレイグは隊長格と思われる男の元へと歩みを進めた。
真っ直ぐ歩いてくるレイグの顔が隊長にはどう映ったのだろうか、片手を水平に掲げそれを部下達に向けた。
即ち「待て」の合図。
僅かに動揺した様子を見せる騎士団を尻目に隊長もレイグに歩みより、そのままネアを受け取った。
「妹をあんまり叱らないでやってくれ」
「·····もう行くのかい?」
「あぁ、今の俺じゃ一緒にいても無駄だからな」
渡された部下とどこか似たような顔でそう言ったレイグに不動の意を汲んだ隊長は、それでもレイグの言葉に違和感を感じながらも「部下を連れてきてくれてありがとう」と言った。
レイグは騎士団に謝罪を受けた事に目をパチクリさせたがふと苦笑を溢して「気にすんな」と返した。
「隊長、良いんですか?今の人、ネアの兄貴なんじゃ」
「まぁそうなんだが····仮に引き留めても多分止まらないよ、此方が騎士団としての圧力をかけてもな」
村を通り過ぎて去っていくレイグ達の後ろ姿を見ながら動揺が抜けきらない部下の質問に思ったことを伝える隊長。
今は打倒魔王という共通の敵がいるため各国共同前線を張っては要るが、前は戦場で、数える程でしか無いが見たことはある「あの目」、ある者は愛国心故に、ある者は己の正義故に、ある者は部下達を逃す為の殿を務める為に。
例え、数で、実力で此方が上をいっても手強さを感じたあの目を、意味合いは違うがレイグにも感じたのだ、
それ程の慧眼を隊長は持っていた───同時に。
「(何だありゃ···冗談だろ?あれが半年前に冒険者登録したばかりの奴が出せる風格か?少なくとも今「3回」は死んだぞ)」
自分と相手との実力差を計れる程の目をも持っている自信があった。今のレイグとの短いやり取り、隊長はレイグに襲い掛かるイメージをした、言葉通り三回
近付いた瞬間、話している最中、此方に背を向けた瞬間、結果全滅する未来を幻視してしまった。
以前聞いたことのある、レイグ·アーバスの評価に思いを馳せるが「やはり噂なんて当てにならんな」と辛口評価を下した後、部下を伴って再び村の中へと入っていった。
ーーーーーーーーーー
カサブの街にある一番有名な宿、そこに街の最高権力者であり「公爵家」の肩書きを持った貴族の善意により無償で宿泊している勇者パーティーの一員である「賢者」アリスは、まだ日が上ったばかりの時間帯に何故か食堂に一人で座っていた。
その表情は何処か疲れていた。
サラサラと流れるような綺麗で幼馴染みに毎日褒められていた自慢の金色の髪を掬うように持ち、再び溜め息。
こんな事している場合じゃないのに······
折角見つけた魔王の部下である魔人は結局口を割れずに倒してしまったし。
また振り出しに戻ってしまった旅に憂鬱になってしまう。別にアリスは勇者達が嫌いな訳では無い、寧ろ人として一部以外、好感を持っている。
リリアンは可愛らしく、人懐っこい性格で癒されるし、リサはちょっと真面目が強くはあるが頼りになる、
アレックスは女性である自分達に対して失礼の無いような紳士的な対応をしてくれてるし。
「(文句があるどころか理想的なパーティーな筈なんだけど····)」
まだ全然営業開始まで時間があるのに、気を遣い女将が用意してくれたホットミルクティーを一口飲み、僅かにささくれだった心を落ち着かせる。
勇者であるアレックスは3日程前から公爵家にお呼ばれしている、何でも娘がアレックスを気に入ってしまったらしく、挨拶も兼ねて、である。
しかもそれにリサとリリアンも着いていってしまったのだ、2人が勇者にゾッコンなのはアリスも周りも知っている事実だ。
アレックスは来るもの拒まずな所があるのか知らないが、毎晩自分の部屋に複数人の女性を連れ込むのは辞めて欲しい、本当に
「たまたま」隣の部屋になった自分を気遣って欲しいものだわ、そう内心愚痴を吐露するアリスは徐に冒険者カードを取りだし「ステータス」と呟いた。
最近スキルが変化したのだ、何の効果も無く完全なお飾りスキルだったのにかなりの変貌に戸惑い、まだ周囲には言っていない。
このスキルが出てきてくれたお蔭で、前まで「変に思っていた」自分の体が、かなりスッキリした状態になっている、今みたいな精神的疲労では無いが身体的な疲労や違和感が無く寧ろ好調だった。
そしてこのスキルの名前を見ると何故か心が落ち着くのだ。
「(まぁ、変わりに変な夢も見るようになったけど)んんー!今どうしてるかな、レイグ!」
近くに故郷があるのにと、若干不満に思いながらアリスは体を伸ばしながら大切な幼馴染みの名前を意味も無く口に出してみた。
気付けば何時も通り落ち着いていた心にやっぱり不思議に思いながらも冒険者カードに軽く口付けを落とす。何処か艶めかしいリップ音を残しながら「今日はクエストでも受けようかな」と上機嫌になりながら。
アリス·ローダン 16Lv55
女
攻 1520
防 1600
魔攻 8000
魔防 6800
早 2000
知 3900
スキル
賢者の器
#魔攻、魔防のステータスに成長補正大
#現存する魔法の詠唱破棄
#敵対特効(敵意や害意を向けた相手に対してのみ、魔法の威力が二倍になる)
「器」のお墨付き(器が満たされた為、スキル名を変更、効果を追加)
#無し
↓
「大成」のお墨付き(new)
#呪い、状態異常等のバットステータスを反転する
#全ステータスに成長補正(弱)
似たような名前のスキルを女神から貰っていた幼馴染みを再び思い出して。
ーーーーーーーーーー
「おらよっ」
『ブモオォォォオ!?』
レイグに向けて振るわれた
レイグはその攻撃を半歩左にずれてかわし、お返しにその鼻っ柱を蹴り砕いた。
悲鳴をあげながら鼻を押さえ、パニックになる牛鬼の首筋に今日何回目か分からない会心の一振りを見舞う。
『──────』
呆気なく首を落としたレイグは、どさっと倒れこんだ首の無い牛鬼を尻目に剣を鞘に収めて背後に振り返った。
振り返ったレイグをダリアとカーラが労りの言葉を送ろうと駆け寄──
「いやぁ!君やっぱり凄いネ!もう全員揃ってウチで護衛やっちゃいなよぉ!」
「───」
「───」
ろうとしてどこか胡散臭い装いの男がレイグの両腕を握りしめた男に思いっきり邪魔された。
目から感情を失ったような無機質な目を男に送る2人だが、男は全然気にした様子も無く媚びたような笑みを、レイグやダリア達にまで向けていた。
申し訳なさそうな「護衛」の視線にレイグは思わず天を仰いだ。
何でこうなったんだろ、とレイグは内心深い溜め息を吐きながら目の前で笑顔で話し続ける商人の男を見るのであった。
ネアを送り届けたレイグ達は、そのまま出発して森に挟まれた道を抜け、平野が続く道に出た、後は真っ直ぐ進めば「カサブの街」ヘ辿り着く筈たったのだが····
そこでフォレストウルフの群れに襲われている商人の馬車が目に映ったのだ、護衛らしき人が3人程いるのだが、新米なのかチームバランスも取れておらず、完全に弄ばれていた。
すかさず助太刀したレイグ達、数自体は15匹と大した数では無かったのであっさりと終わったが、商人と護衛らしき人らから感謝される際「金は払うから、カサブまで向かう予定なので、道中護衛に付いて欲しい」と言ってきた。
「目的地が一緒だから構わない」と言ったレイグに喜びの表情を浮かべる商人の男。
それからは、商人や護衛の人達と雑談をしながら周囲には気を配っていたレイグ達、案の定と言うべきか何回かモンスターの襲撃が合った。
それを退けている内に段々とレイグ達を見る目が明らかに変わっている事に気付いていたレイグではあったが、どうせこの場限りの付き合いだろうと、高を括っていたが、とうとう先程みたいな直接的な勧誘となってしまったのだ。
因みに先程から倒しているモンスターの残骸は護衛の人達が商人の指示で商人の持ち物である収納箱に入れられていた、レイグやダリアが倒したモンスターは状態が良いらしく、追加で買い取らせて欲しいと言われた。
レイグはニコニコしながら、商人が操る荷馬車につまれた箱を見て、静かに眉を潜めた。
実は商人はレイグ達の事を知っていた。と言っても噂で聞き齧った程度ではあるが、こうして会ったのは本当に偶然だが、その実力が本物と分かるや否や、レイグ達を欲した。
護衛と言うよりは専属的な冒険者になって欲しいのだ。
契約によって商会や企業専属になると、何よりも専属先の依頼を優先しなければいけない、勿論他からの指名依頼を寄越すことも出きるが、その場合は専属先の商会か企業、滅多に聞かないが個人を通す必要があるし、「紹介料」を支払わなければならない。
頭角を表し始めて、割りと注目されている新人、未だにその全容を疑う者も要るが、商人の目には間違いなくレイグ達が金のなる木に見えるのだろう。
商人の追求をのらりくらりかわしながら、レイグ達はとうとうカサブの街に着いた。
十数mはあるだろう、石積の壁がカサブの広大な街を囲むように聳えたっていた。
「おや、レイグ殿達はカサブは初めてかい?」
「あ、あぁ····話には聴いていたけど····」
「はい····」
「私はあ─私も無い」
慌ててレイグ達に合わせようと言い直すカーラに、レイグや護衛の人達が優しい笑みを送る、ダリアは唐突に姉を怒鳴り回したくなった。
検問を終えて、中に入ったレイグ達、商人達に礼を言われ報酬も貰った後カサブの街を取り敢えず散策してみた。
中は「ストルの街」と同じく活気に溢れていた、訪れている商人達もかなり見かける上、一般人もかなり賑わっているように見えた····見えたのだが
「活気があると言うより····何か浮かれているような感じだな」
ストルのギルドでも似たような感じの浮かれ方をしていたような、理由は何だったか?
「ヴァリエンの勇者パーティーによる魔人討伐と、未だ滞在中だからですネェ、まぁそれも国からの指示という
噂ですけどネ····まぁ憧れや注目されている存在が近くにいればこうもなるでしょうネェ」
「貴方まだいたんですか!?」
レイグの呟きに答えたのは先程まで護衛した商人の男だった、ダリアが三角眼になり威嚇して、カーラがダリアの後ろから中指を立てている。
2人に苦笑を溢すレイグは、「今度は何のようだ?」と聞いた。
「いえ~、やっぱりウチと契約してくれないかなぁって」
レイグはその言葉に微笑んで、商人に歩み寄った。何も感じさせない微笑みでどこか魅力があり、また、形容できないナニカを感じさせる笑みでもあった。
レイグは商人の耳元に顔を寄せて口を開いた。
「そんなに専属契約がしたいんなら、まずはその筋から足を洗うことだな」
顔を青くし、凍り付く商人を置いてレイグはダリアとカーラを連れて、カサブの冒険者ギルドヘと歩を進めるのだった。
レイグ·アーバス16Lv27
男
功 2440(+2400)
防 2000(+2400)
早 2380(+2400)
魔功 2100(+2400)
魔防 2000(+2400)
知 1500(+2400)
skill
大成の器(異界の英雄レイグ·アーバス)
#常時発動しています。
#補正、レベルアップ時、全ステータスに+100
????(new
#上記スキルの派生スキル(スキル所持者の任意発動
翻訳
#現存する言葉全てを翻訳可能
無詠唱❬中❭
#中級魔法迄なら詠唱を破棄。
(スキル効果の成長可)
ブースト
#瞬間的なステータス向上
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ダリア·ミルス 17 Lv30
女
功1400
防 1300
早 950
魔功 4650(+1000)new
魔防 3300
知 1700
skill
黒魔導(上)new
#魔法攻撃力に常時+1000、成長補正:中(下記スキルと連動)
#魔法防御力に成長補正(下記スキルと連動)
大成のお墨付き
#呪い、状態異常等のバットステータスを反転する
#全ステータスに成長補正(弱)
ーーーーーー
カーラ·ヴァネスティラ16Lv25
女
功 2750
防 2300
早 2200
魔功 400
魔防 400
知 1200
skill
《解放された心得》
仲間思い《絆》
所有者の仲間が居る限り、レベルアップ時、ステータスアップ補正
#竜殺しの心得(変化可)
竜種に対してのみ発動、発動中使用者が怒りに弱くなる。
物理ステータス(功、防、早)+10000+α(増加する怒りに反して変動)、又、スキル所持者のステータスに若干の成長補正付与
特殊技法「ドラゴンスレイヤー」
使うと竜は死ぬ
《未解放の心得》
・〇〇
??????