憑依物語   作:そりゃないわ

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#前回のあらすじ


レイグは腹ペコ(グギュルゴオオオォォォォ!


5話『大成、腹が減りつつも少女を助ける』

 

数分はそうしていただろうか、気付けば顔を真っ赤にしたダリアがモジモジしながら上目遣いで困ったようにレイグを見上げていた。

 

「ん、落ち着いたか?」

 

「は、はい·····」

 

体の痺れががまだ取れないのかが俯せなままのダリアに立てるか?と尋ねるレイグ

 

「無理····そうです····」

 

そう言いながら身を捩るダリアたが、大して動けていなかった。

 

レイグは「ちょっと失礼」とだけ言って、ダリアの体を仰向けにする。

 

「え?え?」

 

と不安がるダリアを無視してレイグは背中と膝裏に手を入れてそのまま持ち上げた。

 

「ふぅえぇ!?」

 

どこか可愛らしい叫びを挙げたのも束の間、懇願するようにレイグを見上げた

 

「あ、あの降ろして····あの、そ、その、漏らしてるから···」

 

最後はボソッと小声で呟いたが、レイグは納得したように頷いた。

 

ホッとする反面何故か寂しさを僅かに覚えるダリア。

 

「気にしてないから、気にすんな」

 

と笑顔で断り、そのまま歩き始めた。

 

「(私が気にするんですけど!?)」

 

助けて貰ったとはいえ、それは勘弁して欲しかった。せめて厚かましいかもしない が、自分で立てる迄待って欲しかったと。羞恥心と申し訳ない気持ちからダリアは顔を伏せた。

 

先程いた場所から数分も歩くと思い出したように後ろを気にしだすダリア。

 

「まぁ、追ってくる事は無いと思うぞ?」

 

何の脈絡もなしにそういったレイグに心を読まれたのかと驚愕の表情をレイグに向ける。

 

露骨に顔に出てた、と指摘せずにそのまま理由を口にする

 

「あの中で一番頭が切れるのは間違いなくあの奴隷商人だったし、だから一番最後にまわして見せつけたんだよ

 

 

────お前ら程度じゃいつでも殺せるんだよってな」

 

「貴方は一体─────っ!?ご、ごめんなさい!私、助けて貰った恩人に自己紹介もせずに!あ、あの私ダリアって言います「ダリア·ミルス」です。」

 

助けて貰い、慰められて、尚且つこうして抱えられて貰ってるのに未だ名乗ってすらいない事に青褪めた。

 

レイグは苦笑し、気にしなくていい、と言った。

 

「あの状況じゃ無理もない、気にするなって言うのも少し無理があるのは分かるが、俺が気にするから気にしないでくれると嬉しい····あぁと、名前だったな俺はレイグだ。レイグ·アーバス」

 

「レイグ様····」

 

「············はぁ、まぁいいか」

 

 

 

────ご主人様と呼ばれるよりは

 

 

過去の幾つかあるトラウマコレクションの中の一つを思い出し、げんなりするレイグ

 

ん、一番酷い奴?んなもん初体k────

 

自主規制(アーーーー)

 

 

レイグは最初寝床と決めた場所に戻ってくると側に生えた木にダリアの背を向けて座らせた。

 

「っ·······」

 

「レイグ様?」

 

「いや、大丈夫だ気にすんな····それよりその奴隷紋何だが·······」

 

 

腹を押さえて何かに耐えるような顔をしたレイグを見て、助けられた時も何かに耐えるような顔をしていたことを思い出した。

 

やはりどこか怪我を!と心配になり尋ねるが本人は気にすんなと一蹴。

 

それどころか奴隷紋の事を話題に出した。

 

何かを決めたような顔

 

 

 

 

 

 

「(つまりは····「そういうこと」ですね?ご主人様)」

 

ダリアが覚悟を決めた顔をしたのを見て、ヒクッと一瞬顔を歪めるレイグ。

 

「(待て、この子今何の覚悟した!?)·····ん、ん"!良ければ俺n────」

 

「──喜んで!私を貴方様の奴隷にして下さいご主人様!」

 

嫌な予感がしつつも気を取り直し用件を伝えようとしたところ、案の定ダリアが顔を赤らめて会話をぶったぎってそう叫んだ。

 

 

「···········」

 

「··········あ、あのご主人──レイグ様?」

 

一世一代の告白の叫びを挙げたダリアは黙り込んでしまったレイグにどうしたのかと「ご主人様」と言いかけてレイグの顔がまるで〇ン〇を我慢するような顔になったので思わず元に戻した。

 

「ソレヨリソノドレイモンナンダガ、ヨケレバオレニハキサセテクレナイカ?」

 

「レイグ様!?」

 

 

まるで言葉だけを話す高性能なロボットみたいな話し方をするレイグに驚くダリア、そんなに嫌だったのかと自分を責めそうになるが、それよりも聞き捨てならないことをレイグが言った。

 

奴隷紋を破棄?

 

「レイグ様は冒険者でありながら高位の神官様なのですか?」

 

それが本当なら願ってもない、後払いになってしまうかもだが金ならちゃんと払おう

 

「まぁやっぱり「ここも」そう言う認識なんだよなぁ、さっきの奴隷商人の時に何となく分かってたが」

 

「え?」

 

レイグは眉間を指で揉みつつ続きを話した。

 

「奴隷紋の刻み入れは神と使用者を通じて行うんだが、

破棄に関しては刻まれてる本人じゃなきゃ誰でも神と通じて使えるんだよ」

 

あの奴隷商人はダリアとは違う反応だった、多分知ってはいるが魔力が足りなくて使えないのだろう。

 

「良いか、奴隷紋は言わば裁判だ事実、その神官様も、何度かは破棄に失敗してるんじゃないか?」

 

「········確かに稀に聞きます」

 

「その稀に値するのが、奴隷に墜ちた奴が犯罪を犯した者だったり借金をしてしまった者だったりする奴、つまり神どころか誰が見ても「償え」って奴らばかりだ。

·····だからこれは失礼を承知で聞く、不快に思ったなら殴る蹴るなりしてくれて良い、ダリア

 

 

 

 

 

 

 

────お前は罪を犯したか?、他者を踏みにじり、過ちを犯したか?他人の不幸を蜜として飲み下したか?」

 

レイグはダリアの真っ直ぐ射ぬいた、レイグとしてもダリアが清廉潔白だと言うのは「あの慟哭」で分かっているつもりである。

 

だからこその再確認、実際は必要ないがレイグが勝手に決めてるルール

 

実際は神が破棄の際奴隷紋を通して刻まれた人の魂に目を通すらしい。

 

らしいと言うのは、友人からの受け売りだからである。

 

ただレイグは、神が観る前に自分も見定めたいと思ってる。相手の覚悟を、何を思って解放されたいのかと。

 

 

「はい、私は何の罪も犯してません。だから私を助けて下さいレイグ様、そして家族に会わせてください、その為なら私は全てを貴方に捧げます」

 

レイグに問われ息を呑んだダリアだが、厳しい口調とは裏腹にどこか後悔の念を抱いてるのを感じとり。これは必要な事なんだと思い。ダリアは一語一句本心を込めて口にした。全て本心である。

 

レイグはそれを聞くやいなや、「ならば良し」とだけ言った。

 

「ならさっさと済ませよう、俺が限界だ」

 

そう言いながらもズズイとダリアとの距離を残り拳一個分まで縮めて、座ってダリアと同じ目線の高さにする

 

「黒曜石を思わす綺麗な黒い瞳」がダリアを貫く。

 

良く見るとまだダリアと同じ歳なのだろう、少年らしいあどけなさを残しつつ「黒髪」を若干靡かせ精悍な顔立ちだった。

 

ぶっちゃけタイプ

 

 

「す、済ますって······」

 

レイグとの距離の近さに奴隷紋の事だと分かりきっているのに、「あらぬ妄想をしてしまう」ダリアは顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。

 

「?······すまん、ちょっと胸元開くぞ」

 

そう言って剥ぎ取りナイフで胸元の服に切れ目を入れて割と豪快に開く。

 

「ひゃわあぁああ!?」

 

可愛らしい悲鳴が森の中に響く。

 

レイグは現れた立派な谷間様に吸い込まれないように、目を反らしながら優しく掌を奴隷紋の上に置いた。

 

ピクンと反応するダリアを無理矢理無視して魔力を流し込む。

 

「(魔力を使いっぱなしだったのが好をなしたな)」

 

少しだが確実に増えている魔力量にホッとしながらも、奴隷紋が光るのを見て、魔力を更に流していく。

 

「これって──」

 

「(許してやってくれ神様、この子は和を乱す者ではない)」

 

無駄だと分かりながらも、心でそう願わずには居られない

 

 

 

 

────赦そう

 

 

ダリアの脳内にその声が響くと、同時に胸元の奴隷紋がパアァンっと青白い粒子なって消えた。

 

 

 

更に同時にレイグが白目を向いて腹から轟音を鳴らしながら倒れたのだった。





シャッチョサーン、モウオワリ?
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